Utakata
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ミツバチ便り
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澄み渡る星に混じりて母の顔友の顔あり秋の夜長は
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この道を真っ直ぐ行けば工事中急がば回れわたしの歩み
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物忘る父の機嫌がよい電話繰り返話しの声を抱きしめ
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どんぐりを拾って数を競いましょうそのあとぎゅっと抱き合いましょう
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住み慣れた街を離れて一年余峠に雪のニュース見てをり
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ブランコをこぐ子砂場で遊ぶ子もきっと全員令和の生まれ
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悪玉はここにかしこに鎮座まし席の隣にお腹の中に
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早き死と気付かず友は逝ったのか今年初めてストーブつける
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夏の背にしがみつきつつ体感は冬の初めが染み入っており
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颯爽と我を追い抜き坂道をぐんぐん登る若者羨まし
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吾のお粥発熱した子が褒めてくれ愛もウィルスも見えないけれど
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運河見る欧米人を眺め見てロマンス詐欺はあるね、と思ふ
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唇を噛んで悩んで揺れながら過ごした若き日愛し秋の夕
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映画ではない日々をただ過ごしてく葡萄は葡萄の味をしながら
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すすきまで星に匂えり我に降る涼かな光秋に震えて
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朝夕は肌寒くなりましたね、と今日は三回昨日は五回
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トトトトと子が我の肩リズムよく叩けば我は液体になる
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西日入り先週よりは温くない 今夜はシチューにしてみよう
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息子履くがに股ジーンズ秋日干しお洒落なんだか破けてるんだか
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ひさしぶり母さんが降りてきたような夜空の花火あたしはここよ
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秋風の鱗に頰を撫でられて確かに違う風の熱量
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ニット帽母の手作り喜ばぬ私であった後悔と逢ふ
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子は育ち求められることうしなわれ私の瞳の海路がひらく
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今シーズン初の湯豆腐煮え立ったアブクも立って生きるはごちゃごちゃ
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旬だから二百五十円秋刀魚焼き全て昔を懐かしむ夜
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そのむかし家族に言えぬ悪いことしたかしないか 闇の恋しさ
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笑い皺知れとて秋は夜が長く肥える肥えない永遠の悩みで
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クーラーの風より外の涼しさよ人の居るとこ秋の暮れあり
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白と青の空を残して蝶分かれ一匹は花一匹は網
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沸点か臨界点か八月の海と運河の中間地点
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