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橙
(
だいだい
)
の小さき花から漂う
香
(
か
)
その
芳
(
かぐわ
)
しさに胸膨らませ
18
秋空の 青と白とに 刺さりたる
常磐緑
(
ときわみどり
)
の
松葉鮮
(
まつばあざ
)
やか
21
翌朝にお菓子の山を眺め笑む 私コーヒー君には紅茶を
9
言
(
こと
)
の
葉
(
は
)
は 変わっていくのが
風情
(
ふぜい
)
なり
流行
(
はや
)
り
廃
(
すた
)
りは
専売特許
(
せんばいとっきょ
)
10
空中に ふわりと浮かび 揺れもせで 時とどめたる コスモスの花
23
悲しくてやりきれなかったすべてのこと 全部きみには笑ってほしい
10
西
(
にし
)
拝み花散り果つるルドベキア 種摘むひとの背のかげの青
19
汝
(
な
)
が胸は 遠き潮騒 いだかれて 桜貝となり 眠り漂ふ
27
見し蝶のゆふ月の黄に染まりしか 雨のきぬぎぬひとり寝の
軒
(
のき
)
21
愛し合う 二人で一組 じゃなくても 私は私を 愛しているし
26
月
傾
(
かし
)
ぎ 東の空は
菫
(
すみれ
)
色 一夜話も そろそろ
終
(
しま
)
い ⑫
27
テレヴィのなかの日の丸にほほゑめる首脳に光差す優生卵
21
哀しきは 飛び立つ鳥の
羽
(
は
)
の音よ 暗き小部屋の窓に立つ我
28
ぬばたまの 夜が朝連れ 去りしあと 龍が駆け抜け
東雲
(
しののめ
)
と化す
21
若き日に
諍
(
いさか
)
ひ
嫉
(
そね
)
みて 去りし人の 今何処にか
初秋
(
はつあき
)
の雲
25
秋寒に 酒にこころを 馳せる帰路 あたたかな陽が 足を急がせる
15
ぷすぷすと 窓硝子鳴らし 光差す 瑠璃色の朝よ 庭に出でれば
24
溜め息を遠慮もなしに吐いてみる どうせ今夜は仮装行列
18
青春を共に歩んだ筈なのになぜ年老いぬ竹内まりや
21
auは圏外 秘境の田舎道 通信という 手縄解かれ
23
蟋蟀
(
こおろぎ
)
の 部屋の何処に 鳴き居るか
去年
(
こぞ
)
より声は 冴えて哀しき
29
ゆく秋の硝子を透かすしづけさと 色づく柿に落つる涙と
20
浜省のサビに合わせて雄叫びをあげる海岸我をみる犬
16
待つ人の 無き家の灯は 消え果てて 今庭に灯す イルミネーション
22
美しき 薔薇のカップを 並べ置き 誰ふるまう事なく カモミールの茶
25
繰り返し感じてしまう苦しみも 今世だけのラストワン賞
8
くもらせて雨を降らすも人ならば 晴らせて照らす故も人なり
20
薄氷
(
うすらい
)
の ごとき夕月
縁
(
ふち
)
欠けて 羽虫の飛びて 闇に溶けゆく
29
ドライヤー 髪巻き込まれ 焼け焦げた 臭いが我の 火葬の香かも、と
23
下の名を呼ばれることが減るにつれ 背広が皮膚に溶け込んでいく
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