とりあえず出された薬をとりあえず飲んでとりあえず今日を生きる
2
太陽やあの子みたいにいつまでも灯り続けるひかりがこわい
3
あいつよりましだと思いつつ生きるあいつよりましと思われながら
3
「あの魔女は自殺でしたよ その証拠?僕に名前を教えたことです」
3
かさぶたになってしまった思い出をむりやり剥がしてまた傷にする
3
歯車はもう狂わない最近の運命はみなデジタル仕様
3
どなたかが一心に打つ点描の赤橙あかだいだいがきらめく季節
7
こうやって年月が過ぎあの頃は大変だったと早く言えたら
9
でもそんな寒くないしとコート置き出てきたもののもう帰りたい
4
新しいパソコンが来て古いやつ拗ねてもう立ち上がりもしない
4
人の声せぬ正月はおとなしく手酌で旨い日本酒を呑む
14
いかに踊ろうとも背後迫るのは冷えたどうしようもない風だ
5
霜夜には翌朝の土踏む夢よサクサク靴で鳴らす快感
4
寒波去り鬼柴田も負けにける秀吉の計あゝ無常なり
3
花菜漬トントントンとまな板と葉を軽くたたく母の影見ゆ
2
帰り道バス乗車中に出る涙 あってよかった不織布マスク
1
駅を出た昼下がり過ぎの青空にある白い月、誰も見てない
5
君だけの傷になりたい治ること叶わぬ一生ものの痕に
1
懐かしい歌を聞いては思い出す きみとすべてを集めていたこと
3
窓を開け掃除機かけて口ずさむご機嫌な歌、鳥の合いの手
2
繰り返し吐いては吸って生きている 止まらぬ呼吸ままならぬほど
3
打ったとて響かぬ世界で生きている 自己プロデュースの波に揉まれて
2
心荒れ全員死ねと憎むとき何故か呪いは上手くいかない
3
ありがともおかえりとかも要らなくて僕にはさよならだけが丁度いい
2
疾走感あるナンバーを共にして失踪するわ、真暗闇まで
2
ズタズタの心に塗られた塩を取りお前の致命傷に送る
2
出演の依頼も許可も出してない 君が夢に出て泣いてる朝四時
1
葬れるものならとっくにやっている 夢も希望もその片想いも
1
ひとことで僕を殺せる君の威力 好きと嫌いを間違えないでね
4
埋葬費をりしもてなぐさみに染む罌粟防火壁のもとに額づけ
2