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年の瀬の気配とどかぬ病室で正月準備考えており
14
悴
(
かじか
)
みぬ手を
擦
(
す
)
り合はす 帰路の宵
労
(
ねぎら
)
ふ如し 上弦の月
16
飲みこんだ言葉がきりり鳴いている喉の奥から胸の中から
12
フライパン振り上げたい日もあったのに面会人はやさしく笑う
11
温飯
(
ぬくめし
)
に松前漬をちょっとのせ 今年の出来を確かめてみる
18
恒例の松前漬は吾の仕事 醤油と酒と味醂をあんばい
13
室温を確認したら
13
℃ 蒲団の中に手足ひこめる
14
庭活し落ち葉舞わぬは楽なれど 少しの未練将来見据へど
17
年の瀬に 子らが集まる新年の 食材求めあれやこれやと
18
臥す妻へ味噌汁つくる年の瀬の寒き厨に湯気立ちのぼる
20
ある子供 ミノムシのミノ 剥がしたよ 代わりのミノを カラフル毛糸
6
ミノムシは メスはミノから 出られずに 短命終える 切ない事実
6
愛猫が 白樺の木に 登ったが ニャンパラ出来ず 落下し鼻血
6
ゆりかごからブランコへ。帰り道、少し線香の匂いがするね。
4
もう少しここにいたいと望んだら 世界はどこか変わるだろうか
9
編み物の目を数えつつ聞いている坂本龍一闘病の日々
20
耳鳴りが気に障るほどの寝室にあなたのイビキが思い出せない
12
次のページは厚いベーコンを食べること 実現できる夢ノート
4
年暮れて 有象無象の 声なき声 包んで降らん 新雪の夜
8
もう少し詰めて、シングルなんだから。でも、この狭さを離したくなくて。
5
起業した 元上司の メールには 苦悩と希望 散りばめられて
15
この時間 メール処理する 静けさに 互いに終わりが 見えぬ年の瀬
13
BSの 昭和のドラマに 千葉真一 コロナで逝くとは 知る由もなく
9
丑の刻 聖夜嘲り 飲むココア 冷たい気配 悪い子にはと
5
愛ってすばらしい だけどわたし以外に注がれる愛はすばらしくない
2
きっと君はこれが最後と知らぬまま盾を背負いて走る冬枯れ
7
好きな色変わったんだね 覚えてる ずっとずっとあなたを見てるし
7
目覚めればまだ付いている取れてない抜けないたまり場脳疲労宴
15
特定の人にだけ愛を重ねれたらそれでいいのにそれがいいのに
6
お仕事を 納めた方が 増えるなか 私は残り 二日有ります
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