霜月の賀状じまいの挨拶文 人の断捨離したよなされたよな
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島影をふたつ浮かべて ふるさとの海は変わらずふところ深く /ただいま
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きみと行く約束だった北海道旅のしおりのページをめくる/敦賀からフェリーで
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歩くには良き塩梅の曇り空 秋桜コスモス愛でつ遠回りして
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昼遅く 立ち食い蕎麦屋 隣席は 動画をみつつ かき込む女性ひとあり
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ひとり旅1年ぶりに故郷ふるさとへ 今宵のうたげは父の手料理
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雪虫のふわふわと舞う秋日和近くの山から冠雪便り
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死の匂う遺恨渦巻くガザの地に停戦の報 祈りの止まぬ
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秋の陽に煌めき眩し海原を目に焼き付ける旅の終わり
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高台の やしろから見る オリオン座 冬が近づく はじめの一歩 
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白無垢の角隠しせる白鷺が水面のあかの金魚かすめり / 朝の公園の池
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通ってたギター教室奥さんの自慢話で終わる休憩
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行く道は次第次第にくらくなり浮かんで消える面影増えて
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「無用の用」我が心にも響き来る鈍き動作も心明るく
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思い出し笑いしながら眠れたら明日はきっとかわいいわたし
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化粧する女は嫌と言っていたそれは私に飽きた言い訳
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カリンバで弾いてみたくてローレライ歌詞書き留める筆サインペン
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すぐそばに愛する人が居た事の糸を切られて漂流している
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また一つ増えてしまった不安ごと 息子の健診結果を盗み見
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ベンチ外 ほとんど吾子と 同年代 思ってしまう 「すぐあきらめるな」 / スポーツの日
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同じ背の姉妹か ふたりおそろいの服 母親と手を繋ぐ坂
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孫ら去り片付け終えたテーブルに二杯分のコーヒーを淹れる
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船室で「お疲れさん」の乾杯す 明日あしたからまたそれぞれの日常
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旅行とかドライブだとかデートとか出来ない代わり時間だけ得る
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迷ってる 思い出ひとつ残さずに逝った毒母どくぼの式に出るかを
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秋風に たなびく雲の 絶え間より ひとすじの光 未来あしたが見ゆる
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庭園の 池の波紋は 浪漫あり 自然の織り成す 命を感じ
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大根の 育ちし畑で鍬振う 見上げる空に秋茜飛ぶ 
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愛が欲し ぬくもり欲しともがいても 応えてくれぬ母 横たわる
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ベランダで伸びする我を吸い上げて翔ばせて欲しい 高く青い空
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