我が心 君は知らずか 空蝉の 残し衣を まとうは意地 

スーパーのレジの袋を断りて身の丈に合う恋をしており 

逃げたって追いかけてくる彼だもの私から先に刺すべきでした 

教室の夢、子供の恋、顔ももうおぼろな無二の悪友のきみ 

密会の公園昏き春にして風のまにまにきこゆるチャイム 

しぬれども 空はうつろはず 青からむ 真に己の 小さきとうたう  

はつなつのぬるき午睡に君がおり目覚め口づけ交はすゆふぐれ 

今何をしているのかと気にかける事なき胸の穏やかな凪 

雨の音?聞こえづらくて窓開ける水の匂いが土にぶつかる 

分かち合う心を持たず行こうとも若葉は変わらず柔く眩しい 

選択をせずに置いてけぼりにした過去の自分に会いたい春夜 

お尋ねの窓については出口ではないという認識でおります 

静物画のびんが倒れてひたひたと感情がこぼれゆく美術室 

病室の少女は眠り窓際の人形が見る一面の桜 

変わりゆく時代の中で変われずに「変わり者だ」と揶揄される僕 

雑草は校舎の影で凛と立つ僕に強さを分けてほしいよ 

真実は奥歯で止めて春曇り逆さの君が水溜りにいる 

幸せな少年時代を過ごしたと雲には告げる四月の校舎 

初夏の空ふりむきながら見上げれば小雨と流れる雲の鳥かな 

大人だからコンデンスミルク舐めほうだい 大人だから気になる血糖値 

おなじ風せおって追いかけた君とおなじみらいを歩きたかった 

強手の中を僕は生きてきた そして今温もりに支えられてる 

星図鑑顔に伏せつつまどろめば初夏の風吹く致死量なほど 

生きてると 実感するのが 怖いです 息をしている腹が減った 脈を打ってる眠いと思う 

いつまでも心に居座る君の影を言い訳にしてひとりで生きる 

眠る君にキスしないまま冷め切ったギョウザを咀嚼する午前2時 

苦痛には二つの消し方があってあいつはそっちを選んだんだな 

ほんとうにやさしいですね水なしで飲めるくすりみたいにやさしい 

酔うて呑む一服うまし世は満ちて満つ ああこれが王の本懐 

歌声も覚えてないのに手袋のざらつきだけがずっとこの手に