人生は神様が書いた物語 俺はページを日々めくるだけ
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波音に耳を澄ませば満ちてくる 人は何処かにみなもとを持つ
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解体の音もさみしき秋の雨誰かが住んだ家が無くなる
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口内にニッキの飴玉放り込み転がす《20時》オフィスを占拠
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分厚めの 段ボール箱に毛布敷き  冬じたくして あのミケを待つ
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病床の猫にチョッキを編んだ日は独りぼっちの今日を知らない
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悪くない風が吹いてる小春日は会えない人に会いに出かける
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袴田さんに謝罪をしたら済むことか長過ぎる日々あまりに長い
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粗大ゴミ置き場置かれた姿見に映る私に見覚えは無く
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また明日遊ぼうねって今日の日の終わりを惜しみ吾子とつなぐ手
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ハッとする店の鏡に映る我 何時からだろう見て見ぬふりは
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来る年は 言祝ぐうたを 詠めるよう 願いを込めて拭き掃除する
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寡黙な息子居間でくつろぐ大晦日 久しぶりの家族のひととき
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故郷の冬は寒くて冷たくて夜は暗くて星が綺麗で
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吾に声 掛けし笑顔の 看護師は 「十五の春」の 面影残せり
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からっ風 ものともせずに ボール蹴る 半袖の子等 弾む声聞く
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惜別の気持ちを込めてザクザクと踏む霜柱少しおどけて
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帷降り 風に抱かれた 月の下 荒れた世界で ただ我独り
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焼けた雲 離した君の手 時経つも 目蓋によぎる 話した夢の絵
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図画工作評価一の奴が描くみたいな 空しやがって あっぱれ三月
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眠れないまたも嬉しい寝不足はお泊りに来た君のせいだよ
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踊る猫の瞳の向こうの鉄塔までおいで うろこ雲なら僕が殺した
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簡単に去らない冬と来ない春押しては引いてせめぎ合う
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コンクリの隙間を割って首もたげ 咲いたタンポポ 春よ春よと
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久々に四駆モードに切り替えて吹雪く帰路行く明日は凍るぞ
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吹き付ける雪で「止まれ」の文字消えて逆三角の形が頼り
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このラーメンを食べてる中倒れたらそのまま死んでいるのだろうな
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みやびやか川面かわもに踊る大鷺おおさぎの群れには音も波も立たざる
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本当に美しい日はおそらくは忘れてしまう程穏やかで
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海月うみつきと書いて海月くらげと読むような月ぼんやりと春の霞に
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