幼子は狭き我が家を駆け抜ける まだまだ寝ないと親から逃げて
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八重桜 共に過ごした年月が 古き団地に静かに咲いて
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千の風 愛しき人の元に吹き 涙乾くが一番嬉し事らしき
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そぞろ行く のぼりはためく城下町 つがいの鳩も食べ歩き楽しと
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ゴーカート 君の最初のドライブは、僕の〝人生最高〟になる
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そのへんの言葉じゃサイズが合わなくて 裸の気持ちがくしゃみをひとつ
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長旅の土産は特大洗濯物 連休最後のベランダ飾る
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朝食後 歯みがき洗濯洗い物 天気に尋ねる優先順位
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新しい友を得たよな気になって 歌詠み始めて間もない私
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辛い日も「置かれた場所で咲きなさい」の言葉を胸にスタートしてみる
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「はい、これ」と寡黙な息子さりげなく手渡すピンクのカーネーション
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久々にフルート吹けば思い出す仲間と演奏あのステージを
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歌詠みで他人ひとの生き方垣間見る改めて知る短歌の世界
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ポケットの奥底にある重力の 行き着く先が誘蛾灯でも
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マスク取る日常戻り薄化粧 日除けの帽子は深めに被り
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染みついた タールのような 悲しみが 不意に顔だす 皐月さつきの青空
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あの時が 最後だったと思い出す 未来が見えて だきしめる今
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思わない 方に転がる 一輪車 クリもナナカマドも 花は真っ白
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うっすらと透けて見えたる人間味 貴方の中に宿った命
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珈琲の湯気ゆらゆらと 夜に溶け 遠くに灯りのともる日を待つ
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静寂な ひなたの庭に カッコウが 今時いまときを告げ 草を引くわれ
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夢の中だけでも誰かに好かれてたい 月を見上げる狼くらいに
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少しずつ君の背中を触ること慣れてきたのに必要ないね
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「駆け抜けてみれば一瞬だったよね」笑える僕らは歴史を紡ぐ
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生活の刹那そのまま切り取って湯気が立つよな歌詠いたい
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あせも止め 吾子の体に塗る薬 小さな小さな背中を撫でる
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ポロネーズ第六番の律動は波蘭の舞踊と言ひし母かな
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「7月に家族で旅行に行くんだよ」片麻痺のとも笑って泣いて
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子カラスの 巣立ち終わりの 静けさよ 朝が来たのも 気付かぬまでに
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十四の少年こそが血と柘榴について語れ神話の如く
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