つり銭を人が手渡す一瞬に触れる手と手の微弱な電気
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若きより 人の視線の 減りてゆく 装ひてなほ 装ひて生きむ
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階段を下りる膝の痩せ ひと足ごとく息にせめて短歌うたを乗せんと
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春の陽にひときわ映えし花蘇芳はなずおう日々楽しめというが如くに
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隠蔽を見て見ぬふりの日本人 陰口コソコソ報告しようよ
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盲目の世界に一人彷徨いし病と別れ愛猫は逝く
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土瀝青アスファルトの片隅 さき名も知らぬ白き草花 健気に咲く春
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順番は桜の次に桜桃さくらんぼ咲いたものだが園地はすたれ/後継者無く
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「コメ黒」の コーヒーの香を 嗅がせけり お目々ぱっちり 木彫りミミズク /コメダ珈琲北大路店「コメ黒」
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チビ猫の 首輪もどっか 見当たらない 買い替えどきを 知らせているか
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一年の 悲喜こもごもを 知りもせず 昨日のごとく 燕が戻る
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泣きながら パンを齧った そのひとに 月明かりみて 影を重ねる
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屍は衆人環視の荼毘に付し 川に流して輪廻に託す
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蒲公英たんぽぽや庭に届きしわたひとつ植ゑてブタナと知りぬ粗毛あらげ
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絞り出す«ちゅ~る»付着す我が指をむる二匹の舌こそばゆし
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どこからか宅配された髪の毛の束の根元に血がべっとりと
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春風に 誘われペダル 踏むわれは ひとり追い越し ふたり追い越し
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親ごころ尽きることなく病める子と代われるものかと思いこそすれ
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夜桜が映える灯りも消えた街灯りを点けた会社も消えた
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春うらら 春一番に 桜舞う そよ風に乗り あなたのもとへ
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春の陽に 土を持ち上げ顔を出す 旬の筍山の香満ちて  
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目覚めたら 夢だったとか 無きにしも 非ずなんて ある訳もなく
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人知れず初冬に開花 暖春にいだかれ実りはじむ 枇杷の木
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たまたまに被るテーマのおもしろき誰かと誰かのコラボレーション
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覗き込む 瞳のままの イヌフグリ 笑ってる私 泣いてる私
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川辺りに 無造作に咲くハルジオン 白き花びら 風に揺らせて
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買ってきてと頼んだものはなにもかも忘れてカヌレ買ってきてくれた
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起きたらば ベッドの上に ぼーるさん ちま猫ちゃんが あしょんで遊んでいたの
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荒草(あらくさ)を 少し引き抜き 花清き 馬酔木を供ふ 父母の奥津城
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品性を 損なう歌を 読まぬ君 一粒胤の 御子の居るらし
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