後ろ髪ひかれ月背に忘れ道 霞む夜空に星と溺れて
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直に心 触れ合える ことなど稀 時間よどうか このまま止まれ
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小粒でしょ わたしの帰り待つ母は 冷蔵庫の中 思い出詰めて
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着るものの 色味が少し 明るめに なりそうだけど ならないような
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好きだって言いたいきもち溢れてる車椅子から立ち上がるほど
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生ごみを荒らす鴉は生ごみを何だと思って啄んでるか
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「ただいま」と ひとひらの桜花 襟に着く 蜻蛉返りの 春に「おかえり」
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もう聴けないあの人は辞めてしまったし僕のミクでは歌わせられない
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三月の晴れた桜の木の下でランドセル背負い早撮りしてた
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心痛の夫の食欲戻り来て庭にも一歩 せなに春の陽
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暗闇の中 我探し鳴く君の声 聴こえた気がして じっと耳澄ます
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小説も映画もすべて吹っ飛ぶよ目の前の君これが現実
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機微の春さえずり心を震わせて土蒸す野花は夢に目覚めて
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もう散るかまだ寒寒し夜風吹く生き急く花に恨みごと言い
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あかつきに 寝覚めて 十首詠みて恋ふ 雲と見まごふ 白き花枝はなえだ
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自販機の光は月より明るいね。ごっこでいいから。恋人ごっこ。
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父と夫二人の影を背に負ひて 息子のなかの光へ歩む
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桜ちゃん風雨に負けず頑張ってまだ三分咲きこれからだよね
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朝靄に身を浸しつつ思ひをり 旅立つ私は一人でいいと
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よろこびもかなしみさえも自分からいちばん遠いところに置いて
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数だけを追うは愚かな仕事なり仕事の魅力が人なり作り
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鶯が声高らかにファンファーレ 鎮守の杜も春爛漫なり
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飛梅とびうめの 柵に結びし 『吉』神籤みくじ  『大』がつくまで 引いてみようか
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小松菜の種をパラパラ庭の隅ほんのささやか我の菜園
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草引きも畑も駄目と医者の言う庭の手入れは我の趣味なり
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コクも香も苦も酸も無き即カフェに失くした恋の記憶を願う
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三つ折りにかれ燃える線香も うちのひとつぞひとり尽くらめ
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丸くなる 母に 毛布をかけるとき 全てのことが すこしわかった
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転売の儲け話で並ぶ列立ち別れ いなばの山の 峰に生ふる まつとし聞かば 今帰り来む /中納言行平 16/100
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うしろ髪 しなやかに揺れ 残り香の 精気みなぎり 大地息づくや
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