鳥かごに冬の日差しを閉じ込めて蜜柑の皮を剥けば香し
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自治会に汗かく面々生き生きと 老いへの歩み 半歩ほど停め
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風邪の芽を摘んと飲みし葛根湯 両の手のひら仄かにうるむ
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来年の自分に対し展望す出来ないことはやらないことと
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あの月はいつ見ても尚同じける移ろう我が身面影も無く
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いかりとは攻撃されて起きるもの 全てのいくさはこれに始まる
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目の前で机を叩かる不快さは された者には消えることなし
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うっとりとため息つきつ読むうたのあれど及びぬ 我が道を行く
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脳トレにうた詠み始め楽しきも非凡なうたは遠く及ばず
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無生殖無色心臓がのびのびと過ごせる箱に入れてください
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就職も狭い範囲の障がい者 若さが欲しいチャンスが欲しい
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一番星 あかるく我を照らしゆく 奈々さん わたしの一等星よ
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易疲労感 脳の病の宿命で ちょっとの事で クタクタになる /統合失調症
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血管を無意識でねじりトイプードル 怒りは涙と同類らしい
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山茶花も戸惑うほどの日差しにてコート持て余す師走の陽気 /20
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今宵はしゅ 片手に瓶を あの人の 優美に酒を 嗜む姿 横顔見て
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外は雨8階ベーター前ひとりゴルゴな気分で間隙狙い
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弁当をぶら下げ歩く帰り道トラック通る風に吹かれる
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完璧じゃ ないことを知る だからまた あなたのことを 好きになる
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火をくべて ほくそ笑む軍需産業 この手にあるは 水か油か
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クリスマス 何それそんなの関係ない うそぶきつつも 手当たり次第の クリスマスソング
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日の落ちる  茜の庭に  居たことも  今となっては  昔日の陰
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アラームをかけた時間もまだ暗くもっと寝たいを助長させてる
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この先も 君が飛び立っていいように 明日花の苗を買いに行く
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歩みがね どんなに小さい歩幅でも 進んでいるよ 頑張ってるよ
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雨間あまあいの午前 つまと眺む車窓 土手に枯れすすき 深まりぬ冬
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あかりにもなれないような僕だけど 黒が増えれば君は輝く 
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三五〇〇円で買った信頼じゃ足りず二軒目プラス二〇〇〇円
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聞く話す笑うそれだけのこと それだけのことで繋がる日々
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多忙なる 一日ひとひの終わり 静寂が クールダウンを 吾に施す
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