土曜2時 ベッドの上で 飲むミルク酒を美味いと思えないまま
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長いこと生きてる気がする 僕だけど。ばあちゃんと並び月を見ていた
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風はもう冷たく 君も もう遠く また一つ散る 木の葉 言の葉 
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あの日目に焼き付けた君剥がせずに瞳を閉じて冬を迎える
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レジ前で落とした十円気づかずに 去ろうとする爺 追いかける義理
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紛争のガザの地区では停戦と  始めるは大人幼児ら犠牲
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神様の数限りなく今日の日は金木犀の色の夕焼け
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金木犀キンモクセイ今も香っているかしら海風はこぶのともる
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暴れ熊 人の都合で いかれども  俺等おれらも動物 ごめん戦う
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渋柿しぶがきに 焼酎しょうちゅうかけて 二週間 甘柿あまがきよりも かがや身不知みしらず 
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冗談のように言った好きは今 微妙な色を持って沈んでく
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宝くじ クイックワンは やると負け 何度も買って 何度も負けた
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動けないまでではないが動きたくない予定がよぎる微熱の日
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白鷺は細きあしして草を分けひょろ首伸ばし川面覗きぬ
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湯の川を揃ってゆったり魚たち群がるところが湯の湧くところ
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気付いたら視線は自然と斜め前 あなたを見ぬようドリルに耽る
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誕生日も血液型も知らない 占える手段は名前だけ
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天気予報に嘘つかれ 夏の名残を薄手のセーターで迎える
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ひたすらに眠ることと食べること 愛しさ増して 我が家の老犬 \ もうすぐ17歳
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秋麗あきうららうららうらら🎵で心はずみ子らを待つ吾に亡父母おや重なりぬ
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迷い猫 網戸越あみどごしから のぞいてる  愛嬌あいきょうに負け 煮干にぼしを渡す
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街灯の 一つも照らぬ 田圃道たんぼみち  あおいだ先に 天象儀てんしょうぎ
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久々に犬も食わないナンとやら 秋刀魚の塩焼き二人で黙食
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傘の中滲む視界に出た弱音雨は優しくかき消してゆく
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クレープが焼けぬようにと願うのは まだ二人帰りたくないから
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気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
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咳をして 皿を洗って片付けて お風呂をためて 泣いても 一人
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歯の中に 私の抜けた 歯があって カラカラいって 少し寂しい。
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ひとひらの落ちた銀杏が集まって アスファルトに黄色のおめかし
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近頃の 秋は玉響たまゆら なればこそ  鱗雲うろこぐもさえ はかなく見える
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