初雪の重さに押されて固まって一番古い地層がわたし
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「会いたいな」押せど押せども届かぬは 感度の悪い手袋のせい
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吹き抜ける風をいなして 寒川に 凛と立つサギ 見惚れる朝よ
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朝おきた扉を開けて猫がいる可愛いけれどマジ包囲網
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蕪の葉とおじゃこ炒めてふりかけに 「ご飯進む」と夫困り顔
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街路樹の生きる力は凄まじき張る根が歩道膨らましてる/躓いて気付く
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君は問う「これ何しかも使ってないし」あの日の君の肩たたき券
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貧しくも海苔巻きだけの折詰の 土産はうれし ほろ酔いの父
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諦めと度胸が身につく四十前しじゅうまえビビり散らかす明日も見えるが
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雪中花(水仙) ほころぶ睦月 流れゆく 春まだ遠き 季節と心
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ねぇどんな人が好きなの?白々と応える台詞「好きってなんすか」
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手をあげる親なんて普通だったじゃん 拗ねる私のインナーチャイルド
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かき揚げに 卵と肉を 追加して 立ち食いそばで 贅沢極め
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怪物はナイフを握り葛藤す 檻の中なら人間ヒトでいられる?
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好き嫌い花びらの数奇数なら 好きから始めて好きで終わるし
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殴り飛ばし蹴り飛ばす妄想を噛み締めて耐える満員電車 
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チョコ色のブルが散歩でおでこにはクリームみたいな雪をのっけて
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本便に乗り遅る ホームにひとり 缶しるこあがなひ 待つ次発
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崩れ落ち手から飛び出た生タマゴきみも必死に抗ったのか
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その日が来たら忘れて遺書なんて残さないから祈らないでよ
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「お先に」とライトで合図する指に名前も知らぬ誰かの温度/雪国の温かさ
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可愛さに 磨きのかかった 笑顔見て 貴女を想う 幸せな時
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勤め終へ家に帰れば三千櫻グラスのなかに光が跳ねる
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君宛てのルーズリーフの書き置きの余白に託す語りえぬもの
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着信の音にトキメク日は過ぎて凪へ漂う二人一緒に
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「我儘」と詰られ慣れていたつもり そんな事ないつぶては痛い
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いつまでも今のままではいられぬと 見上げた空にため息ひとつ
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見返して自分に何があるのかと 「ちゃんとあるよ」と伝えていたい
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このままでいいのだろうかと立ち止まる 尋ねる先は我が胸の内
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気管から腹に落ちる振動があなたの音楽おとを喰らってるよう
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