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重ね着た罪を一枚ずつ脱いで見せる裸も公然猥褻
4
世界から逃げ出してしまいたい夜は 匿ってくれ よだかの星よ
9
どこにでも誰にでもまた嘘をつく 「相手のため」を免罪符にして
11
透明な砂がこぼれていくようなまだあたたかい夢をみている
21
末娘の病の告白に泣く妻と動転かくすわれ医師なれば
12
月見えぬ夜は大きな犬連れて 少し離れたコンビニ行こう
12
母の背をとっくに越した小六がぎこちなく袖通す制服
24
まどろみの夜ほころびゆく午前四時そっと犬と歩みゆくかな
31
沸騰を知らせるメロディー「愛の讃歌」古い
厨
(
くりや
)
にピアフの調べ
32
雪見酒 兄の羽織と 酌み交し 赤穂の塩の 涙酒かな
20
時雨去り一気に注ぐ陽の光 青き椿の葉を艶めかせ
29
ショーケースの中の白き熊の
瞳
(
め
)
と、
瞳
(
め
)
が合う刹那黒熊偲ぶ。
11
入口の 小さな白い 喫茶店 バナナジュースは 初恋の味
22
波多き 人生なれど 刻まれし 愛と記憶は
彩
(
いろどり
)
となる
16
旅戻り早速干しいも作業する無事に感謝し日常始むる
39
仰向けでいびきかいてるミャースケにもはや野生のかけらすらなく
14
小春日の温もりは母を 木枯しの厳しさは父を想ふ初冬
23
初デート ママに内緒でいくからね ブタ公園で君を待つ僕
14
曇天のたまに雨舞う一日は
唯々
(
ただただ
)
明日の晴れを待ちおり
28
同僚
(
とも
)
からの 旅の土産に 温もりぬ 忙しくとも 足痛くとも
24
程々の緩さを秘めて仕事する真面目なあの娘に伝えられたら
36
断捨離の荷をのせる時軽トラにとまった蜻蛉 秋の終わりの
26
指先が母になりゆく初冬の夕 ポテトグラタン肉じゃがにする
30
朝四時に使命を背負ってひた走り僕を追い越すはたらくくるま
14
タクシーが角まがるまで両手ふる妻と吾なり
娘
(
こ
)
の無事ねがひ
18
デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
25
聞き慣れた朝のアナウンサーの声 今朝は鼻声 流行りをる風邪
33
批判することは簡単トゲトゲをもて余してはスマホをさわる
22
もし恋がおわるとしたら ぱちん そんな音がなるのかな
10
野薔薇
(
のいばら
)
は寒さに耐えて茎も実も赤くなりけり 空を見上げて
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