食べ過ぎた腹の肉をつまみつつ笑みが溢れる太っ腹かな
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のらぬ日に一駅前から朝散歩向かい風のに鼻歌をのせ
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自販機のペットボトルが水筒に名前を変える午後の仕事場
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四十前まつりごとは分からぬが子の明日のため分かるふりする
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「先輩へ」 色紙程度じゃ足りないわ 原稿用紙を用意しなくちゃ
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全人類、幸せであれ! さもなくば、巡り巡ってあのこが死ぬの
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全人類、不幸になあれ! さもなくば、無垢なナイフがあのこを刺すの
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二十四の節気の月になじみよき十月十日 とつきとおかの「朝」の重さよ
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十八歳じゅうはちの我らに教えし「たけませか」若き助教授リタイアと聞く/<撓み、傾斜角、曲げモーメント、剪断力、荷重>の頭文字
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膨張する宇宙の話面白き 意味不明なり 茶を啜るなり
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言の葉が ふわりふわりと 舞いながら 逃げ出していく 夢うつつの夜
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聞き逃し ラジオ深夜便 朝に聞く 昭和の匂い  我、娘となる
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早春の空樹の塔の尖端に 春告げ鳥は止まるだろうか
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「合格」とメール届いていた今朝も鳥に施す一握の米
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剣をとれば一期一会の友うかぶコンクリートに靴履きでさへ
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君のこと好きな私が内にいて 探さないで、と別れが言わせる
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憧れの逃亡生活準備して サンドイッチ用お手拭きもある
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ハクモクレン 寒さの先に 春を待つ つぼみ美し 花はまだ先
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ハードルを上げたり下げたり外したり たまにはぐるりと囲って昼寝
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カン!カン!と小気味良い音響かせてラリーは続くデイケア卓球
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今の君 がんばらなくて いいんだよ  こころをちょっと 座らせてあげて
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春近し ワラビぜんまい フキノトウ 土をかき分け 出ておいでー
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思い切る言い訳にする「春なので」あなたを振ってケーキを食べる
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枯れ果てた 稲田にひらり 舞い降りて  株間さまよう シラサギ一羽
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ふとした瞬間(とき) 息子が見せる表情に 夫の面影 見え隠れして
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土手沿いの 斜面に群れ咲く 黄水仙 風に揺れつつ ツンと顔上げ
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ここ数年 親の顔より 見た歯科医 最近看板 入らぬ視界に
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つとめ先やってる感をだしながら明日の私にこっそり投資
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ひげそりて卵のようなあごなでて オーマンダムとつぶやいてみる
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小倉でねソニック止まり地獄かな外で眠ないとホテルがないよ
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