「ただいま!」と母に抱きつく一年生 登校三日目 桜満開
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仰ぎ見る帽子さらわれ花嵐歯抜けた前歯尊しとなす
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色眼鏡外してごらんあの人は幸せそうに笑っているよ
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原初の火 確かに皆にあったもの 再会は直ぐ 思慮の三歩目
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原初の火 今に灯台の比喩を為し 消えかけた君の世界を照らす
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4・5月に 長い連休 なき時代 お祭りに行き 広場で遊び
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私はソメイヨシノと声上げる高速道路の雑木ぞうきの中で
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真中まなか昨日の雨から顔を変え 夏日迎える静かなる朝
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雪吹雪 山嶺音なし 冬の夕暮 独りその影 雪の足跡  振り返り
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ナッパ服袖とおしたる若き日よスーツ姿に制服を思う
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草原に 寝てる俺には あたたかく 進む俺には 風は冷たい
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雪吹雪 ゆらゆら揺れる かずら橋 凍つ風おろし 枯れ木は黙し 春を待つ間に 梅香る
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入学を祝う鶯うららかに蕾も揃い春こそ奏でる/蕾のような新入生を祝って
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雨後の夜半よわ 雲を払ひし温風ぬるかぜに当たり 星影望む ベランダ
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蒲公英の綿毛と蜂の舞う中で割られし鏡に笑むのはたれ
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雨上がり 降り注ぐあお わが今日に いいことあるよと そっと告げくる
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ラジオ体操 二百回達成の 賞状は たかが一枚 されど嬉しき
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春の雨 思う存分吸い込んで 一斉に萠え立つ樹々の歓喜よ
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この夏に生き残るための部屋にエアコンがくる次の木曜
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寝室の窓から眺むモミジの樹 萌黄の若葉に 雨滴光りて
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花のふる風情を犬も知るやらん木の下に伏し花を浴びをり
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雨の日に雨を歌ひし曲聞かば ひととき昭和がワープし戻り来
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古希の六月十三日は初恋の記念日いいね夜明けコーヒー
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悠久の歴史桜は吉野山薫り今でもみんなの故郷
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残雪に うさぎの姿浮かび出で 雪解け水が田に満ち光る 
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床の中痛む背中と天井 ウグイス鳴いて桜散るかな
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亡き父と瓜二つなる老いの笑み夜の道に立ち我が目疑ふ
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おもへらく「一日一首」の七年余さらにつづけむ辞世詠むまで
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怖くなるゆったり共有する時間幸せなことに慣れていないから
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老婆心も ハラスメントに なってしまう そうじゃない、あの 涙に腫らす目は
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