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目の前を日焼けした子が駆けてゆく慌てなくても夏はあるわよ
30
いつだって元気なふりの向日葵の夕暮れの背にかける労い
32
あなたから巾着袋をうけとったわたしが死ぬるわけにいかない
11
おみやげを見ると死ねない わたしの死後の親しき人を
惟
(
おもいみ
)
るから
12
我が
夫
(
つま
)
の作りしカレーは絶品で娘を誘う口実にもなり
31
今日もまた暑くなるのか 涼風と虫の音いたる朝の平和よ
24
ねこたちに休みはないから日曜も同じ時間にご飯をねだる
28
午後
7
時 「暗くなった」と呟いた 鬱で休んで 無駄にした夏
12
金髪が風にたゆたう今ぼくは秋のはじめの一つと数ふ
29
風呂上がり ブローがさほど苦じゃないし汗も吹き出ぬ 秋なんだなと
24
中華まん夏に食べるも一興だ明日セブンで立ち食いしよう
23
船の往く中川運河の倉庫群 荷役に残る昔の
欠片
(
かけら
)
32
リンゴ酢の空きビンごみに出てたから親近感がわく出勤前
25
我ながら美肌だなあと自画自賛アラ還なれどシミしわは無し/リンゴ酢効果?
25
シクラメン居心地いいのか十ヶ月 次々現わる小さなつぼみ \ 11月からずっと咲いています
27
生かされて何とは無しに生きている防災準備は何もしてない
26
木々の枝葉がわたくしの頭を撫でて慰めようとしていた土曜
14
納豆を食べる程度の気構えでぜひ面接にいらしてください
18
掬
(
すく
)
われて向こうに行けと流される小魚になり途方に暮れる
21
日々を詠む うたの しずくの 集まりて 渇く心に 慈雨のじんわり
61
シャリシャリと月の形の梨を喰む夜暗がりに小さく泣いて
26
同クラは出ない 水泳決勝戦 大歓声に プールが割れる
17
澄んでいる空のかなたにいる人へ 見えるか 私が抱いた赤薔薇
15
秋の夜に見上げた月の正円を最初にきみに伝えたかった
14
敬老の心こもるる飾りつけ集う笑顔に感謝あふれて
17
あんたってなかなかひどい奴だよね
高天原
(
たかまがはら
)
を向いてむくれる
9
手に入らないならなんで光ったのって言いたくもなる
眩
(
まばゆ
)
い瞳
12
青薔薇を地上で眠る横顔のとなりに置いて消えていきたい
6
「異常なし」を確かめに行くクリニック心配性の病は治らず
19
透けている血管の青と紫を今更ながら優しく撫でる
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