往来の絶えた通りをからっぽの郵便箱が否認している
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我のこと クロオと呼びし 級友を 想いて触れる 左の頬に
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じわじわと追いつめてやる敵陣にと金部隊をどんどん送る
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目に見えぬ 何かに追われ 日々の中 会いたい人に 会っていますか
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銃座にて 見据えし敵は 幼き日 我を守りし 神戸のパン屋
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強き風 波の飛沫に舞ふ鼓動 武者は甲板髪を靡かせ
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風光る 花の木の下 桜散り 葉桜茂れる 匂いむせびて 果たせぬ想い やるせなく  
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衣替え 麻のシャツにはアイロンを ビール片手にハンガー眺める
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春の海 霞み渡りて 風光る 富士の雪嶺  凍つ風吹きて 白雲走り 旅の空
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「水の色は水色ですか」と問うている 朝日を弾く水面を見ている
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御仏の 心宿るは いずれなる 因果の果てを 見つむ火の鳥
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レモン梅ゆずに洋梨西瓜桃 酒の味付け心洗って
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沈みゆく心に色があるのなら きっと深くて深い紺色
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気づかいの小鉢ひとつを持て余し君にすすめる 月、満ち満ちて
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意を汲めば「広告$なき世の心地良さ」飾る短歌は清らかに映え
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懐かしき母校の前の桜の木闇にまぎれて校歌を歌う
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ロジックは「Utakataいいね」と言われたい立ち上げ人の熱きエールで
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蛙鳴く里山の宿台無しに 女房がんがんテレビをつける
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ひと搔きに揺れふた搔きに流されて 海月のごとく芯なき我が身よ
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堕天使が いつか天使に もどること 夢を見ながら 今夜も眠る
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一日の 終わりの癒やし 此処にあり うたかただけに 残せる記録
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忘れ物 したるが如く 振り返る 白花水木 楚々と咲く庭
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わたつみの 底の記憶を 懐かしみ 黒き螺鈿(らでん)の 貝は煌く /螺鈿の宝石箱
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惜しまれて 去るひとありき 池の面(も)に 春愁の渦 立ちて消え行く  /麻のゆき氏
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残ってたカップスープが丁度いい寒かった朝五月一日
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大風が四月の憂い吹き飛ばし雲の切れ間の花月夜かな
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沈黙の長さを別の感情にすり替えられてしまう雨の日
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冷凍庫に眠る鶏肉ミンチにし 豆腐と合わせ和風バーグに
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良き歌を 残して去りし 君なれば またへうへうと 帰り給へよ /麻のゆき氏
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あの時も その時までも 遠ざかり 糧を求める 汚泥の中に
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