室生寺の風に包まれつつましく尼寺ゆえの温き強さよ
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愚痴の根の深きに伸びる裏庭の日陰の草と馴染む秋の日
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寅の刻 感謝知らずの 血筋だと 夢に起こされ ぢっと耳澄ます
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母船出えっさほいさと小舟旅いつかなれるか自由な帆舟
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野蛮さのなにゆえ消えぬ焦りこそ恫喝哀れ崩れゆく国
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散り散りの蛍を星夜に詠ったらアニメに被り没となりけり
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眠ることが怖くて薬を飲めなくてYouTubeをただぼんやり見てる
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「早いね」と話しかけると「早いね」と答える人のいる温かさ
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AIに解釈させるのイチ押しです理解は深いし被り防止で (楽曲の歌詞と被るパターンも)
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『私はね健康診断だと思う』認知症だと告げられる前は
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冷ややかに主治医の口から流れ出る『脳血管性認知症』
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幸せはきっと心を奪うから詠うだけなら一人がいいね
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誰しもが 古傷痛む 夜もある 朝は来るから 今はおやすみ
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ポッカレモン 胡椒をたっぷり 振りまして レモンだれにて 餃子召しませ
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去り人の門出を聞きて影姿 思ひ出せなくゆるる消えゆく
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大昔死んだ魚が燃やされてあなたの家のランプを灯す
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手に取った名も知れぬキャラのキーホルダー なんとなく君に似てる気がして
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仕事終え 帰りの車中 想い出す 貴女の笑顔 疲れも消える
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思うのも思われるのも塞ぎたく 己に夢中になるもできない
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雨あがり 空に浮かんだ 三日月が こちらを見つめ 明日へいざなう
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この時間人の体を使ってはものを食ってる奴が憑いてる
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医師免許の画像ファイルを添付せし履歴書の日付をまた更新す
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カーテンのすき間からいけしゃあしゃあと 差し込む西日とまどろむ私
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グラコロはコロコロコロっと転がって、冬が来たぞと知らせてくれる。
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暗闇のオフィスに光るパソコンでご褒美ポチって今日を終えるの
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こっちがいい あっちもいいねと 他愛なく 語って目覚めた もういないのに
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夕光ゆうかげの透き通りつつ今日はまだ枝にとどまる木の葉幾つか
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灯台の 灯火ともしびなれば 君が手を 離さじと思ふ 世が終わりても
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支払いへ訪う事務室の日向には猫様二匹それぞれゴロリ
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短日の四時にはすでに灯り付けなぜか忙しく厨に立てり
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