秋日和 風無き庭にメジロ二羽 残りし花の狭間たわむる
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紅葉を眺めるベストな角度かな座る人なきベンチ微笑む
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たいていは 一人ひとりはい人で 人に揉まれてギザギザになる
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こがらしに負けじと 秋を連れ戻す陽に感謝をす 霜月の午後
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祖母の干す柿をこっそり味見せり 軒に吊るせばふるさとの色
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久々に会えば思っていたよりも少し痩せてる父のかんばせ
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週一のデイ送迎の車窓より深まる秋の町並みを見る
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早々に日射し陰りし晩秋は日暮れと競ひて晩酌待つ夫
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積雪は 十九センチ きのうまでの 浮かれ気分は 静かに埋まる
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菜をつまみ 独り晩酌 テレビ消す 話し相手は 黒縁写真
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朝日浴び吊るした柿は耀けりさびしき家にときめきの色
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公園の梢の奥に百舌鳥の声 紅き桜葉秋空に映ゆ
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澄み渡る秋の御空へ黄金おうごんの翼ひろげる銀杏いちょうの大樹
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誕生日 生まれてくれて ありがとう 吾子に伝えし 過ぎし日思ふ
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南国は 都会まちで疲れし 吾癒やす 果てなく続く とうきび畑 
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夢に立つ 父のネクタイ 髑髏どくろ柄 無常?再生? 魔よけか決意?
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もみじ葉の散り敷く朝の公園を歩けば露のキラリと光る
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地べたより 水仙の葉が 顔を出す 遊ぶ落ち葉が 布団となりて
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懐かしさ 漂う喫茶 奥の席 コーヒーフロート 至福の一時
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配達の役割を終へ 我が猫の秘密基地と化す 段ボール箱
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冷え込みと朝霧の濃さは比例して 通勤の道ホワイトアウト
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仕事終え カフェ出る我に お疲れと 呟くマスター 感謝し会釈
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横になり疲れたふりし指図さしずする チョロいよ息子キッチンに立つ
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日の暮れて窓辺に立てば街灯りさざめき揺れて空に金星
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山を見て空を仰いで足元のさき花愛で歩く日々なり
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咳をした 君のとなりに居られるの かみしめながら 一人と 一人
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跡形もなきに落葉すます木々寂しき峠の樺の木の白
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買いものは楽しいけれど捨てる時なぜゆえ心折れまくるのか
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所詮旅行。なのに嫁入り前夜のよう娘の髪をいて整え
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昼下がり 秋の陽気の心地き 上衣を片腕に 歩を運び
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