ごま団子甘く噛みしめ向かい見る 未来の僕を診るクリニック
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愛が失せ 憎しと思う 伴侶さえ 不意の仕草に 微かに跳ねる
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私たち大口を叩いてようね青年という生き物だから
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風の吹く夜更けにバスを待ち居れば影絵の森に怯える月夜
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揺れ動く自分の覚悟とアイデンティティやめてほしいよ決意したのに
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おじいちゃん 私の髪の毛優しく乾かす もう一度その手のひらで乾かしてほしいよ
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恋焦がれ君の姿を追いかけて かなわないと分かっているのに
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思い出すあなたの優しさ思い出と共に これが愛だと気がついたんだ
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「もう時効だよ」と話している笑顔 どうしてあなたが決めているの?
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半券をノートに貼ればあの日観た舞台は記憶の標本となり
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掴みたいものはだいたいこぼれゆく 吊革だったらすぐ掴めるのに
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「さめざめ」を高速で溶かして回せば かなしいわたあめになる。食べたい。
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液体の磁石のように自意識が近寄ればとげとげしだす心
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唐突に宇宙へ放り投げられる「どこでも好きなお席へどうぞ」
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ゲームカセットの値下げを報告してる 誰にも届かないアイラブユー
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胸の中を掴まれる感覚が好き。寒い日に吸う煙草の話。
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雨垂れが石を穿つ要領で、きっと空いた靴下の穴
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ハイライトブルーが宇宙そらに溶け込んで僕は昨日の君を見つけた
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だいだいの小さき花から漂う そのかぐわしさに胸膨らませ
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雨に散る金木犀はまだ濡れて仄かに甘い香りの朝で
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女王蟻に肖し式服の白纏ふ偶像たらむ。宰相寫眞も
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死んだあと、きっと世界をこう見てる。屋上の景色。羽はまだない。
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「光あれ。すると光があった。」マジ? お金あれ。「いや、そういうのじゃない。」
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じゃが芋を黙々と剥くピーラーは二十余年の現役選手
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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合わせれば逸らす視線の動線で見えない壁を張る能力者
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秋空は 淡く哀れに 泡のな 今亡き夏の 君の半袖 
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切れるべくして切れてきた縁があり、空の財布と向き合っている。
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覚めやらぬ 夢の疲れに ぽつぽつと 鹿の子絞りに 鳥は群れ飛ぶ
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まつり果てて人影絶えた広場から梯子でピエロ星へと帰る
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