送迎の車待つ間の母の手に椿水仙花を持たせて
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氷雨ふる みる間に根雪の かさは減り 白い十字の 紫陽花を買う
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吟行に来た人だろか城見上げペンを走らす肩濡れしまま
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散り終えり 盆栽の枝 葉のかげに 返り咲いたる 小さき桜
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膝の上 4kgキロちょいのぬくもりを この上もなく愛おしむ晩春はる
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青かった バナナは一気に 食べ頃で そんなに食べれず 買い物下手で
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一段と痩せた様子の兄に会い「お時間です」と追われるように
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咲きかけの桜も二度寝する春の吹雪冷たく車を叩く/今朝の気温零度
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卯月なか 行きつ戻りつ 春の来る 昼は夏日に 吹く風ぬる
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学校に少しは慣れたか一年生タンポポ色の帽子駆け往く
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気の早い初夏の風吹く通学路夏服のよなミズキの白よ
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中野から乗った特急電車内出会った少女は過去の私か
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東屋あずまやに雨け入れば眼前に角度変はりてうみの広がる
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雨のあと 新芽の先が 陽を受けて 眠りから覚め 伸びをしている
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春のどか女城主の里往かば地酒とカステラ土産と決めし
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惜しみなく花木の若芽萌えいづる老いる家にもときめきの春
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夜は良い誰も来ないし呼ばないし泣いたとしても気付かれないし
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窓を開け 朝の空気を 吸ひ込みて 静かに過去の 扉閉めゆく
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青もみじ一樹立ちても美しき連なればなほ初夏の佳景なり
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安らかにと祈る気持ちに添うような虹に出会えり母送りし日
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来るはずのなき便りを待っていて どこぞの桜は葉桜と聞く
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人知れず一人芝居の初恋のような花梨の花が咲いたよ
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満開の 躑躅つつじにカメラ 構えたら 一緒に写る 舞ってきた蝶
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如月の 南の空に朧月 光のどけき静寂を照らす 
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はるくれば ふぼのにおいの かおりたつ おもいでみちて うごきもできず
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母逝けば 磯鵯イソヒヨドリは帰り来て 春のうららに 慰めのうた/ 享年94
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海外で ツ と シ は笑顔の記号だと 知ってから見る ツツジ にっこり
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斑雪はだらゆき残る峠を越えて行く冬眠明けのジャガイモ恋し
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すき家にねでっかい張り紙ありました「毎日清掃!」ちょっと笑った
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五分咲きの花を見たいと言う母は一生懸命踏みしめる地球
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