ミツバチ便り    フォロー 24 フォロワー 24 投稿数 108

落蝉を拾いて夏の盛り逝く生きるものだけ死ぬことができ 

砂の立つサッカーコート日に焼けた少年の脛まぶしい柱 

夜の雨あなたを過去にしてしまう手を伸ばしても夜はつかめず 

赤と青闘う空の夕暮れをのぞむ私の胸は静かだ 

炎天の坂のぼりきて星祭り振り返らむとひとりきりかな 

君の手が蛍をそっと包んでる世界で一番優しい灯り 

いつもより暑い夏でもとうきびをレンジは使わず茹でようと思う 

今朝もまたきっと明日の朝もまた私の死後も誰かが米とぐ 

生きていることは辛さのビブラート紫陽花重く雨に撃たれて 

かわいらしいカフェのメニューに「かぷちーの」ふぅんなるほどふぅんなるほど 

キャベツ喰む姿がかわいいかわいいと言われし蟹を羨ましく思う 

落ちそうな夏椿見るそんな目でいつでも私を包むべきよね 

洗濯機回り続ける水眺む そんな気持ちで走る息子見る 

死神を騙す男の落語聴き白髪を染めるわれ誰騙す 

ゆうべ見た夢のつづきとまごうほど百合に集いし蝶々の宴 

月光はカサブランカを香らせて真みずのような純な白さも 

目に見えぬ夜の風すら一筋の風で朝露きらめかすのに 

そぼ濡れて帰りし我が子の制服を干せば雨よりひなたの匂い 

キッチンに入る夕陽でカレー煮る「今朝はごめんね」言ってみようか 

美しく老いるだなんて嘘なのよ ほらあなた見て上弦の月 

扇子出し扇ぎ笑ってお喋りし小さな嘘も畳んで仕舞う 

やわらかくつぼみほどいた紅い薔薇浅く目覚めて朝日を見てる 

まだ青きトマト湯がいて皮剥けば香り顔出す小さき夏は 

わたくしに夢があったか忘れたが夏に向かってひまわり植える 

あんなにも輝いているあの星が嘘みたいもう尽きてるなんて 

桔梗挿す花器は静かに受け入れて茜さす夕 美の確かさよ 

紫陽花は雨を愛する花だから包み込んでよ雲も涙も 

タッパーの器とふたの大きさがいちいち合わぬわたしの運命 

母になり亡き母の気持ちよくわかる母って案外ずるしますよね 

降りてゆく蒼いとばりが日中の熱を溶かして素足に優しい