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心配がなかった頃のふりをして 実家の椅子に深く沈んで
61
しあわせは甘いみかんに当たったり意外と そこらに落ちているらし
51
「いつ来たの」何度も父に聞かれるが そのたび笑顔が咲くからいいや
45
菓子折の ト書きよみつつ 餅
喰
(
は
)
めば 一向一揆の 兵糧が租と
44
今日はまた 音もなく雪は おちてくる 軽やかに しかし明らかに地に
42
手術中 静かな家族控室で飴ちゃん分け合う祈りの時間
42
今朝の雨 百花開くを導きて 昼には細き春雨となり
40
一口で僕の歴史を辿らせる 母ちゃんのスープは魔法と思う
40
祈りつつ入試のあとの氷雨にも土わり芽吹く蕗のとうかな
39
梅の花ミモザの花が如月の雨に濡れてる春呼ぶ雨に
39
「ただいま」のあとの賑やか 就活も卒業も一旦、春に預けて
39
時経てど 旅と映画と音楽を 語り笑ひし
時代
(
とき
)
色褪せず
38
冴へ返る今朝は 再び手袋をはめて通勤 雨の如月
38
菜の花の香りがさそうお昼寝を土手の芝生でしてみたい春
38
樹々の間に小さく聞こゆはそら耳か優し調べは春の声やも
38
正解を選べなかった僕たちのノートの余白に降る、雪と酒
38
日の当たる土手を歩かば足元に春の便りや
土筆
(
つくし
)
三本
38
現存の天守に続く急階段 戦の知恵を今に語らむ
38
ヒヨドリに花芽を食まれ紅椿 一輪二輪春を待ちをり
37
花粉など知らずに春の中にいたれんげ畑のわれが懐かし
37
朝の陽にひときわ
清
(
さや
)
き枝垂れ梅 花から花へ蜜蜂群れり
37
雪柳 早も数輪咲き
初
(
そ
)
めて 陽射し無き日の慰めとする
37
寒し地の雪は溶けたか二月尽
雪洞
(
ぼんぼり
)
灯る春近付きぬ
37
庭の隅
二十年
(
はたとせ
)
共の古鍬よ出番失せては病を憂う
36
編み上げて春はもうすぐそこだけど髪の悩みにベレーをかぶる
36
令和の世 個性派クセ強 褒め言葉 悪事せぬなら己のままに
35
裸木の坂の途中の大イチョウ剪定されて少し寂しき
35
三月の イオンモールの 賑わいに あてもなく買う 春色ブラウス
35
伊勢詣 神秘をまとふ その杜は 懐深く 人を誘なう
34
雨催い 月は朧に薄れゆき 寂しさ募るひとり居の夜
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