駆け出した いつかの夏の 主旋律 すべて照陽てるひに 輝いていた
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言の葉が 胸に詰まって ヒリヒリと 痛む夜には うたかたが効く
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病棟の 父への葉書に歌一首 余白で伝わるものの多かれ
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僕と君 二つの青春が いつか また交わって 繋がる日まで
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白木蓮あはあはと滲みいづこより来しものぞ燕尾垂れをり
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絶対的現存在の把握を期して必然死偶然の死ならず・石牢
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右廊・三菱油彩鉛筆風景画展 左廊・村上隆ファンアート展、の地獄
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血の衾よりあれて父母の胎を憎しむ聖霊の目
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シオン 無辜の羊に刺青あり豫死登録‐罰・死蘇生録
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十年も経てば君らの叙情など時代のコードもろともに死ぬ2024年現在のドレスコードでお送りしています。
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あるじ亡く ねだられ買った 腕時計 何も知らずに 時を刻みて
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ありがとう 冬を彩る パンジーを そろそろ土へ 返してあげる
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息子ほど歳の離れた頭脳派は思いやりだけ少し足りない
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私にも麗しき頃あったかと回想の後千切れゆく日々
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思い出の 二人で見てた この桜 涙の筋に 貼り付く花片
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あまりにも儚く割れたふたりには残されたもの煮詰まって濃く
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入園式いよいよ今年で三十回 白髪しらがに似合うよピンクのネクタイ
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屋台去り静けさ戻った並木道 犬とお散歩舞う花びらと
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「歩けたね!いつものコース、久々に」老犬抱き上げ頬ずりをする
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屋台消え人がまばらな遊歩道ゴミ拾いする爽やかな朝
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なんとなく気まずい空気が流れ出す寡黙な息子と二人の夕餉
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桜詩 美しき詩 皆詠い 我詠う事 時に忘れし
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空っぽの記憶の中に残る歌昭和歌謡を母と聴く夜
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次々と社員が辞める八百屋にて客の老婆を怒鳴る御子息
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箱庭の中へ死にゆきぬ智慧の実も腐りきつたり 食卓のうへ
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カフェラテに初めてハートが描けたよと写真に既読なんか嬉しい
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幼子は狭き我が家を駆け抜ける まだまだ寝ないと親から逃げて
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玄関で一人で靴が履けなくて履かせた母の足のちいささ
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ダンテ・ゲイブリエル・ロセッテ画伯憎しみき群天使、葡萄、鳩尾
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八重桜 共に過ごした年月が 古き団地に静かに咲いて
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