サルビアは恋などしてもしなくても夢など見てもみなくとも 紅 

静かすぎてからだの中のいろいろな言葉が透けて見えそうな夜 

人絶えた夜の舗道に落ちているビー玉なつの形見に拾う 

ふるさとの百葉箱の神様へ。 風がそちらへ向かうようです。 

偶像アイコンを失くした僕ら もういっそ名も泡沫に溶かしてみようか 

悲しみの果てには小さな駅があり帰りの汽車が待っててくれる 

目が見える詩人は愛を盲目と 見えぬ詩人は光といった 

夕焼けが合図なんだねとんぼたち 山へ帰るの すすきは寂しい 

アンケート『あなたは文字が読めますか?』 渡された紙を眺めるおとな 

持たされたスイッチがなにをこわすのか知らないままで押した水曜 

わたしよりすこし不幸でいてくれる間はやさしくしてあげますね 

‪二十九歳はババアと言われるがきっと死んだら若いと言われる‬ 

君の目が瞬きをする瞬間に生きてると思う新鮮なほど 

無駄なことがこの世にないというのならエビフライの尻尾を食べて下さい 

つるり日曜日が零れ落ちてった「ここにお代わりお願いします」 

書店にて立ち読みすれば千年が経って足場にネモフィラの花 

あした世界が終わるという噂でよろこんだ方の生徒でした 

太陽のような君には分からない僕の目からは雨が降ること 

指丸め のぞくと淡い月があり心は銀河を旅する秋の夜 

迂回した夏から逃げて逃げて秋 きっと踏み越えられない秋だ 

大切にしていた星が砕け散りきみの背骨を覆い隠した 

唇を好きなかたちに染めていく私の生き様塗り重ねてく 

どうしようもないほどには欲しかった 君のたったの45 

僕をかき抱く腕の深すぎる冷たさよまるで海みたいなひと 

国道に赤いブラジャー舞い降りて軽自動車が器用に避ける 

左手が失くした熱を求めては煙草を吸うのか息をするように 

その前に胃にはハーブとスパイスを詰め込むきたる火葬のために 

握る手は運命線に接してるスマホの中の消せないLINE 

将来は農業をして生きたいと新幹線から思う、思うだけ 

クレームの嵐に耐えて炭と化し 夏の蚊取りに親愛の情