折り鶴がカサリと落ちる音ひとつ引き戸の指を引き留める朝
18
短歌うたを読み思い起こすは故郷の一家総出の田植えの五月
18
芝生には立ち入り禁止のロープあり 輝く初夏の聖域のよに
38
手抜きでも「美味しい」と言ってくれるひと それで上がらぬ私の腕が
18
後追いの一歳児連れてフラダンス ママの背中はゆりかごになり
15
待ちわびて 影が染みつく 夕のころ かどから不意に 母はあらわれ/ 2 019.4
22
あの時が 最後だったと思い出す 未来が見えて だきしめる今
25
熊避けの鈴の音聞こゆ緑道で 白き雲見し夏がまた来る
34
九州の醤油は甘いいっぱいの砂糖を入れるように彼女も
5
ひそやかに小さな本棚組み立てる 幼子眠る土曜日の午後
43
鼻奥はなおくの 腫れ物ひとつ 何ゆえに グズつく空には わかるまいて
20
珈琲の湯気ゆらゆらと 夜に溶け 遠くに灯りのともる日を待つ
31
旅路にて カクテル作り ほの暗く 語り尽くそう 今日の思い出
10
切り株が そろそろ休めと声かける 疲れし人を労ねぎらふがごと
31
群青の 心とそらは 比例して 淋しき今宵こよい 上弦の月
29
思春期の 中学68年生 卒業試験に苦戦しており
23
夕食の酒のあてには温しもの ふと思いたる雨の午後なり
21
鳥歌ひ魚は泳ぐ思ふまま我ら持ちたし自由と平和
33
山々の 隙間から湧く 白雲は 悲心ひしんつづる 付箋ふせんの様で
16
老犬は一生懸命生きている 介護しながら癒される日々
33
空中に絵を描けるペン、マジである!絵空事って、未来の話。
6
やっぱりねゴミには出せない 眺め入る箱一杯の子供の作品
32
星ならば 見えて届かぬ あたりまえ 君との間 30光年
24
30年前の君から 今届く 宇宙の中ではすぐ そこに居る
25
パリの夜 歯車合わず無念でも 静かな焔 泪で揺らし
11
逃げ水が ゆれる歩道に 一人立つ 麦わら帽子の 丸い濃い影
31
親と子が 孫とひ孫の顔になり ひいじいちゃんの思い出話
34
「正しい教育と歴史認識のもとにわれわれパリ市民は生まれた」
7
父殴てる馴犬哀し。頸枷に「愛われを創れり」彫られて
6
歴史喪失そののち四月朔へと雪 長靴の裡入るけがれ
6