ミツバチ便り
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家族のことをよく詠みます。

「またね」って何度も何度も手を振って君のやさしさ地球のサイズ
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おいしいね、でも淋しいね、って言いながら珈琲の渦に涙を放る
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ごちそうのあとも微熱ののこる穴 珈琲で満たしやっと「私」だ
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はつらつでシルバーヘアの阿部さんが庭先並べるトマトの苗です
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スマホにはもう触らないでおこうねって自分と決めて横たわる床
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息つぎの仕方を忘れていた日々の服を静かに脱ぎすてる午後
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「問題なし」きいて戻ってきた部屋で水に溶けてく午後のわたしは
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再検査終えてようやく息を吸うわが胸のなかに満ちゆく五月
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切りすぎし前髪おさえてはにかんだ幼き君よ 泣けてくるほど
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冷ややかな端末スマホに触れる指先が甘く淋しく赦される夜
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耳痛い言葉をひろい集めつつ画面のなかの雨をながめる
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手の甲に口づけをして頬に当て甘く自分を放りたい午後
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昨日とは違う我が子がリビングに「成長」という、淡きさびしさ
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失敗の重さや軽さのこと思う 窓にぶつかる雨の水玉
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立ちすくむ日々は終われり医師の声聞きつつおもう 生きねばならぬ
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裏切りは愛の別名 親子でも違う光を追いかけて、朝
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敬語という不自由な服を着て息子WEB面接練習の午後
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冷えびえと雨ふる朝の歩道には桜の視線だけがたまって
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若葉して六時間の大冒険 無事の笑顔が何よりギフト
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高速の合流よりもむずかしい息子キミを信じて黙っていること
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庭の土落とせば夫のうどんあり 酸いも甘いも噛みしめて啜む
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今朝の庭「黄金」の文字消すように五月の雪がそっと目覚める
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「おはよう」が降る前のこの珈琲が私という名に戻れる時間
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まごころのメッセ読みつつ嬉しきは生れし日よりの道の愛しさ
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「おめでとう」スマホの窓に咲き乱れふつうの私 主役の一日
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疱疹は「休みなさい」のサインかも昭和の空を思い出す朝
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母さんの飯寿司と菜っ葉の漬けもんがこんなに恋しくなるだなんて
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愛しさと哀しさ混ざる夕べなり「雪かきするぞ」という父の背に
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「折り返し過ぎた」と笑い飛ばすけど検診前夜のお茶は苦くて
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「ごめんね」がコーラの泡に溶けなくて我が子の背中を追う帰り道
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