織姫
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おだやかにうたうひと

波攫う 乾いた舌が 生む賛歌 黙せる父と 足元の母
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愛渇き 嫉妬を禁じ 無を有へ 未だ去らじと 手のひらの桃
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かすみづく 晴るる空とは うらはらに 我が恋模様か ストームグラス
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喪失の 背を押す腕の 逞しさ その手に筆を 歌え舌よと
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まなうらの かげろふに似た 逢瀬なら この身もろとも 焦がせ太陽
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来たる文月 手折るその手の 優しさに 意味など無いと 笑う紫陽花
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叶うなら 足を浸して 塩の山 傷一つ無きを 誇れるものか
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立原の Nachdichtungナハディヒトゥング 借り物も 生まれを忘れ 遠く遠くへ
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今はまだ サヨナラだけを うたにして また来る春の かなしさに寄す
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