深層の 心の傷を さぐるよに 鈴の余韻は 永くふるえて
48
「ただいま!」と母に抱きつく一年生 登校三日目 桜満開
47
絹の雨 菩薩の如に優しけれ 花の命を慈しむかに
46
短歌うたを詠む普通の我等も ものがたり それぞれあると思う夜なり
43
ひい孫が零れ桜の通学路嬉々として行くのどかなる朝
42
術もなくニュース見つめる白鳩の口に咥へし反戦ポスター
40
どんななメロディだろか春風に揺れるネモフィラ奏でる音は
40
遠近おちこちに残る雪山飛び越えて旅だつ白鳥鳴きかわしつつ
39
池回り一、五キロの遊歩道 風のランナー吾を三回抜きさり
39
たまにはと昆布と鰹で出汁をとりうどんをすする春雷の宵
39
丸美屋のたまごふりかけかけたならミモザの花がご飯に咲いた
38
早緑の山椒の若葉艶やかに葉陰にひそとさき花咲く
38
ランドセルがスキップしてる、筆箱をドッちゃんガっちゃんさわがせながら
37
雨の日に雨を歌ひし曲聞かば ひととき昭和がワープし戻り来
37
ハナミズキ 晴天の下 花開く 白やピンクに 空を染め上げ
37
公園の砂地 小枝でえがかれし アンパンマンの落書きの跡
37
桃林は花盛りなり喜寿の春楽し日もあり夢持ち生きる
36
悠久の歴史桜は吉野山薫り今でもみんなの故郷
36
雨後の夜半よわ 雲を払ひし温風ぬるかぜに当たり 星影望む ベランダ
36
風の音で目覚めた朝は手を伸ばし毛布のなかに春を連れ込む
36
いつの間に肝っ玉母さんになったよ 三児の母は我が目にまぶしく
36
豆を挽き 珈琲淹れて 始まりぬ 新芽が光る 日曜の朝
36
庭の花小さき花びんに投げ入れて春を招けり卯月の風と
59
「たまに良し」ビールの泡に閉じ込めて 蕎麦を待つ間の自由な私
35
幼き日「馬のベロ」だと教わって今もそう呼ぶ木蓮の花
34
日常を取り戻すらし夫の朝わずかな朝餉をゆっくりと食む
34
別れの日散りゆく花に送られて残り香撒きつ花道去りぬ
34
雨打たれ 散った桜は 悲しげも 隣に咲いた 藤は輝き
34
花のふる風情を犬も知るやらん木の下に伏し花を浴びをり
34
春鬱はるうつ頓服くすりねむりにちてゆくそれでも まねばみずかとむら
34