秋雨に はぜた木の実が 濡れている 目で拾っては 心の奥へ
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山は紅遠きことこそ美しく鮮明である息一つ吸う
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雨打たれ枯れたアサガオ下を向いてそんな子らにも朝日は優し
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秋雨が秋雨でなくなる日いつまばたきの間に季節変わりて
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草生えると人の声で聞いた時インターネットも現実だと
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ふかふかのホットケーキに犬を置き いや、ホットドッグにはならんよ
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久々に会った友等の顔はみな老けているのに変わらぬ不思議
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口籠る 今更月を探しても手遅れなほど君が綺麗で
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飽きもせず よく降るものだ 残された 朝顔が喰む 水の塊
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口に出したことばをなかったことにできるよう小声で話す
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夏物と秋物同居の部屋の隅そこへ冬物割り込んでくる
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手元には、古香ここう漂う 物語。 払うかんぬき、埃の栞。
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霜月の胃痛を感じる早朝に 暖かき白湯が身体を巡りて
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ストーブは微小設定してるのに前に座ると寝癖が揺れる
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いつからか爪の甘皮剥くのやめ分厚くなりゆく面の皮かな
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ご葬儀についてスタンプ絵文字無し字だけのライン流れてきをり
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朝焼けを珈琲共に眺めいる時間切っ割くサイレンの音
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この世には寄り道しただけだったけど、あなたの胎の中は好きだった
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人生をはじめて生きるから僕ら上手くやれずとも仕方ないのさ
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神楽月十一月。暦の上では 冬のはず...。 出雲を照らす、ヒタキの鼻唄。
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泳いでたつもりがきっと流されて  優しいさかなに守られている
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終末はあっという間でほんのりとカモミールの香りがしたんだ
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改札を越えた2人は眠らない。東京は多分、いま午前2時
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生産性の呪いにかかった僕たちは犬と成り果てて夜毎、牙を研ぐ
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着飾るは、自虐が伴う。それがピアス。 みぞれ取り出し、暫し慰む。
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机上には、昨夜の雫が 寝転んでいる。 そこは私が 予約してた席…。
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流氷の上に暮らして 冷たくて あたたかい海へひとり ながれ
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諦めぬ事を学びし横浜の下剋上嬉し美酒に酔う夜
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似てきたと評判の彼 分かるけど顔認証は突破できない
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あなたとのラインを糧に生きてます黒やぎさんと白やぎみたく
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