お茶したい刺し子もしたい親友とも宛の手紙も書きたし明日の休日
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羨みにかまけて研鑽怠った 指を噛めどもやまない嫉妬 
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ホカホカと 太陽浴びる猫ちゃんよ あなたはずっと輝いている
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陽を浴びた新緑きらきら目に映る桜前線逆走すれば
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映画館 都会ばかりに密集す 高速乗らねば手が届かん
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文芸は言葉で人の気持ち縫い合わせおさめる心の外科医
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Utakataうたかたにつぶやくようにむ歌が 心のおりをすすいで流す
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「もう一度触れてください」切なげにだれかを呼び止める改札機
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己より僕を大事にしてくれる 老犬きみを愛さずにはいられない
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静けさや部屋に染み入るアホの声
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あなたとしか共有してないプレイリストの再生数が愛しい
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お笑いの賞レースを見たあとの重いニュースが流れる時間
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急病の娘の家に向かう道不穏な夜を照らす満月
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何も損は していないのに 言っただの 云われたなどと さるイヌたち
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「ねぇパパは保育園どこいってるの?」帰宅のパパへ素朴な疑問 /吾子二歳
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くらい部屋、夜更けに独り聴いている 雨音の色はあの子の瞳
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そんなこと 自分でできると 疎まれて いつまでも付かぬ 御膳の燃料
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紫陽花の花芽みつけし退院日移ろふ季節やっと目に入り
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君だけが応えてくれた献身に 涙の熱さを初めて知った
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田の景色知らずに育ちし吾なれど海馬に在りて水張田に鷺
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窓を打つ雨粒見つむの胸の日々の煩ひ洗い流せよ
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やられたね! 鳥も知ってる美味うまいもの 今朝は食べよう完熟ビワを
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馴染めずにはみ出していく人生のそのどこまでが個性だったか
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君とでも、楽しめぬものあるならば それを知るのは楽しいでしょう
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片付け中、カゴと見るなり入る猫。私あなたをずっと愛すよ
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水無月の晴れ間に夏の熱気沸き脱皮するごと衣脱ぎ捨て
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雨が降り 晴れの日よりも嬉しそう そんな紫陽花 元気をくれる
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紫陽花は色とりどりに咲き誇り、深き思いで散らず枯れゆく
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はみ出さず真っすぐ踏めた足跡を集めて僕を作りたいのに
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十六年キミと続けたごみ拾い キミのおかげよ もう立てぬ老犬キミ
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