五年内生存率は七パーと知ってか知らずかびわを食む祖母
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深夜二時寝ている彼女に忍びより糸で指輪のサイズをはかる
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かれはてて かまいもしない したくさに はやっとちりの あさがおひとつ
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疲れ果てよれた毛布と溶け合ったキャラメルみたいな朝が晴天
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大波が逆巻く時代だとしても 君の言葉が私の錨
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脳内に剥がしたくても剥がれない君の笑顔のカレンダーあり
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ピーマンが 仲良く競い 二個実り 幼き頃の 息子ら想う
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七星の 天道虫が 我が胸に はね休めるを 孫と楽しむ
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聞いたならすぐに返事が来る液晶スマホポストは真っ赤に照れているのに
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わたくしと あなたのちがい しるために きょうつうげんごが ひつようです。
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色淡く君がまとった香水は夏を届ける紫水晶アメジスト
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水仙のかをりただよふリビングに離婚届の紙薄かりし
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御籤で恋愛運が吉と出て妻大喜びあのなあお前
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曲がり角どっちへ行くか飼い犬と相談しあう散歩道かな
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遠くから 運動会が ながれ来る ひばり負けるな スズメ負けるな / 日曜日
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えずくように 用紙を送る コピー機に 共感覚ゆ 梅雨の幕開け
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青空に届けと飛ばし落下する紙ヒコーキをあなたと笑う
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心臓に白いフリルを縫い付ける 汚れた羽根はちぎって捨てる
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やって来た新人ナース初々ういういし 元気で頑張れ!勝手に母になる 
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病ある薔薇譲り受け奮闘す 馴染み始めた剪定鋏
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机から出られない教科書たちのホームルームは夜に始まる
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遠方えんぽうひとり静かに暮らしてる 何を送ろう父の日が来る
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誰だって ほんの少しは 壊れてる そうでなければ 生きてられない
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「世界一好きだ」って言う君はこの狭い町から出たことがない
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水底みなぞこに しずむ勾玉 ひろいあげ 声持たぬまま 人魚の涙
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泡沫の 新居になれず ふるさとは はいきょとなりし よみんこいしい
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熟れてゆく梅の実鼻に近づけて夏の空気を肺に詰め込む
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若者の 作る短歌に 感動し 自分もやるぞ 六十四歳
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刷り込めどすぐ揮発するかあさんの記憶書き込むマーカー欲しき
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かえる鳴く この地に越して 四ヶ月 こうしてここで 生きていくのね
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