モフモフの絨毯に変え炬燵出す なにもせぬ日の夫の居場所
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登山してる時に元気に挨拶するやつ街ではそれをしない
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おまえだけイメージ良いの俺という悪がいるから成立してる
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言った事覚えてないと翻すやつをそろそろどうにかせねば 
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渋柿の皮むきて吊るす妻の手の黒ずむほどにすだれのびたり
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四度だけ寝ればパパには会えるのよ そう諭す君目を赤くして
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失言の恐怖症って言いながらいっぱいしゃべるあなたに安堵
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泣き顔の 眉にも似たり 紫の 細き三日月 連れて歩く
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色々と選びたかった洗い桶さてどうしよか店から消えて/プラ製の水切りかごも
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路地裏に落ちた金木犀はやがて夜を照らす銀河になる
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ヒリヒリと痛む寒さの帰り道あまりにクリアな星に驚く
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冷ややかな 空気に触れる 鼻先を 風がさらりと 撫でて冬来る
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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公園のメリーゴーランド子供らを大人に変えて一人老いゆく
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不思議ねぇ夜空の月はぶれるのに青空の月はくっきりと白
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鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
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ベタベタと嫌な思い出 手に付いたガムシロならば拭えるものを
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雪遊び手足の凍る帰り道母待つ家のありしあの日々
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真夜中に するどく光る 二十三夜 17才の 君に似ている
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冷えやすいあしお店の暖房と乾燥着ぶくれ真冬の肌着と/さてさて···
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当日券無いと知りつつ会場に来てみるほどの推しがいた秋
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雪女 ペットの名前は窒素ガス あなたが好きなの彼も私も
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外に出よう 秋の日差しに 誘われ 買ったばかりの ジャケット羽織る
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多摩川を渡り彼の地で酒盛りや ななとせの縛り介護を終えて
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「内緒だよ」教えてくれた公園で不意の初雪芝を覆った
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LED 照らす冷めた赤 東京でこれをもとめて生きていくのか
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公園の梢の奥に百舌鳥の声 紅き桜葉秋空に映ゆ
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配達の役割を終へ 我が猫の秘密基地と化す 段ボール箱
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季語ありの俳句に七々足してみて短歌にするというタクラミ
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久々に会えば思っていたよりも少し痩せてる父のかんばせ
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