揚げ油にキッチンペーパー被せたら泣き出すみたいに染み広がった
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犬あびる「かわいい~」の声めぐりゆき「幸せ」きっと、そに還らん
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雲垂るるはざまに光るきざはしは天に昇るや烏帽子の岩は
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雪道の 峠のカーブ 右ゆけば トンネルあかく 我を吸うなり
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ナミビア沙漠われゆかねども紺靑の美靑年など泛べ塩湖に
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風船ガムを膨らめないでいた僕はまだオトナになれない
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ハロウィーンの イベントどうでも 良いのです カボチャオレンジ 溢れる幸せ
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近づけば消えてしまうのわかってる雪より脆い凛とした君
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公園のトイレに灯る明かりさえ胸締め付ける風吹きすさぶ夜
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君がふと あふれるように 笑うから 一滴こぼさず 受け止めに行く
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ほうばったチョコマーブルが錠剤にみえて「最近だいじょぶそ?」
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明日から 雨だと知れば 青空も 日差し富士山 より愛おしい
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階段を かかとはみ出し 登るひと 倒れてこないか ヒヤヒヤしちゃう
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亡き祖母の干したシーツはふんわりとグーグルマップで過去を辿れば
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いたずらに お菓子欲しがり 取りこぼす そんな僕らの ハロウィンの夜
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袋ちぎる赤箱石けん母との湯間ゆのまふと立ちのぼる
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湯に浮かぶ小さき船は温度計てあし伸ばしし子らの今はと
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溜め息を遠慮もなしに吐いてみる どうせ今夜は仮装行列
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今宵だけ ジャックオランタン携えて 僕も甘味を乞うてみようか
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また落ちる 資格の試験に 我嘆き 傾向まるで 成長せずと
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桜葉さくらば 一葉ひとはのこらず 落ち果てて 届かぬ手紙 どどと着くよに
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卵嚢を残し親蜘蛛姿消す 枯れ狗尾草エノコロを朝日が照らす
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手に取れば「小さい気がする」サイズなど家で測って承知なくせに/ザル·鍋等購入時に
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金魚妻 わたしの鉢はちいさくて 今は自由に游いでいるか
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移植されし樹齢二千のオリーブの挿し木ひと枝我が家の庭に「ナガシマフアーム」
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窓開けて 叫ぶ友共に 笑い合う 怒られるまで セットで青春
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クマさんがお待ちなさいと言うけれど喋る個体は危険らしくて
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砂かぶり動かない ママの卵焼き ぼくひとりレジャーシートをたたむ
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肉体は一度死んだら戻らない 心も同じメンタルヘルス /鬱短歌
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何度でも返り咲くのは黴ばかり 深夜だけ出る潔癖のさが
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