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FRIDAYスクープされたタレントの横でモザイクの俺と彼女
29
想
(
おも
)
浮かぶ そろばん塾より帰る吾を 頬被りの
亡母
(
はは
)
夜道に待ちをり
46
蟹のよう 前に進めずあちこちと 逃げ回るだけ 「脱皮」ができたら
15
田舎町寂しい曇天増えるころ茶色の田んぼ白鳥賑わい
37
だれひとり 我のことなど見ていない 下は向かない 空みてるから
18
大空に
大鷹
(
おおたか
)
の舞う 夢を見て 腰は痛いが 心晴れやか
32
使用後に硬貨が戻るロッカーの百円のように無意味な
夫婦喧嘩
(
バトル
)
22
男ふたつ乳房に手を添えて啜り泣いており紅葉遂に散る夕方に
10
ようやっと布団からぬるり頭出す 肌寒き朝にカタツムリとなる
23
嬉しさに 笑顔があふれ 悲しみに 涙 流せる そんな人が
良
(
い
)
い
32
思い立ち電話の向こう寝込む
娘
(
こ
)
に行けぬもどかし心は募る
17
一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
38
電線のスズメをぜんぶ奏でたらラフマニノフが聴こえるだろう
14
大虐殺 風邪引き鶏がころされる うつらないけど 日本では南無
15
老眼
(
め
)
に優し 暦求めて 買ったのに サイズ間違え 途方にくれる
18
天海の
冥色
(
めいしょく
)
まとい鬼気ひそみ背に打ち寄せる波の慟哭
31
茹で上げた落花生食む夕餉時秋の夜長に会話弾みて(再々考)
17
物故者に黙祷ささげ始まりし同窓会に集う古希たち
23
なぜダメか教えてほしい 自販機に拒絶されてる硬貨はわたし
31
この道を、歩むと決めたあの日から。決まっていたの ふたりの
運命
(
さだめ
)
10
未だまだ苅田の草は青きまま木枯らし吹きて冬田となりけり
46
ちんちんの湯を注ぎたる湯たんぽにタオル巻きして母の寝床へ / 猫好き様へのオマージュ
16
鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
47
ベタベタと嫌な思い出 手に付いたガムシロならば拭えるものを
23
人里の轍踏み分け鳴く熊の声におののき窓を閉め切る
(
奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の声聞くときぞ秋は悲しき
)
/リライト
15
明日こそは外出すると息巻いて 昨夜準備をしたはずだった
20
誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
21
足早に変わる葉色をつらまえず腐りたなびく枯葉の鴉
9
さりげなく餅の話題をはさむ母そうきたかって話題をそらす/介護
33
米 毎回チョイかために炊く炊飯器 そこがお前の良いところだよな
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