言の葉の棘が刺さって抜けません 咲くのを待たずに腐りゆく心
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戻りたい 戻りたくない あの日々を抱きしめて生きる普遍パラドックス
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手頃ならなんでもいいと貪って虚しくなっては失う輝き
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さなぎでも愛してくれた君だから空へ行けるよわたしの羽で
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物体に宿る記憶に絆されて 季節を幾度見逃しただろう
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もう一度 堕落きせきは起きるよふたりなら アダムとイブの末裔だからネ
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宵っぱりのクォーターライフクライシス わたしはわたしと崇める朝日
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甲斐性と認めるほどに不甲斐ない鏡に映るあの日のふたり
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大合唱 玄関開ければコオロギが 秋も近しか猛暑日の夜
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丁寧に終わりを描きだす絵筆 いつか滲んでも美しいままで
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矛盾にも居場所と愛があるように 分かり合えないあなたと生きたい
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秋麗ら 母の写真と 話す日の 多くなりけり 彼岸花萌ゆ
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久々に犬も食わないナンとやら 秋刀魚の塩焼き二人で黙食
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エスケイプ 言葉が刺さる俗世から ちいさい秋の灯火ともをさがして
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死にはしない 生きているから辛いのに 的外れだと言えずに飲み込む
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秋の陽の 背を暖める縁側の 虫の音は止みて 独り栗食む
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哀しきは 飛び立つ鳥の の音よ 暗き小部屋の窓に立つ我
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花が落ち 土の中で実が生まれるように 潜んでいたいの旬がくるまで
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愛おしい寝顔を見つめて宵っぱり 夢を見るのも惜しいほどの時間とき
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君の寝顔はこの世の哀も知らぬよう このまま目覚めぬほうが幸せ?
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蟋蟀こおろぎ の 部屋の何処に 鳴き居るか 去年こぞより声は 冴えて哀しき
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紅葉こうようは 赤き金魚の形して 碧空あおぞらの池で 泳ぎ舞い散る
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淹れたての コーヒーの香りは 時を止め 秋空の雲を しばし見送る
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哀しみに刹那打たれて落丁の次第に増えし人生を生く
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君想い 長く伸ばした 後ろ髪 引かれてどうも 断てないのです
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朝ごはん 富士山望むリビングに ちょっと優雅な気分に浸りて
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黒豆の うるしの如き つやを見て 口にせずとも うまいとわかる
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昨日さくじつの 白花蝋梅しろばなろうばい 思い出し  生成きなりのシャツに 袖通す今日
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寒中は 生きていること 思い出す  凍えた両手 包む両手に
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鬼は外 多様性の この時代  鬼も内にと なる日も近し
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