風だけがたどり着く街 道はなく家もなく 砂一面の朝
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降圧剤 父の記憶を小分けして 同じ薬をお古のケースへ
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インフレの波に飲まれたレアキャラに分不相応にもシンパシー
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夕暮れに甘えた声で鳴く鴉待つもののありねぐらへ帰るか
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今年二度目の雪が降る前に親指より細いボールペンをセルフレジに通した
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流れゆく電車の外と時がただ 我を切なく振り返らせる
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共テ前 糧食おやつを買い込みに ちょっと遠足みたいでスキップ
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君×私=0 僕の恋の中心(0.0) あなた  
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泣きながら残り時間を箱に詰め 深夜旅立つさよなら故郷
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焦ったとき君はあたしって言ったよね ねぇ、いつ直ったの
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地下鉄で啄む鳩よ何処で降り何処に飛ぶのかこっそりおしえて
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テスト前 勉強せずに 後悔し 誓う勉強 三日間
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月日経ち 去り行く二十歳はたち 年男 三十代アラサー見えて 増えゆく腹囲
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影二つ 夕日を馴染ませ君の髪 揺れる頃には夜の街並み
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浴室に波の音目を閉じ聞き入れば私の癒し貸切露天
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健診が 精密検査を 受けてこい エコーで見える 肝臓の影脂肪肝
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飲み会の 幹事を務めて 酒を注ぎ 二次会同期飲みからは 記憶さよなら
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ゴミの山カラスの群が誇らしげ宝の山だと陣取り続け
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ダージリン 疲れた体 染み入って 香り佇む 夜の事務所に
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あまおうが見世棚赤く染め上げて私が苺と誇らしく見え
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店先に 苺の菓子の 敷き詰めて どれ摘もうかと 頬ゆるむ午後
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待ち人よ待たれる人は今何処雪積もる道足跡も無く
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三月で期限が切れる菜園で気の早き人片付け始める/他人事
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酒を飲み 杯を汚して 糧を得る 君の笑顔だけが頼り
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つかのまの暖気にすべり落つる屋根の雪、ドスンとふ音に微睡まどろみやぶらる
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久々にドラクエ7を起動する 父の代わりに世界を救おう
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ICは思考する巨大都市であり 無数の素子のひとつがあなた
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布団から 足を出したら 寒すぎて 入れると熱気に また身をよじる
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朝焼けの 空気冷たく 息を吸い 白き吐息と いざ仕事場に
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前髪に 引火してみて 幼さか 静かな欲は アルコールランプ
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