街頭の ない畦道で 吾子と聴く 虫の知らす 秋はもうすぐ
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洗礼名ヨハン・シュトラウス ドナウは昏く靑きゆゑにうつくし
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万国旗 ゆめのやうなる朝の空へ人は手をさしのべてをりぬ へ
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われわれは優生学の黄昏に未來過去へのプルトンの鐘を負ふ
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苔の生すへ、軍は果てて死ににけり。夏虫の絶ゑしかそけさ
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川底にキラリと光った小魚は流れに逆らい上へ上へと
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夏という季節が決壊した様な豪雨が僕を叩き続ける
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叶うなら かもめに伝言 託したし 私は元気と ただ一言を
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急ぎ旅なれどコスモス風に揺れ吾を迎える ふるさとは秋
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日替りの社食のデカい唐揚げが嬉しい三十二歳児の秋
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ものづくり琴線ふれる作品は平明にして気をてらわない
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山肌やまはだに 落葉布団ぶとんを 掛けし木々 裸になりて 雪衣ゆきごろも待つ
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帰り道 妙義みょうぎの山が しゅに映える 綺麗な夕焼 朱鷺とき色の空
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車窓より見ゆる景色は夢模様 映る我が身はうつつに立てり
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冬どりのタマネギ甘み格別のように英明さあ食べてみて
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今日という特別な日よ吾子からの人生最初の〝おかえり〟の日よ
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きび糖の熱い珈琲牛乳の甘さは記憶いつかの冬の
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三日月は はるか彼方を みつめたまま 振り向きもせず 慕う夕星ゆうづつ
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冬風と戯れるよに舞うとんび 空は遥かに広くて青い
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頷くよう しずりの雪が 落ちるとき 始まる予感 気流のうねり
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キッチンの小さな明かりで啜る時カップヌードル本領を出す
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粗大ゴミ置き場置かれた姿見に映る私に見覚えは無く
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また明日遊ぼうねって今日の日の終わりを惜しみ吾子とつなぐ手
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いつの日かとびにとられたコロッケよ二人笑って見上げた空よ
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「愛してる」言わなくなっていい仲にあと50年古希の初恋
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泣きそうな 親子に逢ったら 今度こそ 声をかけたい アメと折り紙
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「うごいたね!」一歳にっこりママを見る キミももうすぐ兄ちゃんになる
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親という 一番近い歴史見て 繰り返さぬと誓ったんだが
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なすすべも ないと思える夜にこそ ハチドリ習い 一滴の歌
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公開は積極的にされてない逃げているのか嘘つきなのか
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