ご時世に翻弄されし亡母はは 人生みち なにをおもいて語らずし逝った
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利きわけて相寄る友を待つあひだ戯る木葉こばの環にまぎれたり
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遠き地の名を口にする時褪せた君の金歯に触れる舌はよく歪む
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人知れず流した涙は循環し山の湖水で星映すだろう
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この想い 姿を見ぬと 伝えたい  姿を見ると 伝えられない
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依存せず、期待をかけず、受けいりてすべを覚えし歳月としつきの果て
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誰とでも仲良くなれる君のがさみしがってる理由わけを教えて
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生え癖を なんとかしろと 罵られ DNから やり直せってか / 親子
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犬あびる「かわいい~」の声めぐりゆき「幸せ」きっと、そに還らん
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列王に名を遺すてふみづからの榮代の後までいくさせむ
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女王蟻に肖し式服の白纏ふ偶像たらむ。宰相寫眞も
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ほうばったチョコマーブルが錠剤にみえて「最近だいじょぶそ?」
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明日から 雨だと知れば 青空も 日差し富士山 より愛おしい
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語らいをためらいをそして歳月を その手と共に重ねたかった
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友夫婦郷里さと の幸負い亡夫つま墓前上京せしはありがたきかな
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三人旅「ここに君なきこと寂し」竹馬の友の云ういとうれし
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幼日をさなびを語り馴れ初めを語りて話しは尽きぬせせらぎの宿
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繰り返し 貼って剥がせる シールです でも人生は 一度きりです。
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縦長のきみとを繋ぐこの画面 無くてもわかるさ話し振りまで
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砂かぶり動かない ママの卵焼き ぼくひとりレジャーシートをたたむ
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終わりまできっと読めない 世界から長い手紙をもらったけれど
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隠された職人のわざ用の美に思考の奥行き今に息づく
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ひこうきの澄んだ轟音そらあおぐ 青から白へこころは黄色
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秋冷えに子どもと湯船につかりをり 父と数えしとおまでのうた
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目に涙浮かべて走る環状線 不意に流れたくるりのせいだ
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夢であれ現実であれねむらせてくれるのならばどちらでもよい
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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初詣神様なんてそっちのけ今年の夢の話をしよう
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昼下がり炊事に片付けお洗濯私はちょっとしたマエストロ
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その昔 子らに問われし E.T.やく しかと答えた 得体の知れない友達
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