秋麗ら 母の写真と 話す日の 多くなりけり 彼岸花萌ゆ
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久々に犬も食わないナンとやら 秋刀魚の塩焼き二人で黙食
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病院の ベッドで独りひとり見る空と 今年最後のツクツクボウシ
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点滴の落つるは遅く 雲速し 窓はキャンヴァス 茜雲あかねぐも染め
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気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
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かまってと 肩や胸部を 押し当てる 猫の肉球 聴診器の如
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初雁の遅れ啼く聲かれがれに蓬老いたれみそらもろとも
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忙しき監房 日の丸の旗の門居楯つればいづこ見張る目
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手土産の かんころ餅が 呼び起こす  この懐かしさ いまわからず
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吸湿し 発熱するはず この毛布 寒くてどうした あたしの代謝
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美味そうな食べ物の短歌うたよみながら食むコンビニの塩むすびかな
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空中に ふわりと浮かび 揺れもせで 時とどめたる コスモスの花
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心から一緒にいたいと思えたら私は変われたのかもしれない
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響いてる心の雑音消したくて 刺し子をしたり空見上げたり
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いつかまた明るい短歌うたを詠みたいな 秋空のよな澄んだ心で
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怪獣が来たら呼ぶんよアンパンマン息子の中の最強ヒーロー
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歌の宿命とはおもふ有明の月蝕旅館から仇敵の余名出づ
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料亭「花月」女房出奔しエルサルバドルより見し都市砂漠
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割烹の女主人に咎めらる丈夫の二尺上の崑崙
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哀しきは 飛び立つ鳥の の音よ 暗き小部屋の窓に立つ我
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それこそがわたしにとっての息をするだから今日もうたをうたうの
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「三人で来たかったね」と逝きしを偲びつつ行くコスモスの道
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柘榴石ガーネットを溶かしたようなドロドロが我が体から出るのを見てる/採血
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諦観し全てを託す瞬間は心静かなバンジージャンプ
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桜葉さくらば 一葉ひとはのこらず 落ち果てて 届かぬ手紙 どどと着くよに
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手付かずで残す気不味さ耐へかねて 一気にあほる商談のお茶
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外壁に張り付いているカマキリに小春日和の温き陽が差す
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素直なる人持て余したる煩悩を鎮め応援すべく思案してみる
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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十七年たくさんの幸せ有難う! 愛犬キミのお家よ 骨壷を置く
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