堅雪に追いかけ回る童のころ 幼なじみの声甦る
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春めきて微睡む縁側 そよ風に清き鈴の音 季節を忘れ
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雪洞ぼんぼりに むつみて座る 人形の 頬の白さの 妖しき花冷え
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わずか四十五分の体操もきつく感ずる七十五才
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馬鹿げてる歌と滴と夕やけと眠る夢バナ東大受験
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暮れなずむ駅の階段 手すりには傷の数だけ笑顔、泣き顔
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高速に乗らずに出会えたネコヤナギ見つけた春を君に知らせる
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寒し地の雪は溶けたか二月尽 雪洞ぼんぼり灯る春近付きぬ
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ねこたちは きょうもぬくぬく ねむねむで シニアねこもまた 愛らしきもの
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原爆展ゆ貴族社會の仔等出でて哂ふも直ぐ襤褸となりぬ
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最敬礼のこころに星条旗楯てぬ新愛國婦人會長を 撃て
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原爆忌から敗戦忌へ傾るおほきみに籠る聲の玉音
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髪漉けばまだシャンプーの香りして それでも夜ごとお湯を浴びたい
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木蓮はキャンパスの如き青空に真白き絵の具で描く早春
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犬を抱いているときだけずっと冬だったら良いのにと思います。
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踊り子がひとり回るオルゴール グランパドドゥの夢に囚われ
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我が家には 愛猫きみが定めし序列あり 猫様一番下僕しもべは二番
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​初節句よみついくさしりぞけし桃の力に君を護らむ
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吾の奥の 影を認めて 撫でてやる 筆を手となし そっと書きおり
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春風しゅんぷうを浴びつ散策 梅咲きぬ家の 窓辺にすわる黒猫
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あなたとこなたその隙間 埋めるもの 言葉であるか それともなにか
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闘病を支えてくれる診療所 紙のカルテは地層のごとし
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まぶしげに めをほそめたる ねこのてを そっと握って 気持ちを交わす
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落ち込むわ… 店のガラスに映りしは老いて太ったわが姿なり
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沈丁花 花の香りを 全力で 主張する様 命短く
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嫁、娘、母の三役こなしつつ、守るつもりが守られる日々
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物陰の沈丁花憐れむにあたらず その香りの主張 我と違いたがて               
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幼馴染と心ほどける居酒屋の隅っこが僕の避難所だった
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メンタルによっては毒にも薬にもなると思うのあなたの言葉
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寝るときに 足にそおっと あご乗せる ねこの愛しさ 日々替え難く
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