零度ですエアコンが言う外気温まちのすべての暖房つけよ
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「大丈夫」「全然平気」「待てるから」深夜の駅前雪だるま一つ
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「普通」という名のバスをまた見送りて 私は私の歩幅で帰る
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教室の隅に透明な僕がいて ポケットの中、拳は熱い
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雪景色 君への想い 降り積もる 春の訪れ まだ先にあり
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マイク持ち叫び続ける候補者がただ何となく小さく見えて
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甘やかな愛情も義理も飛び越えたビターな惰性にリボンをかけて
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レコードの音がだんだんデカくなる聞きたくないこと多すぎるから
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萎れたるポインセチアの花殻を摘みて春光注ぐ如月
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こんなにもみんなで帰る道のりが愛しいことを最後に知った
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人の世と 猫の世つなぐ 縁側で 冬用毛布をたたんで くしゃみ
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並び立つ者などいない君ひとり誰もが誇れ己が命を
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枯向日葵にしろき窩數多ありて項垂れつつ零す種子を
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一九三一年九月画を画き戰端を開きぬ旧宗主の名を日本 といふ
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目を瞑り 水族館が 目に浮かぶ 眠りを誘う 「マリンバ」の音
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さり気なく 嘘で築いた 戦後日本 裁かれぬ人 黄泉の人なり
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かすむ名を召しあげとかす今日の青 胸をつらぬく三月のそら
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真冬より 肌を舐めたる 春の風 襟袖口を強く締めたる
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側溝に 残れる雪や 散り花と 土を被りて 春を描けり
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もう桜咲いてしまうよ咲くんだよ咲くんだよあなたがいなくても
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透明の水彩画からこぼれ落ちだいじな欠片かけらうまくけない
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中東に 捧げる言葉 なけれども 虚心坦懐 鎮魂歌聴く
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吾妻山 種蒔きうさぎ 巣に戻る ここ七日間 寒戻るらし
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何もかも管理対象房総の菜の花たちも人の心も
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砂塵より 花粉舞い散る 舗装路の 公的工事の 適正を問う
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いただきを 目指せ 困難 有ろうとも 高い場所ほど 風吹くものだ
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お互いに 相思相愛 知りながら 無意味に帰る 別々のドア
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レンズから図鑑から世の解像度どんどん上がる足を運べば/自然観察
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落涙し 絵になる女と ならぬ我 顔面格差に なお泣けてくる
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二十年前のわたしが綴ることまだ何ひとつ叶えてないよ
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