人生の 切符は一枚 みな平等 片道切符で どこまで行こう
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ふくふくのスナップえんどう筋取らば青き匂ひに母の浮かびぬ  /お手伝いの記憶
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しまむらに明日あした行こうか明後日あさってか  本気で悩む笑えて幸せ
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あんぱんと豆乳で栄養補給する そんな日もアリ 明日は来るさ
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悩み事 黒縁写真に 話し掛け… あの頃もっと 話せば良かった…
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補助具着け歩くワンコに歩を合わす若者の眼に温もり宿る
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根雪積む故郷の友手習いのシマエナガ歌う絵手紙届く
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「やさしいね」言われた僕の心には途切れたままの点字ブロック
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可燃ごみ提げ来る老婆に声ひとつ電信柱の上からカラス
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老眼鏡めがねかけソファで足組み本読めば「ハイソな感じ」と死語宣う夫
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行かぬのに風雅なる宿一泊かビジホ二泊か居酒屋談義
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力強く先頭に立つ君だから押し付け過ぎてごめん親指
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祈るよにいだきよせるよ言葉にはならぬ気持ちに突き動かされ
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能登の地に 降り積もる雪容赦なく 苦難に耐へて槌音を待つ 
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刻々と終わり近づく冬惜しむ いつものウォークで汗拭いつつ
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この時を 止めてみたいと 思うほど 寄り添ひ話す 大切な友
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少しだけフライングした春香る 妻と揺蕩たゆたう 蝋梅のみち
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『やさしいね』言われて嬉しくないけれど他に言う事無いからだよね
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届かない背に手を回し保湿する雨が降らないいつからだろう
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大寒の干し物に降る不意の雨 昼餉に高値のキャベツを刻む
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花のない庭にまぶしき甘夏や酸甘の美味いのちの満ちる
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カルシウム足りないのかな意味もなく怒る自分が情けなくなり
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給食の特別メニューが登校を渋る吾子を奮い立たせる
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吾の日々は少し働き少し食べたまに短歌をあげてときめく
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父の遺産めぐり姉妹が争族に逝くなら何も残さずに逝け
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桜の木 寒さに耐えて こっそりと 春着る「べべ」を 機織はたおりしてる
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いけないと思いながらも食したしアイスたけのこコンビニへ行こ
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吾子の絵を飾る壁にはすき間無し どれもピカソを超えたる名画
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今日もまた 命綱巻き 木に登る 仕事集中 悩み忘れる /我きこり
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畑より夫持ち帰り差し出したいびつなキャベツ惜しげなく刻む
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