窓の外アゲハ舞いきて紫蘇の葉に風にゆらるる猛暑日の涼
22
真夏日も桜の木陰で癒された 照りつけるにキミが恋しい
19
大空にピンクの大輪 芙蓉咲く 色鮮やかに「夏だ!夏だ!」と
23
パリオリのテレビ漬けから脱皮して蝉しぐれ降る真ん中にいる
25
何もかも謙遜をする保身術嫁した頃よりついた悪癖
21
空爆で殺戮さつりくされる子ども達 チャンネル変えれば五輪の歓喜
54
お祭りと虐殺 同時にこの星で  人類はまだ スイカ食べてる
28
気が付けば ひこばえ青々繁ってる ああ、生きてるね 桜の切り株
27
志願せる少年兵はためらはず窃盗、強姦、虐殺す けふのことだよ
7
苔の生すへ、軍は果てて死ににけり。夏虫の絶ゑしかそけさ
6
夕膳に笹舟にのる豆腐ちくわの穴を覗けばふるさとの海
21
親と子が 孫とひ孫の顔になり ひいじいちゃんの思い出話
35
敗戦忌 すめらみことへゆくすゑをしめし若き柩工は死せり
6
戰犯とは不肖の綽名われいくさに倚らざれども死なず
4
國民総戦犯ゆゑに絶たれたる昨年の忠魂碑はたれのはか
7
われ義しき國民なれば崇拝すクリスティアーノならず 墓を暴かむ
6
復活祭へにがき蕗煮ていもうとはロザリオなどゆめかけざらむ
7
父殴てる馴犬哀し。頸枷に「愛われを創れり」彫られて
7
神神に主神のあらば 靑藍の仔を降しまづ人間を亡ぼす
8
奇蹟のかけがへは誰がつぐなふか瞭然と蘇りなき慰霊碑の石
8
戰乱の臭ふ 澁谷交差点群衆も靴鳴らしかへらず
7
増長すこの若者らみづからを皇帝と呼ぶすめろぎ擱きて
6
歴史喪失そののち四月朔へと雪 長靴の裡入るけがれ
7
知らせ受け義兄あにの葬儀の準備する 近づく台風 不穏な朝に
27
蝉の声 嵐の前の静けさか 手持ちぶさたにシフォンケーキ焼く
22
ぎっくり腰これも気圧のイタズラか 台風一過そろりと散歩
24
期せずして三度帰省のこの夏に 悲しみの中にも故郷は嬉し
34
繋がった蜻蛉運河をじわじわり海に向かうか逆流しつつ
13
髪の毛をメッシュに染めて夏休みメガネは真面目ズボンも真面目
20
美容師にぼさぼさの眉カットされティシャツも靴もダサいまんまで
21