切っ先の鈍るおのれにムチを打ち その無知ムチをまた疑いし夜
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あの味は 今も続いて いるのかな 出汁であふれる 卵焼き丼
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寮跡の敷地にも 木枯しの吹く 枯れ草の中 咲きをる野菊
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夕暮れの イチョウ並木に 沈む陽が 優しさに満ち 祈りたくなる
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樹に生りて赤き果実の一粒や咥えし鳥の発ちて夕映え
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下町に 残るお酒の 自販機も 撤去されゆく 時代の名残
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そうですわ お嬢様では ないですわ 素敵なジョークおもろい冗談 おおきにやでぇ!
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ほんまのほ 思うたから  言うたんに  「上手いでんな」  返され凹む
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何もかも冬に向かって加速する振り向けばもう手が届かない
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ねこたちに おつめとぎくらい 買ってやりたい ブラフラぼーっと 眺めて熟考
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その案件 受けられませんわ 詳細は Geminiはんに 聞ぃたってや
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社に戻る 事務所の空気 冷えている 何があったか 誰も言わない
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カフェインとインスリンに溺れながらも指先だけはシラフであった
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Hook youホック ユー と君が言ったから 素直に外した19の冬
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紅葉を「かわいい」と言う眼差しが濁らぬようにばあばは願う
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心配を すんな全部 上手くいく 心配しろ全て 上手くいかへん
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ボス猫に ケンカ吹っかけ 冷ややかに  スルーされれば フテるしかない
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おはようと 言ったところで 俺ひとり 机の上の 千円が親
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ムーミンの スクラッチアート した夜に ニョロニョロたちの 襲撃にあった
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お湯いらん ラーメン濃すぎて 食べられん ガリガリくんで しんどいの取れた
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窓越しに秋雨気配感ずるがボール追う子の声も賑やか
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大変なことをした絶世の美女を産んだの国揺らいじゃうかも
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行く前は  荷物の多さに  呆れられ  はよ解きぃや  朝から怒られた
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十五歳あの三叉路を渡ってた高校デビューしくじっちゃって
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ポイントを使い切るのに腐心して 買い物数点忘れて帰る
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窓ガラス断熱シート貼り終へし様悪しされど為む方無しよ
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神様の命令はもう聞こえない 麗らかな陽と私がいるだけ
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さようなら  大人になつた  ホールデン  また会えるかな  ライ麦畑
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『解散』を そっと切り出す ゴルフ会 あっさり頷く 『後期』の面々
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自転車で墓参りする境内にカメラを向ける観光客
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