他人が思い通りに動かぬと牙を剥ける奴になど負けぬ
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哥らしき 哥は詠めども よき哥ぞ 年経(ふ)るなべに 詠みかたきかも 
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目の前は身ぶり手ぶりのエンドレス私は死んだ人と対話す
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ざわざわと四月の雨の冷たきにいたち轢かれし道にそぼ降る
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日がなぱたぱたぱた水の落ちる音いつかひとつの大曲となる
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集団的自衛権の発露とし不登校児にいちりんの菊
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おきざりの夏蝶ばかりわれをおき帷子色の屍ひしめかせたり
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水の井の上澄みにしか掬はれず兵隊となつてゐる蟻一列
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つまらないおとなになったあの時のかえらぬ傷が疼くのだった
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マヨコーンピザのコーンが転がってどこかへ消えた金曜の夜
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やかましい小さな点の集まりの ひとつだ僕もプラネタリウム
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音楽になりたい 何もしなくても美しいまま存在できる
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永遠にしたい一瞬なんかない お湯が冷めてく湯船に浸かって
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引き出しをひっくり返し散らかしたガラクタ一つ一つ捨ててく
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枯れていく花と目が合う 今週は一緒に年をとっていたんだ
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ブランコが高く上がれば上がるほど 美しくなる 重力の虹
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キャトルミューテーションを指示せし宇宙船内に呻きて置かるトランプの脳
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女子会で 今の子みんな美形だと 昭和の普通が口々に言ふ
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北海道に新婚旅行夢見てた妻とハワイも今は難病
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ゆるるりと昭和漂う喫茶店 同じ匂いの友と語らふ
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幼き日姉弟こどもが登った桜の木 伐採前に最後の開花
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春待ちの列車に揺られ僕たちは 良い日、悪い日、行ったり来たり
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夏木立 陰のみどりは 黒ぐろと 海を思わす 深い深い海
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浄土にも セミの時雨しぐれは あるかしら つんざくような エンドレスコール
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恐竜の 絶滅みたい セミの声 花野はなのに息吹く 虫たちを聴く
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アジサイが まだ青々と 咲いている チクチクするよな 酸性の土
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無花果いちじくのほのかに甘い風香る 無花果の木の小さな木陰
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血の海に 子を落としたる えんありか サンゴ草咲く 海原に立ち 
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魂の 傷がその人 たらしめて そこはかとなく 悲の彼岸花
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愛用の お花鋏も 四十年 いちども研がず チカラワザで切る
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