なぜなんだ 煮卵入りのラーメンを買って煮卵だけ残す人
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暇四に方侘かびら妬睨みむは赤募目るも 振郭り公ほやど きそ の急青げ巣自ご転と車落 と雛しのて鳴しくま間えに
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こちら側のどこからでも開けられぬ封を切り裂く選ばれし剣
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 僕 た ち に ﹁ い の ち ﹂ が 有 る か 無 い か と か   量 子 の ゆ ら ぎ   そ れ だ け の こ と
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ともすれば孵り育っていたはずの燻製うずらはこんなに美味で
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ハロウィンはケルトの年末なんですし日本人も休みましょうよ
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「東京の夏を観に行く」と言ったきり スポーツの日が帰ってこない
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この時期はみんなそうだと思うけど、頭の中に蛸泳がない?
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金曜を咲かせるための腐葉土として横たわる僕ら店員
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今日の知見:ごま油越しの世界はさよならに似た深い紅色
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パイル地の裏側に見た幾星霜 黴は宇宙の匂いにも似て
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初雪で思い出すのがラブソングじゃなくゲームの曲でごめんね
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褒め言葉を醸した酒が世を満たす 十一月の第三木曜
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「役に立たない消しゴム」がデジタルの紙面の上で役に立ってる
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夜に糸の絡まってひとすじ落ちる僕の祈りのたよりなきこと
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終わらない祈りの中に生きている 手の天秤を傾けたまま
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数寄者すきものそやされたくて忍ばせた 七本骨の折り畳み傘
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お風呂っていつも仄かに死の匂い
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埋葬費をりしもてなぐさみに染む罌粟防火壁のもとに額づけ
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残業はつらいと溢すその口でラストオーダーの麺をすする
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自販機の釣に溺れて仰ぎ見る プール帰りの塩バニラ味
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父だった人から届く売り言葉 買わずにおいてよかった日よ来い
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言の刃で 刺しかけてやめ 絵はがきとペンを選んで 刃を葉に変える
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人類で 薄めてあおる なさけなさ 主語自分 では 濃くて飲めない
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台本を 繰り返し詠み さあ開演 実家劇場 ムスメその1
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王様へ 裸です風邪ひきますよ  無礼者 だまれ へックション
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ただ会って話して食べてまた話す また会う日まで生きるとしよう
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ニンジンの 新芽の横でニンゲンも 朝日を浴びて水を飲む今日
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二度童子 背中をなでて ゆっくりと 父だった人の 母親になる
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自らの 面倒と恥を 他人事ひとごとに するしかなくて 二度童子なの
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