足早に人の行き交ふ地下街に世代巡るを今更に知る
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八十路なり亡姑はは 患いし認知症 脳トレに我短歌うた楽しみて
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もぎたてを届けてくれる友のあり真っ赤なトマト 食めば夏の香
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洗濯物干して何気に目をやれば雑な性格ぶら下がりをり
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この星の裏では餓へる人をりて平和の国は大喰い競ふ
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相談を 仕掛けておいて この態度 そういうトコに 原因はある
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「可哀想」 なんていうのは 勝ち組の 慰みものだと 捻くれてみる
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自分から 誘ってみるの 夏祭り 意思と帯紐 固く結んで
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ゆるるりと回り灯篭動き出す走馬の影見し宵闇の道
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あの家のノウゼンカズラ見えたなら歩幅広げし吾の決め事
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エアコンを切らば朝まで虫の声こうして秋は日々近づきぬ
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何を美と するかは人に よるとして。 私は酢豚にパインを許さぬ
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いくつもの花びら風に舞ってゆく夏の化身の百日紅ひゃくじつこう
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痛くない傷に限って誰からも見つかりやすい場所についてる
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初雁の遅れ啼く聲かれがれに蓬老いたれみそらもろとも
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午前二時時間泥棒居たんだと寝る前に飲む『ナイトリカバ〜』
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拳銃で熊は倒せぬ事を知り秋田マタギの衰退惜しむ
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田舎町にトパーズ色の光差す夕焼けチャイムの「恋は水色」
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方言は口を擦り抜け口癖に名を変えきみの口に滑り込む
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間違いか正解かとかいうよりも別の答えが出てくる人生
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置き配の荷物のように待つわたし きみの心の扉は閉じて
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昆布出汁に生姜絞り汁入れるだけ卒業生の知恵を借ります
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人の無い夜中の街で一人きり雪に残った靴跡を追う
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柿キウイ芋を食べ終えしりとりに気付き一人で大ウケする朝
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眠れずに二時間いいえ三時間白い病室繭にはなれぬ
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病室の繭から出れば年の瀬のまちはわれをも主婦にもどしぬ
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目覚めれば世界が変わるわけもなしそれでもどうぞ平和で平和で
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既読さえつかぬ画面の奥側に冷えたままある僕のスタンプ
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倒木を防ぎ 人命守るため 伐採されゆく古樹こじゅの哀しき
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晴れ空に老若男女集う日の美よ美のままであれ航空祭
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