黒柴の次も黒柴 僕も黒 お蔵のコートは手袋いらず
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日々平穏 こころ波立つ こともなく 静かに流れる のこされた時間(とき)
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凍てつく夜 猫も同時に もぐり込み 布団のあたため 一役担う
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塵どもの風に舞うさま目に入り 己の小ささ心に染み入り
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わかるともわからないとも五十年 妻の不機嫌スイッチ居場所
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通話する 君の声まだ 聞きたくて 充電切れに ハラハラしながら
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ボトル入り烏龍茶を飲むパンダの子返還されるニュースを見つつ
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雪晴の空気吸いこみおもひそむ古都につとめていたかの女史を
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甘いもの好きなヒヨドリ かれさえも 早春ならば菜花ついばむ
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菜花茹で 茹で汁の色のあでやかさ まごうかたなき春の色彩
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ここで失恋たぶん来ないお前を間伐に怯える桜と共に待ちながら
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玄関ドア しまい忘れの 虫除けネット  役立たぬまま 寒空に震えてる
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見上げれば 満天の星 ひろがりて 息のむ程の プラネタリウム
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厳冬の宵 暖求め 我が膝に丸まりぬ猫 命のぬく
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宵の間に流布せし蝶の飛ぶ先へ暁至りて冴える極彩
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子の頃に一瞬目にしたオニヤンマいまではキャンプの虫除けフィギュア
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ワイマール超民主主義国家 多党で澱む国会に しびれをきらせた国民が、「彼」を選んだ
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受験生 子に持つ親が選ぶのは 政策よりも当確候補
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冬眠の熊の夢らし樹氷みな怪獣になり雪に戯る / 蔵王
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すずしいと思う、宇宙のくらやみの喉をとおってすぎさる風よ
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連綿と続くや月の満ち欠けは 幾人詠みたり今宵の月を
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冬ざれの 羽が膨らむ寒雀 梅の枝先春を待てをり 
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その刹那手中に何があるのだろういろんな候補が浮かんで消える
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月下げっかなぎ 水面みなもに星が うつれども 下半分は 風前に
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チーママに 同伴の子と 叱られる 盛り上がってても 入店は九時
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お飾りで夢だけ肥やし生きている風は冷たく君を試して
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このまちで もっともいやな できごとは 欄干で吸う葉巻の匂い
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挟まれてる栞の数だけ 感動と興奮 少しの寂しさ
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水はもう花を枯らした価値観を擦り合わせるのは多分できない
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泣きたくて猫を抱けば、僕だけが不純物なり。窓外は銀河
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