風切りの音が路上をさらってく夜の始まり冬の始まり
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想い出す時間が徐々に減っていく 気づかないふり今日も明日も
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薔薇のトゲプチッと取ってツバつけて 鼻の頭に可愛いピノキオ
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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ハミガキ粉 ミントの名前が多すぎる 僕もいくつか考えたい
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ふかし芋もはや多くは口にせずなお父へ湯気届けたくあり
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陽が昇り食べては寝るの繰り返し俺の人生とてもシンプル
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千日の回峰行に憧れた心を共に街路を巡る
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公園の梢の奥に百舌鳥の声 紅き桜葉秋空に映ゆ
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短歌部の友へのメール「小生」を使ってすこし文士の気分
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今日の月綺麗ですかと話しかけ 答えなくても信じていたい
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バイキング 麻婆豆腐は 禁止にしないか お前がでてくるからおかしくなるのだ
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もみじ葉の散り敷く朝の公園を歩けば露のキラリと光る
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心だけ眺めるだけの毎日に危機感もなく蜜を上塗る
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日の暮れて窓辺に立てば街灯りさざめき揺れて空に金星
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いまはむかし『松茸』とかいう山里の秋のにほいを味わいし日々
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渋滞の三台前に杖つきてみち渡るひと ふと我と思ふ
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訃報欄思い出深き人の名をしみじみ眺む秋深き日に
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「二人なら美味さも倍」と独り言 土産の銘菓食み茶をすする
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掃除ってしなきゃこんなに溜まるんだ風邪の間に丸まるホコリ
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原宿にクレープ食べに行くようにおやきを食べに信濃へ行くか
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ひとピースはめ込む場所の見つからず 振り仰ぐ空の高さよ
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重ね着た罪を一枚ずつ脱いで見せる裸も公然猥褻
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気がつけば駆け出していたあの頃の無闇に明き三日月の夜
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くるくると回る落葉で気付くんだ風ってこんな姿なんだね
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我はが あばら骨より 生まれたるか 広き胸に満つ 創世の海【聖書の創世記・アダムとイブより】
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デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
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白菜の葉から葉へと紋白や ぬくき陽が差す午後の菜園
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なんとまぁ多くのゴミを出す命フロアにかけたコロコロを見て
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来し方の小さく見える日のありて 相模の湯屋は紅葉のなか
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