死んだ後差し歯は焼けずに残るかと九十七歳きゅうじゅうななの母おどけたり
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幼子が小声で歌う鼻歌を 聞いてまたたく冬の星々
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父母ちちははとむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
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身のうちをあばれまわつているとらを押さえつけ今日もわらつているのね
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この怒り我がものにして誰であれ抑えも奪えも出来ようもなし
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傘持たぬ人しょんぼりと佇ませ赤信号の悠々と光る
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大好きな あの人を想い 業務過多 心の支え 春風のよう
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売り物にならぬ言葉を撒き歩く、インターネット無人街より。
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我が夫短歌うたは詠まぬが短歌うたを読む 私の短歌うたにも厳しい批評
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「この夏を乗り切ってね!」と掃除する 唸りながらも頑張るエアコン
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犬だけに吠えるというに吠えられて「私は人間 犬の匂いする?」
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老犬はおやつもパスして寝てばかり 心配よそに夢心地かな
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老犬の散歩を終えて夫言う「これが我が家の老老介護か」
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乾杯のあの一瞬を懐かしむ 酒飲まぬ夫と静かな夕餉
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優先席二回も譲られ改めて鏡で見たら ああ、やっぱりか
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食事終え今日はゆっくり茶が飲める ちょっと雑だが息子が皿洗う
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しくじった!収穫一日待ったのに 庭は一面ビワの食べかす
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歩いたよ!ラインが届く祖父祖母ジジババに よーし、決まった今度のみやげ
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トリミング 毛まみれ奮闘三十分 犬はスッキリ近づく夏に
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愛犬は涼しい部屋で昼寝する 私はしのぐ扇風機の前
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牛乳販売業の青年嗣ひとり開拓地へシャープペンシルの替芯吊る 飼育
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コンビニエンスストアへ三十六個のクピドの刎首の罐詰の茹豆
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思春期の 中学68年生 卒業試験に苦戦しており
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老親を施設に入れる日近づいて鬼になるからと言い泣く彼女
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お祭りと虐殺 同時にこの星で  人類はまだ スイカ食べてる
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背の高い選手がクロスに打ち込めばリベロが飛び込むネーションズリーグ
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まっすぐに空に伸びゆくベクトルを感じさせ立つ欅の大樹
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ノートルダム寺院。青年戴冠式に侯はば受け賜らむか 御旨
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祖国なし 埃及出自浅黒き橄欖樹へ暗紅の實はふふらまず
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洗礼名ヨハン・シュトラウス ドナウは昏く靑きゆゑにうつくし
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