夕焼けが早送りして夜となるピーエム7時の東京の空 

田中さん 「家庭の事情」と言うのなら「元気でね」としか言えないじゃないか 

午前二時夜が泣いてるあの音だ朝が怖いの?一緒に寝ましょう 

終わりゆくラジオ番組の最終回欠けてしまった日々の習慣 

路地裏に迷路ができる濃霧こい甲府盆地の山あいの町 

てのひらに液晶のある未来ではさよならのたび舞い飛ぶほたる 

コンビニのスプーンたちは微睡んでたった一度のくちづけを乞う 

朝の陽はブルーベリーの実に触れてやわく揺らしつ 小鳥を誘う 

音だけがタイムスリップしてきみのいた夏で鳴るこわれたラジオ 

新月のよるには月のB面の音色をきいてねむる黒猫 

この夏のおわりの森でトトロらがたき火をたいて灯した夕日 

歩こうよ濡れるつもりで行けば良い どんな未来もかかってこいよ 

明日から影が痩せてく夏至の日の空地に君を探しにいくよ 

歌姫はブレイクフリーと歌ってた その風穴を行くぞおまえら 

黒い銀 緑の銅に 赤い鉄 金だけなんだ 汚れないのは 

この夏こそ 決戦の時 言い放ち 毎年大した 事は起こらず 

雨止んで紫陽花に情け思いけり藍が極みの鞠重くして  

長過ぎる三つ編み眼鏡アニメオタ気の合う女子だが友だな田中 

無果汁のジュースみたいな恋でした 甘い言葉の正体見たり 

失恋の辛さと速度によく似てる君が弾いてたあのアルペジオ 

この涙、別にアンタのためじゃない カレーが少し辛かったのよ 

平日夜 酒でも飲まねば やっとれん いつからこんなに なってしまったの 

貴方から貰った愛を返せずに 今日もひとりで想いを歌う 

鳥にすら食まれることの拒まれてひかりが看取りしぼくの亡骸 

肉じゃががとても美味しくできたんだ そうだ私と結婚しよう? 

いつかまた 君に会えたら名乗り出よう 「あの日助けて頂いた蜘蛛です」 

あと少し 答え掴めぬ小テスト 蝉のせいよと ひとりごちする 

ソーダ水潜らせボクの恋心ほんの少しでも弾けてくれたら 

石膏像 見つめる先に いわし雲 校舎の隅で何を思うの 

なめらかな夜をふたつに割る音で時計を鳴らす日付なる嘘