ただ焦がれ貴方に会えたそれなのに 遠く掴めぬきみの手のひら
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「わたしのお母さんはおばあちゃんです」ちょっと恥ずかし次女の作文
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噴水が落ちる間際に映し出す街は眩しく崩れていたり
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寒風に負けるもんかと下向きの椿の花が一輪二輪
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搜すあて会うつてなども閉ざされて屋根からの雪ドドドっと落ちる
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初雪が名残りの柿を白く染めめぐりそこねた季節を隠す
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見上げれば紅梅咲いてこの空のどこかにきっと精霊はいて
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一筋の祈りみたいな名前やね「のぞみ」私は東京へ発つ
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習い事ともに学びし青年の病いに伏せつつ心痛しんつうきわむ
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肌と肌触れ合うことの滑らかな心地の中で夜溶けてゆく
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行った店 歩いた道に観た映画 記憶の花が咲き誇ってゐる
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嵩高に積まれる雪を眺めては大きイチゴをひと口に食む
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エアコンの温風ならずフィルターを開けてビックリ埃の山で
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木の枝の何処に潜みし寒すずめ一斉飛び立ち空色変へし
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晴れ空に老若男女集う日の美よ美のままであれ航空祭
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朝日射す清くて強い眩しさに私は灰になってしまおう
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来世とか あるとしたらば 犬かネコ 木とか花とか クジラがいいな
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雪にさす 朝陽あさひの色は 生成り色 忘却の彼方かなた 竹を編む人
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留守電の長々しゃべる候補者に入れませんよとつぶやいてみる
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悲しみの 雨にうつむき 泣いてては 空に昇った 虹に気づけぬ
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アルバムをめくりて若き吾に問ふ 夢見た未来獲得出来たか
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きさらぎの 神に捧げる さかきには 新芽がのびて 雪のふる春
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カサついた くちびる見つめ 今夜だけ 映画のような 君を信じる
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やっぱりね住めば都だ 片付けを終えて眺める新しい土地
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方角も 無言もなしの 恵方巻き 美味しく食べて 幸せであれ
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凶器にもなれる心をひらがなの「あい」に変えてく「飛翔」の時間
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退職の日は近づきて 吾の中に 被害者という 鬼が目を出す
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「天使」だの「春」だの言ってる口すべて雪で塞いでしまいたい夜
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独り夜に 炬燵に入りて 口遊くちずさむ 涙を誘ふ「♪ かあさんの歌」
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デイケアに見知らぬ人の集い来て会話弾みぬ学びの場かな
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