列をす 灯籠のあか燈火ともしび 古き和風のイルミネーション
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早春の空樹の塔の尖端に 春告げ鳥は止まるだろうか
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三層の劇中劇を観るような半覚醒の悩ましき朝
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懐かしき帰らぬ人と語らえば夢は現に笑いは風に
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満ちる月 炬燵に入りて 羊かんを 栗の寄りしぞ君へと分けむ
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あたたかき空気がそっと身を包み振り子は元の平明に帰す
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陽だまりの集う談笑心なき刺さる言葉は氷の世界
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生更木の 凍てつく大地に麦踏みの ザクザクの音春近づきぬ 
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太陽も星さへコンパス成るらしき白鳥春待つシベリア遠くも
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聞き逃し ラジオ深夜便 朝に聞く 昭和の匂い  我、娘となる
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冬晴れや水減るダムの底深く沈みし郷のまほろばの影
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真っ白の庭に優しい立春の陽長かった闘病生活
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かじかんだ指が何かを教えてるひとの絶えた二車線のみち
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徒歩でスーパー うっかり買い過ぎ 帰り道 両手に食い込む 袋の重み
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言の葉が ふわりふわりと 舞いながら 逃げ出していく 夢うつつの夜
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かさね着の万葉・古今のかたわらにニュートン・オイラー置かるも愉し
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膨張する宇宙の話面白き 意味不明なり 茶を啜るなり
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十八歳じゅうはちの我らに教えし「たけませか」若き助教授リタイアと聞く/<撓み、傾斜角、曲げモーメント、剪断力、荷重>の頭文字
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二十四の節気の月になじみよき十月十日 とつきとおかの「朝」の重さよ
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冬の蛾は桑茶のはねを繭に閉じ 蝶になりゆくさなぎを抱いた
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冬の夜の空といえばオリオンと、うつむいたままそう信じてる。
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追い焚きの概念のない浴槽で冷え切るまで潜り続けてる
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相対的な世界に在るからねじれた位置の彼らともどこかでーー・ー
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誰に何に縋ったって結局は 焼け石に水 雀の涙
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弁当の用意。入浴。メールチェック。  オリオン座は嫌に鮮明
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他人ひとの記憶 その日暮れほどの明るさ
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花は散り色は褪せどもそこにをり その花の名を誰ぞ覚えん
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思ひまなこににほふ 花細しはなぐわし 皆は過ぎ行き 名は宙を舞う
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静かな海を見つけた だれもいない理由を考えれば良かった
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痩せ我慢 半年したら 太ってた 太り我慢を すれば良かった
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