青空を 描いたような うつわ買ひ ビタミンカラーの 野菜盛り付け
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段々と 熟し始める 檸檬の実 寒風の中 元気な黄色
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ランクひとつ落としてみよう思案して手に取る米の五㌔が重い
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控え目に 片隅に咲く 秋の薔薇 みなぎる赤色 パワー受け取る
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なぜ我を産んだと母に責めた後赤子にもどる母を子守て
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ひと様の花壇眺めて昼散歩陽に照らされし赤きマンリョウ
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一日の歩数目標少し上げ 落ち葉散り敷く道 揚々と 
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指先が母になりゆく初冬の夕 ポテトグラタン肉じゃがにする
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冷ややかに主治医の口から流れ出る『脳血管性認知症』
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道なりにお進み下さい目的地まだ見えません人生なので
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上弦の 月が放つは 白兎しろうさぎ 落ち葉と共に 風がじゃらして
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 庭なずな白き小さき花なれど可憐に咲きぬ陽だまりの中
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整形とハリの先生真逆言ふ気持ち泳ぎて画像に目凝らす
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山芋も皮をかなくなりました 手抜き料理は破竹はちくの勢い
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おみやげのスモアと東京ばな奈置きビュンと去ってく午年むすめ
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明日の午後母の痴呆の結果聞くどんな結果も母娘ははこですもの
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カレーって飲み物だからココイチで食べても食べた気がしなくって
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とりどりの薬飲む母「ジェネリックさまさまやな」と元気な声で
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野薔薇のいばらは寒さに耐えて茎も実も赤くなりけり 空を見上げて
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麗らかな陽射し翳れば瞬く間 冷える足先 冬を告げをり
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誰しもが 古傷痛む 夜もある 朝は来るから 今はおやすみ
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風邪気味の喉に優しい布マスク着けて眠らん微熱の夜に /手作りのゆるゆるマスク
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少しずつ防雪柵は組まれゆき里の風景日ごとに狭まり
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幸福も不幸もきっと平等だ街ゆく人のきらめく幻影
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観葉樹 渇いた土に 水をやり 根の先までも 届け冬の日
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妹より届きしお芋 熱々のポトフで食みて元気貰ひぬ
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芳香ほうこうが 我の頭を ぬくとめる 妻がのこした 毛糸の帽子
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その涙「ごめん」がいっぱいつまってる溢れる瞳の奥の青空
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もうじきに寒波来たると知る術を尋ねてみたい 舞う雪虫に
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名も知らぬ木に艶々と赤き実や 名も知らぬ鳥梢渡りぬ
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