喧騒を 越えて在るのは うつつかな 街灯の先 見える足跡
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狼の捕われし聞き安堵する 大禍のなきを祈る年の瀬
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紙束が 掴んだ指に 赤い痕 幼き痛み 滲みる凍風
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白色に汚染されてく町を見て、毎年毎年ため息をつく
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年末にマーラータンてふ流行りめし 食べつつ思う「ごめんなさいかな」
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たましいは一面の霜 君という宇宙に熱を放ち尽くして
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均等な瞳のなかの一人です あなたの前でモブにもなれず
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ねこたちの おつめをきろう ねんまつだ それまですこし 休むがいいさ
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右側に 誰かがいると 落ち着かない 空けておきたい キミのスペース
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五・七のおん聞くだけで「うん?」となり続きを読みて苦笑ひとつ / Xあるある(笑)
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車内にて むずかる幼子をなだむ保護者を 見守る乗客 ぬく
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針の目を たどるがごとく 街路樹の 背高ノッポの コニファーの列
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本当は行きたいのかなどうだろう車椅子ごと運ばれて母/デイサービス
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冬晴れの墓参に賑わう朝のうち 花供えれば墓石すがしく
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たんたんと置いてくニュースの味気なさ世間が遠し九日間ここのか長し/ラジオの年越し
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聖夜前君との漠然な温度差隣りの犬吠え床に就く
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烏賊メンチは「いがめんち」と発音されたし 津軽名物
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おっラッキー ひとつ空いてる セルフレジ 人混み抜けて 故障中と知る
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目覚ましの スヌーズ機能 スムーズに 使いこなせず また鳴っている
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二十七日クリスマス庭の雪寒さ足に残して年を越す
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冬晴れや 曇りガラスのやさしかり あの春の日の陽だまりに似て
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サイドミラー 朝焼と雲 感動し 年の瀬迫る 出勤の朝
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年の瀬に 古いワイシャツ 整理する 思い出よぎる 深夜の一時ひととき
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白梅の 蕾ほころぶ 師走かな 風はつめたく 肌を撫でてく
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最近の家電はシュっとし過ぎてて電源入れる術が分からず
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世が人が 猫も杓子も バタスタと  限りに挑む 年末商戦
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キラキラと霧氷を咲かす裸木の零下20の朝の静けさ
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薄情な処分完了報道に鳥の涙は詩になってない
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ヤマザキの薄皮つぶあんぱんを食む ホットミルクの膜がやさしい
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ネコバッグ そういや当選してたよね メール整理で ふと思い出す
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