昨日まで挨拶だけのおばさんが「やんなるよねぇ」と雪降る朝に
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同級のえにし途切れし友の居て似た人見らば後悔募る
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不揃いの里芋なれど届けたし母看る友へ干し柿添へて
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三十路みそじにて天に召されし君の子の訃報に嗚咽の涙が滲む
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五平餅売らる茶店の灯も落ちて紅葉祭りも日暮れて終わる
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まだわたし道を聞かるる人にあり冬海岸にほのと南風はえ 立つ
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あの人の好きな色だと買ったのに渡せぬままの赤い手袋
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どの店で何を買おうと年越しが頭のすみに有る師走かな
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孤独こそ己を守る避難場所 長老の説く平易な言の葉
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の机使ひて思ふ引き出しの何処に悩みを仕舞っていただろ
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爪切りに小さな教会描かれて師走なればとしばし眺むる
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前歯ない姪が「ひみつ」と金平糖くれてゆっくり溶ける手のひら
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刺し子模様 ひと針ひと針色重ね 無心の先の華やぎが良し
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還暦を過ぎれば時間ときは滝のごと流れ落ち行く悩む間もなく
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冬日にも映える黄金の銀杏樹の高き梢に十六夜いざよいの月
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万葉の 人に詠まれた 同じ月 やがて令和も 昔と眺む
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深く息吸うと白雪入りきてこの冬僕の母国語は雪
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夢の中 久々に聞く 妻の声 芳香剤の 香りで喧嘩😊
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可愛いさの裏に秘めたる「毒」に似た「苺」は赤い最終兵器
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バゲットを竹刀のように持つ母のシチューの味に辿り着けない
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歯科に停められた車は全て白 差し歯するごと吾も駐車す
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大雪たいせつの小春日 菊の蜜の香に誘はれ庭に さき冬蜂
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檜葉ひばの木の枝の中には遠い土地香りの中に私の中に
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どんぐりのわらべとあそぶ夢を蹴る路傍にころぶ通勤の道
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明けやらぬくりやに白き湯気の立つカップ二杯の珈琲を淹れる
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池のはた 葉も艶やかに石蕗の凛と咲く黄に元気もらいぬ
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町内のコスモス咲きし空き地には家が建つらし整地がされて
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足跡は新雪踏みて倉庫まで「犬のトイレはここではないよ」
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母伏して 徹夜付き添い 入院し 『帰りたい』との 母を説き伏せ
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北風の冬の朝には日が澄んで歌の言葉をほどいてくれる
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