葉桜の木漏れ日揺れる公園に子等の声聞く休日の午後
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昨晩の大風なるか軒下に鳥の巣落ちて雛一羽おり
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乗り越えるそこにいるのは私だけ 自分で自分の背中を押すんだ
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ぬるま湯に首まで浸かり生きている 何にもなれぬ温泉たまご
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メンタルはアップできずにダウンのみ こんな美しい春というのに
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前脚の痛み忘れて逃げまどう 闇の黒犬 薬が塗れぬ
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君と吾(あ)に 確かにそこにあったもの 金で継ごうか指先迷う
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半歩ずつ譲り合ってるとこに住む 私がそこに行くのを拒む
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居なくても困らない二人だからこそ それが良かったそれが困った
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やみくもに剪定をせし紫陽花は今年も小さき花芽膨らます
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目も見えずカリカリ餌も食べれない老猫きみは一日をゆったり過ごす
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顔の価値決める権利はきみにない己の価値は己で決める
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ポロポロと涙が落ちる彼女には 言葉はいらないただ抱きしめる
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歯科医へとリハビリ兼ねて歩き行く汗ばむ肌に心地いい風
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風さやか若葉きらめく遊歩道わきの畑にエンドウの花
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ラコステの小さなワニも嬉しそう ゴルフの朝の父の胸元
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鶯の声を聞く朝曇天の空に轟音ヘリコプターの
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我が家の玄関に巣を作り初むツバメのありて思案にくるる
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石鹸を小さな手ごと泡立てる 粘土クレヨン泥にスライム
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タクシーを呼ぶか迷える 駅迄は車十分徒歩1時間
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杖ついて駅迄の道風を浴び登校の子に追い越されつつ
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梅落とす雨に降られて風薫り山が笑った五月も終わり
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ありし日を偲びアルバムめくりつつ一人でいるもそれなりの日々
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夫逝きて息子家族と同居決め我もチャレンジ新たな暮らし
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亡きははの介護生活十ニ年解き放たれて一日が長く
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女々しくも 願ひが一つ 叶うなら 今一度 今一時 逢いたひ
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初夏はつなつに小さき白き南天の花風に揺る庭の片隅
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連れ立って行く友ありて休日に山に行く孫疲れに行くか
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君逝きて老いてより短歌うた詠みはじめ弾む孫との会話楽しき
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馴れ初めは子等にも言わず秘めておく君を競いし友すでに亡く
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