同じ文字ばかり何度も書いてると意味を成さない記号に見えて
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指先が少しだけ触れ手を握るあなたがカレになった瞬間
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訪問看護師ほうかんは手折りし桜と共に来る最期の春を共に愛でたり
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辛抱は一人でしたら辛いだけ だから今夜も風呂は沸かさぬ
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意味のない夜ふかしさえも金曜と土曜の隙間に溶かす春雨
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眠れぬこのままも良い枕元飲み損なったトリアゾラム
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ひと以上神様未満のわたくしは未来だけしか変えられなくて
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呆けたか価値を見い出せないだけか 誕生日なのにライン忘れた
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満開の桜の脇で満開の馬酔木あせび房なり虫さへ寄らず
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「マクドやろ 小さいツなんかないやんか」関西人の言い分を聞く
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静かだし何やら今日はさみしいな家族が死んだ日の夜に似て
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シャッターの張り紙みれば六十年続けしそば屋閉店とある
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桜待つその目の前に一枚ひとひらの「忘れないで」と溶けゆく雪華せっか
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遠足を待てぬ子供は寝返りを打った摩擦で地球を回す
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周辺の道が一方通行で辿り着けない君の本心
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ブルーライトカット画面をささくれた親指の影黒く横切る
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眠さには勝てずに今日もソファ泊お皿たちもシンク泊
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洗顔の終はりし後の耳たぶに真珠の如く水滴さがる
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夕飯を「うまい!うまい!」と食む君を「煉獄さんだ!」子が笑う小さな幸さち
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パトカーに軒下を貸す 被害者はうちではないです、大丈夫です
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ガス抜きを手伝っているわたくしは 膨らんでくる不安と失望
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「青春」て聞くとせつなくなるんだよ あの頃あんなに輝いてたのに
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すこしだけ窮屈になった詰襟の黒に一枚映える花びら
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初めてのとびらを開けるのは苦手 生まれたついでに開けてみようか
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「太るかな…」「でも飲みたいし…」スタバにて何とかチーノと君が闘う
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観るだけで参加している選手らの母の気になるうちの母ちゃん
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会おうねと言えば言うほど遠ざかるような気がして口をつぐんだ
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ふりだしに戻れるのなら良いじゃないすごろくってすばらしいわね
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夜にだけ短歌の神様降りてくる なぜなんだろう静寂のせい
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ちょうどいい量のヒカリを欲してる瞳は変光星のようだね
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