雪道の 峠のカーブ 右ゆけば トンネルあかく 我を吸うなり
43
人びとは 縦横無尽に 行き交いて ひとりたたず 駅コンコース
44
桜葉さくらば 一葉ひとはのこらず 落ち果てて 届かぬ手紙 どどと着くよに
44
国会のテレビ中継見入りつつ行方を案ずまつりごとかな
21
風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
51
バレンタイン あなたの為にリボンつけ 気持ちに蓋をし自分で食べる/「真心」
14
白壁の土蔵を覆う蔦紅葉きらめき揺るるそよ吹く風に
41
積雪は 十九センチ きのうまでの 浮かれ気分は 静かに埋まる
52
替えの効く生を受けても 代替のそいつは僕を詠えないだろ
19
檜葉の枝杉の木の枝花屋にて並び始めて冬の訪れ
46
大陸の 友と語りて笑いあう 小さき外交 祈りかさねて
56
笑いつつ 手を取り走れば 粉雪が なれが睫毛に 我の睫毛に
25
雪よりも一足先に白散らせ 月夜が照らす 八重の山茶花
20
五平餅売らる茶店の灯も落ちて紅葉祭りも日暮れて終わる
42
ほほ笑みは 生後三日の が語る キユッ とあがった ピカピカの頬
47
いなり寿司けんちん汁に串揚げを作り孫待つ猫とじゃれつつ
36
フード越し風が鳴るのを聴いている星瞬いて流れて消えて
53
一列にまとまるムクドリ鳴くを止め首傾げ見る駅向かふ人
39
どの家も玄関明ければその家の安堵と云ふ名の匂ひのありて
53
親の前 泣けない子供 たちはどこで 泣いてるんだろう 声がきこえて
38
一晩中 雪の明かりに 照らされて 白夜なのかと 見紛みまごうほどの
52
蕎麦買いに 蕎麦だけ買うの 忘れきて おおむね詰めの 甘い一年 / 反省
52
床の間の無い我が家のテーブルでちょっと場違い迎春の花
47
来る日々をせわし暇だと呟きて矢の飛ぶ速さで春夏秋冬ひととせは過ぐ
54
好きだから時間をかけてやわらかくふっくらくらと黒豆を煮る
21
吾の雑煮 息子美味いと 好評価 妻の遺影に 笑顔で供へ
35
冬ざれの色無き山のふところに黄色に灯る八朔たわわに
47
空蝉や枯れ葉に乗りて舞いきたか睦月の山の白き雪の/低山歩きの孫のライン画像
32
この上なく 遠いお空に 下弦の月 むせび泣くよう 寒夜かんやに揺れて
42
七福神めぐりて引いたおみくじの短歌を胸に今年も一年/大吉
31