久々に犬も食わないナンとやら 秋刀魚の塩焼き二人で黙食
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グツグツと 鍋中踊る 栗の実よ 甘くホクホク してますように
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悪口をさらっと流す君と飲む少しやさしいブラックコーヒー
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夕焼けを僕だけが見ている街にいくつもの新車 いくつもの手からふうせん
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遠ざけて いたパーカーを ギュッとハグ 今は私を 守るアイテム
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冬の香を 感じるけれど 感じない! も少し秋を 楽しませてよ
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歯の中に 私の抜けた 歯があって カラカラいって 少し寂しい。
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まだココア買ってないんだ いきなりの冬の寒さはちょっと勘弁
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たった今地球が過ぎた軌道には君の笑った声が残った
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近頃の 秋は玉響たまゆら なればこそ  鱗雲うろこぐもさえ はかなく見える
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炒飯チャーハンは 細く刻んだ かまぼこの  薄紅色うすべにいろが 味を左右さゆう
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手習えばなんでも匠かの人に追ひつけぬまま秋のかたすみ
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手のひらの ちっちゃなホクロ 手をピンと 伸ばさなければ すぐに埋もれて
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幼日をさなびはたにあと追い赤とんぼ抱きとめし亡父ちち遠きにありて
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秋の陽に背を押されおりはた立てば晴耕雨読の亡父ちち訪れ
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米は米 されど新米 その旨味 頭を垂れる 王者の貫禄
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初雁の遅れ啼く聲かれがれに蓬老いたれみそらもろとも
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手土産の かんころ餅が 呼び起こす  この懐かしさ いまわからず
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ご時世に翻弄されし亡母はは 人生みち なにをおもいて語らずし逝った
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利きわけて相寄る友を待つあひだ戯る木葉こばの環にまぎれたり
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遠き地の名を口にする時褪せた君の金歯に触れる舌はよく歪む
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人知れず流した涙は循環し山の湖水で星映すだろう
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椋鳥の大群賑やか大宴会 味をしめたか柿は食べごろ
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この想い 姿を見ぬと 伝えたい  姿を見ると 伝えられない
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依存せず、期待をかけず、受けいりてすべを覚えし歳月としつきの果て
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生え癖を なんとかしろと 罵られ DNから やり直せってか / 親子
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犬あびる「かわいい~」の声めぐりゆき「幸せ」きっと、そに還らん
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列王に名を遺すてふみづからの榮代の後までいくさせむ
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女王蟻に肖し式服の白纏ふ偶像たらむ。宰相寫眞も
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ほうばったチョコマーブルが錠剤にみえて「最近だいじょぶそ?」
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