イルカなら同じ音波で語りたい孤独は悲しく深く冷たい
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弱くても痛みがわかるあなたがいい傍にいたいと願ってしまう
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悲しき星の終わりにてあなたもいつか空白になる夜がくる
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誰ともひとつになれない生命なのに悲しくも求めてしまう
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いつかまた生まれ変わって会いたいよその時もまた笑ってほしい
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誰の星にもなれない私だからせめてあなたが迷わぬように
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ガラス吹きわたしの息の形を知る 泡立つ肌の風鈴できた
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虫一匹殺す覚悟もないようじゃ一人暮らしはできないのだよ
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ジャイアンとおんなじ服着たおじさんが花に水をあげている春
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寝る猫の可愛い寝息きみのため私に何ができるのだろう
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立ち止まりふと店奥の君を見て 再び歩く濡れたパンプス
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春一番吹かれて泳ぐ鯉の群れ落ちた花びら水面みなもを飾る
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すやすやと優しく眠るきみの名前心を照らすまるで灯火
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私の恋はいつまでも白線の向こう他人事みたいに眺め
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天の原昏き雲ぞ掃き出でらるるちひさきちひさき三日月冴ゆ
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荒れ狂ふ波に飲まれじとおほきなる白き翼になる夢をみる
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数多あるやり直し地点 戻るなら いつに戻るか 戻っていいのか
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おなじなら誰でもよかった 訳じゃない 好きになったのが君だっただけ。
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行き先も みないで乗った 電車には 笑うあなたが 陽だまりだった
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何者にもならないという幸せがある 今日僕は僕になったよ
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ワンルーム 犬はいないけど 寂しくない 部屋の余白は 心の余裕
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水滴が肌に描いた鱗肌 このまま竜に為れたらいいな
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清廉な 君の瞳に 映りたい できれば海馬で 漂っていたい
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大人しく 好きって言って と言えなくて 君の泣き顔 傘させず梅雨
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目を閉じて 目を開いたら 君がいて 嬉しくなって 抱きしめた、夢
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いつまでもあなたの傍にいられないからお別れの練習をする
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幸せに なりたくて漕いで きた船は 誰かの波に 煽られ沈む
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人前で鼻を鳴らして笑ったよ 初めて読んだカレー沢薫
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いつまでも 君がいそうな わたの底 沖步けども 君には届かじ
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香焚いて真っ直ぐのぼる煙よりわたしは燐寸マッチの煙が好き
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