黒豆の うるしの如き つやを見て 口にせずとも うまいとわかる
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三月で期限が切れる菜園で気の早き人片付け始める/他人事
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見上げれば紅梅咲いてこの空のどこかにきっと精霊はいて
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今年初発信履歴にキミの名が二分間という最高のキロク/初聲・睦月十五日
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壁の光が綺麗でうとうとしていたお昼と夢の中で会いましょう
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使うたびライトがついて動き出す北窓に向く健気なミシン
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手を繋ぎ初詣ゆく若者の我らにはなき作法まぶしき
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待ち人よ待たれる人は今何処雪積もる道足跡も無く
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店先に 苺の菓子の 敷き詰めて どれ摘もうかと 頬ゆるむ午後
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営業で 東北行けば 雪怖く 疲れを宿で 地酒と流す
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あまおうが見世棚赤く染め上げて私が苺と誇らしく見え
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ダージリン 疲れた体 染み入って 香り佇む 夜の事務所に
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死して尚 満ちることなき胃袋や 顕世に留まり止まぬ潮騒/映画『ゴースト・シャーク』
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ミモザ咲く 作家の家で 打合せ 穏やかな夜 黄色が映える
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三年目 増える後輩 飯奢り 今ならわかる 上司の気持ち
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久々の棒針編みに苦戦する弟子わたし師匠ははは笑ってるかな
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ゴミの山カラスの群が誇らしげ宝の山だと陣取り続け
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飲み会の 幹事を務めて 酒を注ぎ 二次会同期飲みからは 記憶さよなら
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能登牛と能登の地酒でビジホめし こんなことしかできない私
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結婚が 見えてくる歳 焦りつつ アプリを始め 消える栄一
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泥船に助け船出せと手を出すとこちらも泥船仲良く沈む
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健診が 精密検査を 受けてこい エコーで見える 肝臓の影脂肪肝
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浴室に波の音目を閉じ聞き入れば私の癒し貸切露天
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影二つ 夕日を馴染ませ君の髪 揺れる頃には夜の街並み
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月日経ち 去り行く二十歳はたち 年男 三十代アラサー見えて 増えゆく腹囲
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時されど 皆でミャク打つ 輪の中で いのちが踊る 輝く未来
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旅前夜 心ときめき そぞろにて 荷を開きつつ 閉じてまた見る
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セーターにくっついてきた愛猫の白い毛取らず一緒に連れてく
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初物の伊予柑贖い 両手にて 抱えて春の 遠き足音
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テスト前 勉強せずに 後悔し 誓う勉強 三日間
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