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昨日まで挨拶だけのおばさんが「やんなるよねぇ」と雪降る朝に
45
同級の
縁
(
えにし
)
途切れし友の居て似た人見らば後悔募る
41
不揃いの里芋なれど届けたし母看る友へ干し柿添へて
38
(
三十路
(
みそじ
)
)
にて天に召されし君の子の訃報に嗚咽の涙が滲む
37
五平餅売らる茶店の灯も落ちて紅葉祭りも日暮れて終わる
36
まだわたし道を聞かるる人にあり冬海岸にほのと
南風
(
はえ
)
立つ
35
あの人の好きな色だと買ったのに渡せぬままの赤い手袋
40
どの店で何を買おうと年越しが頭のすみに有る師走かな
34
孤独こそ己を守る避難場所 長老の説く平易な言の葉
34
娘
(
こ
)
の机使ひて思ふ引き出しの何処に悩みを仕舞っていただろ
34
爪切りに小さな教会描かれて師走なればとしばし眺むる
33
前歯ない姪が「ひみつ」と金平糖くれてゆっくり溶ける手のひら
33
刺し子模様 ひと針ひと針色重ね 無心の先の華やぎが良し
33
還暦を過ぎれば
時間
(
とき
)
は滝のごと流れ落ち行く悩む間もなく
33
冬日にも映える黄金の銀杏樹の高き梢に
十六夜
(
いざよい
)
の月
32
万葉の 人に詠まれた 同じ月 やがて令和も 昔と眺む
32
深く息吸うと白雪入りきてこの冬僕の母国語は雪
32
夢の中 久々に聞く 妻の声 芳香剤の 香りで喧嘩😊
32
可愛いさの裏に秘めたる「毒」に似た「苺」は赤い最終兵器
32
バゲットを竹刀のように持つ母のシチューの味に辿り着けない
32
歯科に停められた車は全て白 差し歯するごと吾も駐車す
32
大雪
(
たいせつ
)
の小春日 菊の蜜の香に誘はれ庭に
小
(
ち
)
さき冬蜂
31
檜葉
(
ひば
)
の木の枝の中には遠い土地香りの中に私の中に
31
どんぐりのわらべとあそぶ夢を蹴る路傍にころぶ通勤の道
31
明けやらぬ
厨
(
くりや
)
に白き湯気の立つカップ二杯の珈琲を淹れる
31
池の
傍
(
はた
)
葉も艶やかに石蕗の凛と咲く黄に元気もらいぬ
31
町内のコスモス咲きし空き地には家が建つらし整地がされて
30
足跡は新雪踏みて倉庫まで「犬のトイレはここではないよ」
30
母伏して 徹夜付き添い 入院し 『帰りたい』との 母を説き伏せ
30
北風の冬の朝には日が澄んで歌の言葉を
解
(
ほど
)
いてくれる
30
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