天気予報に嘘つかれ 夏の名残を薄手のセーターで迎える
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ひたすらに眠ることと食べること 愛しさ増して 我が家の老犬 \ もうすぐ17歳
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久々に犬も食わないナンとやら 秋刀魚の塩焼き二人で黙食
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傘の中滲む視界に出た弱音雨は優しくかき消してゆく
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クレープが焼けぬようにと願うのは まだ二人帰りたくないから
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気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
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咳をして 皿を洗って片付けて お風呂をためて 泣いても 一人
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ひとひらの落ちた銀杏が集まって アスファルトに黄色のおめかし
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利きわけて相寄る友を待つあひだ戯る木葉こばの環にまぎれたり
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椋鳥の大群賑やか大宴会 味をしめたか柿は食べごろ
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誰とでも仲良くなれる君のがさみしがってる理由わけを教えて
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いつかまた明るい短歌うたを詠みたいな 秋空のよな澄んだ心で
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嵐吹く 私の中の海もまた 光のどけき 日を 願いつつ
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卵黄を使うレシピに紐づけるシフォンケーキのつくりかた 秋
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好きだったはずの秋を愛せない今あなたが隣に居ないから
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縦長のきみとを繋ぐこの画面 無くてもわかるさ話し振りまで
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砂かぶり動かない ママの卵焼き ぼくひとりレジャーシートをたたむ
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切り花のコスパ日割りで考えるそんな僕にも秋のひだまり
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ひこうきの澄んだ轟音そらあおぐ 青から白へこころは黄色
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秋冷えに子どもと湯船につかりをり 父と数えしとおまでのうた
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雪虫と 風吹く街は 碁盤の目 故郷の友と 歩く裏路地
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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この世をば我が世とぞ言わむかんばせで 昼寝決め込む小さき犬よ /本日の愛犬
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おまえだけイメージ良いの俺という悪がいるから成立してる
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犬と僕と、他には何も要らぬから どこか遠くの場所ほしへ往きたい
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どことなく春風に似ているようで似ていない秋の風の匂い
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風切りの音が路上をさらってく夜の始まり冬の始まり
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白色のコートに引っ付く雪虫が彩る模様はポルカドット
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誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
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世の中は時折見える希望などとやらを追いかけ続けるシステム
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