曖昧な子音を発し訴える入れ歯外した秋田訛りで
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遅延した電車の空席座ったら直射日光ハンパなかった
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猛暑日や 高尾の山に蝉が鳴く 我が耳鳴りと区別がつかぬ
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ふたりきりのオフィスで詰めるプロポーザル ハイになってあなたに触れたい
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潔くオールバックに結った髪じつに涼しげ好感持てる
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人恋しい割に孤独を愛してるこの矛盾した心は老いか
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虚無感に襲われておりフルセットでデュースの末に負けたみたいな
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鳥が鳴く理由も知らずに癒されて 人の言葉に怯懦になるの
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やっぱりね あなたとわたしは離れない 運命もそう言っているしね
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わかれうたなんで今ごろ身に沁みる辛くないのに泣いてないのに
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暗黒のけむりの如き排気ガス バス発車時に吐き出されおり
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ふるさとに帰ると決めて初夏の駅 遡上してゆく鮎でありたい
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引き金と注意サインに対処する「道具箱」書く具体的にね/wrapラップ勉強中
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五年後の予定を信じられるならこの感情を愛だとしよう
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体力は基準ぎりぎりオーケーと 施設に並ぶ筋トレマシン
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ちゃっかりと僕の寝床の中央で寝ている犬に「もしもし」と言う
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「あれー」っと短期記憶があやふやで脳裏をよぎる認知の二文字
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免れぬ老いではあるが胸底に忘れたくなき乙女心よ
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一ヶ月干しておらぬ布団に熱と涙を漏らす時あり真夏の夜
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とりどりの百合の花咲く庭園に蜜吸うアゲハ陽に煌めいて
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いたずらを𠮟られそうな柴犬がソファーで狸寝入りをしてる
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家庭科でどれくらいまで習うだろう娘のジャージに千鳥がけする
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むきだしの心に傷がつくたびに 強さと弱さの歪みに流離う
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しょんぼりと 階段のぼる 踊り場の ぼやけた空に 輝く金星venus
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さきどりの幸せに溺れてふやけた心がめくれてヒリヒリするの
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オアシスの活断層の深くへと沁みていくような湿潤療法あなたのみず
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君が居ぬ 夏祭りなど 意味もなく 花火の音が 心底を突く
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流れゆく誕生日の群れもうすぐに夢が叶うと夢も無いのに
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美しい 語彙の源泉 かき混ぜて 生まれ流るる 無数の泡沫うたかた
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夕飯に取り出す玉子は小さくてにわとりも今夏バテと聞く
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