ミツバチ便り
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家族のことをよく詠みます。

「真夜中のドア」が流れてつまの横 戻れぬ日々が不意に愛しき
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寄り添いて不味き牡丹餅分かち合う 笑う夫の手の節愛し
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夫と行く遠き蕎麦屋の帰り道 芽吹く野山をふたり見つめて
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独り言いつの間にやら多くなり 茶碗を洗う手に春の風
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もたれくる父の重みに耐えかねて吾も生きたしと叫ぶ心臓
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子を想ふ心に果てはなかりけり離れがたきも母の真実
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「幸せに」祈る数だけ離れられぬ 不器用な愛を春の日に干す
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溢れくる涙はそのまま流しなよ 優しき君の心なりけり
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ワンランク、ダウンダウンの化粧水老けも速まる物価高にて
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雪を割り芽吹く命のあるごとく老いた父追い日々を越えゆかむ
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親を子のようにおもう日 崖っぷち、だけど愛して家事をしている
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老いといふ証の爪のさざなみに 命の色の紅いマニキュア
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「あと何度」数うる指をそっと閉じ 日曜朝のトーストを焼く
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「ごめんね」と言えば「いいよ」と決まってた。いつの頃から「いいよ」で済まぬ
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二日酔いと浮腫み無念極まれりガリガリ君しか食べられぬ刑
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青年にドア開けられてしずしずと五十五の我乙女となりぬ
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春セーター色鉛筆は十二色画用紙持ってお出かけしたし
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かつて吾を守った父を追い越して あたたかな昔洗う夕暮れ/老いた父へ
23
震災のあの日を胸に刻みつつ 祈りて閉じる今日のまなざし
31
水仙の芽吹きの色のまぶしさよ子に送る荷に春をひとさじ
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完璧な朝じゃなくてもいいじゃない 光を浴びに靴履く休日
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注文のQRコードを読みとれば まなざし優し子と春の昼
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「ありがとう」不意にこぼれて春の日に ミニカーだけが知る青い空
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スーパーのチラシに家族が溶けていて私自身は何も見えない
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縁切った友を思慕する愚かさよ想い出遠く飛ばせ春嵐
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啓蟄の鼓動を聴いて走り出す泥濘ぬかるみさえも軽やかにゆけ
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この街の雪が溶けてく速さまま、父の昨日が消えゆく仲春
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リビングへ 軽やかにゆく 靴を脱ぎ家族の心も裸足にさせる
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嫁、娘、母の三役こなしつつ、守るつもりが守られる日々
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明日こそ太陽のような「おはよう」を言いたい寝癖が似合うあの子に
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