市民展 友の切り絵の見当たらず 老々介護の苦悩を見たり
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小春日の軒に吊るせる干し柿を揉めばやはらに秋を包みぬ
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山茶花の花びら降るる日溜まりの僕に秋の日静かに降るる
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忘れ花 凍蝶とまりて動かずや 越冬できらば 春野飛びゆけ
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不登校くさって部屋で泣いてたら父が差し出す少年ジャンプ/思い出
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出来るだけうつさぬようにと籠る部屋 ちょいちょい覗く夫は子のごと /風邪
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陽射し浴び 窓辺に見える パンジーの 花に水滴 輝きを増す
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なぜ我を産んだと母に責めた後赤子にもどる母を子守て
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週明けて全快とまで言えぬ身に慈悲深きかな師走の陽光 /20
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山芋も皮をかなくなりました 手抜き料理は破竹はちくの勢い
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山茶花を覆ふ枯葉の隙間から 顔だす一輪かくれんぼの笑み
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裏起毛 温きズボンでペダルこぐ 人来ぬ道で小声で歌う
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私以外気づいていない窓外の木にやってくる多様な野鳥/職場
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僕だけが損をしてると思う日よ今日はあそこの餃子を食おう
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近づかば ささっと飛んでこちら見る 嫌われカラスに遊ばる小春日
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ひと様の花壇眺めて昼散歩陽に照らされし赤きマンリョウ
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整形とハリの先生真逆言ふ気持ち泳ぎて画像に目凝らす
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この窓は オリオンが走る ※大六角を立てて 昨夜は月を 追いかけていた
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太陽になれない我は月になり 静かに君を照らし続ける
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中空に半月薄く張り付いて言葉足らずの帰路を追いくる
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少しずつ防雪柵は組まれゆき里の風景日ごとに狭まり
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観葉樹 渇いた土に 水をやり 根の先までも 届け冬の日
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 庭なずな白き小さき花なれど可憐に咲きぬ陽だまりの中
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その涙「ごめん」がいっぱいつまってる溢れる瞳の奥の青空
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枯れ枝に上弦の月寄り添ひぬ 風雪耐えし姿を照らす
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もうじきに寒波来たると知る術を尋ねてみたい 舞う雪虫に
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名も知らぬ木に艶々と赤き実や 名も知らぬ鳥梢渡りぬ
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黄金おうごんのジパング」ここぞ大銀杏 木のもと仰げば黄金こがねの渦巻く
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リア充にこだわるなって言うようにカピバラたちは目を細めてる
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晩秋の色葉散る庭大輪のキダチダリアの薄紅揺るる
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