ミツバチ便り
116
116
投稿数
470
松の枝堪えきれずに折れている幹の中身を雪に埋めて
23
笑顔ごと包んでみよう手作りの餃子をつくる冬の夕暮れ
27
青缶のニベアを開けて手にぬれば雪の目線で夜が閉じゆく
38
義母という要なくした正月も流れていって煙の如く
29
肩の雪払ってくれる姉の手に亡き母想うそんな正月
32
ガラス拭き今年の空を惜しむ今空は青くて雪は白くて
30
この冬も運河はぎんっと凍てついて思い出さずに済む我の恥
25
かたい雪踏みしめながら子と歩く未来の香りコンビニコーヒー
17
喧嘩して割いた写真は今どこにごめん母さんごめんさみしい
24
一折のシャコを求めて帰り路祈りに等しいシャコの重さよ
19
切々としみじみの顔行き来して義母の葬儀を走り乗り切る
23
最期には優しい風になった義母削除できずにいるらくらくフォン
25
禁断の実をほおばって下界にて暴るる熊の行く先はどこ
18
街角で君によく似た君を見る昔々に愛してたひと
23
いい声で素っ気ないあなたの返事となりにいるのは女じゃないの
14
あり得ない方のわたしが住んでいる運河の街に雪降り積もる
27
夕暮れにただの樹として桜あり涙の如く葉まで落として
31
せつせつと雪降り積もるその下にこえも無きまま蝉潜みたり
21
ひよこ豆ふつふつ笑う深鍋は家族賑わう予兆のようで
27
追い詰めて追い詰められて優しさを壊したくなる皿を割るよに
19
たたまれて共用踊り場に下がる雪に濡れたる傘光りおり
27
とうとうか忘年会のリストきてコロナ禍はもう歴史の一つ
27
地を離れ友と疎遠になりつあり仕方ないわと豆腐を崩す
35
あれは母かもめとなりて飛ぶ海の緑の深さ深い霜月
33
葉と書いて紅葉と読む季節なり赤いてぶくろポケットから出す
23
夢うつつ涙の先に船浮かべオールを漕いだ先には母が
20
朝日浴び雪虫溶けてしまわぬか冬のお便り配らぬままに
27
あなたから良い香りするラインきて触れた背中の熱さをおもう
31
夫には言えぬ五文字をいつ言おう言えないままで終わるもいいか
22
この人が若い私にこの指輪渡した頃の煌めきさがし
25