ミツバチ便り
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家族のことをよく詠みます。

ひたむきに家族守りし歳月(とき)の波 刻みし皺もわが愛の地図
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「恋」という騒がしき日は遠のきてただ在てくれること深く頷く
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「死ね」と言い「死ぬか」と返してそののちの梨の白さを君に剥くなり
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触れ合える距離に居ながら一番の秘密を抱き林檎を剥けり
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この齢になりて会うたる魂(たま)の友 濃ゆき話は酒に溶かしつ
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細胞のひとつひとつが翳りつつ祈りばかりが透きとおるなり
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手のひらは何かを掴む為なのか柔らかき頬包むためなのか
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スマホから指を離してひらがなの「やすみ」を飲み干す土曜のひかり
25
湯気の向こう誰の期待も届かない場所としてある朝の珈琲
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二十歳なる光の殻を脱ぎ捨ててゆく背なまぶし 息子(むこ)に幸あれ
31
「愛(かな)し」とは「悲し」に似ててわが胸に一匹の鬼棲ませてやまず
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叱り果て背を向けあえば冬銀河 母という名の檻の寂しさ
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ひとり飲む酒のしずかな熱(ほとぼ)りよ 蕎麦屋の隅に歌の芽を待つ
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忘れゆく父の瞳の澄みゆきて幼子のごとき父を抱きしむ
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飛び立たせたくて放てぬこの腕かいな母という名の檻を編む日々
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たっぷりと愛(かな)しき父の背を流す 何も持たざるわが手のひらで
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「半世紀、何もないわ」と独り言そこから始まる記念日がある
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「いいね」より温かいのは三十一文字スマホの中に咲く花の雨
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「泣けるわ」とスマホを閉じて見上げれば三十一文字の空広がって
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溢れ出す私の涙蛇口のよう「がんばってるね」の一言なのに
32
哀しみも今の私の一部なり 焼きたてのパン切り分ける朝
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靴下を左右揃えて干すうちに 飲み頃すぎてゆく一杯(ひとつ)あり
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玄関の鍵の音(ね)でホッとするくせに口を開けばトゲが混じって
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「ごめん」より「おやすみ」と言う大学生 許されているのは私のほうか
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母さんが土砂降りを君に降らせては晴れた後から虹が痛くて
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全米がわたしを褒めてくれるかもポテトサラダが美味しくできて
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許しとは私のなかのピストルをそっと野原に置いてくること
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間違えてばかりの地図をひらいてる私に「赦し」の雨が降る夜
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運河って書けば少しはきれいかな涙もいつかは海へゆくから
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洗濯機回る真っ白「ねぇ、こっち」幸せなんてたぶん二拍子
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