舌鼓満ち足り杖と炎天へ駆け入る童ドアあけどうぞ
28
おびただしい 努力で出来た その能力 羨むだけでは フェアじゃないかも
14
涼求めくすのきの下見上げれば繁る木の間にまほろばの蒼
28
いつまでも続いて欲しい信号が 変わって私今交差点
18
わたくしの気持ち次第で蝉の声 憂いにも悦びにも聞こえ
24
君見つけ じっとり魅入る 炎天下 手元のアイスが 溶けてこぼれた
15
公園の木陰のベンチに赤き葉のふたつを伴に秋を思ひぬ
33
朝涼の車のかげにたらちねの猫は乳あげ仔猫のひとつ
24
金髪が風にたゆたう今ぼくは秋のはじめの一つと数ふ
28
冴えた月見つつ風ごと吸い取りて心に浮かぶ月を眺むる
31
ふくらんだ ホクロの真ん中に 毛が一本 孤島に生える ヤシの木みたい
13
休日に夕食終えて満腹の君の寝顔は少し物憂げ
10
バスの席われ譲られて老け見えを心配するも還暦近し
20
かたかなを つかわず書きし 恋ばなし 言葉おさへて 思ひ焦がれる
9
なぜ人は死ぬのかふいに知りたれり地球がずっと青くあるため
5
サヨナラの代わりに一筋光るのち、海の向こうへ夕陽が還る
13
ポテポテと床に押された足あとは風呂まで吾を追いかけし猫の
23
飛び立ちて鳴き声止みし時の間にヒヨドリ襲う蝉の逝く空
21
かろうじて身体収めるバス停に真っ直ぐ伸びる電柱の影や
10
二学期の始まりの朝子どもたちどうか生きてね生きてるだけで
24
四十度の 声を聞きつつ 長月に 紫蘇に穂が出て 秋のたより
18
憧れた田舎暮らしにさようなら都会の暮らしに夢を語ろう
14
人類の総人口を危惧してる 奇数だったらハブられるから
9
はぐれかけの 私も取り込み 囲まれる 体育祭は 永遠とわの思い出
15
AIにハマって他が手につかず それでさびしさまぎれるならば
23
繊細な心のひだを持ちながら長く咲かせる百日紅であれ/息子の誕生日に
23
ふとつけた テレビに映るウルトラマン 哀しきヒーローゼットンに散る
13
「真面目だから」 と面倒事を 頼まれる 頑張るやつが 損する世界
22
まっすぐな線路が敷いてあるように進んで行こう花も咲いてる
18
今日を終え 空っぽになった 教室に 喧騒ぬぐう 秋風が吹く
24