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「さよなら」の言葉残さずアパートの合鍵握る貴方はいない
7
桜舞ひふわり抱きし初孫の十八年はひとひらの夢
14
野に
荒
(
すさ
)
ぶ嵐は吹けど新緑の風にながれる音は柔らか
11
雨間
(
あまあゐ
)
の風にさらはれ 改札を薄紅に
染
(
そ
)
む 散りし
桜花
(
おうか
)
や
20
小
(
ち
)
さきもの 弱いものたち 先頭に 築かれていく 令和の時代
9
小説みたいな恋をしたのに漫画みたいな転け方をした
6
雨の日だ。小さなアパートの廊下には、それぞれの部屋へ続く足跡。
5
梅散るも 人と人とに 花が咲く
弥生吉日
(
やよいきちじつ
)
天神の市
9
春盛り髪邪魔になり留めてみて結んでもみて切る洗面台
14
藪椿水仙榊水芭蕉群るるが常の地を這へ一匹
10
弥生末 ねこたちまだまだ 冬ベッド ふたりなかよく 暖を取りたる
18
今生に関わる人は三人か亡き両親と今ある妻と
13
目に花と人の集いを転写した絵手紙へ書く笑う春風
15
歌声は未来へつづくリフレイン。
出発
(
たびだ
)
つ人へ『春のコンサート』
10
青葉の候 肥えた山々 迫り来る 春の妖精 呑み込まんとして
4
花離れ狂いし君に安堵して もう座標は重ならないのね
4
やがて来る 覚めぬ眠りを 思いおり 眠れぬ夜の 毛布を被り
10
お礼にとリュックにハーブ詰め込んでお茶を淹れよう月の満ち欠け
5
笑いあい情けがかよう芝居小屋また来るひとも去りゆくひとも
10
ふるさとをつくるよそ者北陸のひとにつっこむ舞台の袖で
5
あご髭に白さもまざる海老蔵似友はとほくにありて輝く
7
ひからびた木箱に入った
臍帯
(
さいたい
)
は母のつもりで私を呼んでる
14
けふもまた殊更などに非ずして過ぎゆくものをただ見送るや
13
トゲのない言葉を探す会話するへとへとになる今日も一日
19
春雨や いつもの電車 窓越しの 景色は緑濃く沁みわたる
9
隅田川 春の長雨 さよならと 流れる花びら 過ぎる思いで
7
野辺の花 黄色一色 ほころびて 揺らぐ春の陽 陽炎立ちて
9
勝手にも
吾が家
(
わがいえ
)
含む ここらへん 縄張りとする ダミ声猫
8
上向いて落ちる椿の見るものはまばゆい空か蕾の子らか
19
足るを知り 慈雨に感謝す 春の朝 吹く風ともに 年度始めへ
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