ミツバチ便り
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息子履くがに股ジーンズ秋日干しお洒落なんだか破けてるんだか
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ひさしぶり母さんが降りてきたような夜空の花火あたしはここよ
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秋風の鱗に頰を撫でられて確かに違う風の熱量
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ニット帽母の手作り喜ばぬ私であった後悔と逢ふ
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子は育ち求められることうしなわれ私の瞳の海路がひらく
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今シーズン初の湯豆腐煮え立ったアブクも立って生きるはごちゃごちゃ
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旬だから二百五十円秋刀魚焼き全て昔を懐かしむ夜
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そのむかし家族に言えぬ悪いことしたかしないか 闇の恋しさ
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笑い皺知れとて秋は夜が長く肥える肥えない永遠の悩みで
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クーラーの風より外の涼しさよ人の居るとこ秋の暮れあり
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白と青の空を残して蝶分かれ一匹は花一匹は網
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沸点か臨界点か八月の海と運河の中間地点
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繋がった蜻蛉運河をじわじわり海に向かうか逆流しつつ
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笑い皺深くなるほど愛したい秋の光で鏡眺めつ
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電車にてメイクしている少女らよ私にコツを教えてくれぬか
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「ここを出て家に帰る」と義母は言う黙らすために「私と暮らす?」
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生い茂るぶどう棚下首かしげ乙女ぶりたる我を恥じ入る
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空缶のバドワイザーが二本あるおそらく昨夜の恋をしってる
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目覚めれば老猫の寝顔どアップでこんな愛しい時をありがとう
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雨降るとクーラー消して本を読む私の後ろで夏が熟れゆく
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膝痛も介護も今だあるのかな何度も言うわ「またね」「おかえり」
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紫陽花が庭から庭にはみ出して隣家寂しき廃墟となりぬ
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滝のよう夏はもうすぐ終わり告げアスファルトに消ゆ線香花火
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母眠る果樹園みえるあの丘へコスモス咲く頃逢いに行きたし
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「大丈夫、大丈夫」だと笑ってたあの人の目が揺れていたこと
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苦しいを訴えることしないので平気なことに日々なっている
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平凡な一日でした日めくりがめくられるよう散るチューリップ
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熱されたアスファルト雨に包まれて癒えぬ痛みは愛に変われと
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手のひらに鉛筆の芯埋まってる夫も私も昭和の生まれ
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歓びをぐるり集めて向日葵は私に夏の刹那知らせる
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