携帯も 本も見ずただ 穏やかな 景色を眺む 各駅停車
32
父に似た人 二度見して すれちがい 背中見送り 春 ひとめぐり
60
街明かりと 星の灯りの ボーダーで グズグズしてる 春分け近し
47
元部下と 神田駅にて 再会し ランチ富士そば 思い出の場
29
死ななくていいんだよって理解わからせて機械になりきってきた身体に
8
クシナダは 春の陽を浴び プラチナの 光りを放つ つるぎ のような
44
病窓に朝を告げ来る鳥の声見上げる空に朝焼けの雲
33
思い出は 巡る季節に 風化して この春消えた 君の面影
19
今はまだ他の楽しび知らねども 新芽のやうに伸ぶるてのひら
10
ランドセル 登校最後 君の背が 大きく光る 六年の時
30
幸運を祈っているよ自らの春を目指して飛立つツグミ
56
打ち合わせ 終えて飛び込む とんかつ屋 勝利を願い ヒレをほうばり
33
メイドイン ジャパンの武器で あの子らが ころされる前に やめてください
43
今までに捨てたレシートを集めて 何度折ったら月に届くか?
9
おぼろげな光をまとい 春の月 しんと更けゆく夜を照らしつ
29
卒園式 子どものパワーに負けまいと フルートを吹く 気合いを入れて / 謝恩会にて
48
野花詠み妻偲ぶひと我に沁む はじめて知った「狐の剃刀」/キツネのカミソリ 
11
卒業を見守る親の列長く親の歩みも一段落か
16
菜の花の 苦味が鼻を ぬけてゆく 熱燗にして 「立山二合」
47
「うたかた」の色取り取りの生活を眺めておれば今日も安穏
15
あの頃はヒロシマだった広島の戦後八十年も戦前
24
無駄足を何度も踏んだ野心家はしつこく古希の初恋をまた
28
愛拗れ難儀なるかな かのひとは 麻婆豆腐憎や恋しや
14
球根のでし芽見んと四つ這いになりて地中の温さ伝わり
26
枝先に 萌黄色のちさき若葉 心細げに 春風に震え
23
「反戦歌うたっても武器作るなよ」被爆二世が言ってもムダか
32
居た場所に もう居ないこと 追いかける 言葉はゆっくり 植物に似て
44
また不意に 寄せて返すこの悲しみは われら家族を しばらく去らぬ
31
初嵐 威勢良き名は 見目無垢の椿と知りぬ 詠う人いて
18
これほどに 待ち望む花が 他にあらむ 古きより胸に 刻み込まれて
27