ミツバチ便り
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月光夜どうしようもなく秋の風あしたは桃を買ってきましょう
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床に落つ白髪一本つまみ上げ抱きしめましょう我の人生
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目の前を日焼けした子が駆けてゆく慌てなくても夏はあるわよ
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抱きしめた夢をこぼして五十路なる甘き桃の香包まれ眠る
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干し鰈ふわふわの身を食むときに海の気配が二、三分なり
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白い傘張り付いた花びら見つけ「いつからいたの」愛し美し
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イヤホンで占領された子の耳に「行ってらっしゃい」は届かなくて
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左手に電話を持って謝罪をし右手はペンでお花書く癖
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日に焼けた坊っちゃんがあるわたくしのお家ひっそりGoogleマップ
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風物詩ご苦労なこってわんわんとねむりの浅き暴走族よ
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スーパーの鏡にうつる我を見て母生き写し生と死おもう
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べたついた上司の話しに割く時間昼の月より必要なかろう
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わたくしの切な事情をものとせず雨が降り出す朝七時半
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神様もストレス溜まれば過呼吸になるかならぬか今は聞けねど
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「理想的」はほとんど奇跡と知っていた 縮んだ?太った?去年のニット
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窓映るシャツの膨らみ犯人は春風らしく夕焼けの街
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迷ったら必ずだめな道をゆくそんな私を助けてGPS
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故郷の父も電話の詐欺に遭い青菜に塩の様子が辛い
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春支度空が始めてきたらしいあなたに知らせたくなる匂い
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天泣やとける雪の音聴こえつつあしたは何を着たらよいのか
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艶のない髪の毛さっぱり切った日の鏡のわたし笑顔が咲いた
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怖いのはインフルエンザやコロナより小じわとたるみ隠すマスクで
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フリクションの音で高鳴る年度末知らないことに飛び込む春に
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ごみ捨てを君がする前名前なき家事をしている私を知ってる?
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すっきりと伸びていってるもみの木と折れ肌むき出すもみの木痛し
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胸痛み必要悪は叩かれる最期に魅せる小林多喜二
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立春の朝の日差しは透明で隣の家の屋根の雪落つ
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カレンダー今年初めてめくった日新たな私の老いがはじまる
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やわらかく降る雪見ればよみがえる雪かきをする父の姿が
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吾の日々は少し働き少し食べたまに短歌をあげてときめく
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