丁寧に紙とテープで修理する 夫と半生歩んだ聖書
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待ちわびて 影が染みつく 夕のころ かどから不意に 母はあらわれ/ 2 019.4
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あの時が 最後だったと思い出す 未来が見えて だきしめる今
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君望む ひととなれたのか? 今はもう 知る由もなし 頬たたく風
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五月吹く 若葉の風を追うように ランナー駆け往く川縁かわべりの道
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鼻奥はなおくの 腫れ物ひとつ 何ゆえに グズつく空には わかるまいて
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質問をしただけなのに涙顔 管理職とはそういうものか
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「先生」と不意に呼ばれて振り向けばかつての少女母になりけり
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カーペット汚したことで口喧嘩それが幸せだと現在いま気づく
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今日からはママと離れて保育園君の世界が拡がっていく
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あの当時背負ってるもの見もせずにきつく叱った我を赦せよ
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真似したい食べたい見たい触りたい「たい」につきあうママ休みたい
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ガザの民攻撃のがれ逃避行荷のてっぺんに乳母車見ゆ
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旅路にて カクテル作り ほの暗く 語り尽くそう 今日の思い出
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双葉のまま 枯れるやもしれぬ 朝顔に 寝グセのような 本葉がチョロリ
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白球を追いかけている人たちを横目に独り下校する夏
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隙間から導き出した結論を消しゴムで消してまた最初から
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寝不足で 空っぽになった 脳内を コーヒーで埋める 午後三時ごろ
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山背やませ吹く 沸いたお風呂に 浸かったら 底がまだ水 そんな日曜
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恋愛に発展しない自信とはふたりっきりでスーパーへ行く
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ローカルの 駅舎にひなが 待ちおりて 戸は閉めるなと 張り紙のあり
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訳なんて知らなくていい いつかこの片道切符を正解にする
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一晩を寝ずにトイレの模様替えそれだけなのに清々と朝
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豆の香の木綿豆腐は堅くあれ もさり武骨な益荒男ますらをの味
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アパートの間の気配に立ち止まり逢瀬の途中の猫と目が合う
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平屋建て三部屋程の借家にてリクガメ愛でる少年のひざ
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アスファルト柄の白線手と足を同時に出して歩くあすなろ
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電子版ローカル新聞見出しには歩いて行けるケーキ屋の記事
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口角に残っただけの笑み残しどうせなら恥 楽しめよ俺
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強い雨どこにも行けぬ痛む傷そばにいるのに遠くなる音
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