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色褪せたアルバムをそっとめくる祖母の横顔に浮かぶ恋する少女
14
「寒いね」の四文字ですら喋れずに「好き」と言えるのはいつになるやら
15
川口の 花火の音が 響きたる 父への手向けと 祈る立冬に
18
ふと問われ心の形を考える気体のような銀河のような /ひとふで様のあたたかい歌に
23
笑顔もよし真剣な顔と素顔よし坂本花織のメイクをしたい
13
ものがたり はじめることはかんたんでむずかしいのはおわるときだよ
20
恋愛は二人でするものなのに一人で答え合わせをしている
21
たらればを繰り返してはうまくいく方程式をひとりで解いた
26
チューブから捻り出しても白は白 おまえのようにありたかったよ
8
枯葉舞う 夕暮れ時に つむじ風 みちのくの地に 冬は来にけり
23
隅っこの
石蕗
(
つわぶき
)
の花ひかえめに秋の一隅ほっこり照らす
24
珈琲が沸く音がして朝鳥が鳴く なかなかに悪くない朝
17
舌を出し においと味で誘われて 苦界を泳ぐ蛇の宿業
10
手にとって 灯りに透かす目 煌めいて 食べず眺める 琥珀糖なり
12
『かの鳥に成るの望みは成らざらめ 己は鳥と知りてこそ得め』
11
『かの月に成るの望みは成らざらめ 己は月と知りてこそ得め』
11
ジャイアンもスネ夫も嫌だ 願わくば のび太になりたい つながる人と
13
SLの 汽笛が耳を 和ませる 湖面に映る 錦秋の山
21
昨年の予防接種は大号泣 今年は我慢しました三歳
17
ものづくり琴線ふれる作品は平明にして気をてらわない
13
湯豆腐に大根おろしをいれて炊く みぞれとうふを熱くいただく
20
お天気を気にするように彼の人の心気になる恋愛予報士
14
「久しぶり、ブラックコーヒー飲めたんだ。」 君の笑顔が見れないからさ。
6
夜更け過ぎ 猫の寝息と 雨音が 私を包む BGMに
13
熱のあるときは二重のまぶたなる子をかなしみて氷をあてつ
14
酒呑みで咥え煙草の亡き祖父の 薄れる記憶猫を撫でてる
11
紅
(
あか
)
い葉を集めて「モミジ」と言ふ君に 「カエデ」と伝えず大人になった
12
冬至来て 幼き頃を 懐かしむ
亡母
(
はは
)
が作りし 甘きカボチャが
20
またいつか。桜の樹の下あの頃の 純粋な僕のタイムカプセル
9
鴨五羽の黄色のくちばし木の実食む見とれてひとり秋の日だまり
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