風避けに あなたのうしろ 歩いてく 52年分の ありがとうを呟いて
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プラマイがゼロになるよう神様が 与えてくれた私の余生
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にゃあと鳴き たまに現れ すっと消え  気ままに見えて 思慮深き君
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ソリをした斜面は枯れ草見えていてベージュと白でお菓子のようで
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オレンジに熟すクチナシゆらゆらと枝葉の揺れる風冷えの午後
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一目惚れ素直になれない浮かれ猫 距離置いている好かれるために
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本読みの君に愛した受験生 本読みすぎよ! 司書危ぶむ
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あなただけ! のつもりだったチョコレート その頃あなたはあのこに笑う
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老い花の恋はまことに見苦しい年老いた今恋も抱かぬ
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恋よりも生活苦やら介護やら若さは強いと老いみておもう
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帰りたい施設の義姉あねのこころ旅 まぼろしの地に毎日帰る
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赤子皆生まれる日時ときを選ぶのかならば選ぶは生きるそのもの
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雪にさす 朝陽あさひの色は 生成り色 忘却の彼方かなた 竹を編む人
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通学の自転車の群れ見送ってはるか昔を思い出す朝
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曇天と 墨汁なぞる アスファルト 雪衣着て 緑待ちわぶ
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ごま団子甘く噛みしめ向かい見る 未来の僕を診るクリニック/団子屋の向かいは糖尿病クリニック
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節水のせせらぎ春の雨まちの人のいとなみおもひやらるる
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食事中テレビ消された幼き日 ウルトラマンの登場前に
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同じこと今夜も話す受話器越し 祖父はただ今二巡目生きる
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今はまだ偉くもないし一般のものだけど結果は藤原の性
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過去形も三人称もいらないわ あなたがここにいてくれるから
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今ひとつ、 気配りせよと 言う声に 己がやれよと 言うはかなわず
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コーヒーの吸い込む湯気の微粒子も君と過ごせばこその愛しさ
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お生憎 おいらは天下の ひねくれだ 罵るものとも 笑み突き合わす
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くだらない? 大いに結構 ありがたい 下り無き道 登り詰めよう
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ムチャぶりの手品みたいなお見事は一年たってやっと初恋
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立ち尽くすスターハウスの真ん中に星がすうっと吸い込まれた夜
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ひい孫が補助輪外しあぶなげに自転車練習冬の公園
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大根の 鋭利な旨味 一筋ひとすじに  集めてからし かいわれ大根 
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「生きるとは誰かを想うこと」と言う君の心に棲む人に傘
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