前髪を整へし女性ひと 地下鉄の暗き車窓を 鏡代はりに
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冬晴れや水減るダムの底深く沈みし郷のまほろばの影
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時々に頭もたげるモヤモヤも チャリを飛ばして剥がして落とす
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太陽も星もコンパスなるらしき 春待つ白鳥はくちょうシベリア思ふ
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「限界」のキワまで冷えた骨組みを四十二度の風呂で煮直す
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優雅舞ふシラサギ冬田に降りたれば鶴と見紛みまごふ美し一こま
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部屋干しで みるみる上昇 湿度計 洗濯日和に お日様ゴメン \ 関東はカラカラです
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そろそろに膨らみ始む冬木の芽 畑の土は未だ眠りし
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あの日々を 奇跡と知らず 過ぎし日よ 煮込みの鍋に 詫びごとを言う
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玄関に立てば「おかえり」亡母の声 幾年経れど忘れえぬ声
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寒みいから ひゃっけぇ水は 掛けねぇよ寒いから 冷たい水は 掛けないよ」母がつぶやき 墓石乾拭き /父月命日
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「ふくはうち楽しかった」と立春の今日も豆撒く春呼ぶように /吾子三歳
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独り夜に 炬燵に入りて 口遊くちずさむ 涙を誘ふ「♪ かあさんの歌」
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立ち待ちの月に引かれし通院の峠に待てり白雪の富士
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かぎろいの春野を行かば海の見ゆ 父母眠るふるさとの地の
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冴ゆる朝 けふも園バス 送迎す 幼き希望の光を乗せて
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探し物 失くしたものは 物でなく 仕舞ひぬ場所を辿りぬ記憶
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退勤の空が明るいこんなにも雪積まれても春立ちにけり
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お疲れと いたはる湯加減 バスタイム たいも心も ほぐさるる宵
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こごへる夜 黒縁写真の 妻と父 吾の作る鍋 お椀で供へ
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あどけなきさくら草にも雪のふる 立春越えに桃色ふるえ
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誰もが皆 心優しい 世界なら 大声もも 張らずにいれる
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張り詰めた背をさするだけガンバレもだいじょうぶよも言えないでただ
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冬の夜 炬燵こたつに入り 本を読む 静かな時間 隣にはきみ
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ヒヨドリがほうれん草を食べに来る デイ友言いし如月の朝
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「親」という役を降りない母と飲むクラフトビールの苦い延長
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朝五時の 下弦の月が 照らす雪 風が遊びて 吾の頬 叩く
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雪の下 たんと蕾を芽吹かせて 春を待つかなレンギョウの花
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風景は 日々変はりゆく バス停の 落ち葉の数も 通る車も
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ハクモクレン 寒さの先に 春を待つ つぼみ美し 花はまだ先
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