病室の壁があまりに白すぎて何かぶつけてやりたい夜更け
19
壁に穴母の眉間に皺ふたつ少年たちは大人になりぬ
12
『宇宙には文明を持つ生命体……』たちの実験場なる地球
18
急いでも仕方がないことあるんだよベルを無視して終活休み
20
あの窓もこっちの窓もほの明かり眠れない人この指とまれ
14
針の目を たどるがごとく 街路樹の 背高ノッポの コニファーの列
32
核家族などで習慣「大掃除」薄れる「やった」過去最低か
14
のみこんだことばの欠片?のどのおく癌かもしれぬ石ころひとつ
13
幸せは看護師の手の温かさ眠れね夜も痛みの朝も
24
子らの来ぬ二人きりの年の瀬は気楽ねなんて ちょっと強がり
27
眠れずに父よ母よと呼びてみる吾に降り積もる愛(め)ぐし面影
27
眠れずに想い出降り積む年の瀬にうたかたの友愛してやまず/らいとしょっぷより
28
負け越しの年と思えり年の瀬に「B.Jブリジットジョーンズの日記」で憂さを晴らせし
13
高層のベランダからは憧れのキキの魔法が翼を広げ
18
もう少しあと少しだけ光ってて 今年最後の夕日が沈む
19
初茜はつあかね 詠みたいところ やはりグレー あまける馬 まなうらにあり / 元旦
38
病み上がりなれば訪う人もなし正月だけが静かに来てた
20
めぐっては消えないままの後悔が午前三時にわたしを起こす
23
鉄橋を渡る列車の音でさえやさしく響く もうじき夜明け
18
この「曲」は1歩踏み出す勇気湧く この「演奏」は立ち止まり聴きたい
16
冬枯の 乾きし森に 雪が舞ふ 朝には白衣びゃくい まとひし舞台
38
輪郭がぼやけた月と目が合って 悲しかったことに気がついた
16
蛇口からお湯が出たりはしない頃湯たんぽのお湯とりっこしてた
21
街灯が伸ばす私の影法師吐く息だけが熱を持ちおり
35
電話でも義母ははの話はマシンガン ただただ聞くのみ それも孝行
31
雪の庭よこ切るキツネの足跡は今朝のことらし年始のための
35
いにしへの街道歩かば寒菊の咲く庭ばかり吾の里に似て
40
正月の余韻の残るゴミ置き場新しい年もう動いてる
16
微睡みの布団の中で背伸びする窓をあければもう月曜日
18
世の中はいろんなことがおきてると眺め回してたたむ新聞
26