わらはより ともに遊びし ふたりなれど ゆゆしきいくさ 仲を裂きぬる
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綿毛の塔に風やわらかく吹き込んで崩れ去るにはまだ早いから
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芥子の花ひとすじ伸びて吹きわたる風つよければ折れそうなほど
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揚羽蝶の翅おだやかに振動し何かが始まろうとしている
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しじみ蝶は絡みあい離れあいながら草々のさきにふれてはなれて
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とことこと身体の軸をみださずに扉のしたへきえてゆく ねこ
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しらじらと咲く百合の茎縫いとめて小さな蜘蛛が巣を張っている
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アメンボは水の流れにさからって泳いでは同じ場所にもどって
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池の面に蓮の花びらとどまって静かに夏が終わろうとする
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努力ができないなら死になさいよと 全世界の美人に言われる
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吐き気がするのよあんたの顔見ると さっさとわたしを殺してちょうだい
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お金を払って初めて許される わたしがここにいてもいいということ
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人生が200個あっても足りない!と 君が飛び散るビル12階
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夏が死に秋を殺して冬と死ぬ 春もそぞろにまた夏を待つ
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何者でもないわたしを生きること 焦燥・加齢、解放となり
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鶏肉と半端野菜を鍋にくべ待つ「この恋が実りますよう煮」
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幸せという字は手枷の形から出来た われてみたい夜がある
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感情は言葉にして吐き出さないと 勝手に出口を見つけてしまう
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地獄だと自覚があるだけ褒めてよ。生きてるだけで大惨事でしょ。
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じゃんけんが好きな君のその指と私の小指は繋がりますか。
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ソンナコトナイヨ を多めに持参して 思春期の父のご機嫌直し
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無くなれば 満たしてくれた おやつ缶 空っぽにして まだかな と待つ
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モコモコのスウェットに袖通したら 秒で治せるタイプの鬱病
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父母ちちははとむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
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おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
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帰り道、雪に埋もれた路地裏は 何処とも知れぬ 白いまぼろし
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そこにある 風じゃない声 耳澄ます 人差し指で評する前に
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亡くなりし犬のにほひの残る家 庭の白梅シラウメ今年も咲いて
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君のそのふざける癖をやめないと薬指ごと噛み千切るから。
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こんなにも貴方の色に染められた。傷んで価値が消えた髪の毛。
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