おびただしい 数のセミ鳴く 森の中 狂おしいほど 救い求めて
34
夏休み静けさの中出勤す 校庭にははや工事の足場
29
盆近し 此岸しがん彼岸の 岸を越え 早馬に乗り 帰っておいで
28
売店で熊鈴買ひしハイカーが 木洩れ日揺るる上高地往く
27
雲海を見下ろして立つ羅臼岳翳一つなき蒼空の底
25
母が来て方言話す我釣られ都会にありてもここは故郷ふるさと
25
気に入りのクッキー缶に本年の七夕飾りしまい納涼
24
バイデンが世界に示す老いる意味 政治の横のリアルアメリカ
24
月明かり 窓より入りて 闇照らす 心も円く 包まれてゆく
23
疲れるが仕事している平日が ダラダラ過ごす土日より好き
22
旅先の ここに住みたいマジックも家戻る頃 徐々に解けゆく
22
初もののモロコシ並ぶ直売所ためらわず買う太きを選び
22
友からの 暑中見舞いは 風物詩 嬉しく思ひ 筆を持つ午後
22
炎昼にジョギング続けし青年よ 走る意味より命脈大事ぞ
21
出来るだけ週間予報は見ずにおこう 並ぶ数字に気持ちが萎える…
21
老いていく父を見るのは辛いけど 誰もが通る道なんだよね
21
能登の地に せみに混じりて聞こえ来る 復興急げの木槌の音が
21
一面のピンク鮮やか蓮池にとんぼ群れ飛び夏を謳歌す
20
待望の雨のもたらす涼風とうるおう花々いろの冴え冴え
20
炎天も楽しげなるや 聞こえくる水遊びする子らの賑やか
19
蝉さえも鳴かぬ酷暑の昼下がり 住宅街は静寂しじまに沈む
19
トンボの背 青く染まりし 夏色に 自然の不思議 理にかなひけり
19
銅製のコップにあたる氷の 耳から涼が広がってゆく
19
久々に一人の朝食これもいい ジャズ聴きながら家事後まわし
27
電子版ローカル新聞見出しには歩いて行けるケーキ屋の記事
18
夏陽浴び百日紅の花鮮やかに逝く紫陽花の供花くげとおぼゆる
18
今年なら「穴子だよ」って堂々と出せる価格や土用丑の日
18
神降地上高地 云われし由縁頷けり 巡る地清みて神宿るごと
18
乾く地も雨の過ぎたる地も有りて 天の差配はままならぬもの
18
言の葉を吐き出すことができる場所 Utakataがあり救われる我
18