かぎろいの春野を行かば海の見ゆ 父母眠るふるさとの地の
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玄関に立てば「おかえり」亡母の声 幾年経れど忘れえぬ声
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今はもう土間もかまどもなけれども我を仕込みし祖母眼裏に
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いつになく長引く会議は気もそぞろ仲間ともまつランチに息弾ませる
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糸電話 今この宇宙そらに 伝えても 届かぬ声は 夜に放たれ
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喧嘩して、仲直りして、ご飯食べ。家族という名の終わらない恋
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孤高なるお花畑の駒草に寄せる思いのまつりごとあれ
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幼かった私に贈る指定席「大丈夫」という切符握らせ
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「おばさん」は 終わりの合図サインじゃないのよね未来を走る コースの呼び名
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子供等は雪を望んで大人等は雨を願って明日を待つかな
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生きること 喜びあえる山めざす 道の左右に 駒草咲いて
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錆びたネジ 巻いて時計の 動くはず 褪せた写真に 色をさしゆく
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私はね草でいいんだそう思う落ちた所で生えてればいい
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曇天に 梅のつぼみが ちらほらと  冬の名残を 今は楽しむ
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征く冬は つぼみを添えて 跡梅の 次へ渡さん 淡きくれない 
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政治家になる前ならばその笑顔好きになったな信じただろな
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雑に歌 詠みてまちたる 我が目には 着くも気付かず 声掛ける君 
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テーピングした手で笑うオオカミを信じた子ヤギみな戦場へ
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「親」という役を降りない母と飲むクラフトビールの苦い延長
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ガジュマルの 横にムスカリ 顔を出し 寒い中にも 春の香ふわり
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過ちを 繰り返すがは 世のならひ ならばふたたび 戦(いくさ)にならむ
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美しき清き臣民にメシアのごと宰相の攣れるほほゑみ
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動員へ傾る水晶前夜ナツィストへ語る未來に虐殺の譽
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われはきさまが朋なるゆゑ白骨街道に敷かるを指揮せる
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なぜだろう幸せになる四葉がなみつける奴は幸せなのか
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この世とば幸せものはうらめしいつまらないとな思う我が身が
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古今集いい歌ばかり面白い一首一首で味わいがある
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「おめでとう」 乾杯の声 高らかに 吾を母にせし 子と酌む地酒
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鯖味噌の残った汁にしめじ入れレンチン地球エコに周って
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一年振り実家で寝る布団にて寝ぼけたつもりで母の手をそっと握る
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