子を産んで2年育てた家を越す 壁のシールを剥がすも愛し
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唐突に秋の気配はやって来て夏を記憶に変えてしまった
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雲散らぬ台風一過の空見上げ この一週間の長きを思ふ
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書き留めた歌に何度も手を加えついに最初の趣きは消え
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外に出ず感性緩みし夏も往き 心と肌で秋を出迎ふ
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一度でも誰かと話して笑えたらそれだけで今日は佳い日としよう
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「暑いね」が「朝晩涼しくなったね」と変わる挨拶 人の営み
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鰯雲いわしぐも初めて見つけた今日の日は 吹く風涼し秋の始まり
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ポンポンと胸を叩けば悲しみがそっと消えてく体がほしい
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り 静かな今宵 そら見上げ 星の毛布と 虫の守歌もりうた
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何もかもイヤになったと膨らますキミのほっぺた軽く突っつく
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ウタカタに他人ひとの人生垣間見て繋がり合える三十一文字
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気にやんだ心もいつか風になる 月見バーガー食べに行こうか
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吾亦紅の色付く先の空は冴え高きところへ薄き雲引く
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いつだってぼくらはきっと若すぎる 上手くできないことばっかりで
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持ち歩く手の平サイズのメモ帳に短歌うた読めそうな空の高き日
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どことなく 憂いをおびた 秋空に 例大祭の 花火は上がる
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ニット帽母の手作り喜ばぬ私であった後悔と逢ふ
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あの角にあった建物なんだっけ 更地になると人は忘れる
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一歳が初めて言った「パッパッパー」アンパンマン お熱の今日もしゃべり続ける
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髪の毛を乾かす時間も少し延び ドライヤー持つ手に秋を感じる
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嵐神の怒りに耐えし朝顔は漏れる日差しに藍の清けさ
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足早に沈みゆく陽がむ空のあかき余韻も短くなりぬ
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母親がたこ焼き食べるそのそばで見守りながら「うまい」に笑顔
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向日葵の盛衰見たり我が娘ひと夏花壇をじっと見つめて
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よそ行きの切り方をする初物の梨を二人でいただくときは
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純白の彼岸花咲く 夏の陽に秋の風吹く団地の端に
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床臥して 野分名残りの雨音に耳を澄ませる しわぶきの間に
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大根の種蒔き終えし夕方に空には無数の秋茜かな
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八人の坊主が円陣組んでいる。ポンデリングがそう見えた午後 /ポンデ黒糖
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