人の世と 猫の世つなぐ 縁側で 冬用毛布をたたんで くしゃみ
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防空頭巾爛れて千々に孔開きぬ蒙る儘焼かる火に
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殺すなと 描いた太郎の 缶バッジ 見かけて少し 泣き面に 春
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闘病を支えてくれる診療所 紙のカルテは地層のごとし
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僕たちは 晴れた空にも 気づかない 傘を探して 下を向くから
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勝ち負けを越えて抱き合うライバルに雪光り満つ五輪を想ふ
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人殺す武器の輸出に耐え得ぬと矜持の道ゆく社長の光り (3/6)
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青年にドア開けられてしずしずと五十五の我乙女となりぬ
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微笑めば微笑み返すレジ台にやっと届いた小さき子の指
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老いといふ証の爪のさざなみに 命の色の紅いマニキュア
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やっつける道が見えない 碁敵ごがたきは悪手を打った顔つきなれど
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東雲の明けの早さは加速して眩し陽光ひかりに力得る朝
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親を子のようにおもう日 崖っぷち、だけど愛して家事をしている
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頬流れ そこに揺れるの 花影と 名残る雪影 落ちる露音
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亡父ちちが聴く 「アンコ椿は恋の花」 アンコの意味が わからなかった
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気になりて調べてみれば椿には多品種ありてちょっと驚き
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下手なりに 写経に臨む 我を見て 成長したなと 友が微笑む
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名駅で 最初で最後 二人飲み 男女の友情 転勤前夜
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イスからの立ち上がり時に膝激痛 行くのためらう映画「スペシャルズ」/観たいけど(泣)
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紫の 星のかけらの 散りたるが 朝日を得れば すみれと咲けり
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アスファルトの窪みに春を溜めておく 星の数だけ路面、光るよ
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生ぬるい部屋にひとりの夜をいて 未来をいまも研いでいるんだ
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ワンランク、ダウンダウンの化粧水老けも速まる物価高にて
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新たなる 業務管理を 打診され 息つく暇なし 東京出張
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虹の橋渡り切ったかタヌ猫ちゃん幻でよいたまに姿を
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買い置きと昭和な暮らし役に立ち助けられたを教訓として/東日本大震災から15
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颯爽と 公道を駆けゆく 昭和レトロな車種は 我が目をも引く
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選り抜きの豆で淹れようコーヒーを飲むとぐっすり眠れる君に
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欄干(おばしま)の 端より端へ 駆け抜けて 大松明を 闇に掲げぬ /二月堂修二会大松明三月十日
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向日葵ひまわりの笑顔のような貴女きみだから 黄金色こがねいろした糸で進める/刺し子
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