いつもより三割増しの大きさで月は静かに側に来ていた
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渋柿を干して安堵の秋の昼 色変はる頃冬は来るなり
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友の如 感性似たる短歌うた読まば 笑ひや迷いじわりと刺さる
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縁側は 小春日和の ぬくみ 父の居た場所 子猫の寝床
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北からの 風にも慈悲の 心あり 小春日和の 立冬となり
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おも浮かぶ そろばん塾より帰る吾を 頬被りの亡母はは夜道に待ちをり
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風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
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短髪の 鏡に映る 吾の顔は 遺影の父に 似てきた様な
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鳥渡る諏訪湖の水辺賑わかせ冬を遊べや春帰るまで
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頂くは 妻の苦手な 果物で あへて・・・供へず 息子と完食
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そばにいてほしい時ほどさみしさに強くなってくわたし演じる
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満ちた月君の街では見えてるの? 空を見上げて問いかける夜
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ふるさとの妹からの豊の秋 赤い柿食む陽だまりのなか
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こたつ出し きみと丸まる 冬が来る 柚子茶を淹れて 今日は休養
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夕日さす霊峰富士のすじ雲に魅せられ侍る鯨雲かな
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明るくて大きな月で立ち止まり見上げてしまう様な月です
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大和路の名産柿の届きたり甘い実を食み至福かみしむ
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十七夜じゅうななや仰ぐベランダ 澄む空気 夜半よわ寒気かんきの戻る立冬
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秋空に緑まぶしき柚子の葉や たわわなる実の黄も鮮やかに
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錦秋のもみじ映した山の湯にゆれる湯波に吾はほどきぬ
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朝焼けに 月が彩る 西の空 早朝勤務 楽しみな時
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板前に なると誓いし 友の子の 煮付けを食べる 初のお客に
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田舎町寂しい曇天増えるころ茶色の田んぼ白鳥賑わい
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じゃが芋を黙々と剥くピーラーは二十余年の現役選手
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こがらしに震へぬやうに足許を 脚絆きゃはんの如く守るウォーマー
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紅葉こうようは 赤き金魚の形して 碧空あおぞらの池で 泳ぎ舞い散る
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のこす べにと同じに つややかな 躑躅ツツジと錦木 くれないの赤
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またですか?(笑)言いたげに言う「コロナです」 サディスティックな医師の微笑み
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粛々と終えし実家の墓終はかじまい 故郷さととのえにし さらに薄れて
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お向かいのママと坊やは外に出て満月の中にうさぎを探す
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