太陽にまみれて輝く君の髪これから夏の季語と制定 

爪に土 娘を僕の母にした歩幅小さくなってく祖父は 

熊よけの電気が走るフェンス超えしなやかに巻く黄緑の蔦 

想い出は数に限りがありまして忘れていくね ごめん母さん 

宙に浮く割り箸の先蕎麦がありショウウィンドウは嘘といえ愛 

花びらの艶失われ気づく夜君つく嘘で桜死にゆく 

人工のまつ毛が騒ぎ若かった彼女の面影仄めかしては 

髪をふく摩擦音ただそれだけで一人の夜はノブが冷たい 

YouTube止まり画面の暗さにて銀歯光らすわれの顔あり 

手で作るピストル真似てこめかみに実弾たまがあっても構わないよね 

珈琲を濃いめに淹れて含んだら四月はつま先で去ってゆき 

エナドリに月光の入る余地はなく見守るだけの 子は受験生 

来年は入学式に行ったきり息子のシャツを畳む手休め 

行く春にほどけそうなる 人を避け人に避けられ透明になる 

産まれたる姪は桜のくちびるで我に笑み向け頬温かし 

夕陽浴び「なんもさ」「だべさ」の帰り道優しく包む大雪山さ 

キッチンに「昨日ごめん」の置き手紙 もっと綺麗な字で書け息子 

探しても本当の私なんてない ようやくわかる人生半周 

「おはよう」の「お」を飲み込んで今日もまた愛想なし男で生きていました 

中指で剣状突起触れながら果たされなかった約束などを 

枯れ桜突き刺されたる寂しさを人型に畳み抱きしめてくれ 

聞いただけ君の名前を聞いただけ痺れはじめるぼくの魂 

既読にもならぬふきだし眺めつつ終わりはいつも夢に似ている 

俺は今日俺であること失敗しちょっと考え「笑う」を選択 

あなたではなくてあなたに愛されて美しかったわたしを惜しむ 

母にしてほしかったこと子にしてる少し羨ましい私がいる 

たんぽぽの道に置き去りした夏の忘れられないあの日の「ごめん」 

休憩中 ポカリスエット 飲む君の 落ちる汗と 私の心  

一口ちょうだいなんて簡単に言ってくる マジでムカつく が、付き合いたい 

帰り道 僅かばかりの恥じらいで折られてしまう葱の気持ちは