父母優生学に分別すはなはだしくおそろしき医師ある
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朝一番テーブルの上にはバラの花 静かな善き日 古希を迎える
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さばさばさばこきくれなゐのはねごろもたててふるなむしらかみのゆき
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ころされたいのちをかへせいまのいまもころされてゆくいのちをかへせ
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あいどるの靴のなかを調べたら五寸釘のひとつやふたつ
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メイクして着飾るよりも起きたての君の顔こそ魅力じゃないの?
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突然の雨に二人は目を合わせ 同時にひらく傘がぶつかる
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チチチチチ 朝一番の台所 何処にいるのか ここにも秋が
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来週は秋のお彼岸らしいけど積乱雲は山盛りのまま
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伝説がはじまりそうな顔の子が駅のホームにつま先で立つ
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シャーペンで引いたみたいに細く降る雨の日だけは詩人になれる
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ひきだしの奥のフリースひっつかみ季節は急ぎ3マス進む
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虚空から何を招いているのやら 逢魔ヶ刻に揺れるススキは
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じゃがビーとジントニックがあったらな 月のほかには何も見えない
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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電線のスズメをぜんぶ奏でたらラフマニノフが聴こえるだろう
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好きな人そうでない人同居する歌という名の楽曲の群れ
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そこにありて 草木の陰に 冴え冴えと なみだに映る 野菊のいろ
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芽吹きては 咲きて散りゆく 花の生 我かたわらに 見届けており
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独りでも 生きよと諭す 声に似て そよ吹く風に 母の恋しき
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灯台の 灯火ともしびなれば 君が手を 離さじと思ふ 世が終わりても
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寝る前のポテトチップスばりばりと 月と一緒に太る晩秋
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冬の夜救急に立つ半袖の温きナースのみ手にゆだねる
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腹を押す医師の温もり身に沁みて眠りに落つる冬ざれの夜
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球速も球質も追う英明はエースなりたい引退間近
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一面に白き寂寞降り注ぐ庭にくれない差す寒椿
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屍の周りに花を添える手の数だけきっと愛されていた
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ひだまりで 夢見心地の きみを見て 伸ばしたい手を ぐっと堪える
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瞬間にサイズアウトとなってゆくされど愛しき小さき服等ふくら
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北向きの 玄関先に立つ梅の 固き蕾は これからひらく
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