疲れたと床に寝転び一休み、いや三休み、五つ休みか
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雲のない夕暮れの山その奥にそびえるあの山クリアに捉え/冬の晴れた日限定
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加湿器の 水の分だけ 飲み込んで 渇きを癒やすか 冬籠りびと
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ケアをすること業にする人たちをケアできたならと密かに思い
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みどりごのはだかの足がぶらさがり 若い夫婦のリュックの脇に
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喫茶店 シックなスーツ 着こなした 雅な漢 思わず惚れる
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この世には フフと此方こちらが 微笑みを してしまうほど 素敵な人が
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昼下がり編み物しながらイカ大根ことこと 冬の至福のひととき
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ひさかたの光さざめく波間にも 君が御髪おぐし手繰たぐれ我がかい
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午後の径健気けなげに咲きし冬薔薇ふゆそうびほのかに揺れて心和みぬ
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CMがこわいの 誰も絶望を知らぬ顔してそこに居るから
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記憶なく 履歴もなくて 宅配の 配達予告に 疑心暗鬼す
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雪山とツルツル路面で引きこもり隅々たしかむ冷凍庫など
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いきなりのダークモードに戸惑ったわたしいますよいますよトイレ
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ははかたの祖父は学徒動員でちちかたの祖父出征の時代とき
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週末の雨に押されて年明けの食べ飽きた頃に餅つき大会/異例
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年の瀬に 毎歳まいさい思ふ 老親と 過ごす正月 あと幾度なり
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アラ還も クリスマスには 孤独に怯え 無言生活 耐え忍びけり
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珈琲の蒸らす時間の惜しかりし 浮かぶフレーズ 歌へドリップ
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蝶の舞 優雅に夜空 舞い上がり 姉さんのこと 忘れないから
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我が聖夜 かの君に逢いて ひと時の 憩いを共に 想いは秘めて
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なにもかも すててしまえば 楽ならん この肩の荷を ぶちまけたし
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このままじゃ猶予人生終わっちゃう箸を転がし笑ってみるか
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道場の 上座に座り 思い出す 宇宙を求めし 青い時代を
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楽しめと 主治医は言うよ でもね やりたいことみぃんなやっちゃった 思い遺すの なぁんも無いよ
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下戸だけどバッカス買った酔いたくて 心を満たすほどじゃなかった
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卒業の記念壁画の剥落に あの子が描いた虹は無傷だ
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さだまさし「案山子」を聴いて考える 世にこんな親いるのだろかと
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果樹園の 端に植えられ 寂しげな 四季桜だが 満開アピール
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多忙なる 一日ひとひの終わり 静寂が クールダウンを 吾に施す
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