あさもやの 薄墨流し 春時雨 はこべ咲くや 朝露に濡れて 玉の露
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音楽で寂しい夜を塗りつぶす。「君の顔が好きだ」「グッバイ青春」
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自炊を諦めた夜に行くすき家。いつもはつけないとん汁もつける。
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ゆっくりと胸がつぶれる音がするさよならさよなら春が来たから
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雪国の林に残る雪間から 真っ先に春告げるフクジュソウ
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愛憎も此処に至りて霞みけりふたりの旅はただ手を取りて
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朝顔の 垣根しなだれ 昼下がり 陽背負いその影 薄れ消えゆく
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温室に滴る苺の甘さほど想う気持ちは夏を待てずに
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君の今 私がいなくて 回るなら 過去へ墜ちゆく あっという間に
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潮風とかけっこをした散歩道 桜散りゆく 3月下旬
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心をば畳んでみたくなりまして折り目きれいに揃えています
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買い物のメモを忘れてはて?何が要るのだったか店頭に迷う
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あなたへの届かぬ想いしまい込む朝の光に桜ちらちら
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ユキヤナギ ぽつぽつ残る 帰り道 風は柔らか 桜咲き初む
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花散らす目白に蜜はゆずらじと雀は桜一輪落とし
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軒下の巣取り払われて渡り来しつばくろ二羽は電線にをり
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冬眠を解かれて未来 問う声は「フェイス チェインジ?」選択迫り
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亡き人を 惜しめる如く 降りいでし 彼岸の雨に 顰(しか)むパンジー  /挽歌
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今ひとたび 逢ひたしと切に願へども 生きては行かれぬ 西方の国 /挽歌
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訃報来し 翌(あけ)の朝餉(あさけ)に ジャスミンの 匂ひは立ちぬ 泣けと如くに  /挽歌
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言葉には ならぬ悲しみ 拭へども 拭ひおふせぬ 血の涙かも  /挽歌
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連絡の 遅れを詫びて 汝(な)が妻ゆ 訃報ぞ届く 彼岸の宵に /挽歌
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七日経ち 八日経ちても なほ覚めぬ 此度(こたび)は 篤き君の病(いたつ)き /挽歌
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小雨止み散った花弁の薄桜 敷かれし道を「綺麗」と踏みつ
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評判の よろしゅうない クセのある カフェオーナーの 人となりを知る
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探偵が追えど不敵な笑い声残して闇に消える怪人
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柿の木が二本切られて恥ずかしいほどに露わな我が家我が部屋/キャッ!
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富士の嶺にかかる浮雲かくせしを払わざらなむわれならなくに
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山頂を雲で隠して山たちは幽玄ぶって佇んでいる
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年ごとに冬越すごとに少しづつ壊れ続ける近くの空家
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