ミツバチ便り
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家族のことをよく詠みます。

母の負を父のいさおで拭ひ去り 私は独り介護あしたを編めり
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叙勲いさおしの記章を磨く術もなく 認知わすれの父は私を呼ぶなり
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父と夫二人の影を背に負ひて 息子のなかの光へ歩む
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朝靄に身を浸しつつ思ひをり 旅立つ私は一人でいいと
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窓側で赤ベコのように揺れながら寝てる息子をインストール
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私にも家庭と離れる日が来るの朝霧夕霧たつ北の街
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ひかり降る覚悟を決めて卯月へとヴァニラが溶けるように進まむ
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十年後の私に問はむ笑い方、進むべき道、その超え方を
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かりん茶の湯気に喉をあずけつつ「悪くないよね」インフルの春
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五日間、家族で閉じこもる贅沢 熱の喉へとプリンが溶ける
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インフルBという春休み 五日間家族の声で満たす喜び
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教科書にひらがな四つ「てふてふ」と春の扉をひらいたあの日
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「優しい」が擦り減らされてゆく我の心を知るか父の瞳は
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窓辺なる光にまぎれ名無き虫 命を震ふ春の訪れ
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助手席の私を越えて春の山 見えぬ動物けもの呼吸いきに霞めり
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いや、いける。筋肉が落ちか弱いが「進め!」と鼓舞し歩き続ける
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「真夜中のドア」が流れてつまの横 戻れぬ日々が不意に愛しき
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寄り添いて不味き牡丹餅分かち合う 笑う夫の手の節愛し
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夫と行く遠き蕎麦屋の帰り道 芽吹く野山をふたり見つめて
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独り言いつの間にやら多くなり 茶碗を洗う手に春の風
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もたれくる父の重みに耐えかねて吾も生きたしと叫ぶ心臓
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子を想ふ心に果てはなかりけり離れがたきも母の真実
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「幸せに」祈る数だけ離れられぬ 不器用な愛を春の日に干す
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溢れくる涙はそのまま流しなよ 優しき君の心なりけり
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ワンランク、ダウンダウンの化粧水老けも速まる物価高にて
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雪を割り芽吹く命のあるごとく老いた父追い日々を越えゆかむ
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親を子のようにおもう日 崖っぷち、だけど愛して家事をしている
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老いといふ証の爪のさざなみに 命の色の紅いマニキュア
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「あと何度」数うる指をそっと閉じ 日曜朝のトーストを焼く
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「ごめんね」と言えば「いいよ」と決まってた。いつの頃から「いいよ」で済まぬ
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