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戦争にゆかさるるわれらの平和 「今そこにある危機」を忘れて
5
ぜんそくのこどもの病室あかりがみえる 明けないよるをなみだぬぐいて
15
あなたには 長生きをしてほしいから ポテチは私が食べてあげます
43
めいわくをかけてもいいという人に 肩ちからぬけ安堵のためいき
12
口ずさむ孫のミサ曲やさしくて 生きる深きを海面にえがく
15
リハビリのジムにときめく冒険は コードがともの宇宙遊泳
11
私だけ見える七色 麓まで尾を振る君とふたり駆け出す
8
私から私に向けての通知表 よく頑張ったねのいちごタルト
10
ストロベリー・ナイト・ケイクス 君の頼みでも一緒には死ねない
7
サンタにも病魔とりつきリハビリ中 さちとどけたい杖つきつつも
8
ふらふらにリズム追いかけリハビリで こころとからだおどるエアロビ
13
蟻ひとつころさぬひとのやさしさは 競う世のなか踏みつぶされて
19
風が止むその一瞬の静寂に (I’ll be there) 踵を鳴らす
7
朝まだきあかりの家のあちこちに 通院の闇ほのかに照らす
10
更年期という手袋をはめつつ冷え性という靴下も履く
20
ブロッコリー トマトにみかん パン うどん 一歳児にも食の歳時記
43
精神病院
(
1983年の手記。
)
より愛を込めて――、アール・ブリュットなどに興ずる昼を。
3
断乳に張り裂けるほど泣く吾子を 抱きしめる夜 卯の
小晦日
(
こつごもり
)
41
正月に夫の顔をまじまじと見て気づくなり永井荷風似
17
玄関であからさまなる孤独みて俯き知ったパンプスの傷
19
もういいと顔を覆った夜でさえフープピアスはきらきら揺れて
11
明日には他人に戻る日の夜の風呂の温度は少し熱くて
6
濁っても水面は光り水流は永遠の向こうがわまで続く
5
さよならを預け荷物に潜ませて定刻遅れの飛行機を待つ
7
花束を貰った人になりたくてもらった薔薇はすぐに枯らした
7
売り場さえ 何処にあるのか わからない 天国ゆきの 切符をさがす
29
珈琲が飲めない私にはカフェモカ後のキスも苦すぎ
8
美味そうに何食べてんだ佐川君一口くれよなぜ隠すんだ
10
一歳半 床に突っ伏し駄々こねて 小さな神様 にんげんになる
56
いち、にい、さん ワルツのリズムで近付くと猫も君も逃げずに留まる
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