真夏日の落暉は暑さを持ち去らずハチミツ色の夕映え残る
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アメリカンチェリー一粒ちょっとした言葉の棘を反省してる
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下期来て気持ち新たな早朝に採るを延ばしたトマト深紅に
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クーラーの風苦手なり肘痛む 好み度外視七分袖の夏
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空撮が追ふ単行列車は海沿いを 待つ人居らぬ駅舎も映り
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空咳は困りし時の合図なり平静装ふ儀式の前の
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思ふまま心の淵を詠む人の何処にしまわる優し言の葉
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足早に人の行き交ふ地下街に世代巡るを今更に知る
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アジサイが 創る水玉 光り帯び 今日も活きよ 清く生きよと
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何処どこからか届く虫の音ゆっくりと更け行く夏の夜のリズムよ
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真っ直ぐに行かば正解知りつつも右に行きたき たまにそんな日
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ほたる籠わらべの枕照らすに夢路に誘うみどりの光り
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静寂な 日曜の朝 名も知らぬ 池にひっそり 睡蓮の花
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月低く お疲れ様と 笑ってる 夜風優しく 一日ひとひの終わり
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エレベーター 居合はす人も 拭ふ汗 「暑いですね」と 交はすねぎら
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鮎釣れず足取り重き少年の頭上にたかく螢舞いけり
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夕立後 田舎の景色 水墨画 雲間に出る 上弦の月
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満開のブーゲンビリアひさし借りここだけ少し南の座標
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庭先に 迷子の蛍 舞ふ夜更け 逢ひに来たかと 亡き妻思ふ
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隙あらばカツ丼食べたい母親は勝手に記念日作ってせまる
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好きなのにその裏側に苦しみも いくつになっても切なさはいる
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久しぶり介護以外のお喋りで心が軽くなりました ありがとう、友
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一条の 蚊遣火かやりび 星に みえますか 天の川瀬で ひとり待つきみ / もうすぐ七夕
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轟音のいつものくしゃみに遮られ 歌にならない母よ 元気で
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人の子も我が子のように愛おしみ「すごい上手」も「ダメだよ!」も言う
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子燕が青田の空を旋回す 巣立ちできたか文月二日
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すずめ来て 木の実仲良く 分け合ひて 吾を和ます 小さき体で
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農園の紅いネットにぶら下がり小玉スイカの縞夏を告ぐ
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黄桃を 切ったような 半月が 梅雨明けの空 明るく照らす
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三角の クチバシ踊る 軒下に 舞う親鳥が はぐくむ命
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