最終便  繋ぐ右手の温もりと左手刺さる入場券と
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東屋あずまやでひと時いこう花見行き先客の花びらが鎮座す
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六十で動けぬ吾あり七十でテキパキ動くヘルパーさんあり
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暑い時毛糸さわるの嫌だから束子たわし編むのは春の手仕事
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「たまに良し」ビールの泡に閉じ込めて 蕎麦を待つ間の自由な私
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夫と私同じ表情かおして交わす一言オオタニサン 今日の天気や如何ならん
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眠ってた 冷食ストック 呼び出して ランチのお供 赤玉ワイン
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それと知らずAIジャズに揺さぶられプレイリスト上書きの夜
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日常を取り戻すらし夫の朝わずかな朝餉をゆっくりと食む
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やや強き風に誘われダンスするTシャツ・ジーンズ春だ春だと
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春の晴れ三日続かず それも良し 夜を潤す雨の優しき
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人の世の 常とはいへど無情なり 親しき友の鬼籍の報せ 
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池回り一、五キロの遊歩道 風のランナー吾を三回抜きさり
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別れの日散りゆく花に送られて残り香撒きつ花道去りぬ
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本来の 役割果たせず やさぐれて フテ寝している エアロバイク 
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はな咲くも 風雨が散らし 形無かたなしに  憂世うきよを写す 春嵐しゅんらんの候
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ほろ酔いの花渦まいて桜みち春の嵐に蒲公英の咲く
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夜を裂く百足起こしの春雷よ何もせぬから刺すなと告げて
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校庭のソメイヨシノも静まれり学科授業の開始を待って
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悔しいよマイクを持つと歌えない爪の先まで唄っているのに
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花は散り 桜の珈琲淹れる朝 淡きにほいに 満たされていく
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豪州の肉を噛みつつ和牛とはかくも遠きか年金の日々
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「重たいか」心配そうに母の声 荷を持つための我が手なりしも
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山椒の新芽の相違 尋ぬれば 犬山椒いぬざんしょうなる憎めぬ騙し
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雨打たれ 散った桜は 悲しげも 隣に咲いた 藤は輝き
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聞き慣れた 値上げインフレ 少子化も 現時点では 序の口という
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我が部屋に干したシーツの洗剤の香りの満ちて雨の音優し
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痩せないといけないのかな?寝る前にとりあえずやるストレッチだけ
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残雪に うさぎの姿浮かび出で 雪解け水が田に満ち光る 
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雨の日に雨を歌ひし曲聞かば ひととき昭和がワープし戻り来
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