笑顔にてイオンの午後をかっ歩する若さが武器のまぶし世代よ
39
集まり後いまだ一人の反省会 損だと思ふこんな性格
39
かぼちゃ煮の焦げる間際の妻の技 湯気の向こうに冬至は更けぬ
38
会ふたびにズンと伸びたる孫背丈 爺と背比べ年の瀬待ちて
37
冬川の細き流れや寒々し片足立ちのさぎにも風吹く
36
車内には 優しきハンドクリームの香り漂ふ 冬の通勤
35
コロコロと 余りし柚子を 水洗ひ 遺影の父と 柚子割り焼酎 
35
破かれし 障子手直し 母笑顔 元気な捨て猫 父の代わりを…😸
33
日常を 普通と思ふ 幸せが 戻らぬ事に 気付く年の瀬
33
一晩中 雪の明かりに 照らされて 白夜なのかと 見紛みまごうほどの
33
「お母さん寒かったね」と初雪をかぶりし母の墓を拭いぬ
32
戦地にも聖夜の灯りひそやかに涙の影の子らの笑顔よ
32
配食🍱に今日は付いてるプチケーキ 心遣いがとてもうれしい
32
群れをなす数字の中に我と似てただ一つだけ孤独な素数
32
気を使い 空気を読んで 疲れ果て 好かれもせずに おいらは二十歳
31
父さんのお母さんおばあちゃんから僕の子へ繋がっている眉毛のアーチ
31
せわし朝 されど寄り添ふ 愛猫の スキンシップに 元気貰ひぬ
31
覚悟決めなべて口あく蒸し牡蠣の潔のよさを残さずに食む
31
痴呆治療行く気になった母さんが明日の準備に洋服選び
31
病院の陽だまりに咲く言葉たちケーキ三つのメリクリの午後
31
隣人の綿入れはんてん久留米柄 年中作務衣の洒落たイケオジ
31
世間では 仕事納め モードだが 納められない 予定あふれて 
31
積む雪を片付ける夫ストーブに金時豆はふっくらと煮え
31
冬至来て 熱き柚子湯に身を委ね 肩まで浸かりて一年ひととせ思ふ 
30
ありがとうの意味を込めて 我が傍に 言葉代わりに 寄り添ひぬ猫
30
そりゃ生きているのだけれどもういない違う人だな今の母さん/認知症
30
ウラメシヤ ハンデをもちて れし子に あきらめろばかり 強いる母なり
30
降り止まぬ雨の暗きを詫びるごと 束の間灯る茜雲かな
30
木蓮の枯葉残れるその枝にれし蕾は春待ち顔の
30
寒月夜 芯まで冷えて 空仰ぐ 地域見回り 恒例なりて
30