Utakata
登録
Login
ミツバチ便り
フォロー
52
フォロワー
55
投稿数
198
« 最初
‹ 前
1
2
3
4
5
6
7
次 ›
最後 »
母遺す細い鎖の腕どけい母が逝きたる三時をしめす
7
天界の母と俗世のわたくしが共にみている大き満月
15
擦りむけたひざもほっぺもものとせず補助輪はずす背中の翼
7
落蝉を拾いて夏の盛り逝く生きるものだけ死ぬことができ
12
砂の立つサッカーコート日に焼けた少年の脛まぶしい柱
7
夜の雨あなたを過去にしてしまう手を伸ばしても夜はつかめず
11
赤と青闘う空の夕暮れをのぞむ私の胸は静かだ
12
炎天の坂のぼりきて星祭り振り返らむとひとりきりかな
6
君の手が蛍をそっと包んでる世界で一番優しい灯り
7
いつもより暑い夏でもとうきびをレンジは使わず茹でようと思う
7
今朝もまたきっと明日の朝もまた私の死後も誰かが米とぐ
12
生きていることは辛さのビブラート紫陽花重く雨に撃たれて
14
かわいらしいカフェのメニューに「かぷちーの」ふぅんなるほどふぅんなるほど
6
キャベツ喰む姿がかわいいかわいいと言われし蟹を羨ましく思う
8
落ちそうな夏椿見るそんな目でいつでも私を包むべきよね
10
洗濯機回り続ける水眺む そんな気持ちで走る息子見る
6
死神を騙す男の落語聴き白髪を染めるわれ誰騙す
7
ゆうべ見た夢のつづきとまごうほど百合に集いし蝶々の宴
11
月光はカサブランカを香らせて真みずのような純な白さも
6
そぼ濡れて帰りし我が子の制服を干せば雨よりひなたの匂い
6
キッチンに入る夕陽でカレー煮る「今朝はごめんね」言ってみようか
6
美しく老いるだなんて嘘なのよ ほらあなた見て上弦の月
7
扇子出し扇ぎ笑ってお喋りし小さな嘘も畳んで仕舞う
7
やわらかくつぼみほどいた紅い薔薇浅く目覚めて朝日を見てる
11
まだ青きトマト湯がいて皮剥けば香り顔出す小さき夏は
6
わたくしに夢があったか忘れたが夏に向かってひまわり植える
8
あんなにも輝いているあの星が嘘みたいもう尽きてるなんて
7
桔梗挿す花器は静かに受け入れて茜さす夕 美の確かさよ
4
紫陽花は雨を愛する花だから包み込んでよ雲も涙も
7
タッパーの器とふたの大きさがいちいち合わぬわたしの運命
14
« 最初
‹ 前
1
2
3
4
5
6
7
次 ›
最後 »