悲しみて戦地の鳥は見るだろか そこで傷つく大地と人を
50
白鳥は 今きっと津軽 海峡を 越えているはず 彼岸に千歳
46
迷ひつつ初の試練をクリアして階段登る君にエールを
43
父に似た人 二度見して すれちがい 背中見送り 春 ひとめぐり
43
幸運を祈っているよ自らの春を目指して飛立つツグミ
43
値上がりは 二十円です。 灯油です。 赤紙みたいな 葉書一葉いちよう / 氷点下つづく
41
巣立つの幸願い見る春北斗 夜のしじまに沈丁花ちんちょう香る
41
森入らば春鳥の声合図とし日ごと芽吹きは進みゆくなり
40
白無垢の祈りを包む木蓮のつぼみ食らわれ亡骸の空
40
街明かりと 星の灯りの ボーダーで グズグズしてる 春分け近し
39
祈りでは平和守れぬこの星にユートピアあるかと地球儀回す
39
目覚むれば二日で二尺の雪積みて春は一気に振り出しへ戻る
38
硫黄蒸す大涌谷の枯山に鶯の声透きて光れり
38
農園で甘き香りの苺買い好みし夫に供ふ命日
38
ほどきたる古着の紐を玩具にし 鼠の尾に見立てじゃるる猫
37
春場所 夏場所前に 父は逝き 弔事切手の 紫 悲し /一周忌準備
37
菩提寺の墓の間に間に風遊ぶ夕には春雨そぼ降るらしき
37
去る子らに光りを願う心さへ凍てつくままに寒風を聞く
36
飯事ままごと乙女椿ヲトメツバキを洋菓子に見立て ケーキ屋営む幼日
36
我が子への幾多の淋しさ与えたるこんな私を母さんと呼ぶ
36
電車内 見知らぬ外国人が会釈する 牧師の夫に何かを感じて?
36
流れ着く果てを知るのか雪解水急ぎ急ぎて目指す下流の
36
クシナダは 春の陽を浴び プラチナの 光りを放つ つるぎ のような
36
時経れど尽きぬ悲しみ胸底に沈めて今日も平常心で
36
また来年 雛人形を 片付けて 弥生も半ば 陽の向き変わり
35
バッサリと剪定されし並木道見晴らし良きが影の短し
35
吾の実家継ぐ人の無き墓ありて今は姉妹で守ると決めし
35
美味しいと風邪引く君の声を聞き韮の若芽を春風に摘む
35
レベッカを聴きながらミラを走らせた未来を捨てた十九の私
34
名も柄もわれに似ているボケ木瓜の花 木偶の坊にも春の彩り
34