翔平しょうへい一平いっぺいの文字に「たいら」あれど 二人の人生 「たいら」にあらず
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走ってて揺れる毛先に手を伸ばし頭の中の手綱を握る
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れぬ足袋たび いて高鳴たかな下駄げた こころおどるよ 湯気ゆげのままに
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さだ過ぎて くれば春にうちなびく 花も果敢はかなく降る別れじも
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今日の鯉打線キーマン誰かなとビールと会話しながらテレビ
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だんだんと少女の顔になっていく 子の横顔をふと眺め入る
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春過ぎて薄着になりゆく子の横で ママの装備は徐々に増えゆく
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猫は良い ふわふわ きらきら ぱやぱやの 毛に包まれた祝福の玉
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空バギーバギー押し息子を抱っこの若いパパ、坊は何気に誇らしげですよ
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呼び出して告白「え…あれ? 知らないの? 野球部の…」の途中で去る
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お前らは鳥のつもりかもしれないがお前らのフンを片す人もいる
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白妙の 澄んだ言の葉 今日老けて 夢に出てきた ことのバケモノ
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なけなしの勇気を使う時がきた使うとは確約していません
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学歴を他部署の課長に嫉妬され文句を言うならデモでも起こせよ
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全員が店のTシャツ下に着て ラーメン屋さんの葬式ならでは
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多様性本来の意味履き違え知ったかぶりが大恥をかき
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流行歌 推しの気持ちに重ねては 分かるよ つらい恋だったよね
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歌を読む また僕たちは 歌を詠む ひとの孤独と 寄り合う場所で
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百均の造花を一輪 挿した部屋 独りきりでも水いらずの日々
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おセンチを笑わないでよ きっと多分 誰の頭の中にもあるもの
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アジフライ醤油かソース問題で「マヨです」と答えた君、すき。
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まったりと夫は今日から十連休 来たる老後の訓練とする
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あれこれと並べ選んで歌ってはリズム体感アタマ活性
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さようなら。蛙化現象、その言葉 「死亡保障は元取れないの?」(生保勤務短歌)
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体調は季節の境にゆらゆらし 治まる頃に次の境目
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玄関にあちこち転がるライムグリーン 立ち入り禁止のハッカスプレー
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君はもう好きになりかけてるらしい 十六の春、始まりは…恋
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死んでいる間に君の夢を見た 鳥が鳴いてる窓が濡れてる
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働かぬ君の言い訳働けぬ  一字違いを二十年待つ
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日焼け止めの油のにおいで思い出す 音信不通の友人のこと
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