Utakata
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ミツバチ便り
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家族のことをよく詠みます。
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怒りという冷たい服を脱げぬまま猫の無罪に指をうずめる
13
「おめでとう」と言うたび口が切れていく 嫉妬はのみこむためのカミソリ
14
「おはよう」が白く弾けるこの街は体温だけを頼りに起きて
17
寝癖さえ「おはよう」というサインだね無防備すぎる家族の朝に
17
「おめでとう」 乾杯の声 高らかに 吾を母にせし 子と酌む地酒
25
「おばさん」は 終わりの
合図
(
サイン
)
じゃないのよね未来を走る コースの呼び名
23
失くしゆく 父の背なかに 陽が落ちて すべてが愛しき 冬のひととき
23
幼かった私に贈る指定席「大丈夫」という切符握らせ
27
喧嘩して、仲直りして、ご飯食べ。家族という名の終わらない恋
21
どうしても愛してしまう玄関で靴を履く背の、その無防備さ
22
嫁娘母
(
よめこはは
)
の どれも中途にこなしては 泥のわたしを 慈しみおり
26
退職の日は近づきて 吾の中に 被害者という 鬼が目を出す
26
あの日々を 奇跡と知らず 過ぎし日よ 煮込みの鍋に 詫びごとを言う
32
煮込み鍋湯気がゆっくりわたくしを人へと戻すボディバッテリー5
24
「あんなにも優しかった父」と書く ペンさえ重い冬の朝です
32
親孝行したい時には要介護これさえ愛と呼ぶしかなくて
28
みつみつと雫滴るつららかな冬の温き日にたまゆらの露
31
幼子がいない我が家の節分は鬼豆抜きの手巻き寿司なり
34
無償とか正解だとかもういいの 私のペースで明日は呼吸す
27
肝っ玉母になれぬを責めつつも 手羽先煮込む鍋の静けさ
27
やわらかく煮える卵に託すなり ごめんと言えぬ私の愛を
35
誇らしき造り花より棘を持ち咲けるサボテン愛でて生きたし
25
「妬んでも泣いても良し」とつぶやきて私は私を許すと決める
31
失敗を数々刻み林檎剥く このひとときがすべて正解
28
いつか来る別れを知らぬ顔をして みそ汁の湯気に家族は和む
55
抱きあうはなくなりしこの年月を越えて息子の目はあたたかし
35
「しわよせて笑うお前の顔が好き」と言われて汁粉煮るお人好し
38
「焦げたね」と笑ひて囲む夕餉なり林檎剥く手はあたたかくあれ
33
チョコ色のブルが散歩でおでこにはクリームみたいな雪をのっけて
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「お先に」とライトで合図する指に名前も知らぬ誰かの温度/雪国の温かさ
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