Utakata
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ポケットに賢治の詩集お守りに深夜は道の真ん中歩く
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モノクロの 古き乙女の 写真から 初恋乗せた 馬車の音きこゆ
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不慣れにて処置オーダーの入力を
女孫
(
めまご
)
のやうなナースに教はる
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花粒をまあるく集い胸の内見つめるギリア君が大好き
1
稀なりや心に燃ゆる蜃気楼やおら夢世にわが身いざなひ
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今日くらい早めに眠れ、と愛犬の 気遣い受けて布団に入る /介助のために昨晩徹夜
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カスミソウ優しく包み彩りの華々も映え春の晴れの日
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初恋の寂しさ耐えて一日で萌えるカタクリ長い旅路へ
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九州の男が堕ちる地獄にはご飯の準備する人がいない
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待ち受けの画面オレンジ盃の君と乾杯キンセン花かな
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底を裂く尖る相棒ポシェットを縫って改良バージョンアップ
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擦り傷の膝に手を当て塗る祖母のキランソウだよ遠き日消えず
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美容師が休みで明日会う君にハイビスカスの笑顔を贈る
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おはようの音を奏でるサックスの銀色褪せて渋い朝日だ
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いつ会える金曜日なら平気ねの文に溜め込むランチの笑顔
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くしゃくしゃに笑ってみれば寂しさを吹き出し笑うあなたが好きだ
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早朝へ 撒く餌に舞う 群れ鳩と 触れ合う爺の 影は伸びやか
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枝の先 うっすら緑 ピンク色 木々も桜も もうあとちょっと
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ごめんねと ごめんねと思う夜は長い それでもやっぱり独りが良くて
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壊れてた無線イヤホンなおるようなリセットボタン人にも欲す
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愛のない単なるオスの事件には同時代者はついてゆけない
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常夜灯 辛くないすか?灯き過ぎで 言ってくれれば消しますけれど
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あなたには、届かぬままで 散る恋を 何と名付けて 春に捨てよう
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鉛のようにベットに沈む 目覚めたら時が戻っていますように
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こんなにも、好きになるはずじゃなかったの だから 私は春が嫌いだ
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花も散り暑さが寄せる今はいつ 春と夏とのあいだの虚無期
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ボイジャーが銀河の端に辿り着き「宇宙は広い」とようやく零す
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初めての孤独な夜に泣き叫び、かけがえのない君になっていく
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「少ししか会えないのなら会わない」と言いつつ抱き寄せてくれる君
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キッチンにキャベツを刻む音だけが響く一人暮らしの独り
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