青年も優しき人も年寄りも理不尽を知る個々の場所にて
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五歳児は自分のことを「オレ」と言う イントネーション作る可愛さ
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外国語 学び初めて知る 母語の 身近にあふれる月とお日さま
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夜のびて 雨雲 空を隠すとも 月日はいつも この世 照らして
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来る年は 言祝ぐうたを 詠めるよう 願いを込めて拭き掃除する
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名も知らぬ草をひきつつふと見れば黄色や白の花の咲きおり
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雑草と呼ばれし草もとりどりに可憐な花を咲かせておりぬ
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価値観の違う世代に一呼吸ため息一つ空に放てり
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アメリカンチェリー一粒ちょっとした言葉の棘を反省してる
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いつまでも続いて欲しい信号が 変わって私今交差点
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直接は話さず話せず触れられず緑の通知が私の明かり
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さぁ行こう 心を紡ぐ 物語 みんなと進む この物語
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白黒で はっきりさせないこともまた 美しさかも 百鼠色
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空を飛ぶ夢など見たことないけれど自転車からはいつも落ちてる
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あの日さえ離れてくれぬこの思い抱えて歩く枯野の草を
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心配のしすぎと友に言われても手の鳴る方へあなたはだあれ?
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嵐吹く 私の中の海もまた 光のどけき 日を 願いつつ
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三十一の文字は牢獄ならずと舎にいへ蒸し焼かる牝鶏
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「三人で来たかったね」と逝きしを偲びつつ行くコスモスの道
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今朝はまた妻が特別ご機嫌で 良い一日が待っているかな
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ありがちの言葉机に残されてあなたの居場所は遠い日の午後
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晴れ渡る 寒空に見る 星月夜 ゴッホも同じ 空を見たのか
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たまにはと メガネをとって ぼやけてる 街の灯りに ニコリと微笑む
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長押しで電源を切る親指がたしかに息の根を止めていた
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街の灯が幸せそうに見える日は私がとてもちいさいからだ
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入り浸る飲み屋の影にいる子猫そっと抱き上げ毛づくろいする
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先人の 運んだ 丸太と岩の道 踏みしめてゆく 三輪山登拝
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滝の音聞こへ来そふな油絵の水霧飛び来て吾にかかるごと
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想い出は街をぐるりと歩いた日 兄の遺した紬をほどく
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鞄から くしゃくしゃ原稿取り出して 夢追い人が また旅に出る
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