うっすらと 面立ち記憶する祖母の 年を追い抜き 老母ははは長生き
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マンションの長き廊下に猫一匹お知らせ配る私をにらむ
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水田がキラキラ揺れる春の夜 優雅に歩く白鷺一羽
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なんとなく娘にライン届けたい窓から眺む小立野の空
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菓子袋色無くなると伝えてる新聞紙面カラー印刷
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セブンティーンアイスの跡地にダイドーの自販機があるような夕暮れ
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三百年地下のひつぎで眠るけど見つけても杭打っちゃダメだよ
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音で無く形互いに響かせてろう者の彼としじまの中で
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石楠花しゃくなげの雪折れ枝に花九輪。玄関先の大壺にありて
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忘れなけりゃずっと居るのと同じだろう? 世界でいちばんいとおしいララ
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遠雷の くもれる野辺にとどろき て 無人のあぜに 苗箱ひとつ
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街路樹の枝葉をトレースする影で、無地なわたしも華やかな昼
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今日という美しい日を名に刻み 燦々と降る五月の光
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針子とは お針子ではない 金魚らの 稚魚の名と知る五年目の春
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根を伸ばす神棚前のさかきの木わたしの運が一緒に伸びる
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朝イチに重たき仕事片付けて 黄昏を待つ私のパソコン
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おんなじだ赤き血ながし寄生してカベアナタカラダニ壁に這う
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ひととせは矢のごと早く過ぐれども ひとひの長きいかに嘆かむ
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米粒ほどの蛞蝓なめくじかびを食うために這つてゆく無人の街
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街中に日傘の花が咲いていた不意を打たれた夏の訪れ
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鶯の まだ整はぬ鳴き声も 初夏の頃には誇らしげなり 
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花林糖かりんとうやめられぬまに芋けんぴ 縁側の茶器を雀はのぞく
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五月から半袖シャツを着るならば八月頃は何を着るのか
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パスタ跳ねドットができた白シャツはつまんで水で洗い落とせよ
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月輪よ 落ちゆく鯉に 目もくれず しずくながるる なお「いま一度」
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小麦の穂 頂きました ありがとう 畑に蒔いて みようじゃないか
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アリさんだ! 駆け寄る子らが じっと見る 運ばれて行く 虫の亡骸
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朝ラジオ いつもの声に 目が覚める 粗塩手に取り 握るおにぎり
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様子見と言われて様子を見ないうち痣は彗星になって消えた
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黄金の 麦刈り入れし の空に 飛ぶ蒼白き 人積みし船 「シュナの旅」
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