姿よく紫紺の色に咲くさまは平安のきみ野牡丹が合う
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草抜きを少し怠り庭見ればカヤ茅の類いが野放図に生え
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魂の 入れ物ひとつ ぼんやりと  駅のベンチで 電車 見送り
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あなたから巾着袋をうけとったわたしが死ぬるわけにいかない
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唐突に宇宙へ放り投げられる「どこでも好きなお席へどうぞ」
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狭くても木漏れ日が降るこの路地に君への想い置いておこうか
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納豆はかき混ぜないし笑うツボが同じ僕らを死が別つまで
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ひとの手でゆるく畳んで返されてなんだか照れているエコバッグ
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今日起きた嫌だと思うようなこと 心の地下室に閉じ込めにゆく
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バス停は人影も無くこの夏を閉じ込めるよに降る蝉時雨
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この夏も仕舞いの市民プールからふわり飛び立つシオカラトンボ
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サルスベリ誰が付けたかこの名前百日紅ひゃくじつこうで良いと思うが
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うらはらに思いと違い進み行くわたしはどこへ行くのだろう
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はぐれかけの 私も取り込み 囲まれる 体育祭は 永遠とわの思い出
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女子らとは まるで違った 足音が どどどどどどど 男子のリレー
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空の音静かになってこの夏は本当は終わりと教えてくれる
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つぼみのまま 枯れるの恐れ 種すらも 撒かない。花は 実りなどしない
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独裁者の群れの中 何を学ぶ気だ まだ可憐なはずの少女よ
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何となく太くなりしかコガネグモ庭に居続けひと月が過ぐ
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胸の中を掴まれる感覚が好き。寒い日に吸う煙草の話。
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海の中 サンダルをぬいだ 恋人は 白いさらさらを 愛しました
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通院の我を待ち居る虫の音の清けし音色に灯りを消しぬ
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トランプがまたやった 省名変更 「戦争しよう」としか聴こえない
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木々の枝葉がわたくしの頭を撫でて慰めようとしていた土曜
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カップ見て陶器か磁器か悩む母伊万里焼だと教えてあげる
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気にしないでいてと言って去る君の背を眺めつつ胸に込み上げ
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蛇口から水滴ポトンと落ちる音静まる部屋でテストを受ける
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チチチチチ 朝一番の台所 何処にいるのか ここにも秋が
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朝イチの美しき声はキミだった! ひょいと現る小さなコオロギ
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懐かしい匂いと声に乱されて 危うく君を引き止めかけた
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