Utakata
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再検査終えてようやく息を吸うわが胸のなかに満ちゆく五月
28
瑠璃深く翡翠染み込む夕暮れのひかりの海の波の静けさ
13
桐の木に絡む藤蔓花落ちて 我こそ主役と桐咲き誇る
17
私より上手いあの子がこの道と関係のない進路を選ぶ
21
峠道 自転車で行く 汗だくの 耳に聞こえた 初夏のハルゼミ
15
夫婦にもたまにはチリが必要ね 甘いだけではつまらぬココア
11
この世をば我が世とぞ思ふ得票を 中傷動画で得たと思へば
9
畑仕事 終へし昼餉の楽しみは 冷えた出汁喉越しうどん
15
皐月でも締まり屋なれど堪え難き暑さに負けてつけるエアコン
8
野良猫が寄るのと逃げるその差には 誰かがくれた優しさがある
8
同志見つけたかの如き嬉しきは街にぽつぽつ漂うマスク
13
りんごの皮をシュッとひとかけ剥いたような月がでてるよ ほら、そこ
10
窓際の 光が移り 席替えで 少し遠くに なった横顔
8
坊さんとお布施のことで喧嘩して一夜明けても今朝まで憎い
16
失せぬやう付けし鈴なる定番も今では熊を避くるため付く
8
待つ時間 長しと感ず バス停は 夏日となりし 五月
半
(
なか
)
ばの昼
12
ぬばたまの黒い鳥には分からないゴミネットの名カラスいけいけ
7
日が暮れて窓から入ってくる風は春か夏だか定まらぬ風
8
どうしても自分を要らぬと言う親を いくつになっても忘れられずに/あなたは悪くはないからね
7
パソコンをつなげてやっと ホッとする 一人暮らしが始まる夜更け
7
あさぎりの空に響かふ鳶の声
己
(
おの
)
が占めたる
領
(
なは
)
を守るか
11
私には償い切れぬ罪がある 人差し指の名を変えたい
6
てのひらをなぞって綴りを教えてよ、I love youとか君の名前を
6
モミの木の 小声に耳を 澄ましける いまの私は ハイジかしらむ
6
指のたこ 左官の
鏝
(
こて
)
に指を添え脚立の上で壁塗る父よ
19
自販機のあかるさのなかタンポポと夏のありかを探すサイダー
25
一叢
(
ひとむら
)
の
釣鐘草
(
カンパニユラ
)
の 青き森 てんたう這うを ただ
凝視
(
みつ
)
める子
8
土のないビルの保育園散歩 夏日に照らる緑の帽子
13
五月雨に心乱れて
燕子花
(
かきつばた
)
あなたのせいでしとどに濡れる
5
夜の蜜 ひとくち掬って 飲んでみる 涙の吹雪 星の夜を舞う
5
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