切り捨てて 痛まぬ心の鈍感を 冷静と呼び 鬼もこごえる
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前髪を整へし女性ひと 地下鉄の暗き車窓を 鏡代はりに
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月一度四季にて色変ふ山走り村里に湧く清水汲み来し
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カッタタタ大樹を叩くコゲラ来て静寂の底に立春の音
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「ふくはうち楽しかった」と立春の今日も豆撒く春呼ぶように /吾子三歳
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いつもなら隠さず物言う賢人の言わぬ本音に優しさを見る
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天球の幕の裏には光ありそんな月です今宵の月は
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でん六に赤塚不二夫の鬼の面定番だった私の昭和
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最期まで ごはんを炊いて 味噌汁を つくって食べる 老いさらばえても / 立春の朝
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立春の 光りにダルマ 解けおちて 幻と知る かたちあるゆえ
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やっぱりね住めば都だ 片付けを終えて眺める新しい土地
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「ほんとはね」きみの気持ちを知った夜やさしい言葉がわたしを包む
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冬晴れや水減るダムの底深く沈みし郷のまほろばの影
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部屋干しで みるみる上昇 湿度計 洗濯日和に お日様ゴメン \ 関東はカラカラです
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時々に頭もたげるモヤモヤも チャリを飛ばして剥がして落とす
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「怠惰」という病のツケが三年の時を経ていまボディブロー
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「限界」のキワまで冷えた骨組みを四十二度の風呂で煮直す
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優雅舞ふシラサギ冬田に降りたれば鶴と見紛みまごふ美し一こま
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「あんなにも優しかった父」と書く ペンさえ重い冬の朝です
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太陽も星もコンパスなるらしき 春待つ白鳥はくちょうシベリア思ふ
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スノームーン最初に呼んだ人の名を知りたくなった二月の満月
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公園の南天の実はおおかたに喰い尽くされて立春迎ふ
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あの日々を 奇跡と知らず 過ぎし日よ 煮込みの鍋に 詫びごとを言う
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冴ゆる朝 けふも園バス 送迎す 幼き希望の光を乗せて
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独り夜に 炬燵に入りて 口遊くちずさむ 涙を誘ふ「♪ かあさんの歌」
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立ち待ちの月に引かれし通院の峠に待てり白雪の富士
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かぎろいの春野を行かば海の見ゆ 父母眠るふるさとの地の
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そろそろに膨らみ始む冬木の芽 畑の土は未だ眠りし
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恵方巻き 残業帰り 売り切れで ままならぬ世に 月は綺麗で
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探し物 失くしたものは 物でなく 仕舞ひぬ場所を辿りぬ記憶
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