夕暮れの薄青き空ひんやりと三日月浮かべさよならを言う
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なまぬるい涙にまみれ目を開ける夢のつづきはもうみたくない
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一人では 立てぬ背骨を 寄せ合って 「自立」のふりする 群れの醜さ
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新たなる試練やまいに心ざわめいて 春風かぜはこんなに暖かいのに /夫
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老いて老うまま生きんとすれど 足掻く心は未だおさめ難し
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今晩の月と 短い連絡を 仕事終わりに見てほしいです
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「カップ麺食べると早死にしちゃうのよ」言いながらカップ麺すする先輩。
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弱虫めお前のことは無視したり責めたりなどもしてはやらない
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道連れがなければ死ねない弱い僕を赦してください行きずりの人
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学舎まなびやを巣立ちぬ我等に 贈られし鉢植パンジー 門出の祝ひ/小学校卒業の日
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夜降りて オリオン低く 南空 誰かが云った また来ん春と
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藤壺の花の重荷と伏す影の深きを君は踏みて行くらむ 〈題詠 壺〉
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花や木々 空の蒼さや風さえも 短歌うた詠みめし日々変わりゆき
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珈琲の向こうに君の笑い顔 世界をちょっと許せてしまう
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伸びる雲 夕日隠して 広がるは 十五の頃に 見た青い空
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ミサイルが空を裂こうと、庭先にブルーベリーのひかりは伸びる
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抗うに 嗤う豚にも 睨むなら 蓋し少女よ 人間であれ
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赤触手 身を委ねるは 愚かな 嬌声響く 苗床の部屋
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カッターで青い画用紙切るようにツバメが一羽飛んでいく朝
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絹の雨 しなやかに降り 朝霞  濡れて色濃き 野辺に咲く花 香こぼれて 乙女ときめく
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すべて嘘 この世ははりぼて悲しいね そう言いながら今日も着飾る
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この間夜逃げした中国物産店。お店の奥に佇む仏像。
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飽和した しゅわしゅわブルーのびい玉に しつこく残るキミの分度器
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もしも選べるとするなら死ぬときはあの夏の海に身を投げたい
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じーちゃんとハイタッチすると孫が言いウインド下げる息子の背中
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ボイルイカ我の旨みが欲しければ海まで来いと白く横たえ
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空腹のこの喜びをたれぞ知る飽食牢を釈放間近
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フォークルとトワ・エ・モアと赤い鳥 プレイリストはこれだけでいい 
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晩年の母 慣れぬ手つきで嬰児ひまご抱き ひろがる笑顔最後の写真
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週一に 来る孫からの ハグ受けて たちまち我は 充電満タン
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