Utakata
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心配がなかった頃のふりをして 実家の椅子に深く沈んで
56
しあわせは甘いみかんに当たったり意外と そこらに落ちているらし
46
忘れてた 窓うつ
雨音
(
あまおと
)
目がさめて 凍土をとかす 歓喜の水の
音
(
ね
)
43
一
(
いち
)
聞けばこの子の百が解るのは離れていても母さんだもの
45
菓子折の ト書きよみつつ 餅
喰
(
は
)
めば 一向一揆の 兵糧が租と
41
人の世と 猫の世つなぐ 縁側で 冬用毛布をたたんで くしゃみ
40
「いつ来たの」何度も父に聞かれるが そのたび笑顔が咲くからいいや
40
今日はまた 音もなく雪は おちてくる 軽やかに しかし明らかに地に
40
手術中 静かな家族控室で飴ちゃん分け合う祈りの時間
39
一口で僕の歴史を辿らせる 母ちゃんのスープは魔法と思う
39
早春の風にあたりて揺れながら洗濯物は雪景色みる
46
祈りつつ入試のあとの氷雨にも土わり芽吹く蕗のとうかな
38
梅の花ミモザの花が如月の雨に濡れてる春呼ぶ雨に
38
今朝の雨 百花開くを導きて 昼には細き春雨となり
38
時経てど 旅と映画と音楽を 語り笑ひし
時代
(
とき
)
色褪せず
37
冴へ返る今朝は 再び手袋をはめて通勤 雨の如月
37
菜の花の香りがさそうお昼寝を土手の芝生でしてみたい春
37
花粉など知らずに春の中にいたれんげ畑のわれが懐かし
37
「ただいま」のあとの賑やか 就活も卒業も一旦、春に預けて
37
正解を選べなかった僕たちのノートの余白に降る、雪と酒
37
ヒヨドリに花芽を食まれ紅椿 一輪二輪春を待ちをり
36
雪柳 早も数輪咲き
初
(
そ
)
めて 陽射し無き日の慰めとする
36
樹々の間に小さく聞こゆはそら耳か優し調べは春の声やも
36
収集のヴィンテージデニムに一億円 芸能人らしぶっ飛ぶ価値観
35
気にせずに いられた時の 懐かしく 祭りの陰で 武器売る準備
35
庭の隅
二十年
(
はたとせ
)
共の古鍬よ出番失せては病を憂う
35
朝の陽にひときわ
清
(
さや
)
き枝垂れ梅 花から花へ蜜蜂群れり
35
編み上げて春はもうすぐそこだけど髪の悩みにベレーをかぶる
35
押し入れの闇に目をあく雛人形 光の日々を遥かに見つむ
34
いつの間にわれを気遣う年になり孫は手をふり家を出てゆく
34
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