ミツバチ便り
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切々としみじみの顔行き来して義母の葬儀を走り乗り切る
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最期には優しい風になった義母削除できずにいるらくらくフォン
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禁断の実をほおばって下界にて暴るる熊の行く先はどこ
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街角で君によく似た君を見る昔々に愛してたひと
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いい声で素っ気ないあなたの返事となりにいるのは女じゃないの
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あり得ない方のわたしが住んでいる運河の街に雪降り積もる
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夕暮れにただの樹として桜あり涙の如く葉まで落として
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せつせつと雪降り積もるその下にこえも無きまま蝉潜みたり
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ひよこ豆ふつふつ笑う深鍋は家族賑わう予兆のようで
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追い詰めて追い詰められて優しさを壊したくなる皿を割るよに
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たたまれて共用踊り場に下がる雪に濡れたる傘光りおり
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とうとうか忘年会のリストきてコロナ禍はもう歴史の一つ
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地を離れ友と疎遠になりつあり仕方ないわと豆腐を崩す
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あれは母かもめとなりて飛ぶ海の緑の深さ深い霜月
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葉と書いて紅葉と読む季節なり赤いてぶくろポケットから出す
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夢うつつ涙の先に船浮かべオールを漕いだ先には母が
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朝日浴び雪虫溶けてしまわぬか冬のお便り配らぬままに
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あなたから良い香りするラインきて触れた背中の熱さをおもう
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夫には言えぬ五文字をいつ言おう言えないままで終わるもいいか
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この人が若い私にこの指輪渡した頃の煌めきさがし
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紅葉の葉海に投げればたちまちに海にも秋がおとずれるんだ
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みぞれ降る公園あたりで立ち止まる冬の前には休憩しましょ
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窓枠に忘れ物あり夏の虫わたしも同じ人生一度
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親指の深爪しくしく痛む先かすかに感じる冬の後先
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花も実も葉すらないけど生きるため枯れないためにいろはすを飲む
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朝焼けを珈琲共に眺めいる時間切っ割くサイレンの音
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ご葬儀についてスタンプ絵文字無し字だけのライン流れてきをり
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いつからか爪の甘皮剥くのやめ分厚くなりゆく面の皮かな
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山は紅遠きことこそ美しく鮮明である息一つ吸う
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「これからよ、人生は」などと言われをり笑顔で隠し途方に暮れる
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