Utakata
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切り捨てて 痛まぬ心の鈍感を 冷静と呼び 鬼もこごえる
56
前髪を整へし
女性
(
ひと
)
地下鉄の暗き車窓を 鏡代はりに
41
月一度四季にて色変ふ山走り村里に湧く清水汲み来し
40
カッタタタ大樹を叩くコゲラ来て静寂の底に立春の音
40
「ふくはうち楽しかった」と立春の今日も豆撒く春呼ぶように /吾子三歳
40
いつもなら隠さず物言う賢人の言わぬ本音に優しさを見る
49
天球の幕の裏には光ありそんな月です今宵の月は
38
でん六に赤塚不二夫の鬼の面定番だった私の昭和
38
最期まで ごはんを炊いて 味噌汁を つくって食べる 老いさらばえても
/
立春の朝
38
立春の 光りにダルマ 解けおちて 幻と知る
形
(
かたち
)
ある
故
(
ゆえ
)
の
38
やっぱりね住めば都だ 片付けを終えて眺める新しい土地
36
「ほんとはね」きみの気持ちを知った夜やさしい言葉がわたしを包む
36
冬晴れや水減るダムの底深く沈みし郷のまほろばの影
36
部屋干しで みるみる上昇 湿度計 洗濯日和に お日様ゴメン \ 関東はカラカラです
36
時々に頭もたげるモヤモヤも チャリを飛ばして剥がして落とす
36
「怠惰」という病のツケが三年の時を経ていまボディブロー
35
「限界」のキワまで冷えた骨組みを四十二度の風呂で煮直す
35
優雅舞ふシラサギ冬田に降りたれば鶴と
見紛
(
みまご
)
ふ美し一こま
35
「あんなにも優しかった父」と書く ペンさえ重い冬の朝です
34
太陽も星もコンパスなるらしき 春待つ
白鳥
(
はくちょう
)
シベリア思ふ
34
スノームーン最初に呼んだ人の名を知りたくなった二月の満月
47
公園の南天の実はおおかたに喰い尽くされて立春迎ふ
33
あの日々を 奇跡と知らず 過ぎし日よ 煮込みの鍋に 詫びごとを言う
33
冴ゆる朝 けふも園バス 送迎す 幼き希望の光を乗せて
33
独り夜に 炬燵に入りて
口遊
(
くちずさ
)
む 涙を誘ふ「♪ かあさんの歌」
33
立ち待ちの月に引かれし通院の峠に待てり白雪の富士
33
かぎろいの春野を行かば海の見ゆ 父母眠るふるさとの地の
33
そろそろに膨らみ始む冬木の芽 畑の土は未だ眠りし
33
恵方巻き 残業帰り 売り切れで ままならぬ世に 月は綺麗で
32
探し物 失くしたものは 物でなく 仕舞ひぬ場所を辿りぬ記憶
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