われわれは優生学の黄昏に未來過去へのプルトンの鐘を負ふ
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苔の生すへ、軍は果てて死ににけり。夏虫の絶ゑしかそけさ
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夏草へうづもれゐたる兵數多。骨晒れて芥子色の帽垂は
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泥濘の河亙りみな殺められし。ひとつぶの石骨壺へ収め
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アニメーション・アイコンへ公民の意志。民ゆくへ争ふ 国家 の
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偶像 暁の車へはきたらず山鳩のこゑながながし、闇
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鳩殺し ダリアの花蘂のダイアルを回し呼鈴ひびかふ夜警国家へ
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更でも属国 独立運動家はげしきののしりす生卵割れて
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油絵のような大雲黄金色 夏の夕暮れただ息を呑む
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われあやめたるもの数多千万の軍民草の骨編みて建つ塔
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硝子戸一枚へだて漏れきこゆ工兵のこゑ 大伯父よ去ね
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日灼けせる空地の壁へ病みしまま囲はる弟切草のおとうと
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英靈碑肩欠けて零る菊の蘂 かくごとくひと殺むるは雄
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わが祖父は英靈か 虐殺ののち肩口に消ぬる緋の初霜が
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ぼく達の歴史にわたしはいないからヤグルマギクの花言葉って  ?
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シオニズム 角砂糖水へと溶けて水薔薇国家の仔羊の頸
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基督をひとはもとめむさでもなほ――、無棘薔薇冠など編みて刑吏
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ほおずきが有るからきっと迷うまい心細気なあかり添えつつ
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人草絶ゑて弔鐘へ祷る慰霊碑へ霙 皇帝とは誰なるか
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復活祭へにがき蕗煮ていもうとはロザリオなどゆめかけざらむ
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蝉時雨 ふと立ち止まり目をつむる 矢の如くゆく光陰の中
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どんなにか素敵だろうかあの人に〝ありがとう〟って伝えられたら
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月わずか120ほどのポイントをごほうびとして歩く買い出し /歩数ポイント
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降る雨の雫の中に秋がある 清めの如くわだちを染めて
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風運ぶ 青さが少し薄れゆく  ホットコーヒー 夏に句点を。
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茹でたての枝豆を噛む喜びよ 夏という名のご馳走がある
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黄金比律に六弁花百合の落雁はかわきをり 誰そこぬも
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人体機関へ昏き淵あり鐡芯の骨組みきウェヌスは婦人
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通勤の改札出れば天気雨 夏の終わりの香りが満ちて
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座る人エサくれるかと寄って来る鳩の可笑おかしいその急ぎ足
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