ミツバチ便り
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家族のことをよく詠みます。

父は老私は初老でささえ合う二人で歩むゆっくりな夏
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この夏はあの夏のあのキッチンで母に「ご飯は?」言ってみようか
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曇ってるメガネ拭くのは後にする夏もあなたもかけっこ速くて
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血のなかに病のごとく棲むものか家族という名の解けぬ因果は
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クロレッツの紙で折られた鶴が二羽手のひらを今飛び立とうとして
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白と黒、そのすきまからあふれだす二十四色の彩り生きる
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美しく老いる予定をキャンセルしイタい私で生きる楽しさ
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責める手をとめて毛布にくるまれば 私を許す午後がはじまる
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なにもしない私を呪う週末よ 来週はきれいに諦めてやる
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生まれつき一軍のきみ 傷ついたふりさえ上手で誰も気づかず
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生きるってえらぶことだね 喧嘩後に笑顔で「おかえり」言ってみましょか
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最強の父と思っていたもののジェイムズ・ボンドになれぬ、普通は
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お母さん ねんねんころりねんころり きっとそちらは梅雨もないでしょう
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重き脚 立ち止まるとき 藤の花 紫の息を吐いて揺れたり
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夏を呼ぶ水色の爪まぶしくて サンダルをはく日曜の午後
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「またね」って何度も何度も手を振って君のやさしさ地球のサイズ
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おいしいね、でも淋しいね、って言いながら珈琲の渦に涙を放る
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ごちそうのあとも微熱ののこる穴 珈琲で満たしやっと「私」だ
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はつらつでシルバーヘアの阿部さんが庭先並べるトマトの苗です
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スマホにはもう触らないでおこうねって自分と決めて横たわる床
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息つぎの仕方を忘れていた日々の服を静かに脱ぎすてる午後
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「問題なし」きいて戻ってきた部屋で水に溶けてく午後のわたしは
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再検査終えてようやく息を吸うわが胸のなかに満ちゆく五月
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切りすぎし前髪おさえてはにかんだ幼き君よ 泣けてくるほど
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冷ややかな端末スマホに触れる指先が甘く淋しく赦される夜
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耳痛い言葉をひろい集めつつ画面のなかの雨をながめる
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手の甲に口づけをして頬に当て甘く自分を放りたい午後
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昨日とは違う我が子がリビングに「成長」という、淡きさびしさ
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失敗の重さや軽さのこと思う 窓にぶつかる雨の水玉
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立ちすくむ日々は終われり医師の声聞きつつおもう 生きねばならぬ
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