震災後 三十一年 過ぎし朝 竹灯籠に 祈りを込めて
41
公園の隅の厠に臘梅の一枝いっし隠れて春を呼びおり
40
やっと来た群れ作らずも良き時代 至福となりや一人の時間
40
梅田から 西宮まで パン背負い 徒歩で避難所 友を探して
39
触れ合える距離に居ながら一番の秘密を抱き林檎を剥けり
39
身体冷え 立ち食いソバの ありがたさ 春菊天も 味わい深く   
37
この頃は切手のように嘘を貼り僕はどこまで遠くへゆくか
36
時おりに伊吹おろしの吹く川辺 カモ数え往く小春日の日は
36
隠し事してはイヤよと医師に言う 祖母はお茶目な少女みたいに
35
「忘れた」と言えぬばかりに声を張る祖父の孤独をまともに見れず
35
「私」という一羽の鳥を解き放て家族という名の深き沼より
35
父母ちちははと布団にくるまれホッとした 息子に残る三歳の記憶 /忘れない。阪神淡路
34
春節を 前に渋滞 するダンプ 除雪の雪を 山盛りに積み
34
「治」の字は?「福山雅治ふくやま」でなく「王貞治」 笑い止まらぬ昭和女子たち
34
朝採れで 白菜手にし 仕事場へ 存在感は ダルマ以上で
34
「ごめんね」を言えぬまま積む言の葉の 尖りて母を、僕を、傷める
33
片付けて 額に汗の 冬日向 はちみつ紅茶 ひと息入れる
33
報われぬ思いを抱え帰る日は鯛焼き買っていちごも買って
33
手拭いのユーモア格言可笑おかしくてフレーム探しに自転車で百均
33
冬日差す畑の隅に枇杷の花甘き香りを風が運びぬ
33
大寒を過ぎらば直に春の立つ暦めくりて早に春待つ
33
畦に立つ翁笑顔で「温いけな」モンキチョウ飛ぶ冬の菜園
32
ニラレバと 餃子で友を 偲ぶ夜 震災前の 笑顔懐かし
32
こんなにも切ないものか愛してた人から届く「退出しました」
32
嫁してより五十二年を生きし町新たなる地に雪は積もらぬ
32
幾たびの 心変りを 重ねても 星をひき連れ さざ波はあり
32
薄ら日の川辺を行かば冷ゆる風ユリカモメ立つ海近き州に
32
小さくて取るに足りない幸せを寄せ集めては満ち足りる現在いま
32
肌と肌触れ合うことの滑らかな心地の中で夜溶けてゆく
32
まろやかに 雪はつもるの 塞がれた パンダの遊具や 松の枝にも
32