シャーペンで引いたみたいに細く降る雨の日だけは詩人になれる
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ひきだしの奥のフリースひっつかみ季節は急ぎ3マス進む
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虚空から何を招いているのやら 逢魔ヶ刻に揺れるススキは
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じゃがビーとジントニックがあったらな 月のほかには何も見えない
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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電線のスズメをぜんぶ奏でたらラフマニノフが聴こえるだろう
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好きな人そうでない人同居する歌という名の楽曲の群れ
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独りでも 生きよと諭す 声に似て そよ吹く風に 母の恋しき
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寝る前のポテトチップスばりばりと 月と一緒に太る晩秋
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冬の夜救急に立つ半袖の温きナースのみ手にゆだねる
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腹を押す医師の温もり身に沁みて眠りに落つる冬ざれの夜
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球速も球質も追う英明はエースなりたい引退間近
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一面に白き寂寞降り注ぐ庭にくれない差す寒椿
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屍の周りに花を添える手の数だけきっと愛されていた
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言葉とは土地にて育つものなのか「寒い」以外の言葉知りたい
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眠れずに記憶の海を漂ってこの人生もわるくはないと
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ひだまりで 夢見心地の きみを見て 伸ばしたい手を ぐっと堪える
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瞬間にサイズアウトとなってゆくされど愛しき小さき服等ふくら
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北向きの 玄関先に立つ梅の 固き蕾は これからひらく
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紙パック 交換される日 待ちわびて 今日とてルンバ壁に佇む
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新しいケリケリ猫に渡したら猫喜んで蹴りに蹴りけり
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ふとふ 二文字ふたもじの中に 綺羅星きらぼしと 風と泉と 夜櫻よざくら
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燻炭を撒いて融雪促すも 新雪積もって元の木阿弥
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いちごやらミニトマトやらの商標™️は愛らしいのが流行りと見たり
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乾燥し 鼻腔の奥がぴーすかと 鳴るのを一人密かに楽しむ
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キャンディの包み紙まで桜色 今日のチラシもどこもかしこも
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僕たちは 晴れた空にも 気づかない 傘を探して 下を向くから
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春寒の氷雨に一輪椿咲く 風に揺れつつ白無垢の雛 (3/3)
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勝ち負けを越えて抱き合うライバルに雪光り満つ五輪を想ふ
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人殺す武器の輸出に耐え得ぬと矜持の道ゆく社長の光り (3/6)
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