ミツバチ便り
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家族のことをよく詠みます。

ピーと鳴り炊飯ジャーを空けた後卵一個で地上の奇跡
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着信の 画面を伏せて 深呼吸 愛していると 逃げたいは、似る
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今日もまた納豆もやしを並ばせて財布の底の静かな反乱
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真夜中に 月と密会 したことは 家族に内緒の 銀の耳打ち
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午前四時 目覚めて月を探したら 孤独を溶かす 蜜のしずくだ
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除雪車が 運んできたね 冬の朝 眠いからだを 米で研ぎだす
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「おはよう」と 家族に放つ陽だまりが 積もった雪を ひとさじ溶かす
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黒豆の 茶を飲み干して 立ち上がる 明日も家族を支えようじゃないの
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怒りという冷たい服を脱げぬまま猫の無罪に指をうずめる
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「おめでとう」と言うたび口が切れていく 嫉妬はのみこむためのカミソリ
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「おはよう」が白く弾けるこの街は体温だけを頼りに起きて
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寝癖さえ「おはよう」というサインだね無防備すぎる家族の朝に
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「おめでとう」 乾杯の声 高らかに 吾を母にせし 子と酌む地酒
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「おばさん」は 終わりの合図サインじゃないのよね未来を走る コースの呼び名
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失くしゆく 父の背なかに 陽が落ちて すべてが愛しき 冬のひととき
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幼かった私に贈る指定席「大丈夫」という切符握らせ
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喧嘩して、仲直りして、ご飯食べ。家族という名の終わらない恋
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どうしても愛してしまう玄関で靴を履く背の、その無防備さ
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嫁娘母よめこははの どれも中途にこなしては 泥のわたしを 慈しみおり
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退職の日は近づきて 吾の中に 被害者という 鬼が目を出す
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あの日々を 奇跡と知らず 過ぎし日よ 煮込みの鍋に 詫びごとを言う
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煮込み鍋湯気がゆっくりわたくしを人へと戻すボディバッテリー5
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「あんなにも優しかった父」と書く ペンさえ重い冬の朝です
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親孝行したい時には要介護これさえ愛と呼ぶしかなくて
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みつみつと雫滴るつららかな冬の温き日にたまゆらの露
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幼子がいない我が家の節分は鬼豆抜きの手巻き寿司なり
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無償とか正解だとかもういいの 私のペースで明日は呼吸す
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肝っ玉母になれぬを責めつつも 手羽先煮込む鍋の静けさ
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やわらかく煮える卵に託すなり ごめんと言えぬ私の愛を
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誇らしき造り花より棘を持ち咲けるサボテン愛でて生きたし
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