「あ、かわいい」赤ちゃん見つけ微笑んだ 君もあんなんよ最近まで 

珈琲のあぶくあぶくのそれぞれに我の顔あり我の顔みる 

眠るのがもったいなくて短歌詠む明日あすは昼まで眠ると決める 

暇になり父の後ろをついてゆき喪服着たままコンビニへゆく 

大便をたくさんしても紙に付く便は少ないこともしばしば 

ゲレンデで息子頬張るおむすびを 握る今から帰りが寂し 

寂しさは蒼く燃えると聞きました 私は蒼く光っていますか 

失って 失って失って尚 朝を迎えなければならない 

首筋に残った痣はこの夜を忘れるまでの時間だとする 

退勤の空は日ごとにあかるんで風中かすか春の靴音 

丁寧な暮らしを始めたあの子には 何度傷つけられたことやら 

引き出しをがたりと開けて継ぎ接ぎの歌作ってはそっと仕舞った 

すこしだけ遠くへ行ってみたかった裏切るつもりなんてなかった 

わたくしの想いが我が子の肉となり あの子の言葉が我の血となる 

揺らぎ舞う羽根は命か月の子か産まれ落つ蝶 積もれば雪か 

「たそがれの4番線に参ります列車はすこし泣いております」 

来世ではあなたがママわたしのお父さん親子逆転覚悟なさいな 

「冬だな」と僕が思うと「冬だね」とあなたは笑い、そっと触れる手 

月曜日朝8時半君に会うそのためだけに今日が始まる 

教室のくもった窓に「檸檬」「薔薇」「憂鬱」だとか書いた人だれ? 

どこにでもある町並みにぼくがいる隣町にもぼくがいるのか 

ブックオフにいるおっさんにすら手の届かないかもしれない未来 

吹雪く夜ブレイカー落ち「しまった」と慌てる家族 高鳴り隠せず 

内臓の五枚の画像順々に見せられているクリスマス・イブ 

嗚呼すべて母のせいだということね成績不調もほっぺのニキビも 

<そこに私はいません>だって 当てがありすぎ、花が足りない 

夕飯は鍋にしようと決めた日の 出先で気付くカチコチの肉 

似たような服着て笑う女達保護色の街に紛れて歩く 

傘をとじ初めて気づく雨ヨリのみぞれだったと初雪だったと  

どうぞまた うまく殺してくださいね きっときれいな 花が咲きます