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紙芝居 ぼんたん飴と 散歩道 あの日から来た 今日のやさしさ
11
行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
12
大雨の中すずめが飛んでいく電車は朝から止まってるけど
10
訃報に喪服がないと焦る夢見た 服なんか最後でいいのに
5
クーラーがきいた部屋から飛び出た瞬間みたいだな9月の五時
4
一期だけ見たアニメの完結みたいだ 元彼の「結婚した」は
7
春の日に子供は地面を見つめて舌から下に水を落とした
2
半袖に死んだ猛暑が縋りつき「また来年」と約束をした
5
よるふけて下宿にかえる苦学生 おばさんの 味おにぎりのまつ
12
すこやかに個性を競ふ老若に男女にみな同じかほのうたかた
5
水たまり 輝く粒は、ランウェイで私を照らすライトの代わり
4
白球を追いかけている人たちを横目に独り下校する夏
13
隙間から導き出した結論を消しゴムで消してまた最初から
11
先生の手作り温泉大にぎわい お泊まり保育「ああ、いい湯だなー」
23
久々に一人の朝食これもいい ジャズ聴きながら家事後まわし
33
二度咲きは小さく可憐 夏空に薄紫の藤の花咲く
26
口角に残っただけの笑み残しどうせなら恥 楽しめよ俺
17
おお涼し!ふるさとの朝 天然のクーラーの中で深呼吸する
24
真夏日も桜の木陰で癒された 照りつける
陽
(
ひ
)
にキミが恋しい
18
大空にピンクの大輪 芙蓉咲く 色鮮やかに「夏だ!夏だ!」と
22
「暑くても食べらさるしょ」の祖父の字と富良野メロンのあたたかき涼
30
読みきれぬほどにメールはくるけれど一番ほしい君からこない
18
「てへぺろ」の絵文字で終ったラインみてちょっと笑ってえんぴつを折る
14
硝子戸一枚へだて漏れきこゆ工兵のこゑ 大伯父よ去ね
6
日灼けせる空地の壁へ病みしまま囲はる弟切草のおとうと
6
英靈碑肩欠けて零る菊の蘂 かくごとくひと殺むるは雄
5
温かいココアを飲めばとろとろと身体の中に灯火ともる
32
ぶちぶちとちぎれた心にバターを塗ってこんがり焼いた後に捨てる
6
「うごいたね!」一歳にっこりママを見る キミももうすぐ兄ちゃんになる
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祈るよに
抱
(
いだ
)
きよせるよ言葉にはならぬ気持ちに突き動かされ
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