ジェルネイル 伸びた地爪の3ミリは君に会えない時間の目盛り 

音楽の教師になれず今はただ焼くか茹でるか卵見つめる 

踊り場で汗ぬぐいまた登りだす祖母の背中をそっと支えて 

もうだめだからサイゼリアに行きたい 天使の元でパスタ巻きたい 

虹渡る順を僕らは知らねども日付の古き卵から割る 

今はまだ無謀なほどの夢掴む手は手袋にしまうけれども 

「好きです」とあなたにぶつけられなくて「夜は眠れてますか」と聞いた 

父が居る白く浮き出た教室で十五の僕は未来予定す 

ポケットに君の手迎え息白く宇宙は僕らの形の夜だ 

窓開けて蒼い溜め息吐き出せば 雪の眩しさ細部に宿る 

iPhoneを見つめる僕を見つめてる僕より僕の好み知るこれ 

牡丹雪ポケットに入れ帰り道 肉まん食いつつ泣きたくなった 

熱を出しこの子が家にいる今日は我が家が知らぬ家の顔する 

わたくしをオバQ夫をはげちょびんスマホ登録自由だけども 

洗濯の終わりを合図に曇りだす お天道様の意地悪なこと 

おおごえで微糖をうたうカフェモカのにがみにまけて詠うのでした 

ポケットを探り飛び乗る路線バス 知らない街へ運べぼくらを 

ためらわずロマンティックに浸りたい慰められる流れ星みて 

毛羽立ちを撫で合うような恋だった 抜け落ちた羽 見ないふりした 

異次元へ繋がるうちの洗濯機 片方だけの靴下は行く 

クレープの包み紙まで食べちゃって タピオカ嫌い山羊座の女  

引き出しをがたりと開けて継ぎ接ぎの歌作ってはそっと仕舞った 

あなたの字 弘法大師譲りかも誰も読めない母しか読めない 

罪人は自覚無いまますぴすぴと熟睡してる 古文の授業 

鳴き声がかわいらしいと書いてある辞典がかわいらしいと思う 

君のこと知らないけれど知っている 幸せでいてほしいと思う 

よくわからんからとばしがちなインストの例としてのいとしのレイラ 

透明な僕をデッサンしてくれる誰かいないか 絵のうまい誰か 

真っ黒な曲がった指の祖父は描く宙に大地のひみつの歌を 

髪切るのやっぱりやめます 君の言う「ショートが好き」はあの子限定