足の指グーパグーパさせながら良き短歌うた出ぬかと明けを待ちをり
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いろ寂し晩秋に向かふ庭先の 椅子に乗せ置くサンタのオブジェ
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妹と桜紅葉の道を行く山の端染むる秋の落陽
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雪道の 峠のカーブ 右ゆけば トンネルあかく 我を吸うなり
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豊作の冬瓜欲しがる人わずか所在なさげに小屋の隅っこ
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人びとは 縦横無尽に 行き交いて ひとりたたず 駅コンコース
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風を避け駅の待ち合ひ来し人は寒っと二回くぐもる声で
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言の葉の 獲得自在 信じたり 騙されちゃったり 心透けたり /
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袋ちぎる赤箱石けん母との湯間ゆのまふと立ちのぼる
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さそり座が最下位だった今日だけど なんてことない平和な1日
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金沢へ 嫁いだ友は 道産子で 小箱につめて 「これが木犀」
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暗き朝 仕事へ向かひ 夜帰る 自宅の秋を 知らぬ…霜月
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音もなく 冷たき時雨しぐれ 舞ひ降りる 声のなき空 冬のはじまり
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富士山は初雪浅く地肌見せ墨絵の筆のかすれの如し
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はぁ〜今日も疲れたよ〜と言える人家にないから一口チョコを
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「三人で来たかったね」と逝きしを偲びつつ行くコスモスの道
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友からの枯野に雪舞ふ画像くる 冬を覚悟の文言添へて
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秋晴れに病後の友と並木道歩けば優し木洩れ日そそぐ
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君がふと あふれるように 笑うから 一滴こぼさず 受け止めに行く
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植え込みに 雨粒強く 打ち付けて 周りの音消す 静寂な時
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軽快な小啄木鳥こげらのリズム 雉鳩きじばとはテノールで鳴く 「よい一日を」 ⑬完
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やっとやっと蕾がついた金木犀 鼻くっつけて秋確かめる /待ってたよ
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霧のふる朝のバラ園みな濡れて涙の露は遠きあの日よ
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utakataに集う人らの金木犀 次々に咲き香りのつづく
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もうなにも咲く花のなき花畑それでも雪虫舞いて賑わう
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忙しくもペットに和んだ子育て期 亀の名コナン楽し昔日
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吹く風はメタセコイアの高みなる梢に冬の気配運びぬ
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南天と 橘の実の 色づきて 秋深まりぬ 空気はすが
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今年また一昨年編んだ糸を解く徐々にニットは小さく変わる
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誰もも駅へと急ぐ朝の道 吾立ち止まり空を見上げる
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