眠れずに二時間いいえ三時間白い病室繭にはなれぬ
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五時間を耐えて辿れば 純白の実家(さと)に積もれる 古き思ひ出
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病室の繭から出れば年の瀬のまちはわれをも主婦にもどしぬ
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目覚めれば世界が変わるわけもなしそれでもどうぞ平和で平和で
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病み上がりなれば訪う人もなし正月だけが静かに来てた
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ふやけてる餅を置く皿なでている除菌シートをぼくは信じる
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寒い街抜けて電車に揺られれば君に会うまで少し眠ろう
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「さよなら」は言わずに降りる各駅の故郷遠く動き出す窓
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「赤い糸」なんて信じていなかった 紅茶に溶ける砂糖の白さ
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悩み事さえもビタミンになるような そんな気がして剥く冬みかん
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愛犬の骨壷を抱く 嗚呼キミもここに一緒に来たかったよね \ 新居に移りました
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一面に白き寂寞降り注ぐ庭にくれない差す寒椿
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初の試み 成人を迎へし日 その一度きり むせびぬたばこ
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昔日の冴ゆる朝 成人の日に 母の一張羅いっちょうらまとふ姉
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零度ですエアコンが言う外気温まちのすべての暖房つけよ
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雪景色 君への想い 降り積もる 春の訪れ まだ先にあり
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マイク持ち叫び続ける候補者がただ何となく小さく見えて
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幻肢痛 中途半端に片付けた部屋にかつてのギターの在り処
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甘やかな愛情も義理も飛び越えたビターな惰性にリボンをかけて
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両の手で おかおをかくし ねむるねこ まぶしいのかな でんきけそうか
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レコードの音がだんだんデカくなる聞きたくないこと多すぎるから
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木々たちの枝が脈打つ春の音おのおの自由に姿かたちを奏で
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言葉には収めきれない思考あり自分で自分に感じる孤独
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眼裏まなうらに浮かぶ何かに呼びかける返ること無い返事を待って
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ゆるゆると 誘(いざな)われたる 夜の道 月暈(つきがさ)ありて ウサギを探す
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列島が 歪な形に 裂けていく 一極政治・気候変動
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歌は唄うだけじゃないと知る春先 詠んだり編んだり踏みも刻みも
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「ほら最近 流行ってるじゃない?長生き」と かろやかに笑う 人生の先輩
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春風が吹いて香りと思い出の切ない化学反応起こす
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晴れた日の 雪解けの音 心地良き 穏やかな風と 春色の空 
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