昨晩の大風なるか軒下に鳥の巣落ちて雛一羽おり
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おひとりのフードコートで食べ終えたスプーン見つめ時間を止める
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土手に咲く知らない草の写真とり調べて楽し皐月の空に
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「あと千歩」まだ歩こうとする父の残りの数を僕も数える
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幸せで散らかった部屋に春の風 ぬるい麦茶と午睡見学
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待ち侘びて運ぶ編み針ゆるやかに カーテン越しに雨の音聞く
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緑なす五月の風の中に立つ白きシャツ着た君が手を振る
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薔薇の棘とりて一輪挿し気づく萎れの早し棘もいのちと
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ガザの子・イスラエルの子ともに汚さざる手に平和を祈る日を望む
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私たち牛豚とりです議員様ココココ米に舞い上がる日々
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息を吸う君の酸素や帰る家 今でもそこにいられているか
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吾の歩く傍ら風のごとく過ぐ登校急ぐ自転車の子等
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今日も又一人の散歩他人ひとはたナスにピーマントマト花咲く
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キレそうになったら見てる 左手の壁を殴ったときの傷跡
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誰とでもすぐ友だちになる人の例外として僕は去ってく
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半夏生白き装い雨を待ちこふべを垂れて炎天に立つ
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日本、喪失さる記憶つゆ思はざる万愚節の甘藍のひしひし
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お互いに次の言葉を探せずに青梅みたいな沈黙が来た
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わからない感情がよくわからない言葉になってぽろぽろ落ちる
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担当の季節のしつらえ褒められて七夕飾りがくるりと回る
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底面に貼ってよ僕の腹の皮膚 いつまで君は船でいられる
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ああ夏だ茗荷と大葉刻む時香りも色も涼やかなり
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ちゃん付けで呼ばれた祖母がひなげしのように微笑む母校の前で
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さき黄の蝶はフェイント楽しげにアカツメクサの野原舞いゆく
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暮れなずむ空と夫と歩く道半夏生はんげしょうの白が揺れてる
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花の名も知らないきみが水をやる滲みあふれる夏の夕暮れ
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七夕のチキンラーメン 紛れ込むタマゴの殻も今日は星屑
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墨を擦り五枚の短冊したためる祈りをこめて月は澄みけり
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暑き日にゆふだちの雲待ち侘びる花壇の花は悩ましきかな
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猛暑日や 高尾の山に蝉が鳴く 我が耳鳴りと区別がつかぬ
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