「ごめんね」を言えぬまま積む言の葉の 尖りて母を、僕を、傷める
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眠れない眠れないから何かして上手く行かずに追加の眠剤
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早朝の三時にやっと眠くなるホットワインの催眠術師
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「普通」という名のバスをまた見送りて 私は私の歩幅で帰る
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教室の隅に透明な僕がいて ポケットの中、拳は熱い
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この部屋に占める「私」が増えた日の 少し大きくあくびをする九時
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将来を見て酸いも甘いも言えぬから「自分らしさ」と呟いている
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朝一番 全国ニュースに故郷の名 暴風雪の町を案ず
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想像す雪のない地はどんなにか白一色にただただ絶望
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新しい モノがはじまり 少し前 新しかった モノが消えゆく
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春忘れ芽吹きを忘れしおれゆく市井の一票どこかに消えた
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月面のゴルフボールが見えたとて人のこころの襞は見えない
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勾配は何 パーミルかその先に何が見えるかまた明日が来る
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背伸びして したこともない 失恋を 感情込めて 歌ってみた日
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源泉に 湧くる言の葉 かき混ぜて 生まれ流るる 数多の泡沫うたかた /リメイク
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他意の無い「励ましたい」がそんまんま伝わると良いな今度会ったら
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今は無き 故郷こきょうの古き喫茶店 記憶を灯す 茶色のランプ
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こんなにもみんなで帰る道のりが愛しいことを最後に知った
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奥歯欠け 型取りまでに 二週待ち 接着までに もう二週とは
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思ひ出と共に 今も手元に残る あるじなき 祖父母の家の鍵
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一九三一年九月画を画き戰端を開きぬ旧宗主の名を日本 といふ
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夜に発つ白鳥姿は見えなくとも子犬のような派手な声量
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コンビニで冷やし中華を見かけたよ 今年もきっとたくましい夏
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せわしない令和の音に逆行す余白の多い音符の心地/ラジオから
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義母とゆくお墓参りの道のべにおおいぬふぐり見つけ摘みたり
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春ゆくをまわり道せむ 手を繋ぎ月の蒼きに追ひかけられたし
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透明の水彩画からこぼれ落ちだいじな欠片かけらうまくけない
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久々に 風邪をひいたか 重い腰 上げて加湿器 お手入れからだ
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「花は咲く」ピアノかなでる学生の仙台空港弥生の空に
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凍らせた感情溶け始め痛む18年目のサバイバルにて
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