来る年の悲喜こもごもを記さんとまだ真白きな日記帳買ひ
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証拠なく鹿蹴る人を異人とし騒ぎをあおる要人の言
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霧のふる夜明けのまちに浮き上がる赤信号のけぶる道なり
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もう二度と 書けぬ名前が せつなくて 唇を噛む 国勢調査
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夜半の秋 窓から伸ばす 手のひらに 月の光が 燦々と差す
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真ん丸だ!きみが指さす西の空 並んで見つめた早朝の風景
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とくべつな夏を忘れぬラベンダー再び咲きて雪虫の舞う
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今はただよき日のほかは茫としてふたり重ぬる金婚の日々
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神様の数限りなく今日の日は金木犀の色の夕焼け
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いたづらで 棚から猫が落とす本 たまに息抜きせよと云ふ如
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アトラスの良き理解者は袋詰めされたミカンだ一番下の
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寝室の余熱をさらふ 秋雨のには 毛布の温もりを足す
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秋の夜に哀しみ撫でる白き手を払えば闇に雨ののふる
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きみゆえに無性に無常考えるこの世はあの世あの世はこの世
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いつからか友仲間から遠ざかり一人宇宙を彷徨っている
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一日中汗流しただろうおじちゃんの冷えたビールが誇らかに立つ
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地球よりもでかい猫の腹の上で眠る夢をみたい
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もしやまだ…と思いて置きし扇風機やっと仕舞ひて神無月秋
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いつもなら つがいの雉鳩 ぽつねんと 今日は素直に ごめんて言うよ
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紅葉の映える峠を二つ越え歌友まつ街の吟行会へ
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紫の朝顔ひとつ残り咲く黄の葉をゆらす秋の夕風
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灼かれると知っているのか?夕暮れの蛍光灯に飛び込む虫よ
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しとしとと傘打つ雨音聴きながらしとしとしとしと家へと帰る
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「雛ポーズやってみようか」カメラマンがキメの弱いグラドルに指示
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君は会社不適合者ではあるが社会不適合者ではないぞ
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車窓から見えるススキの穂は白い 今年はじめて長袖を着る
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秋の夜に震える僕の鳥肌をさすってくれた君の手のひら
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あのときもマンション価格爆上がり 若きは知らず 泡の顛末
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インスタにモナリザ見つけ凝視する 思い出だよと口動くかな
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童謡も ファンタジーだと すまされぬ 人里で会う 森のくまさん
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