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風呂あがり衣服のなくて騒ぐ夢 待つ旧友は雪の道去る
12
麓より風に煽られし竹林は
頂
(
いただき
)
目ざす竜の背に見ゆ
17
そこにある 風じゃない声 耳澄ます 人差し指で評する前に
20
亡くなりし犬のにほひの残る家 庭の
白梅
(
シラウメ
)
今年も咲いて
54
クレヨンとハートのシールいっぱいに幼子作る母の日カード
16
気が付けば使い始めた有り難く 親のためにと付けた手すりを
33
何者にもならないという幸せがある 今日僕は僕になったよ
11
過活動膀胱に泣き二十年治してくれる医者いませんか
4
遠慮なく気兼ねなく座る優先席 敬老パスを初めて使う日
16
ドアが開き目の前に見えるエレベーター 今日は乗ろうか私はシニア
14
短歌
(
うた
)
を読み思い起こすは故郷の一家総出の田植えの五月
17
眠る
犬
(
こ
)
の耳元にそっと「さんぽだよ」ささやく夫に優しさを見る
21
ビルケナウにガザの髪触れ合ひ混じり死の後も死者なりき兄妹
13
木香薔薇の花言葉を純潔 死へかけがへのあるものならば
9
萌黄野へ蝶たちぬわづか血をふふみおとうとの吹く Gute Nacht
6
近親相姦兆す鳩小屋いもうとは髪切り散らし兵率ゐしに
5
半身不随のあには車椅子へくくりぬ両脚に雛罌粟の一輪 かれき
7
生活の刹那そのまま切り取って湯気が立つよな歌詠いたい
54
急かされているかのように生きている まずい気がする まずい気がする
8
二度咲きは小さく可憐 夏空に薄紫の藤の花咲く
27
夏休み静けさの中出勤す 校庭には
早
(
はや
)
工事の足場
42
音も無く
陽炎
(
かげろう
)
ゆれる濃い桃の
百日紅
(
さるすべり
)
咲く 誰も居ぬ午後
50
五輪祭 地続きで鳴る銃声よ
79
年の広島忌
哉
(
かな
)
35
気がつけば靴も鞄もTシャツも電車柄だね二歳のわが子
38
油絵のような大雲黄金色 夏の夕暮れただ息を呑む
37
「まだ読むの?」疲れた兄ちゃん逃げたいが 一歳あと追う「もういっかい!」
24
波音に耳を澄ませば満ちてくる 人は何処かに
渞
(
みなもと
)
を持つ
38
外国語 学び初めて知る 母語の 身近にあふれる月とお日さま
28
夜のびて 雨雲 空を隠すとも 月日はいつも この世 照らして
26
解体の音もさみしき秋の雨誰かが住んだ家が無くなる
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