手に入らないならなんで光ったのって言いたくもなるまばゆい瞳
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青薔薇を地上で眠る横顔のとなりに置いて消えていきたい
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「異常なし」を確かめに行くクリニック心配性の病は治らず
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透けている血管の青と紫を今更ながら優しく撫でる
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先生が答えを省いたあの午後にほんのりすりむいたままの胸
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草むらで大合唱の虫たちは短き秋を知りて鳴くやも
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死ぬまでにやりたいことのリストから「青い紅茶を飲む」を選んだ
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終端が近づく。茄子を育てたい。区民農園申し込みする
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本当は粉薬だって飲めないし、なりふり構わず泣きたかったし
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話すこと紙にメモしてこんな事最後の日に言うことじゃない
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テレビ前 後ろで手を組む父と息子は おんなじかたち やっぱり親子 \ 世界陸上観戦
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満月に飛んだ蝶々の鱗粉をあつめてつくる睡眠薬を
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2:22にゃんにゃんにゃん そんなゾロ目を ふと目にし なんか嬉しい ふふっと笑う
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子ども舌 苦味があっておいしいと言う人みんなうそつきとする
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良き父の 姿になりし 君の人生とき 喜び吾も 母の道ゆく
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幼き頃秋の日に教えてくれたカタサセスソサ…途切れる音色
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ゴロゴロし糖質摂って酒も飲む理想と違う前日の自分
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漱石を教授に昔勧められ四行読むとまぶたが降りる
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歌割りが少ないあの子 一瞬の輝き待ってしまうなら恋
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ぽっかりと空く穴に吹く涼風を 寂しいと言うならば、いつでも
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とめどなく語る目に涙 きらめきは彼女であふれ私ではない
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胸張らず下見て歩く 今日だけはいいよねだって恋と別れた日
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布団敷き短歌集読む お腹からカラになったよ〜心地良い音
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「こわいの」と訴えかけるその人の まだらの渦が見える気がして
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わたしにも期待の星と言われてた頃があったか思い出せない
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家と家細い隙間になお細い三日月浮かぶ僕の街角
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うかうかと生きているから知らない傷が腿に走ってわたしをそし
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散歩中のハッピードッグとすれ違う数秒ゆっくり回るペダル
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別れ際 刺客を送り込んでおいた あの人に渡した「塩狩峠」
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断捨離と 呼ぶには遠い 仕分け作業 今後の我に 要るを吟味し
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