八十やそ過ぎて飲めなくなった昔ほどされど楽しみ日々の晩酌
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平日を 泳ぎきるため 休日に 息継ぎだけして また人の波へ
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寒さにも三年越しの胡蝶蘭 花芽をつけて光へ伸びる
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燃え尽きた火球は秘めて土の中やがて根を張り赤き実となり
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畑よりつま持ち帰る冬の菜を鍋に煮込みて一日ひとひに感謝す
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名前なき感情の揺れは時経てば日常会話もできるくらいに
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バンザイと訳のわからぬ解散よ 庶民の労苦ただ残しおり
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吉祥寺 人波を縫い アーケード 駆け足で行く 遅刻も遅刻
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ありがとう 人の親切 身に染みる 中央道は コバルトブルー
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刻みへ 君よが身に 常世なる 不毀ふきの夜桜 散るをしらねば
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おにぎりを食べて布団に隠れてる生きていてごめんなさいと謝りながら
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核心の謎は明かさず最終回 残る余韻に枝葉が伸びて
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オレンジの皮を前歯に貼り付けてキャッキャッ笑って日曜日なり /吾子三歳
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雨光る日曜ぽろぽろぽろぽろとグレン・グールド聴きつつ木立を
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心にも時に生じるビッグバン希薄な宇宙は大気を求め
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Utakataは泡の花咲く大樹の木 若き新芽は冬でも伸びて
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止めどなく 垂れては冷ゆる 鼻の奥 息するたび 冬をのみこむ
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空き瓶も思い出したい過去がありジャムの色した夕日を詰める
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コミカルに 介護続ける 親友の 基本姿勢は 恐らく愛情
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子の頃に一瞬目にしたオニヤンマいまではキャンプの虫除けフィギュア
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この辺り幼き子ども増えてきてちさな足音たたっと走る
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目を見張る艶髪であれど床の上落ちてしまえばぞっとしかせず
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お題【悲惨】 完璧にマニキュア塗って乾くのを待つにトイレもよおした時
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繋ぐ手を 失い探す闇のなか 立ち尽くしては 無可思に逝きる 
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真冬日に降る粉雪の冷たさは誰もが知りて人影もなく
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あちこちにチラシ看板恵方巻き 節分前にお腹いっぱい
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私にはテレビに映る総裁がアンドロイドのようにも見える
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外交の都合に翻弄される熊猫クマ 日本恋しと鳴いてはおらぬか
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ふかふかの雪は五寸を越すほどかサラサラと落ちスコップに残らず
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遠出して昔の赴任地通りなば 思ひ出手繰たぐりて多弁となるつま
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