恋する火細くなる今しみじみとあきらめと言う老いのようです
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返信の文字で聞こえる言い回し確かな貴方の言葉と思う
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我が子との繋がり途絶えこの先の何を目指して生きてゆくのか
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つくしく指先染めて老い二人雨音続くすごもりのとき
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雪ほどけ自転車を漕ぐ緩い坂秋から春で解けた脚力
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コロナ禍はマスク買えずに作ったな今パンストで髪の毛結ぶ
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障害と聞こえ悪くもその裏の「秀でた才能」見てはくれぬか
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霊柩の冬雷に冴ゆ喪家葬式の花だしおらばたづねびとあり
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春暁落雪図庇はばつらぬきとほるまで槍穂を著けと聖霊ふたつ 
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日時計に影 梶尾舟じりじりと炙れ陽炎階段へ靴躙る釘
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絶対的現存在の把握を期して必然死偶然の死ならず・石牢
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右廊・三菱油彩鉛筆風景画展 左廊・村上隆ファンアート展、の地獄
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大樹なる楠の二本を額縁に 丹沢かすむ涅槃仏やさし
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離縁して生活保護の財政でクラス会には夢でも行けぬ
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息子ほど歳の離れた頭脳派は思いやりだけ少し足りない
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弁証法かじりて反の道歩く きびしき岩場に一輪の花
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私にも麗しき頃あったかと回想の後千切れゆく日々
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「がんばれ!」の声援受けて後ろ足動かぬ老犬朝のお散歩
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キミ達も伐採されてしまうのか今年が最後 桜のトンネル
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あまりにも儚く割れたふたりには残されたもの煮詰まって濃く
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入園式いよいよ今年で三十回 白髪しらがに似合うよピンクのネクタイ
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屋台去り静けさ戻った並木道 犬とお散歩舞う花びらと
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「歩けたね!いつものコース、久々に」老犬抱き上げ頬ずりをする
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空っぽの記憶の中に残る歌昭和歌謡を母と聴く夜
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次々と社員が辞める八百屋にて客の老婆を怒鳴る御子息
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箱庭の中へ死にゆきぬ智慧の実も腐りきつたり 食卓のうへ
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人間の為すことを躊躇はず民・民を蔑める今様 軍国和歌集、は
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アウシュビッツ以降、個人が歴史観を具有するのは野蛮である。
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或る島国にて。田舎風芋粥が流行り――、六本木ヒルズ文学が隆盛を迎える、
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ナツィズムの夏 医師は診察鏡を翳し堕胎宣告をせり、狂人に
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