目をやれば地味に咲きたるタンポポの綿毛は揺れて季節移ろふ
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住職が花守らしき山門に 薄墨桜離し植へらる
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岸壁の風に傾く舟宿のすすけし看板生業なりわいの後
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木瓜の花 塀の陰から顔出して「おは」とささやく青空の朝
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青池の底まで透けるかなしみも 芽吹く枝には勝てない春だ /美瑛
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テーブルに麦が生けらるランチ会 初にて噛みしむウクライナの味
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のどかなる 春の空にも 鋭角が ポラリスを射て 白鳥の矢よ
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園庭に雪柳の弧 風にゆれ輪へといざなふ影のやわらか
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「今ここ」の 感覚がなく なりそうな 優しく白む ワシントンの桜
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天仰ぎ咲く木蓮の清しきや木立の奥にうぐいすの声
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年かさね連れ合い頼り並み歩く陰の長さも重なりゆけり
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待ち侘びし桜チラホラ咲き初むる徒歩三分のさき公園
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珈琲の 香りと苦み 愛おしむ 障がいの吾子 運転する夢
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小糠雨 休憩室の窓外そうがいに 子らの声なき広場の桜
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よたよたと 丸ひ体を 揺さぶりて 犬はおきなと 春のお散歩
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ほほつたひ 涙を隠す 春雨は 在りし日思ふ 弥生のしらべ
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雨音が私を過去に引き戻す 現在いまを選んだ22の春
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大木の枝垂れ桜の華やぎも丸太と竹に支えられおり
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車座で何を語るや若き人 花ぼんぼりに明かりを取りて
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冬越して スナップエンドウ 収穫す ささやかながら 春の楽しみ
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種こぼれ 花を咲かせた ビオラにも 蝶が舞い降り 得意気な顔
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あなたへと、この春すべて書き留めるペンが折れても書き足りぬほど
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初めての傘は赤色アンパンマンずっと離さず寝るのも一緒 /吾子三歳
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神様よこの北海道を抱きいだきしめ叫びたいほど 春がまぶしい
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「転んじゃった」破れた膝を笑う祖父 一センチずつ春削がれゆく
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トランプジョーカーの脚に重りを括り付けホルムズ海峡沈めてみよう
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満開や ソメイヨシノに 誘はれて 花つゐばみぬ 三羽のメジロ
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水清き媼が捏ねし草もちに籠れし富士の霊気を食めり (忍野村)
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コンビニも 一足先に 春越へし 店先には 冷し麺ののぼり
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すくすくとふる土筆の愛らしき さきからだに春宿らせて
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