父母ちちははとむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
36
一歳の我が子は全ての食べ物を ば・な・な、ば・な・な と呼んで笑うよ
35
晩熟を滴る麦と稲が穂のふたつわかれになりにけるかな
7
君がいる 多分最後の 冬だよね 雪じゃ涙は ごまかせないよ
5
あなたには 長生きをしてほしいから ポテチは私が食べてあげます
44
もう二度と こっち見ないで 諦めた恋 過ちは 繰り返さない
2
警報ランプ鳴りつぱなし 短歌研究一月号「空気について」の研究の室内へ閉ぢられて 誰も止めにゆかざる
3
プロレタリア投獄されて長々しある島国の平和なる日々
5
能登の地の優しき土に問うてみる神と仏が隠れし場所を
30
こんな日は誰にも会わぬ散歩道歌うが一番泣くが一番
27
ため息は深呼吸になるんだよ細く長くね負けたらあかん
24
おたよりが通じることのありがたさ 心の便秘 しませんように
21
生き様を立派に語らう人もおりポツリポツリの亡父母が愛しき
35
新聞の知らぬ誰かの言霊が我を鼓舞させ我を鎮めし
20
マウントを取って取られて生きてきた ささくれ剥いた痛みの後悔
13
鼓笛隊照れて歩きし君は今   生きろ  の曲をドラムで叩く
19
被災地を笑いで笑顔に 戯れ言だ ビートたけしに同意も切なし
12
スクープで時代が変わる日本国 浮かれし日々のデジタルタトゥ
13
この場所に我が意を得たりの歌ありて友と会うよな安らぎを得る
25
踏みしめる 受験終わりの 道を行く 傘もささずに 雨濡れながら
9
青年も優しき人も年寄りも理不尽を知る個々の場所にて
26
訪れる 一季一期に 油断して 君は笑ってくれなくなった
8
もうきっと 増えることない 思い出を 数えてこれで 何個目だろう
6
春風に 吹かれ拐われ 冬の君 全てを春の 色にしてゆく
5
人々が 毛嫌う夏の 暑ささえ 君のものだね 西に涼風すずかぜ
5
スーパーの牛乳十円高くなり、なんだよお前も裏切るのかよ
9
揚げたてを「狐色」と評されて黙り込んでる骨なしチキン
12
もうきっと 会えない 半袖のあなた 緑の道の 日焼けたあなた
6
初恋と 出会いの春は 好きだけど 別れの春が僕は嫌いだ
6
僕達は若い それでも、それだから 別れも知らず 春を待つのか
6