深層の 心の傷を さぐるよに 鈴の余韻は 永くふるえて
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「ただいま!」と母に抱きつく一年生 登校三日目 桜満開
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絹の雨 菩薩の如に優しけれ 花の命を慈しむかに
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ひい孫が零れ桜の通学路嬉々として行くのどかなる朝
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短歌うたを詠む普通の我等も ものがたり それぞれあると思う夜なり
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どんななメロディだろか春風に揺れるネモフィラ奏でる音は
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術もなくニュース見つめる白鳩の口に咥へし反戦ポスター
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早緑の山椒の若葉艶やかに葉陰にひそとさき花咲く
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たまにはと昆布と鰹で出汁をとりうどんをすする春雷の宵
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遠近おちこちに残る雪山飛び越えて旅だつ白鳥鳴きかわしつつ
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池回り一、五キロの遊歩道 風のランナー吾を三回抜きさり
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丸美屋のたまごふりかけかけたならミモザの花がご飯に咲いた
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ランドセルがスキップしてる、筆箱をドッちゃんガっちゃんさわがせながら
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ハナミズキ 晴天の下 花開く 白やピンクに 空を染め上げ
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雨の日に雨を歌ひし曲聞かば ひととき昭和がワープし戻り来
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風の音で目覚めた朝は手を伸ばし毛布のなかに春を連れ込む
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いつの間に肝っ玉母さんになったよ 三児の母は我が目にまぶしく
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公園の砂地 小枝でえがかれし アンパンマンの落書きの跡
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悠久の歴史桜は吉野山薫り今でもみんなの故郷
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雨後の夜半よわ 雲を払ひし温風ぬるかぜに当たり 星影望む ベランダ
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豆を挽き 珈琲淹れて 始まりぬ 新芽が光る 日曜の朝
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「たまに良し」ビールの泡に閉じ込めて 蕎麦を待つ間の自由な私
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春鬱はるうつ頓服くすりねむりにちてゆくそれでも まねばみずかとむら
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幼き日「馬のベロ」だと教わって今もそう呼ぶ木蓮の花
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不運から愛されている女あり男の裏が見える眼を持つ
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日常を取り戻すらし夫の朝わずかな朝餉をゆっくりと食む
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別れの日散りゆく花に送られて残り香撒きつ花道去りぬ
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雨打たれ 散った桜は 悲しげも 隣に咲いた 藤は輝き
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雷雨去り纏わる湿気の重たさに春の先なる季節がぎる 
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花のふる風情を犬も知るやらん木の下に伏し花を浴びをり
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