ほどほどに石橋叩きて歳月とし過ぐも地図捨てた日の欠片もありて
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まだ何も 踏まぬ足うら ふわふわと 雲の上む 母をみつめて
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春浅き苔の美し信濃路を歩かば一枝桜咲き初む
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悲しみて戦地の鳥は見るだろか そこで傷つく大地と人を
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言葉にはならない気持ち 春風が吹いて撫でてくこの感情を
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われこそが 普通と信じ 我を張って 何も変われぬ 人というもの
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迷ひつつ初の試練をクリアして階段登る君にエールを
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友訪ね瓦礫の道を行きし春 さざなみ光る海眺めつつ
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白鳥は 今きっと津軽 海峡を 越えているはず 彼岸に千歳
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待ち合わせ8時の電車の先頭ね スマホなくてもちゃんと会えたし/昭和時代青春の頃
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値上がりは 二十円です。 灯油です。 赤紙みたいな 葉書一葉いちよう / 氷点下つづく
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春あさき 皇居の庭の 「袖隠そでかくし」 たちまち江戸へ タイムスリップ / 椿
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「ありがとう」言える距離には君がいて 蛇口をひねれば水が出る春
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三十年住んだ街は懐かしき 愛犬と歩いたあの道この道
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木蓮のつぼみをつつく破廉恥を知らない二羽がキーキーと鳴く
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遥かなる海はいつでも穏やかであれかしと願う 鎮魂の日に /3.11
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江戸川の鉄橋渡る車窓から 霞み始める富士を眺める
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あの余波が 友を飲み込み 連れ去りし 手元に残る 手紙と語る
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何もかも奪って行った震災は悲哀の土に種を残した
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聞こへ来る門出の歌はどれもみなシニア世代のをも励ます
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木の芽風 綻び進む雪柳 髪切り心軽やかな道
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巣立つの幸願い見る春北斗 夜のしじまに沈丁花ちんちょう香る
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編み残る毛糸でタワシができあがり春になったと思う頃あい
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暮れ六つを過ぎて やうやう星影の見ゆる弥生の オリオン高し
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回る寿司 店の出口に鹿しし威しおどし財布のひもの弛みを打てり
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平穏な生活に花 添へるよに 歌を詠む日々 心潤ふ
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ユキヤナギ 満開に咲く 通勤路 冷たき風も 柔らかになり
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降り続く雪はおおかた上がったか深夜の窓からそおっと覗く
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ほどきたる古着の紐を玩具にし 鼠の尾に見立てじゃるる猫
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目覚むれば二日で二尺の雪積みて春は一気に振り出しへ戻る
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