我が夫短歌うたは詠まぬが短歌うたを読む 私の短歌うたにも厳しい批評
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「この夏を乗り切ってね!」と掃除する 唸りながらも頑張るエアコン
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犬だけに吠えるというに吠えられて「私は人間 犬の匂いする?」
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老犬はおやつもパスして寝てばかり 心配よそに夢心地かな
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老犬の散歩を終えて夫言う「これが我が家の老老介護か」
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乾杯のあの一瞬を懐かしむ 酒飲まぬ夫と静かな夕餉
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「かあさん、あなたの落とした真っ赤な櫛が、青い鳥を梳ってはやまないのです。」
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「僕は自分の死が見たい!僕は迷子になったのかな、御嬢さん、ねえ御嬢さん。」
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「死体拘置所、死体刑務所、死体死刑室、死の衛生博覧会はこちらへ☞」
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牛乳販売業の青年嗣ひとり開拓地へシャープペンシルの替芯吊る 飼育
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コンビニエンスストアへ三十六個のクピドの刎首の罐詰の茹豆
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思春期の 中学68年生 卒業試験に苦戦しており
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星ならば 見えて届かぬ あたりまえ 君との間 30光年
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30年前の君から 今届く 宇宙の中ではすぐ そこに居る
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ノートルダム寺院。青年戴冠式に侯はば受け賜らむか 御旨
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親と子が 孫とひ孫の顔になり ひいじいちゃんの思い出話
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望月なんて望まんさせんづき 繊月の 欠けたることをいと 愛しおもへば
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本日で「子」を卒業する 火葬場の床に寝転び泣きじゃくりたい
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「去ったか」と思わせといて夏は居るホラー映画のお化けみたいに
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外国語 学び初めて知る 母語の 身近にあふれる月とお日さま
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夜のびて 雨雲 空を隠すとも 月日はいつも この世 照らして
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とぐろ巻く 気持ちがとびだしそうになり 父と離れる時間を買った
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水たまりぴしゃぴしゃ弾むステップで吾が子は踊る時を忘れて
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水たまり遊び帰って吾が子ふと「あめいたねー」とつぶやき笑う
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葬列も散り散りとなり午後三時金木犀の香りの西日
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月という隣人がおりその人はそっけないけど美しい人
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この気持ち喜怒哀楽のどれなのか分からないまま涙は流れ
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解体の音もさみしき秋の雨誰かが住んだ家が無くなる
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多じゃなくて個になりたくてもがいてた 白い校舎に捨てた青春
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ブレーキをかけてしまった感情にもういいよってねぎらう夜更け
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