のこす べにと同じに つややかな 躑躅ツツジと錦木 くれないの赤
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走るたび木の葉の踊るアスファルト 秋の陽させば楽しく見えて
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鮮やかな 織物を見て 目が和み ときの移ろい 色で感じる
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じゃが芋を黙々と剥くピーラーは二十余年の現役選手
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悔いばかり蘇りきて寝付けずに夜の静寂に雨音を聞く
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秋桜フラワーロックの如く揺れ 陰キャの恋は咲くこともなく
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またですか?(笑)言いたげに言う「コロナです」 サディスティックな医師の微笑み
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「微かに」が良いのだと知る散歩道 金木犀のシャワー浴びつつ
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泣き顔の 眉にも似たり 紫の 細き三日月 連れて歩く
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頼もしやこの冬初のマフラーは のどむね温め汗ばむほどに
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夫居れば歩くことなどなかったと落ち葉踏みしめ通院の道
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歩けばこそ見ゆるものあり秋の野に知らぬ花の実紅く熟して
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厭な予感のどがイガイガしてきたぞ これは違うと自分に説明
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星屑の金木犀と冬隣 君の誕生日、儚く終わり
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枯葉舞い いよいよヒーター 点火して 冬が始まる 霜月の晩
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昼休み空を見上げて伸びをする守衛さんへともみじ葉の降る
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チクタクと響く 動かぬからだにフラッシュ焚いて流れる朝露
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綿棒を鼻の奥まで差し込まる あの検査が厭で医者には行けぬ
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綿棒の検査を受けて結果待ち 「はずれ」を願う妙な籤引き
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「じれったい」安全地帯の曲を聴く コロナの症状一進一退
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早朝に 落ち葉掃除を する翁 挨拶の声 思わず笑顔に
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晴れ渡る 母の生まれし 日に思ふ 空襲逃れ 生き延び『ツナグ』
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エンドウの 苗が日に日に 伸びており 秋の陽差しを 栄養にして
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恋の病どんな娘でもつらいから君のすきなバンドの曲聴く
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私から旅立ち誰かの物になれ集めて生やしヘアドネーション
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湯たんぽが温め続け待っていた布団の中は愛のある家
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あれよあれ… あれだってばさ… あれだって! 日に日に増える 夫婦ふたりの会話
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インフルやコロナでなくとも風邪は風邪 微熱こらえて営業回り
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風邪ひけば酒は駄目だとわかってる わかってますよ理解わかっているだけ
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死んだなら何が出来るか知りたくて試しに死んでも戻れませんよ
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