野辺おくり 闘病してた 同じ時 ぼーっと生きてた スマホいじって
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待つ人の 無き家の灯は 消え果てて 今庭に灯す イルミネーション
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美しき 薔薇のカップを 並べ置き 誰ふるまう事なく カモミールの茶
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繰り返し感じてしまう苦しみも 今世だけのラストワン賞
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薄氷うすらいの ごとき夕月 ふち欠けて 羽虫の飛びて 闇に溶けゆく 
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君はなぜ 過去変えたいと 悔やむのだ 明日なら今でも 変えられるのに/友人の言葉
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だけど、まだ、歩けるんだと言い聞かす がらんどうに埋めた強がり
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ドライヤー 髪巻き込まれ 焼け焦げた 臭いが我の 火葬の香かも、と
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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十七年たくさんの幸せ有難う! 愛犬キミのお家よ 骨壷を置く
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最中に花火の音が鳴っているエロ音声で暖を取る冬
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こがらしに震へぬやうに足許を 脚絆きゃはんの如く守るウォーマー
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「限りなく透明に近いブルー」は涙なの?海辺の街で悲しみ拾う
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ベランダで スマホを空に 向けながら 平安の夜と 同じ月見る
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今朝はまた妻が特別ご機嫌で 良い一日が待っているかな
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忘れたい事柄 ホワイトボードのマーカーの如 消し 前を向く
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病ゆえ四角き景色のみぞ見る人にススキが 知らせる爽籟そうらい (在宅療養)
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十七夜じゅうななや仰ぐベランダ 澄む空気 夜半よわ寒気かんきの戻る立冬
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その昔 子らに問われし E.T.やく しかと答えた 得体の知れない友達
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昔日せきじつの秋の 祖母との思ひ出を繋ぐ 鬼灯ほおずき 隣家の庭に
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厳密に選別されるジャガイモの気持ちがわかる人間ドック
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使用後に硬貨が戻るロッカーの百円のように無意味な夫婦喧嘩バトル
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ようやっと布団からぬるり頭出す 肌寒き朝にカタツムリとなる
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硝子越し写る景色が現実で 爪を立てても響かぬ身体
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公園のメリーゴーランド子供らを大人に変えて一人老いゆく
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串カツを 味噌鍋浸し はふはふと ほおばる友は 無邪気さ溢れ
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出逢えたと思う 海で街で本棚で 痛みだけが似てる貴方に
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誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
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帰宅して扉を閉めて鍵かけて 社会人Aの魔法が解けて
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秋日和 風無き庭にメジロ二羽 残りし花の狭間たわむる
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