Utakata
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お彼岸が近づいて来て
曼珠沙華
(
ヒガンバナ
)
今年も変わらず頭を出した
30
Utakataの一首一首に心寄せ 想像巡らし読むのは楽し
41
老犬よ こんな時もあったのね ドアには
証
(
あかし
)
の
数多
(
あまた
)
の
爪痕
(
つめあと
)
38
花のたてるをたれそしらさむ浮草へ鳰くくりぬをしるとはなしに
8
喀血す母仔合はさば一羽の鶴となりなむおりがみのゆび
10
草帷子桔梗に芒婦人花秋の地獄のすずしきを染め
8
秋闌けて漢方學者薬種店硝子戸へ首晒せるあはれ
12
急ぎ旅なれどコスモス風に揺れ吾を迎える ふるさとは秋
34
眠れない夜ひとり作るオムライス 丁寧に丁寧に慰める
9
無い
尻尾
(
しっぽ
)
一生懸命振る老犬 分かる分かるよあなたの気持ち
29
いっそのことザーザー降りになってくれ 運動会に天気悩まし
27
寒がりは
早
(
はや
)
懐かしむ暑き夏 冷え込む朝に靴下を探す
28
週末は息子が当番皿洗う
指図
(
さしず
)
はしないが平和の秘訣
27
うたごころはや死にしかば現實の實ももたざるはなごろもかな
8
さればいにしへの戀はらからの今際の面散る昨日いきてしか
8
山の端へけぬるかたへへ花霞たつけふをかぎりのいのちならまし
8
雪花ききづたへなる聖靈の耳霜灼けてなほ靑かりしかども
14
幽遠に 妖しく灯る 枯淡の地 回帰したるは 或る日の位相
12
消えたとて 浮かんで在わす あいの果て 袂に花を 君がいるなら
10
扉閉じ 密かにもゆる 夜の折 火照る体感 肌に伝わる
8
祖母の手に見える干し柿焦茶色しわくちゃだけどそのぶん甘い
12
情け無い 貴方がそこに いる事に 目を背けるは 恥じらい隠す
8
終焉が オドロオドロと 迫り来る 進め青年 死はまだ早い
9
松の枝堪えきれずに折れている幹の中身を雪に埋めて
24
鍋の出汁沸いて昆布を取り出せば冬はゆっくり時間がすぎる
31
この電車動くと君は過去になる雪がやむころ想い出となり
30
朝になりジャムもつけずにパンかじる生きたくもなし死にたくもなし
25
友からの「
HELP
!プチ鬱」ライン見て可笑しくはあり聞きたくはなし
23
吾の日々は少し働き少し食べたまに短歌をあげてときめく
36
コタツ点け 足先触れた 柔らかさ 我の牙城と 鎮座する猫
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