やしなひし ぬくめたお粥「うんめえ」と 妻が遺した 最後の笑顔 /翌日介護終了
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初春も癌の治療の始まる日 枯れ野の径に白き水仙
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蝋梅が 灯籠のに 招く寺 涙こらへて 塔婆とうばを抱いて /妻三周忌
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本日は 銀山温泉 癒やしの湯 入浴剤も 侮るなかれ
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隣席の シニア声張る武勇伝 方言飛び交ふ地元の朝なり
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雪の紋 貼りつけ走る 車窓から 大雪山だいせつざんの 気高き稜線
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哀しみも今の私の一部なり 焼きたてのパン切り分ける朝
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冬晴れに干し柿の影ふくよかに障子に映るやさしき影絵
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母が逝き未だ悲しい涙出ず葬式欠席後悔もなく /悲しき現実
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雀二羽 ぷっくり膨らみ 植え込みに 天敵のない 青空のもと
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オールディーズ聴かばはかど夕支度 湯気に隠るるバブルの昔日
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「独り」より「大勢の中」にいる時のほうが正しく孤独になれる
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予感してカーテンさっと開けてみる 白い世界が広がっていた❄️
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うた友の日々の思いを詠む短歌うたに共感ありてエールをここに
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明けた空キラリ微笑ほほえむ月がいて 微笑み返す今日は記念日
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時雨来る予感のあたる冬夕焼け 着膨れて行く五分のポスト
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風に乗り空より落つる風花を飽きずに掴む子は小さき手で
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見る者も 心ぬくむる 猫と猫 団子の如く 添ひ寝す真冬
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夏のはあれほど厭うたアイロンをまめに掛けてはほっと暖取る
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降車せし バス停の傍 出迎へり 冬の花壇に 水仙笑ふ
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癌といふ猶予のときの陽だまりに枯れ木の梅の蕾膨らむ
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白みゆく凍てる道行く車にはあからむ富士のあしたが乗りぬ
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怖いほどの風音止まぬ冬の日は甘酒作ってほっこり和み
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脳トレに短歌うた詠み始め丸二年 組み立てゲームも日毎に難し
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この上なく 遠いお空に 下弦の月 むせび泣くよう 寒夜かんやに揺れて
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積読の中に埋もれたあの頃のアイデンティティと出会い沈黙
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暖房の部屋の窓際ピキピキと氷の城のような冷気よ
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二人きり向かうちっちやな宴なり喜寿を迎えし夫の白髪
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木枯らしの冷ややかな音響き渡る 寒空続く静寂な朝
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既読さえつかぬ画面の奥側に冷えたままある僕のスタンプ
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