住職が花守らしき山門に 薄墨桜離し植へらる
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目をやれば地味に咲きたるタンポポの綿毛は揺れて季節移ろふ
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青池の底まで透けるかなしみも 芽吹く枝には勝てない春だ /美瑛
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のどかなる 春の空にも 鋭角が ポラリスを射て 白鳥の矢よ
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テーブルに麦が生けらるランチ会 初にて噛みしむウクライナの味
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年かさね連れ合い頼り並み歩く陰の長さも重なりゆけり
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園庭に雪柳の弧 風にゆれ輪へといざなふ影のやわらか
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「今ここ」の 感覚がなく なりそうな 優しく白む ワシントンの桜
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珈琲の 香りと苦み 愛おしむ 障がいの吾子 運転する夢
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待ち侘びし桜チラホラ咲き初むる徒歩三分のさき公園
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よたよたと 丸ひ体を 揺さぶりて 犬はおきなと 春のお散歩
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車座で何を語るや若き人 花ぼんぼりに明かりを取りて
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木瓜の花 塀の陰から顔出して「おは」とささやく青空の朝
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大木の枝垂れ桜の華やぎも丸太と竹に支えられおり
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初めての傘は赤色アンパンマンずっと離さず寝るのも一緒 /吾子三歳
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種こぼれ 花を咲かせた ビオラにも 蝶が舞い降り 得意気な顔
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神様よこの北海道を抱きいだきしめ叫びたいほど 春がまぶしい
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あなたへと、この春すべて書き留めるペンが折れても書き足りぬほど
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春雷しゅんらいが 二夜ふたや続けて 耳を刺す 花でる国 たまに泣く国
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さくらで 人は気付かず 踏みつける 同じ春咲く 小さき花を
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菜の花は今茹で上がり厨には蒼き香りと春が拡がる
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気がつかば優しき亡兄あにがそこにいてスッと消へたりあけぼのの夢
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思ふままソロ花見する楽しさよ日常離れて右手に酎ハイ
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「転んじゃった」破れた膝を笑う祖父 一センチずつ春削がれゆく
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トランプジョーカーの脚に重りを括り付けホルムズ海峡沈めてみよう
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満開や ソメイヨシノに 誘はれて 花つゐばみぬ 三羽のメジロ
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聞こへ来るエンジン音さへ春の音 冷気ほどけし朝の向こふの
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咲き匂ふ 職場の窓外そうがい 公園の桜を眺めつ食む おむすび/職場の隣には公園
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雨間あまあゐの風にさらはれ 改札を薄紅にむ 散りし桜花おうか
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ユキヤナギ ぽつぽつ残る 帰り道 風は柔らか 桜咲き初む
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