蔓延はびこった 草と格闘 そののちに クワガタ顔だす 月夜の露天
45
慣れぬ手で ズボン繕う 雨の午後 空も心も 潤む梅雨入り
38
「ごめんな」と言われても、もう 何度もなん度もなんども何度も
6
フル・ムーン 「もう赦して」と 願っても 御仕置つづく 変われぬ私
34
あるじなき庭に咲きおる紫陽花の凛々しき青に故人偲びて
24
君のいた夏があるから君のいない夏がうまれてここにあるのだ
11
幼児おさなごを膝に抱えて二人して歯磨きしてる今日は父の日
58
七月に 天変地異が 起こるらし ファールで粘る 給付は弐萬 / そして生活はつづく
34
カッポカッポ お馬の様に歩いたね もうもう動かぬ愛犬キミのその脚
45
学校も 試験もなんにも ない生活 もうおばけなのか ただ汗はでて / おい!鬼太郎!!
31
ごめんねもありがとうもまだ言いきれず かすり傷以外負いたくないの
8
朝餉あさげときギィーギィーギィーと尾長鳥何をか見つけ空腹おなか満たさん
14
かのひとにやさしきひびもあったろうそうおもうこともゆるされぬのか
25
風邪ってさあ、こんなにしょっちゅうひくもんか?月の終わりに上がる熱
10
人生はタイムカプセル 後悔は忘れた頃にまた目を覚ます
16
咳鼻水咳鼻水咳痰 早く治っていただけませんか?
9
もう二度と戻れないよというように凍ったあとのきゅうりはやわい
15
夏の夜ライン電話で集まれり各地に住まふ三姉妹いて
20
ドーナツを食べたからだが宇宙になる 神さまもここにいるでしょうか
13
寄せ植えの苗を植え替え蘇る玄関先の花々感謝
15
見たくないものを笑ってごまかした月だけがバカみてえに黄色
14
いらいらを沈めていつもの顔作る君がポテチを食い荒らす間に
9
石鹸のあわ黒くなりし小さきて井戸より出づるスイカの赤さよ
28
如月のあの日の会話 ひとくちもらったアイス 外は寒かった
10
母の手のぬくみの残る古き棚かはらぬ場所に我が箸のある
45
日傘さし通学路行く童女わらべらは話はずみて女子会のごと
22
思い出の彼はとてもやさしくて あれがいいの、今の君じゃなく
10
大輪の芙蓉ふようが開花 真っ青な空にあいさつ ああ夏本番
43
単三の電池2本で旅をした僕たち、今はどこへも行ける
9
いつの間に 頼もしい父 年取って こんなに白髪 多かったっけ、
12