洗顔の泡をぬぐいてふと見れば 母と見紛う顔ありてじっと見つめぬ
16
だんだんと家族のような気がしては風呂掃除終えうたかた覗く
25
聖人のように微笑み対応す我のこころは我のみぞ知る
18
二年経ち 君 追う様に ミモザ枯れ 温む春風 遊ぶ残り葉
35
蘭の花 ほったらかしの 二十余年 ふと気づきたり 子の育ちにも似て
18
打ち合わせ 終えて飛び込む とんかつ屋 勝利を願い ヒレをほうばり
31
この想い 気付けば崩れる 距離ひとつ 名前をつけず 終わらせた春
14
三年前うたよみんで閉じた日々詠みをここに出会えて再開する春
10
菩提寺の墓の間に間に風遊ぶ夕には春雨そぼ降るらしき
46
賭けとして入れずにおいたガソリンが二十七円安くなった朝
14
雨上がり 見上げた空が青いから 首肩の凝りストレッチする
27
空腹にガタゴト響く鉄路なり 廃止されてた車内販売
26
標準語しゃべる男の声だけがローカル列車の旅をじゃまする
24
山せまり川が流れてふるさとの駅はもうじき二時間の旅
29
ブッフェとは呼ばずバイキングというホテルで今夜家族と過ごす
12
母の膝 若手の医師の 手はマウス おきなの医師は 患部触診 /意志医師の違ひ
30
生家にはだあれも住まず奥津城は雪に埋もれて春彼岸来る
38
花壇には尺余の雪積む春彼岸ジャノメ蝶訪う 亡母か亡姉かと
30
何年か何十年後か振り返る今日の不遇は蟻ほども無い
18
保育園卒園式で歌わない娘が今は保育士になる
36
目覚めれば 何処から歌声 東風こちに乗り 聞こえ来るよな春の朝
21
謎解きの様な短歌に出会ふ時 脳内サプリの効き目は未だ
41
「元をとるためだよ」と朝四度目の風呂に入りてこの歌を詠む
14
朝の水溺れるほどに飲み干して溺れてそして戻ってきた身体
7
美意識の 高いおばちゃん 温泉で パックの効果は 如何ほどですの
11
角番の危機は綱取り一転の力なくもう人生なのか
27
耳かきをしている時のあの顔は誰にも見せれぬ顔であろうな
27
お隣の 木瓜ぼけの花々 咲き誇り かぐわし香り  分けて頂き
34
サービスのミニトマト種粒入り 十粒確かめる息を止めつつ
25
光含み 魔物のごと咲く 白き花 桜よ今年も 我は惑えり
25