朝五時半エンジンかける青年のナンバープレート遠き故郷の
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エアコンが 到着するまで2週間 氷 かみさま 風 ありがたや
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スマホには写真にメールスケジュール過去も未来もよりも知りて
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収穫の夫の畑がそのままに移り来たよな当夜の食卓
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水やりのホースの裂けて切れ目より直撃を受け涼し胸もと
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脳トレのアプリに変へて短歌うた始め花鳥風月探す朝夕 
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うっかりと落としてしまったシュークリームみたいにとける夏の猫たち
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ハッカの香りすがしきシャンプーで夏の一日ひとひを涼やかに
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木陰にて弁当き込む少年のその食べっぷりにしばし見とれる
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商店街 海月くらげの如く ひるがえる 色とりどりの 七夕飾り
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国宝の映画に思ふ血筋とは 世襲語るに少子化のあり
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おじさんとおじさん化した女子達が互いに笑ふ なんかいいなと
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重なりて 月命日と 誕生日 妻 好物だった モロコシ供へ
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早朝の 自然の風が 心地よい 庭に黒猫 遊びに来おり
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「忘れたな!」箸無し弁当 開けてみる…おむすびだった…「疑ってゴメン😄」/息子よりメール
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言の葉が実を結びゆく歌となる不揃いだけど私の果実
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眠れない夜のため見る配信は私を責めずいつも楽しい
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炎天の色褪せし紫陽花萎れども日陰に咲くは青の満月
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眼を遣れば鮎解禁の川に立つ太公望の麦わら帽子
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三日過ぎ七夕の笹しおるるにデイケアに舞う短冊の文字
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本日はラッキーセブンと七夕で願いごとなら地震おさまれ
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腿と腹この頃上で寝る猫は俺で涼んでいるのじゃないか/猫の方があたたかい
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朝焼を 背中に受けて 橋渡る 眼下に見える アユの跳躍
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曖昧な子音を発し訴える入れ歯外した秋田訛りで
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猛暑日や 高尾の山に蝉が鳴く 我が耳鳴りと区別がつかぬ
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土砂降りの雨後に僅かな涼ありて 蝉の初鳴きようように聞く
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昼休みLINEに集う三姉妹 親とも友とも違うオアシス
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道なりの常緑高木つと途切れ 目線上ぐれば青空飛び込む
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たこわかめネギでさっぱり酢味噌和え 去年こぞの梅酢が良い仕事する
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咲き初むるオオウバユリの群生の沢沿い行けばウグイスの鳴く
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