FRIDAYスクープされたタレントの横でモザイクの俺と彼女
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おも浮かぶ そろばん塾より帰る吾を 頬被りの亡母はは夜道に待ちをり
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蟹のよう 前に進めずあちこちと 逃げ回るだけ 「脱皮」ができたら
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田舎町寂しい曇天増えるころ茶色の田んぼ白鳥賑わい
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だれひとり 我のことなど見ていない 下は向かない 空みてるから
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大空に 大鷹おおたかの舞う 夢を見て 腰は痛いが 心晴れやか
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使用後に硬貨が戻るロッカーの百円のように無意味な夫婦喧嘩バトル
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男ふたつ乳房に手を添えて啜り泣いており紅葉遂に散る夕方に
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ようやっと布団からぬるり頭出す 肌寒き朝にカタツムリとなる
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嬉しさに 笑顔があふれ 悲しみに 涙 流せる そんな人が
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思い立ち電話の向こう寝込むに行けぬもどかし心は募る
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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電線のスズメをぜんぶ奏でたらラフマニノフが聴こえるだろう
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大虐殺 風邪引き鶏がころされる うつらないけど 日本では南無
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老眼に優し 暦求めて 買ったのに サイズ間違え 途方にくれる
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天海の冥色めいしょくまとい鬼気ひそみ背に打ち寄せる波の慟哭
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茹で上げた落花生食む夕餉時秋の夜長に会話弾みて(再々考)
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物故者に黙祷ささげ始まりし同窓会に集う古希たち
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なぜダメか教えてほしい 自販機に拒絶されてる硬貨はわたし
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この道を、歩むと決めたあの日から。決まっていたの ふたりの運命さだめ
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未だまだ苅田の草は青きまま木枯らし吹きて冬田となりけり
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ちんちんの湯を注ぎたる湯たんぽにタオル巻きして母の寝床へ / 猫好き様へのオマージュ
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鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
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ベタベタと嫌な思い出 手に付いたガムシロならば拭えるものを
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人里の轍踏み分け鳴く熊の声におののき窓を閉め切る奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき /リライト
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明日こそは外出すると息巻いて 昨夜準備をしたはずだった
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誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
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足早に変わる葉色をつらまえず腐りたなびく枯葉の鴉
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さりげなく餅の話題をはさむ母そうきたかって話題をそらす/介護
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米 毎回チョイかために炊く炊飯器 そこがお前の良いところだよな
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