風景の然程さほど変はらぬバス停も 風の温度で 変はりゆく秋
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エアコンを切らば朝まで虫の声こうして秋は日々近づきぬ
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お刺身のおろしとわさびを出し忘れ気づかぬ自分に言わぬ家族に/モヤモヤ
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サンゴジュの実の色付きし散歩道雀の遊ぶ涼風の朝
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戻りたい 戻りたくない あの日々を抱きしめて生きる普遍パラドックス
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手頃ならなんでもいいと貪って虚しくなっては失う輝き
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縋りつく愛に未来があるのならルーブルのように綺麗に飾って
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さなぎでも愛してくれた君だから空へ行けるよわたしの羽で
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物体に宿る記憶に絆されて 季節を幾度見逃しただろう
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もう一度 堕落きせきは起きるよふたりなら アダムとイブの末裔だからネ
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言葉など無くても れるだけでいい 猫に伝わる 人の気持ちは
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惜しむよに水色の雨落ちてきて僕らの肩にピリオドをうつ
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目を閉じて 手繰る肌掛け 心地よく まなこねむけに 君をおもひぬ
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アボカドの水耕の種変化無く夏の絵日記白きままなり
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まどろみに 絡みて触れし そのからだ 欲するはただ 心も身体も
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はぐれかけの 私も取り込み 囲まれる 体育祭は 永遠とわの思い出
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船の往く中川運河の倉庫群 荷役に残る昔の欠片かけら
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宵っぱりのクォーターライフクライシス わたしはわたしと崇める朝日
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甲斐性と認めるほどに不甲斐ない鏡に映るあの日のふたり
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雨催あまもよひの日暮れ 雲を貫ひて 居場所を示す如 光る月
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若き日の 意味なき自負が 今あれば  寄る年波に 勝てる気がする
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裂けそうな こころをひとつ 抱えつつ 言葉をつむぎ 避けるあらそい
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途切れしは 夢より儚く閉じられて 朝はぽっかり 空虚なままに
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「先輩!」と 呼ばれて気づく 年でしか 人の上には 立てないのだと
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君をめとり 十年が経ち 君想う  心変らぬ 弥終いやはての恋 
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太ももに 湿気がまとい 敷布団と 擦れる不快感 雨の日の夜
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変わり種どんな新芽も花となれ三一を信じて高らかに咲け
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呼び捨てに一人勝手に心躍る 脈を感じてもいいやつなのか
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信号は 同じ景色見 四六時中 働いている 飽きぬのだろうか
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試練だと 思いて日々を 駆け抜けて ふたり波を 越えて見ゆる
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