逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ これ以上嘘をついたら総理になっちゃう
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ニッコリと営業スマイル手を振って真顔に戻るサロンスタッフ
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全容の分かっていない細胞を何十兆も抱えて生きる
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ストレスが たまる日々でも 気遣いを グリーンスムージー 気休め程度
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立春にこはるの様な赤子来て三歳の君姉さんになる
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自販機のペットボトルが水筒に名前を変える午後の仕事場
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春立つ日きまりのような陽射し受けごみ収集車は給油を受ける
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凶器にもなれる心をひらがなの「あい」に変えてく「飛翔」の時間
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太陽も星もコンパスなるらしき 春待つ白鳥はくちょうシベリア思ふ
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手を繋げなくて悲しい 恋人じゃない人と歩く冬のアメ横
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よどみない圧倒的な語彙力で会話してくるギフテッドの彼
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二人して癌友だねと笑いつつ友に伝える想いあふれる
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永眠を致しましたと通知する者すらおらず風と化してる
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弱き支配到る處に晒されて候補の顏がよごれて立てり
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われの政治に沈みゆく午後の選挙車へ冷たき瞥を送る
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「天使」だの「春」だの言ってる口すべて雪で塞いでしまいたい夜
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冬の夜 炬燵こたつに入り 本を読む 静かな時間 隣にはきみ
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立ち待ちの月に引かれし通院の峠に待てり白雪の富士
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質の悪い初期のうたほど膾炙かいしゃして晶子は「常に悲しむ」と云ふ
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恋なんて 映画で満たす 通り雨 エンドロールに 優しい嘘を
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雪壁に 小さき氷柱つらら群れ集い 崩されては清明に響く
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笑ってるだけで幸せ感じてる きみに会えた日心はぬくい
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電線に雀もふもふ並ぶのをぬくぬく観てる朝のよろこび
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何時も死ぬる覚悟は此処に有り二十九年の絶海孤島
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面影を 見知らぬ人に 重ねては 記憶の彼女 上書きしてみる
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会合を 終えて事務所に 戻る夜 貴女のチョコは 残業食に 
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ただいまと 帰ればきみが お出迎え 一緒にうたた寝 優しい時間
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かぎろいの春野を行かば海の見ゆ 父母眠るふるさとの地の
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玄関に立てば「おかえり」亡母の声 幾年経れど忘れえぬ声
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今はもう土間もかまどもなけれども我を仕込みし祖母眼裏に
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