春草しゅんそうも震へをる 長き余寒を耐へ 数多の水仙笑ふ弥生
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ボケてると思われていた爺ちゃんが 誰より綺麗に両手を合わせた
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春陽しゅんよういだかれ つぼみゆるまりて 枝紅らむる 神社の桜
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パンくずが 一つ落ちては 一つ拾う 一年後には 一枚のパンかな
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今はただ 去りて久しき 可惜夜の 余韻に浸る 君を想ひて
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福井にて 黒き涙を 流す地よ のこせし子は今 四歳よつになる
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Eテレのダジャレにツボる息子から『サバイバルで鯖威張るー!』
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吾の実家継ぐ人の無き墓ありて今は姉妹で守ると決めし
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お人好し 装いながら しゃあしゃあと 嘘をついてる 皆気付かない
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君去りて 落ちし蕾の あかきこと 子の呼ぶ声に 我は老いゆく
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羽々斬はばきりを 構えて大蛇おろち 幻影の 我のクロユリ 断ち切れぬなり
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雨の日は 晴れを祈って 晴れの日は 雨を祈った 三月の自室へや
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聴き終えたやさしい話に作り手もきっとと思う「ゆず、香る」 /深夜便ラジオ文芸館にて
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昼下がり 息子が食べる ポテトみて 笑顔で突撃 0歳の孫
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老木の ひなたの桜 満開で パワーもらいし 五十二の春
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改札の傍の 焼きたてパンの店 匂ひに見送られつ 乗り換へ
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夕日に 友と語らう 三年間 淡い花びら 色染め濃くして
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時経ちて 陽春ようしゅんうた最中さなかなり 飛び立つ花粉せい黄金こがねに輝く
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ポーリッシュポタリー求めGoogle(Inc.)各地の食器よ我に集まれ
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もたれくる父の重みに耐えかねて吾も生きたしと叫ぶ心臓
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苔むせど隣の墓や仕舞いなり 更地に白き砂利石ひそり
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飲み終えた 川沿いに光る ラムネ瓶 水で満たして 夏が弾けた
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歴史上生まれた人の総計は千百七十億人といふ
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マンションの垣根を赤くむ新芽 ベニカナメモチの鮮やかな春
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誰も彼も敵に思えて身構えるそんな自分が一番の敵
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君のそのグリーンの瞳カラコンとわかっていても惹きつけられる
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耶蘇教の墓の下にぞ父埋めて 法事要らぬと母便利がり
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子規の母の「しかたがない」とふ言葉 しかたがないと聞くほかはなし
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軽トラの 荷台に転がる泥葱を 「食うか」と笑う翁のありぬ
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公園を彩る花もいいけれど 無造作に咲く野の花いと
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