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想い出す時間が徐々に減っていく 気づかないふり今日も明日も
39
薔薇の
棘
(
トゲ
)
プチッと取ってツバつけて 鼻の頭に可愛いピノキオ
30
路地裏に落ちた金木犀はやがて夜を照らす銀河になる
16
昼休み空を見上げて伸びをする守衛さんへともみじ葉の降る
32
こんなにも小さき国に季のふたつ 南に野分 北には雪と
31
一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
37
燃やすなよ 命いただいけ 不味かろが 加工出来ない されどいのちぞ
13
硝子越し写る景色が現実で 爪を立てても響かぬ身体
6
秋が来る 息子殺した秋がくる 落葉のよに 踏みつけた道
12
現実を 逃避し明日はサボります。 おかえりんくる 叫んで笑う
14
恥じさへも詠んで笑って模索して部屋は片付き一歩前進
23
寒き朝 キャベツ畑に白き蝶 飛ばずにじっと羽を休めをリ
25
一隅を照らす灯りの
石蕗
(
つわぶき
)
は誇らず咲きて落ち葉を抱きぬ
35
あすなろは夢みし明日の交差点 山動かすも思ひ初まなば
16
公園のメリーゴーランド子供らを大人に変えて一人老いゆく
19
わんちゃんとおひるねするとげんきでる! あくむをみないでねむるからかな?
16
風強し 風の錯乱か 枯れ葉舞う 雲の流れも また急ぎ足
15
来し道は迷い違へど一路なり吾子歩みたまへ道選ばずとも
17
晴れ渡る 母の生まれし 日に思ふ 空襲逃れ 生き延び『ツナグ』
25
縒
(
よ
)
り織りし小さき布に息を吹く
靭
(
つよ
)
き点りよ 明日の名となれ
13
エンドウの 苗が日に日に 伸びており 秋の陽差しを 栄養にして
35
あきあかね顔に触れたり遊歩道 車輪の先に立秋ぞ来る
16
昼下がり ちらちらと飛ぶ雪虫に心ときめく冬好きの身は
29
朝なさな胃腸を白湯で温めて「目覚めなさい」と呪文唱える
27
ファミマにはもう売ってないとろろそば終電帰りの霜月の夜
14
湯たんぽが温め続け待っていた布団の中は愛のある家
32
嫌いだよ好きでもあるよ人なんて完全無欠は息もできない
31
夜半過ぎ 木枯らしの音目覚むれば ポストに落つる新聞の音
27
未だまだ苅田の草は青きまま木枯らし吹きて冬田となりけり
45
厚揚げの 焼ける匂いで 目を覚ます 優しい朝食 一日始まる
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