幽遠に  妖しく灯る  枯淡の地  回帰したるは  或る日の位相
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気が付けば小さなつぼみ沈丁花 嬉しい発見 寒い朝に
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終焉が  オドロオドロと  迫り来る  進め青年  死はまだ早い 
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朝日受け川面に遊ぶ白鷺しらさぎの優美な姿 似つかぬダミ声
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Auschwitzの門, Gazaの門 は黑白な すふかき雪 に鎖さ れて 、
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たれが歴史をくりかへすのか その文書の一ページ目は からはじまつてゐる 、
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ルビの雪 、が 降ります、と、雨、に潰ゆ、 る、 いのち が、ほら 、ほら、と 、
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                               | 、
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ころされたいのちをかへせいまのいまもころされてゆくいのちをかへせ
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吾の日々は少し働き少し食べたまに短歌をあげてときめく
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日が伸びて 山際追えば からっ風 春は遠しと 瞼に告げる
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やわらかく降る雪見ればよみがえる雪かきをする父の姿が
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カレンダー今年初めてめくった日新たな私の老いがはじまる
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たくさんの 出会いと別れ その中で 友と呼ぶには 特別なきみ
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どこまでも つかみどころのないきみが 正直言って 忘れられない
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明けぬ夜 ないと大人は 言うけれど 終わらぬ夜を 夢見て眠る
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大丈夫ではないけれど大丈夫 だって君がそう聞いてくるから
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胸痛み必要悪は叩かれる最期に魅せる小林多喜二
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艶のない髪の毛さっぱり切った日の鏡のわたし笑顔が咲いた
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春支度空が始めてきたらしいあなたに知らせたくなる匂い
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窓際に立って雨粒の落ちる様を見ている冷気がしのび寄る日に
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「付き合って何もないから逢わない」とラブレター来た人から言われ
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頼もしい人が現れまずはいい結果をにいい天気いい笑み
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欠伸から疲れていると知ったのに若いのでまた古希を忘れて
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嚥下障害子らにも旬の味わいを「あったらいいな」形は春に
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耐えて勝ち運を逃さずドラフラのいいね決勝進出ビール
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スマホには操られぬとリテラシー半信半疑考えが似て
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春雪や 桜咲く声 震わせて 粛々と打つ 虫籠る地に
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部室前 寄り合う楽器と戯れる 悴むぐらいに冷たい廊下
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達成はハットトリック活躍へ期待に応え愛されただけ
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