真夜中に 月と密会 したことは 家族に内緒の 銀の耳打ち
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今日もまた納豆もやしを並ばせて財布の底の静かな反乱
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紙パック 交換される日 待ちわびて 今日とてルンバ壁に佇む
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新しいケリケリ猫に渡したら猫喜んで蹴りに蹴りけり
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ユーミンの歌詞が優しく飛んでゆく冬と春との間の空に
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子育ては ハラスメントに 似たるもの  受け手が決める 愛の正しさ
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身を起こし背を押し父のぬくもりと「有難う」との声まとうなり
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両脇に 幼な子かかえる 細腕が かけるメダルは 何色だろう
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如月の優し朝日に照らされて蕾ふくらむ沈丁の花
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そうだよね 真面目すぎると損だよね さぞかしあなたは不真面目なのね
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眠ってた春服そっと起こすよに 陽光の差すだまりの部屋
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早春の風にあたりて揺れながら洗濯物は雪景色みる
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言えなくて誰にも相談できなくて辛かっただろう苦しんだだろう
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薄紅の 霞たなびく山裾の 眠れる森も目を覚ましゆく
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いつの間にわれを気遣う年になり孫は手をふり家を出てゆく
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気にせずに いられた時の 懐かしく 祭りの陰で 武器売る準備
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シャンプーをしてもブローがイマイチじゃ すべてオジャンな気分になるの
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友の持つ素描集に見た平凡な名前に記憶の波押し寄せり/知り合いの画家M①
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東窓開ければ朝日燦々と気だるき身にも光差しくる
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はちみつに生姜を入れて湯を満たす気だるき朝に気合いを込めて
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時経てど 旅と映画と音楽を 語り笑ひし時代とき色褪せず
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祈りつつ入試のあとの氷雨にも土わり芽吹く蕗のとうかな
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なでて研ぐ米にやさしく手は荒れて研ぐたなごころ手肌にやさし
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連休でフル充電にした身体 春のコートをひらりと纏う
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会うたびにハグせし孫も近頃は吾の背を抜きてはにかみをみせ
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春三日試した後の冬びより早速「寒い!」が口をつく朝
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庭の隅 二十年はたとせ共の古鍬よ出番失せては病を憂う
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針を止め欠伸のひとつ伸びをして夜の明けたるにひとりと思ふ
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福もちを食んで 粗茶などすすりたる お正月の名残 これでお終い
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堅雪を踏んで近道隣へと行けるつもりが体重オーバー
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