うすあさぎ澄みたる囀り飛び立たせ 青き空へとゆづり去りぬ
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このままの関係性じゃ終われないけど 勇気が出ない高1の夏
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石鹸のあわ黒くなりし小さきて井戸より出づるスイカの赤さよ
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母の手のぬくみの残る古き棚かはらぬ場所に我が箸のある
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胸中に  俄かに爆ぜる  思い出は  顔を赤らせ  懐古を纏う
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降りてくる 浴衣姿に 目を伏せて ズボンで登る 駅の階段
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ふりはらう 女の髪の 仰ぐ香に 吹かれて私 脇役と知る
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美しい 語彙の源泉 かき混ぜて 生まれ流るる 無数の泡沫うたかた
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目が覚めりゃ そむけたくなる 日々ばかり 押し寄せてきて 今日も二度寝し
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夕影の 甲子きのえねの土 踏みしめて 踊れ若人 浜風のごと
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猛暑日を回避するらし立秋の風涼やかに老いにやさしき
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トワと呼ぶ小さき命よ永くあれ ヒト科の願ひ水にたゆたふ/熱帯魚飼育
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各停に揺られまどろむ帰り道 陽の沁む瞼のだいだい色よ
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銭湯で友と使いし石鹸の減りが嬉しい夏の夜かな
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木槿咲く庭に出ずれば陽に光りトンボ舞い来て庭石に降り
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帰り来し子等と連れ立ち盆の朝花や水持ち墓前に集う
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反戦と平和に みんなが飽きるのを リニューアルした 戦前が待つ
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あぁ行きたい 流れるプールに 海水浴 お風呂掃除が 分相応
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玄関の日々草にちにちそうの白さやか呼び込む風の秋のひとさじ
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夕散歩うれしい犬に負けぬほど嬉しい顔で先を走る子
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風力の白の巨大なプロペラは誰より早く季節にさわる
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パッと見はコミュニケーションできるふうなれど氷河をあるくわれなり
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君がためテクノロジーに背を向けて今朝も落ちゆく高台の雫
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目の前を日焼けした子が駆けてゆく慌てなくても夏はあるわよ
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姉さんに 褒められスルーす 弟は 同じコーデで また出掛け
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それぞれの 朝を迎えて 支度をし ベルで着席している不思議
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おっちゃんの こってりラーメン大盛りに ニンニクマシマシ 失恋の味
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いつまでも続いて欲しい信号が 変わって私今交差点
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人力車 発明したの日本ですと知った時の納得感よ
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AIが「風呂無理せず」と言うならば そうしてしまう自分がコワイ
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