寒いのね 吾が立ち上がり 温もりが 残る座椅子を きみが横取り
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陽が昇り食べては寝るの繰り返し俺の人生とてもシンプル
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千日の回峰行に憧れた心を共に街路を巡る
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公園の梢の奥に百舌鳥の声 紅き桜葉秋空に映ゆ
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今日の月綺麗ですかと話しかけ 答えなくても信じていたい
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もみじ葉の散り敷く朝の公園を歩けば露のキラリと光る
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週一のデイ送迎の車窓より深まる秋の町並みを見る
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心だけ眺めるだけの毎日に危機感もなく蜜を上塗る
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日の暮れて窓辺に立てば街灯りさざめき揺れて空に金星
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金色の銀杏背にして君を待つ遠い秋の日十七歳じゅうしちの吾
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いまはむかし『松茸』とかいう山里の秋のにほいを味わいし日々
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渋滞の三台前に杖つきてみち渡るひと ふと我と思ふ
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寒がりの 猫に湯たんぽ 熱すぎず ほどよき温度 模索する日々
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彼岸花 萩、ほととぎす 秋深く いのち名残りを 惜しみつつ咲き
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「二人なら美味さも倍」と独り言 土産の銘菓食み茶をすする
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掃除ってしなきゃこんなに溜まるんだ風邪の間に丸まるホコリ
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秋長けて隣家の庭にひとむらのローズマリーの紫さやか
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ひとピースはめ込む場所の見つからず 振り仰ぐ空の高さよ
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小春日に庭掃除せばカマキリやバッタの卵草に紛れて
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重ね着た罪を一枚ずつ脱いで見せる裸も公然猥褻
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気がつけば駆け出していたあの頃の無闇に明き三日月の夜
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我はが あばら骨より 生まれたるか 広き胸に満つ 創世の海【聖書の創世記・アダムとイブより】
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デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
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はつらつと若きスタッフ心地良く週一なれど心が弾む
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白菜の葉から葉へと紋白や ぬくき陽が差す午後の菜園
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暗幕あんまくに 散りばめられし 銀の鈴 夜風の揺らす 星の いくつ 
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なんとまぁ多くのゴミを出す命フロアにかけたコロコロを見て
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魂を売ってでも金欲しいけど腐ってるから誰も買わない
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ひと様の花壇眺めて昼散歩陽に照らされし赤きマンリョウ
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来し方の小さく見える日のありて 相模の湯屋は紅葉のなか
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