やさぐれてしまったこころを 持て余し 朝粥ですこしあたためむとす
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俺よりも歳下なのに老けている そんな爺さん見るとニヤける(内館牧子さんのパクリ)
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老猫の病を気遣い看護する君の願いはどうか安らかに
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朝帰り網戸に登り御帰宅をあるじに知らせるきみは知能犯
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向日葵のゴッホのごとくさしてみる 真夏の喧騒静かに現る
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いいんだよそれでいいんだ本当によく耐えてるね頑張ってるね
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あくまでも三十一文字はうつ予防 詠んでいないと停電しちゃう
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心太 食べ続けても細るのは心ばかりで体は太い
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首・腰に湿布を貼ればよみがえる祖母の記憶はトクホンだらけ
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信濃路の水に浮かべるトマト食むせせらぐ音に涼む旅の日
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久々の寝不足は、眠いまずは電車で仮眠で目をとじよう
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今日は空いてる始発、座れ昨日の暑気払いの反省と瞑想、チーン🙏
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赤い目の 長い顔した 爺さんに 笑い転げる 小学4年
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暑すぎて 早く終われと 願いつつ 秋の気配に 募る寂しさ
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あの光の粒のひとつにならなきゃとライトをつける 雨はやまない
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稲作の価値は食から富を生みムラの争ひの種にもなりき
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休み明け配られもらう土産菓子 妻と持ち寄り品評楽し
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休み明け配られもらう土産菓子 その人のくに知りて興じる
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居酒屋のひとり女子のかっこよい頼むメニューも俺等と違う
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しっぽりとキタの新地の夜は更けて 酒と笑いと男と女
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電車から降りて時計にハイタッチ ホーム駆け抜けどこへ行く高校生きみ
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何もない私にできるヘアドネーション善意は店の重荷だなんて
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風呂上がり サラと感じる肌寒さ 夏が終わる。と悲しむビール
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光化学スモッグ警報発動中 店先の棚はみ出た画集
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身動きの出来ぬ寂しさを抱えて一日に何度だって眠る
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屋上に落ちてた靴は軽やかでゴムの臭いが新しかった
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明日よりも今日の朝日を希釈して冷めないままの曙が今
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飛び乗った 電車の端まで走りたい 10年ぶりの大寝坊の朝
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ねむれない夜にひとりで咳をして孤独を自分で憐れむ遊び
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引っこ抜かれた歯の弔いじくじくと 空き家に涙は溢れ 零時が過ぎゆく
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