瀬戸内の君のレモンを瓶に詰め氷砂糖と共にとけたい
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泣きながら顔をうずめた母の胸 毛布のような柔らかなぬく
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夕暮れのベランダ止まる磯鵯ひよどりよ その歌声で秋呼び寄せよ
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故郷の最高気温を確かめて仕事を始める朝のひととき
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「ありがとう」義母謹製のベビー服 貴女と書いて めいわくと読む
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解けるのは僕にはせいぜいサイゼリア 間違いだらけの人生だから
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わた雲に 乗れば遠くへ 行けそうで 秋を迎えに 行きたし酷暑
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お下がりで頂いてきた水羊羹ここぞと食う日暫く続く
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終わりまで見届けたげる貴方をね カラッと燃え尽きてちょうだい
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目が合えば声出し笑う赤ちゃんの癒しのパワー何にも勝る
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背を向ける夏 葉月末 蝉のに交じり 奏でるツクツクボウシ
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遠凪の銀にきらめく蜃気楼海はキミなど呼んではいない
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散り散りと天使輪舞し月照らすシリアイエメンアフガニスタン
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サボり衆 勉強会の名のもとに 地理の教科書食うように寝てたね
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あふれ出る涙ですぐに切る電話 実家のチロの死を知らされて
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食べ終わり すぐに再会 黒猫ちゃん 皿の真ん中 アイコンタクト/ねこ母CATさま
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帰途の空仰げば 旅客機は西へ 反射す夕陽の光を
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日暮れ前 雉鳩きじばと鳴いて挨拶を 帰ってきたなら秋ももうすぐ
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はじまりを 胸に刻みて 抱き合えば 幕開けは 私らの舞台
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新しくタオルをおろしバス停で汗をぬぐうと風は涼やか
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鍋蓋を盾にし作るミートソース石礫いしつぶて浴び痕残る腕
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グーグルが言語の壁を崩しても ありがとうだけは口で言いたい
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何者になれなくてもね いいんだよ あなたはあなたを生きればいいの
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あらかじめ 己の自尊心プライド 捨てとけば 何をされても 傷つかなかった
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どの時も訃報は唐突今日だけは聞きたくはない 雨ふり続く
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教室に 居ても馴染まぬ 私には Utakataここがホントの 居場所と思ふ
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手にとった 在り来たりなもの 悠久の 時の作品 この一瞬も
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炎天のアドバンテージ手を伸ばしキミごと全部つかみ取りたい
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ひさかたの光が揺れるジェットバスあたしは波に身を委ねてる
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なまめかし幹を撫でたい百日紅さるすべり 風吹く中で花が音たて
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