僕が人に 戻ってゐる そのあひに きみは行かぬか 海逝くまでに
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これが私が母にできること 私でなければできないこと 母がずっと求めていたもの
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鯉のぼり 庭に建てたら いい感じ 子たちの成長 幸せを願う
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母さんは親の言うなり従って不幸になったと知りつ言わない
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湯船でね 膝をかかえて 眠るとき その時だけね 赤子になるの
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御自愛を と返されるのが イヤだなあ なんだか知れず 縮こまってるような
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羽枕ほぐしてみれば羽の立つ鳥の魂春風に舞う
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後ろからそ~っと寄ってお腹などモフれば牙と爪の報復
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朝遅く起きて今歌を歌を読むむ
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目に青葉山ほととぎす春霞鰹は出ない母の暗誦
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根比べコンクラーベと独りごちダン・ブラウンの天使と悪魔
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黒塗りのSUVが科学者を無理に連れてく映画が見たい
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ローマなる 教皇決むる 御堂には 鍵閉ざされて 根競べ(コンクラーベ)かな
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せせらぎも土手の縁までたっぷりとこの頃は増す蛙鳴く川
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しがらみと恨みつらみのぐるりなり波打つ義理を情と見まごう
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死にたいと 毎日心が うなってる 君の声だけ 楔はそれだけ
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ヴェルタースのキャラメル3つ放り込み 噛み砕きたる至上の甘さ
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大勢が布団の優しくない感触を知っている 勝てなかった
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色違いのエコバッグなんてなんてことないね こういうのがうつつ
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交差点ふと空を見てよみがえるラムネの甘さに街の喧騒
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あの頃の鋭さばかり気を取られ知らず知らずに奇跡忘れる
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退社後の 列車内に 甘い匂い 菓子パンベーカリーの袋を提げる女性
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風薫る 窓を開けましょ 清々し 新しい今日のはじまり
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去った君キッチンの隅置き忘れコーヒーの香り君の残り香
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母の日に 誰でも簡単 すすめられ ならいいかと 多肉植物
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作業する若い兄ちゃん愛想良く手際てきぱき 母御に見せたし /ネット回線工事
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ごま塩の坊主あたまを撫でまわす やすりのような感触や良し
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空色を丸く集めたお薬を 飲みくだしても夜は長くて
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愛されず だから私も愛さない ママが撰んだパパに抱かれろ
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相棒は 四十を過ぎてもまだ動く 死ぬまでずっと 走り抜けよう
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