人々が舞台に上がっていく 僕は観客席にいるずっとずっと
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にきび避けつつ剃刀をあてていく共感だけの会話で終わる
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いつ貼ったっけ思い出せないお風呂場のポケモンシールのつぶらな瞳
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教室クラスでは息することもままならず最適解も判らずにいる
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あの月が満ちたる後の聖日は四十三回目の受洗記念日
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戯れで鳴き交わすうち先方がこちらの下手を覚えたらしく
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まっしろなかわいいうさちゃん手を振って見送る彼の背に手をあてて
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春の風重たいものはスルーしてタンポポ綿毛にそよと吹きかけ 
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抑えれば 何か変だろ 別人が 生きているよな そんな感覚
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ずっと前話したことを覚えててくれたから期待しちゃったじゃん
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淋しくて土手で飛ばせば一粒の涙のかたちを描くブーメラン
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星空はかみさまたちのチェス盤で動かす駒が流星になる
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幸せな人しか来ないと思ってたケーキ売り場で怒鳴られている
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ひとかけのルウをカップに落としたら味変できるミネストローネ
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丸刈りに黒いマスクの小学生そとから見ればなんかネオナチ
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南極の吹雪を思う「さみしい」が春の隙間にさくりと刺さる
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カーテンが風に煽られ空隠す見えるものだけ見ようとするな
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暗闇に迷路が一つ春の空遥か向こうもまた春の空
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濁流がともしびを消す野うさぎが胸の荒野を消え去っていく
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赤い口、赤い口って言いながらずっと走って星になりたい
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番組の最後の回を聴きたくて遠回りして会社に帰る
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振らないで 彼女はあなたに 言うけれど もう愛はない 分かってるんだろ
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いらぬときあちこちにいているときは どこにもいない増えるスケール
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遠くまで 用事があると言い放ち 二度と帰らなかった 男は疎まし
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遠くまで来てしまったよ後方のオニが到底触れられぬ位置
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遠くまで来たと思って真後ろを振り返ったらきみがもうそこ
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遠くまで来たと思って来た道を振り返ったら真後ろにきみ
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午前2時合コンからの帰り道 今日の収穫コンビニおでん
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‪かなしいを受信するのは春だから‬ ‪朝にドーナツ食べててよかった‬
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一句出来た と筆を取る いやボールペン いやキーボード いやもうAI
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