想い出は街をぐるりと歩いた日 兄の遺した紬をほどく
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暁に 消え入りそうな下弦月 師走の空の雲間隠るる 
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納言女史「冬はつとめて」って正気かよ 暗くて眠くて冷たいだけじゃん
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会長の上に名誉が付くなんて殿堂入りということですか
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誇らしく働く汗はきんの汗 黄金郷は心に宿り
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にゃんにゃーん そろそろオヤツの じかんだよ ねこたち なぜに じかんがわかる
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空気澄み 雪被る山 遠く見て 冬の覚悟と 春待つ希望
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死期が来る 春のどこかね そのころは 皆笑うのね 四季が来たねと
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薔薇色と すみれ混ぜたる 揚羽蝶あげはちょうの 形崩して 逝く夕雲よ
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清しきは冬の日の出のまばゆさよ 干し物しつつ息白くして
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スマホでも着信音は黒電話まぎれず目立つと介護の折に
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怖いから歯をむき出して威嚇する 動物すらもしない仕草で
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ジーンズで来たらダメとの御触れ出て迎えた社長ジーンズでした
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日和見はもはや手遅れ国挙げて洞ヶ峠を転がり墜つる
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旧友とメールやり取り そつなくも AI作のコピペが映える
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疲れたと床に寝転び一休み、いや三休み、五つ休みか
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雲のない夕暮れの山その奥にそびえるあの山クリアに捉え/冬の晴れた日限定
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みつめあう ねことねこのて にぎってる このまま永遠に ここより永遠に
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みどりごのはだかの足がぶらさがり 若い夫婦のリュックの脇に
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喫茶店 シックなスーツ 着こなした 雅な漢 思わず惚れる
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この世には フフと此方こちらが 微笑みを してしまうほど 素敵な人が
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ひさかたの光さざめく波間にも 君が御髪おぐし手繰たぐれ我がかい
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CMがこわいの 誰も絶望を知らぬ顔してそこに居るから
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記憶なく 履歴もなくて 宅配の 配達予告に 疑心暗鬼す
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サンタさん夢見る子にはいい夢を見れない子には靴下編んで
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ははかたの祖父は学徒動員でちちかたの祖父出征の時代とき
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週末の雨に押されて年明けの食べ飽きた頃に餅つき大会/異例
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珈琲の蒸らす時間の惜しかりし 浮かぶフレーズ 歌へドリップ
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蝶の舞 優雅に夜空 舞い上がり 姉さんのこと 忘れないから
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なにもかも すててしまえば 楽ならん この肩の荷を ぶちまけたし
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