刻みへ 君よが身に 常世なる 不毀ふきの夜桜 散るをしらねば
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我が赤のセーターと色が一緒と 赤のブーツを履ひて来し友
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平行線交わらぬまま居心地の良き安寧の日を静かに重ね
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息子から「面白いよ」と差し出さる本で温もる家族の時間
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外に出ずる 気もなく窓に 添い見れば 碧空あおぞらすらも 雲重く見ゆ
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オレンジの皮を前歯に貼り付けてキャッキャッ笑って日曜日なり /吾子三歳
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雨光る日曜ぽろぽろぽろぽろとグレン・グールド聴きつつ木立を
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心にも時に生じるビッグバン希薄な宇宙は大気を求め
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Utakataは泡の花咲く大樹の木 若き新芽は冬でも伸びて
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止めどなく 垂れては冷ゆる 鼻の奥 息するたび 冬をのみこむ
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さようなら手を振りその場過ぎ去ればぽつんと終わった速すぎだろう
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王将の守りの駒が逃げ道を塞いで負ける それも人生
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石畳いしだたみの あの道のカフェが 恋しくて 窓際に座り あなたを探す
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コミカルに 介護続ける 親友の 基本姿勢は 恐らく愛情
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子の頃に一瞬目にしたオニヤンマいまではキャンプの虫除けフィギュア
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お題【悲惨】 完璧にマニキュア塗って乾くのを待つにトイレもよおした時
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勉強に しがみつくのは 辛いけど 手を離しても 行く場所はない
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ひとりだと 墓も建てれぬと 聞かされ 母の遺骨をいだき 戸惑とまど
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カチコチのこころの可動域狭し 広げにゆこう短歌の森へ
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外交の都合に翻弄される熊猫クマ 日本恋しと鳴いてはおらぬか
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冬ざれの野道を行かば一斉に鳥飛び立ちて梢に集く
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ふかふかの雪は五寸を越すほどかサラサラと落ちスコップに残らず
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重ねても 吐き出す穴があったとて 愛してくれぬ ただの女形にんぎょう
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かつて来し 森の温室 夜は冷えて 君の名付けし 星灯草せいびそう 咲く
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遠出して昔の赴任地通りなば 思ひ出手繰たぐりて多弁となるつま
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ウイルスは稀に網膜惑わして街のカラスが青く見えたり
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冬枯れの 木にも命が 脈々と 枝を払いて 春を待ち侘び
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ラブソングみたいな空だ冬風に星瞬いて輝く空は
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公園の前身は駅誰ぞ知る光りつつ舞う六花に問わん
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竹を食むパンダの消えし園のなか働く人の靴の音ひびく
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