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淹れたての コーヒーの香りは 時を止め 秋空の雲を しばし見送る
20
がんばって幸せなんだと感じた。新しい病名の書類と。
8
沸騰を知らせるメロディー「愛の讃歌」古い
厨
(
くりや
)
にピアフの調べ
32
時雨去り一気に注ぐ陽の光 青き椿の葉を艶めかせ
29
待っててと たった4文字 伝えてよ 君はいつでも ひと言足りない
45
入口の 小さな白い 喫茶店 バナナジュースは 初恋の味
22
波多き 人生なれど 刻まれし 愛と記憶は
彩
(
いろどり
)
となる
16
旅戻り早速干しいも作業する無事に感謝し日常始むる
39
小春日の温もりは母を 木枯しの厳しさは父を想ふ初冬
23
初デート ママに内緒でいくからね ブタ公園で君を待つ僕
14
同僚
(
とも
)
からの 旅の土産に 温もりぬ 忙しくとも 足痛くとも
24
我は
汝
(
な
)
が あばら骨より 生まれたるか 広き胸に満つ 創世の海【聖書の創世記・アダムとイブより】
16
断捨離の荷をのせる時軽トラにとまった蜻蛉 秋の終わりの
26
来月で介護3年目に突入 少しはわたし役立ってるかな
37
指先が母になりゆく初冬の夕 ポテトグラタン肉じゃがにする
30
晩秋に木の葉時雨は降り止まず園児のポケット落ち葉の入れ物
44
デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
25
聞き慣れた朝のアナウンサーの声 今朝は鼻声 流行りをる風邪
33
批判することは簡単トゲトゲをもて余してはスマホをさわる
23
野薔薇
(
のいばら
)
は寒さに耐えて茎も実も赤くなりけり 空を見上げて
29
麗らかな陽射し翳れば瞬く間 冷える足先 冬を告げをり
29
灯台の
灯火
(
ともしび
)
なれば 君が手を 離さじと思ふ 世が終わりても
24
暗闇のオフィスに光るパソコンでご褒美ポチって今日を終えるの
14
『私はね健康診断だと思う』認知症だと告げられる前は
21
寅の刻 感謝知らずの 血筋だと 夢に起こされ ぢっと耳澄ます
35
雨はげしい今日は合羽を使おうか買い物するにも事欠く生保
25
道なりにお進み下さい目的地まだ見えません人生なので
32
丑三つに やるせなさ持ち 乗るバイク 風が凍てつく 妙に鋭く
18
砂浜へ電車ごっこの子ら来れば
白千鳥
(
しろちどり
)
そばをトコトコと行く
25
白菜の葉から葉へと紋白や ぬくき陽が差す午後の菜園
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