野に還る耕作放棄畑には黄色が満ちるたんぽぽ群れて
13
枕花 百合の花粉が床に落つ花瓶の水はそのままの朝
7
かっくんと顔を真上に振り上げて錠剤を飲む 父のしぐさで
12
どこかしら気持ち良き風ただよいて昼日中そぞろ歩く楽し
16
目でもむ 創作懐石 ひと皿に なんと鮮やか 初夏の彩り
12
果てしなく 続くパレード 円周率 次は何かな いかなる未来
22
悔しきは己が心にありありと描けぬ内は何の役にも
9
透明な人間だって諦めて生きてきた のに きみと目が合う
9
うしろ髪 しなやかに揺れ 振り返り  香漂い しばし佇み  あおい春帰る
3
薄墨流し 山の端かすみ 朧月 桜散る野辺に 坐して酒酌み 春を惜しみて
2
一時か 後の己の 糧なのか 便利なものは 使い方ひとつ
10
縁側でつに髪結ふ母が手の刻まれし皺 幾春越えて
23
時を得て 紐解れたり 花蕾 名を上ぐりて 立てば芍薬
6
冬の毛をし取るブラシ 我が猫も綿抜きの如 換毛の時期
27
ランチ会 おしゃべりつまみに四時間 気長に待てり 次なる料理
9
銀座線東亜最古の地下鉄に 白煙立ちて足留めの朝
19
善意と悪意は紙一重 確信犯か見極める 野生の感
3
故郷の思ひで辿る旅終へて夫とねこ待つ家に帰へりき
15
季の移る境に身体からだ慣れぬ折 躑躅の香り甘やかに嗅ぐ
21
日は暮れて 留守番をするオレンジの 手元ライトはグラスを照らし
15
年金の金額知らす手紙くる庭の卯の花白き卯月に
18
整然と 列なす長ねぎ植へ終へて 一陣の風夕を知らせり 
20
白くなく甘くもなくて温かい君との会話に加える砂糖
19
短めの自己紹介も不得手ゆへ 声だけ作る講座日初日
25
こそばゆい「あら、おくさま」とスタンプのラインは知らず難儀の妻を
20
「ツピツピ」と 何の鳥だか 日の出前 若葉🔰マークか たどたどしくて
21
生命を与ふ覚悟で詠ふなら歌の一撃ジョルノの拳
10
無駄なんだ蛙を叩けば跳ね返る跡はスコップ頭が凹み
13
さよならとシロツメクサと旅をするきみを 許せる葉風のあお
23
春あらし吹けや吹けやと舞う砂塵さじん 春風小僧の温太郎めが
21