聳え立つ 頂上出づる 日の出背に 鷹の麓に ナスの煮浸し
6
帰り道 友と古着屋 来てみれば 安値だけが 目につく私
3
悲しさとは 笑顔があるから あるのです 世界が途方に 暮れてしまっても
4
おひざはね さいこうなのよ やわらかくて あったかくって ねこの しふく至福
11
日々追われ中途半端な子育てもははの愛にて子等健やかに
13
やわらかに 愛するみたいに 軽やかに わたしの生を抱きしめたかった
3
初春のカラオケ始め誘われて「さもありなん」といそいそ出向く
11
「わたしのお母さんはおばあちゃんです」ちょっと恥ずかし次女の作文
15
今は無き仕事は「写植」子育て期 追い立てられし日々の懐かし
14
ドビュッシー 太宰治へ 凡人の 嫉で喚いて好意で泣いてる
2
江の島に春訪るる如 咲きぬ睦月の ウインターチューリップ
12
卓上を 彩る真紅の ポインセチア  ひとひら葉落つ 感じる命
7
はりぼての足でこのまま駆けてってほんものを見たい ぜんぶぜんぶ見たい
3
風一つ若葉香ってランドセル掲げし子ども足取り軽く
6
美術館歩き疲れてくたくたよ明日は寝るぞ思う存分/大塚国際美術館
4
今晩は豚バラ肉と大根の 鍋で胃の腑をあたためて寝る
14
体幹がふらつくほどの強い風 されどこの風南から吹く
12
冬至より二十日ほど経た夕陽には 日増しに復す熱量がある
15
ねぇダーリン 私と生きてくれるなら この愛全部噛み砕いてよ
5
届きたり 大音量のメッセージ 溶けて消えるは 昏い月夜か
4
部屋の中 埃をかぶった写真立て 望んだことは 時を戻して
5
トンネルを抜ければ田畑白煙の故郷の香りの衣纏いつ
6
おでこ当て欅の古老に身を託すただこうしているだけでいい
10
想い出に入れずにおこうカギかけて思い出したくないことはもう
10
美術館座るところは幾多あるけれども広すぎ座る余地なし/大塚国際美術館
3
「生きてたら儲けもんだよそれだけで」心配性の母が笑った
14
浮かんでは消える「入力中・・・」の文字 あなたの紡ぐ言葉が好きで
4
バスを待つ見知らぬ観光客三人出会う確率雀の涙
4
マフラーのいらぬ気温に驚きて明日から寒波来る気配なく
5
塵芥ちりあくたつめたい風に耐えかねて 飛び込む軒は私のまぶた
4