旅途中立ち寄りしあのさくら寺先逝くあなた納めし初秋
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雪の街たはむる娘眺めつつ遠きかの日にタイムスリップ
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海崖に荒波打つる東尋坊聴きしに勝る柱状節理
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おれ人間 向いてないやバッタとか良いんじゃないの とどこぞの二人
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たはむれに吾を背負ひし四十吾子ひとり身残こし母老い逝けん
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見せかけの終止形でも 無いよりはましと言いたいのでしょう あなたは
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誠実であるべきなのは 言葉ではなくて私のほうだったのに
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姉に手をひかれ初登園父なき子にしなくてよかった愛しきかの日
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贈られしカバン斜めがけ笑みはじけ彼女と供に十六の門出
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寛容といふ名の下でゆつくりとその正しさに疲弊してゆく
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あやまちと赦しとは 同じ旋律を湛へて眠るふたごのように
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うつむきの露草にまでなお我は元気を乞ひぬいつまでも
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うたかた(Utakata)に出会いて五日あなた亡き日々詠み供えたし三回忌(10/1)
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ありがとうつたなき吾なれどいつの日かだれかのこころに沁みるうたを
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ゴーイングバズりやすいを名乗ってる街feat.フィーチャリングハリーポッター
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どうせすぐ醒めるのになぜ眠ろうとするのだろうかまことしやかに
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朝が来て諸々の鳥は歓びとそして交互に絶望を歌ふ
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お引っ越し見慣れた景色よそ者にあなたが去ってからの灰色
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グレゴリオ聖歌の果てて燻り立つ 母よあなたの骨の白さよ
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花ひとつ携へてゆく応へてはくれない母の聲が聴きたく
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いつかこの秋を忘れる 喪失と身軽さだけでここにいたことを
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むなしさの底を知ろうとすることの そのむなしさはいやというほど
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暮れてゆく空の静寂しじまにただひとり 委ねただろう母の身を泣く
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甘い香の 姿無くとも 皆気づく 金木犀が 咲き出したねと
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ああ子らよ「みんなちがってみんないい」吾と吾子だけの三回忌法要
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非通知といふ手ざわりのその下に あるかなきかの人の心は
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他所の子が慕ってくれる嬉しさよ「明日早くにこの場所来てね」
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このご時世 スタンプひとつで 伝えられ 電話の会話 なんか照れるね
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昨晩はいざ飲み会で食べ過ぎて今日はアイスと特保の茶
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この間息子とニトリに行ったけど口調が別れた夫と同じ
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