ココニャン
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父祖の地に奥津城の角アジサイが芽吹いていると姪からのLINE
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携帯に長義姉あねの着信度々に八十五才のスマホデビュー
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訪れた義姉あねの施設の面会は十五分ですと時間を切られ
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退職し時もて余す夫の友 誘いの電話を遠慮がちに
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久々にフレイル教室顔合わせ見知りを見つけ無事に安堵す
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網戸より聞こえる児らのはしゃぐ声学校帰りはなぜか元気で
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われの名を漢字で書けたと孫からのLINに返す拍手の絵文字
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ケシの花重きこうべを持ち上げて赤く開いた花言葉「感謝」
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巡りきて忌日に生ける芍薬の母の想いでにまた甘えけり
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青空を抱きてひかる田の水に黒き姿の燕の旋回
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不安なり日頃家事などせぬ息子焼肉奉行を引き受けると言う
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ネットにて鉢植えの花贈られて御礼はLINで開花を写メに
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五時半に早起きだしてドジャース戦勝利確かめ夫は畑へと
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新緑の彼方に見ゆる伊吹山霞にぼやけ明日は雨かも
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土いじり庭隅の土を裏返す昼寝のミミズに謝りながら
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時折に訪ねくる息子の腹回り気がかりなれど甘味勧める
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こどもの日ぶらっと立ち寄る次男坊おじさんなれど子どもはこども
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ああせわしおでこにメガネ顎マスク探しまわりて一日ひとひが暮れる
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部屋の中泳がぬ小さな鯉のぼり児らは寝そべりゲームに興ず
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連休と聞けば吾にも休み欲しやりたいことなどあれこれ探る
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草むしる手を止め見上ぐ空高く飛行機雲が西へと向かう
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散歩道水田に旋回する燕今年は何処にねぐらを決めた
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振り向けば髪に刺さりし枯れた葉をただ取りくれしそこに息子が
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あやめ咲き切り花束ね墓参りだれの忌日と言うわけでなく
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世の中はゴールデンウィークに浮き立つか吾の日常はなんら変わらず
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畦道の水田に映るハルジオン風に吹かれてリズムをきざむ
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草茂るぬし亡き庭にハルジオン猫振り返り睨みをきかす
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手を眺め亡母呟く独り言大きな手ならばもっと仕事が
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早緑に萌える銀杏いちょうを前にして落葉おちば季節ときは忘れておこう
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白髪はくはつのままならぬ身体の母の愚痴黙って聞いてやればよかった
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