十五の夜 隣で眠る横顔の奥に 私と同級の母
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僕たちは 毎日せっせと 食べる 食べる 今日もせっせと 薪を、焚べる
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おれ人間向いてないやバッタとか良いんじゃないのとどこぞの二人
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長いこと生きてる気がする 僕だけど。ばあちゃんと並び月を見ていた
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白鷺は細きあしして草を分けひょろ首伸ばし川面覗きぬ
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湯の川を揃ってゆったり魚たち群がるところが湯の湧くところ
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初雁の遅れ啼く聲かれがれに蓬老いたれみそらもろとも
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茜雲あすも良き日になりそうな迫り来るなり燃ゆる黄昏
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大病をせし弟よや健やかに暮らしておるか案じて祈る
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じゃが芋を黙々と剥くピーラーは二十余年の現役選手
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珍しく口から感謝飲んでいる珈琲豆よ育てた人よ
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柿の葉をかき集めては思い出すみなで集いて落ち葉焚きし日
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寒月のうら寂しげのそのままに今年はいかに凍てつく冬か
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檜葉ひばの木の枝の中には遠い土地香りの中に私の中に
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アマリリスと見紛うほど大輪に咲きし花瓶の百合は微笑む
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頼まれて買物提げて娘来しシンクの汚れを見かねて磨けり
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なんということもない事なんとなく上手くできないそんな今日です
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うすよごれ てちてちホームをゆくきみよ何を見るよ地に近い世界に
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床の間の無い我が家のテーブルでちょっと場違い迎春の花
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歌で知る 歌しか知らぬ あの人も 良い一年で ありますように
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神様がどこかにおりて松の内 星の光も一際清く
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蜂蜜を紅茶に垂らす一年が穏やかなれと出初めの朝に
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愛犬の骨壷を抱く 嗚呼キミもここに一緒に来たかったよね \ 新居に移りました
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あくび呑む授業じゃ見えるそのへんをうろついている時の神様
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見上げれば紅梅咲いてこの空のどこかにきっと精霊はいて
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思い出が まだ とんがっていて入れない 部屋の中にも 午後のお日さま
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追悼の 灯をもらう時 走りゆく 同じ痛みに 言葉こそなく
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挨拶は 大事と言うが それよりも もっと大事な ひと言がある
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友達なんていないのに、食べやすいからってパーティー開けのポテチ
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冬枯れの 枝這う壁も美しい モールに集う 人の群れかな
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