ここに今 わたしがいると知っている わたしのために篝火かがりびを焚く
35
父母ちちははとむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
34
おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
19
「分かるよ」と絶対容易く言わないで でも君だけは きっと分かって
6
鳥籠の中で産まれた鳥は皆 飛び立つことを病気ビョーキと思う
7
帰り道、雪に埋もれた路地裏は 何処とも知れぬ 白いまぼろし
40
そこにある 風じゃない声 耳澄ます 人差し指で評する前に
20
亡くなりし犬のにほひの残る家 庭の白梅シラウメ今年も咲いて
53
君のそのふざける癖をやめないと薬指ごと噛み千切るから。
5
こんなにも貴方の色に染められた。傷んで価値が消えた髪の毛。
7
そんなのに誓ってないで神様は君なんだから私を救え。
5
インクとかこんな時代に滲ませて間違えすぎた手紙と涙。
8
病棟の 父への葉書に歌一首 余白で伝わるものの多かれ
27
娘から「これから行くね!」突然に 今日の予定は「孫」に変更
16
後追いの一歳児連れてフラダンス ママの背中はゆりかごになり
14
プレゼント箱を開けるとまた箱が 最後の箱には指輪がひとつ\思い出①
14
「こわれもの」小包届く海越えて 現れたのは ふわふわコアラ\思い出②
11
丁寧に紙とテープで修理する 夫と半生歩んだ聖書
14
葉も枝も切られてしまって丸坊主 桜の樹々は寒そうに立つ
12
この国に欠けているもの教育ね 年々増えゆく朝拾うゴミ
13
ひと言の「ありがとう」に励まされ さあ、拾うぞ明日もゴミを
14
ああ今日も桜が一本伐られゆく 痛い痛いと泣いてるようで
19
下校する二人の児童歌いつつ 素敵なハモりに思わず拍手
19
ビワの木は挿し木してから二十年 今年もたわわに大きな実を付け
17
故郷に今年も咲いた亡き祖父の自慢の深紅の霧島ツツジ
18
ビルケナウにガザの髪触れ合ひ混じり死の後も死者なりき兄妹
12
一年間背比べしてたサボテンが造花であった、そんな夏です。
7
復活祭へにがき蕗煮ていもうとはロザリオなどゆめかけざらむ
5
通勤の改札出れば天気雨 夏の終わりの香りが満ちて
48
子を産んで2年育てた家を越す 壁のシールを剥がすも愛し
47