下々に娯楽をやろう いい人になったかのような気にしてやろう 

イラクから 二十年たちウクライナ 消費期限の都合なのかな 

お隣の赤いトタンに滲んでく  屋根は夕焼け 夕焼けは屋根 

いつかまた戻ってほしい本にだけちいさく犬の絵を描いて売る 

戦争の正義は常に勝者側 敗者は背負う 罪と賠償 

二階からクレーンで吊られ冷蔵庫 十年戦士秋空を舞い 

冷蔵庫消費期限の数字でも祝福溢る君生まれた日 

千切れ雲家路を急ぐ朝六時 倅は初のバス旅行なり 

幸せになるのは少し難しい 「初診なんです、アフターピルを」 

何らかの儀式のために集まると、人はもれなく「野蛮」に見える 

我が母校 後輩の柄落ちにけり 情けなく思ふ 秋風の中 

地下鉄のエレベーターで地上へと地底人が侵略にくる 

瞬きの目を開けたときに見える世界少し時間が進んでいる絵 

昨日から 戦っていて 血は朱くてと言うことは甘えか 

さみしくて 広がった空見上げれば羊の雲の何食わぬ顔 

違う 違うの私の所為だ 小指の先から流れ落ちる血 

光とはどんな感じか満月の表面イヤホンジャックを探る 

地下鉄の出口の先の満員の信号待ちの日陰に入る 

ゆめううつ境目壊すおまじない「鏡よ鏡 おまえはだれだ」 

文字持たぬ民ゆえ言葉残すため 編み出したのが三十一文字よ 

揚子江 追われ 籾持ち船出して たどり着きしは秋津洲なり 

寒冷期 飢えし黄河に襲われて 揚子江人各地に散りぬ 

まだ温い布団の端に手をやった あなたがいたと言えたらいいな 

蠅一匹同乗させる「焦ってもしょうがないでしょ」もみ手で言われ 

妻作る予行練習たまご焼き 下の子と食べ明日は早起き 

31アイスクリームに負けぬほど愉快な短歌を詠めたらいいのに 

お前の尺度で私を測るなよ 私の尺度でお前を測るぞ 

大学は何も考えていない人ばかりで行くのが嫌になりつつ 

異空間 美しい国安倍教の教祖か神に祀り上げられ 

ヒトの作る行列は往々にしてアリほどの合理性も持たない