入り浸る飲み屋の影にいる子猫そっと抱き上げ毛づくろいする
12
滝の音聞こへ来そふな油絵の水霧飛び来て吾にかかるごと
42
六十路なる吾の通信簿 理音四 国美社が三 数体下がり二
42
想い出は街をぐるりと歩いた日 兄の遺した紬をほどく
39
歩いてく 夜中の帰路を 隣り合い 父と話せば アイスが溶ける
15
目薬をささんと上をみれば空、カラスよこぎる いっぱいに空
21
納豆にねぎを刻んでかき混ぜてご飯にのせる朝八時半
9
床の間に 松と大きな 菊飾り 家族の声を 聞く年としたい / 抱負
42
幾人の旅立ちの日を立ち合いて去年の夏のぬける青空
29
健やかに新年迎う四世代広き窓辺に初日差しくる
36
年越しの天ぷらそばを食べ終わり除夜の鐘の音かすかに響く
14
独り身の寂しさ煮詰めたかのようなレトルトカレー食む寝正月
27
そんな夜はひっくりかえったスリッパとお話するのさ。おもて向くまで
22
「わたしのお母さんはおばあちゃんです」ちょっと恥ずかし次女の作文
29
噴水が落ちる間際に映し出す街は眩しく崩れていたり
27
バブルだった。 氷河期がきて ミレニアム、 Zときたか 雪の日の晴れ着 / 成人の日
37
寒風に負けるもんかと下向きの椿の花が一輪二輪
19
搜すあて会うつてなども閉ざされて屋根からの雪ドドドっと落ちる
33
春風の運んだような筆跡で 顔も知らない君に恋した /創作短歌「手紙」
21
一筋の祈りみたいな名前やね「のぞみ」私は東京へ発つ
23
エアコンの温風ならずフィルターを開けてビックリ埃の山で
19
木の枝の何処に潜みし寒すずめ一斉飛び立ち空色変へし
50
短歌うたで知る大雪の地のご苦労に寒いくらいで負けてごめんと
27
窓を打つ風が夜通し哭いていてもらい泣きする眠れない夜
21
忘れてた 言葉をキミが レンチンし 去年の夏が 今夜のごはん
19
たった今 Bluetoothで ペアリング 去年の記憶を 君が再生
16
勉強に しがみつくのは 辛いけど 手を離しても 行く場所はない
34
朝日射す清くて強い眩しさに私は灰になってしまおう
26
受話器越し 短歌を詠んでいる キミの聲 この瞬間も 短歌のなかに
13
きっと君は女を使い捨てしないでもそのノックに応えられない
29