すずしろの庭に生きる葉一草ひとくさの粥をすするや春の香りの
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ちらちらと霞ガラスに雪気配 鳥も歩かぬ今日は雪らし
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言いもせず 言われもしない 柔らかな 言葉をさがし 雪降る窓辺
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となり町知らぬ公園知らぬ道遠き春待つ冬花ひそと
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青缶のニベアを開けて手にぬれば雪の目線で夜が閉じゆく
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まだ明けぬ暗いベランダ寒々さむざむと 洗濯物干す今日も冬晴れ
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元日が命日になる地獄絵を悲しむ地蔵や能登に雪ふる
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遅ればせ家族が揃うこの週末 何を作ろか思案も楽し
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子と過ごす 時の長さは 短くて 子育て世代 エールを送り
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電話よりライン綴るを吾好む話せばいつも抜けある故に
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しっかりと雪が降ってる涙です雪かきせねば膝よがんばれ
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夜明け前 だいだい街灯をくすませて細雪ささめゆき舞う 静かに静かに
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まったくの雲一つなき晴天は やましくもあり北国思えば
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初場所に年の新たを実感す若き獅子等は意地持て挑む
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心臓を切り取る様なメロディよ鳴り止まないで冬夜の鼓膜
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先々を思い気を揉む悪い癖 中和せしめる夫の呑気さ
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冬枯れの空いっぱいに柿の赤 新年祝う小鳥の宴
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つぶつぶの 白き毛玉の ニット帽 君の遺品かたみを 明日もかぶ
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人の顔? 猫の顔にも 見えてくる 寒さに耐える パンジーの花
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熱が解けひさかたの窓明るくて柔らかな陽にこころあずける
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パンジーを 抱えて帰り 鉢に植え 冬の寒さを 共に乗り切る
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カーテンをければそこは銀世界 白一色でえがかれた朝
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園庭に歓声上がる お餅つき 杵持つ子らの真剣な顔
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いつかまたあの日の気持ちに戻れたら 月が綺麗と言って欲しいな
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墨汁の香の清しかり冬陽差す部屋に手本をさらうひと時
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雪国の 雪下ニンジン春を待つ 凍へぬように 甘さ蓄へ 
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肌を刺す 風の冷たさ 洗礼か 雪降る朝は しんと静まり
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一年前 やしなう おかゆ 「うんめえ😊」と… 最後の笑顔 翌日永遠たびへ… /明日は命日
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「ばあちゃんにまた似てきたな」吾子笑う 嬉しいような哀しいような
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父と子が自転車乗れたとハイタッチ何年経てども思ひ出光れと
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