悲しみて戦地の鳥は見るだろか そこで傷つく大地と人を
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白鳥は 今きっと津軽 海峡を 越えているはず 彼岸に千歳
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父に似た人 二度見して すれちがい 背中見送り 春 ひとめぐり
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迷ひつつ初の試練をクリアして階段登る君にエールを
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値上がりは 二十円です。 灯油です。 赤紙みたいな 葉書一葉いちよう / 氷点下つづく
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巣立つの幸願い見る春北斗 夜のしじまに沈丁花ちんちょう香る
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木の芽風 綻び進む雪柳 髪切り心軽やかな道
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街明かりと 星の灯りの ボーダーで グズグズしてる 春分け近し
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森入らば春鳥の声合図とし日ごと芽吹きは進みゆくなり
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白無垢の祈りを包む木蓮のつぼみ食らわれ亡骸の空
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幸運を祈っているよ自らの春を目指して飛立つツグミ
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硫黄蒸す大涌谷の枯山に鶯の声透きて光れり
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春場所 夏場所前に 父は逝き 弔事切手の 紫 悲し /一周忌準備
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祈りでは平和守れぬこの星にユートピアあるかと地球儀回す
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降り続く雪はおおかた上がったか深夜の窓からそおっと覗く
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電車内 見知らぬ外国人が会釈する 牧師の夫に何かを感じて?
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ユキヤナギ 満開に咲く 通勤路 冷たき風も 柔らかになり
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去る子らに光りを願う心さへ凍てつくままに寒風を聞く
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ほどきたる古着の紐を玩具にし 鼠の尾に見立てじゃるる猫
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目覚むれば二日で二尺の雪積みて春は一気に振り出しへ戻る
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バッサリと剪定されし並木道見晴らし良きが影の短し
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吾の実家継ぐ人の無き墓ありて今は姉妹で守ると決めし
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農園で甘き香りの苺買い好みし夫に供ふ命日
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また来年 雛人形を 片付けて 弥生も半ば 陽の向き変わり
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飯事ままごと乙女椿ヲトメツバキを洋菓子に見立て ケーキ屋営む幼日
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我が子への幾多の淋しさ与えたるこんな私を母さんと呼ぶ
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流れ着く果てを知るのか雪解水急ぎ急ぎて目指す下流の
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レベッカを聴きながらミラを走らせた未来を捨てた十九の私
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名も柄もわれに似ているボケ木瓜の花 木偶の坊にも春の彩り
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クシナダは 春の陽を浴び プラチナの 光りを放つ つるぎ のような
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