夜の言葉星くれなゐの花樗そのほそつづらなす窓居に醒めし
18
禁慾の庭園ならで忌憚の百花白百合の髄蘂ゆこぼるる音せし
10
空中斜塔泛ぶ散水機の鎌頸もたげつる霞の花圏より七牆
12
海嘯の寄する額へ魘されて華窓ありし うつそみからいづ
16
常識こそうたがはるるまへひとは鳥なりし うたがはば飛べざらむ
17
老犬は反応も失せて寝てばかり も一度見たいよ元気なキミを
40
「はい、これ」と差し出す袋 あっケーキ! 息子に祝われる今日は結婚記念日きねんび
35
扉閉じ  密かにもゆる  夜の折  火照る体感  肌に伝わる
7
情け無い  貴方がそこに  いる事に  目を背けるは  恥じらい隠す
7
君が過去詠んだあらゆる葛藤がどうしようもなく私でもある
28
Auschwitzの門, Gazaの門 は黑白な すふかき雪 に鎖さ れて 、
9
たれが歴史をくりかへすのか その文書の一ページ目は からはじまつてゐる 、
8
吾の日々は少し働き少し食べたまに短歌をあげてときめく
35
繰返す  韋編三絶  道を征く  挑み結ぶは  或る日の想い
9
やわらかく降る雪見ればよみがえる雪かきをする父の姿が
36
カレンダー今年初めてめくった日新たな私の老いがはじまる
31
胸痛み必要悪は叩かれる最期に魅せる小林多喜二
13
艶のない髪の毛さっぱり切った日の鏡のわたし笑顔が咲いた
38
春支度空が始めてきたらしいあなたに知らせたくなる匂い
31
「付き合って何もないから逢わない」とラブレター来た人から言われ
9
頼もしい人が現れまずはいい結果をにいい天気いい笑み
13
欠伸から疲れていると知ったのに若いのでまた古希を忘れて
13
嚥下障害子らにも旬の味わいを「あったらいいな」形は春に
23
耐えて勝ち運を逃さずドラフラのいいね決勝進出ビール
12
スマホには操られぬとリテラシー半信半疑考えが似て
14
達成はハットトリック活躍へ期待に応え愛されただけ
9
眠れないまたも嬉しい寝不足はお泊りに来た君のせいだよ
14
故郷の父も電話の詐欺に遭い青菜に塩の様子が辛い
27
カド番のもう古希あっけなく2敗はや過活動膀胱にイヤ
12
週末にかけて寒さが逆戻り今日はお花見今日は初恋
15