衆愚化の海に揉まれる人波を 眺める我も雫の一つか
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気まぐれに君が落とした一筋のその光だけが僕の指針
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温かな もふもふシーツの誘惑を 泣く泣く振り切る週明けの朝
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言わないよ 心療内科の入口で偶然あなたとすれ違ったこと
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寒風かんぷうに 耐え抜く蜘蛛に 落葉らくようは お先に逝くねと その生を終え
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万葉の 人に詠まれた 同じ月 やがて令和も 昔と眺む
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紅葉もみじ散り 木枯しを待つ 妙義山みょうぎさん 今日は山火事 不安なくれない
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凶をぬきイベントのためおみくじをせっせと作るわれはペテン師
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薄明かり煙草の煙紫の色とたゆたうねっとりとして
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ちょっとだけ 物足りなくて おみかんを 大雪の頃の あまき果実よ
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怒られた! 行かなくなった 歯医者さん でも大人だもの 今度こそは・・・
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飛び乗った仕事終わりの快速は君に向かってまっすぐ走る。
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寒空にふける歌ごと夜も更けて いつぞ止めよと問ふものもなし
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ほんのりと甘いビスケットをかじる 言いたくもない不満と共に
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溶け込めず人の形をした孤独どこに行っても嵌まらない穴
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潤んでく夜は暗くて私ごと輪郭溶かしすべてを隠す
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幸不幸分け隔てなく思い知る翼もがれた鳥であること
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木枯しに吹かれ まばらな 紅葉こうようのトンネルの真上は 冬のはれ
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紙やすりで 研がれるような 寂しさに みぞれざらざら 降り注ぐ音
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散歩兼ね実家から帰るバス停までわれを見送りとなり歩く母
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両手に花 よりも両手にねこがいい 右と左に もふもふがいる
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古の栄し村も今は唯雨降り溝に水が流るる
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嫌なことその後良いこと繰り返し何であれもう疲れてきたな
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おはよう。数多の骨の上にのみ生けるわたしと、あなたに、乾杯!
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丙午ひのえうま 年が明ければ 年女 避けられた年 それでも生まれ
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一瞬の隙みて にゃんすた更新す ねこたちねむい ねこ母もねむい
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くさむらに 錆色の葉が降る季節 「ナァ」と鳴いては 擦り寄ってくる
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隋唐宋元明清と見てくれば いつかは変わるそのうち乱る
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菓子を買いホリデイギフトか尋ねられ自分で食うと言うに言えずに
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数独に予定乱され午後散歩暖かくって丁度良きかな
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