アパートの 階段照らす 蛍光灯 交換時期は とうに過ぎてて
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あと五分 半になったら 動くため 時間を刻み もう一時間
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右肩の斜め上なる 月光や 我が行く道を 照らし給へり
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青白く 夜に輝く LED キミとの距離を 詰められぬまま
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深淵を覗くとき深淵もまたこちらをあれっ?見てない見てよ!
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若者は右に習って草草々 謙虚な人は四人に一人
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ランクひとつ落としてみよう思案して手に取る米の五㌔が重い
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差し込んだ光を編んで君宛てに冬の夜空で凍えぬように
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水溜まり ネオンが映る 路地裏を キミを連れ出し 街を出た夜
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野放しで己を律せぬ二十代 仕事のルールをじゃんじゃん破り
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バイカル湖青い北風白い水下向くナターシャ上向く私
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風邪気味の喉に優しい布マスク着けて眠らん微熱の夜に /手作りのゆるゆるマスク
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大陸の 友と語りて笑いあう 小さき外交 祈りかさねて
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殴られた日からわたしは考えることをやめたの脚を捨てたの
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薬局でリップクリーム買いし時浮かんだ歌が少し切ない/直前の拙歌
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両手で箸を持ってハンバーグを割る君は片手でハンバーグを割れない
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気がつけば ひと月休み 無く仕事 月夜に照らされ 自分を労う
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此処ここまでは漂ってきた草のわた濡れた舗道にくだって終る
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秋深く 静かに咲きし お茶の花 可愛げな白 主張し過ぎず
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水足りぬ植木鉢にも似てる様な食う喋るしか使わん唇
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ウォーキング 始めてみたは いいけれど 三日続くか 最難関よ
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犬を抱き小雨の中を早歩き 師走の足音から逃げるごと
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片付けは したら勿論 いいけれど 散らした部屋も 居心地よくて
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上弦の 月が放つは 白兎しろうさぎ 落ち葉と共に 風がじゃらして
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半分の 月が私に お似合いと 満月ほどに 完璧でなく
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一年はあっという間に過ぎるのに あなたに会うまであと2週間もある
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セーターを着るか着ないか携帯の天気予報は小春日和と
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何となく微笑み合える知られずに同じキャンディ口にしてたら
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我のため雑草(くさ)を摘んでは土産とす 認知症(やまい)の祖母の不変の愛情
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黄昏こうこんに包まるる街 鴨脚樹イチョウの葉積もりぬ歩道 黄色い晩秋ばんしゅう
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