宵闇に散り際を急く花ふらし ゆく春惜しみ並ぶ歩早む
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運命の残酷はしみじみとした共感も脅かす凶器だ
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塾へ行く 道に毎日 向かい風 負けてたまるか 待ってろよ、春
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寒々し 風吹ける中 空冴ゆる 耳を澄ませば 時の足音
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詰んでいる寒くて辛く悲しいと言うあてが無くなるとはこれか
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月もなく 猪口に映るは 闇ばかり  ひらりとりし 花びらを呑む
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春を編む文字の飛び込みはっとすは闇夜に詠みしやさしこころね
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ワンランク、ダウンダウンの化粧水老けも速まる物価高にて
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「ありがとう」言える距離には君がいて 蛇口をひねれば水が出る春
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こころから自分を恥じて振り返る白木蓮の忍耐強さ
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この身吹く風の音が聞こえる そうかそうなのか 友の逝きし夜
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あの余波が 友を飲み込み 連れ去りし 手元に残る 手紙と語る
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雨雲が虹を内包するように君への憎悪も恋の病だ
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聞こへ来る門出の歌はどれもみなシニア世代のをも励ます
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原発にふるさと追われ民去りし荒野に芽吹く沈黙の郷 (3/11)
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まだ何も 踏まぬ足うら ふわふわと 雲の上む 母をみつめて
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特番の「風の電話」に涙して震災の日の夜が過ぎてく
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春浅き傘交う窓の縁なぞり雨垂れるまま君を待ちおり
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テレビ消し、静かな部屋に雪が降る見ない優しさ認めてほしい
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三月の まばゆい春の 昼下がり 懐かし友と 心が通ふ
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目を閉じる願いはひとつお互いが 幸せな日々送れますよう
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春浅き苔の美し信濃路を歩かば一枝桜咲き初む
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回る寿司 店の出口に鹿しし威しおどし財布のひもの弛みを打てり
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ちぐはぐな組み合わせだね冬コート 春を先取り白のタイトスカートタイト
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音が好き消えて無くなる音が好き限りある世のあらゆる音が
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寒もどりふくらみかけの桃一輪ぎゅっとまぶたを閉じて待つ春
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若人わこうどよ 無闇矢鱈むやみやたらを 恐れるな  みちを守れば あとは自由だ
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人としてどうよ!と叫ぶ衝動と何かがあったと思う憐憫
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木の芽風 綻び進む雪柳 髪切り心軽やかな道
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悲しみて戦地の鳥は見るだろか そこで傷つく大地と人を
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