気がつけば駆け出していたあの頃の無闇に明き三日月の夜
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我はが あばら骨より 生まれたるか 広き胸に満つ 創世の海【聖書の創世記・アダムとイブより】
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デイケアでおしゃべりはずむ女性陣寡黙な小数男性陣よ
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はつらつと若きスタッフ心地良く週一なれど心が弾む
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白菜の葉から葉へと紋白や ぬくき陽が差す午後の菜園
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暗幕あんまくに 散りばめられし 銀の鈴 夜風の揺らす 星の いくつ 
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なんとまぁ多くのゴミを出す命フロアにかけたコロコロを見て
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魂を売ってでも金欲しいけど腐ってるから誰も買わない
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 庭なずな白き小さき花なれど可憐に咲きぬ陽だまりの中
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ひと様の花壇眺めて昼散歩陽に照らされし赤きマンリョウ
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来し方の小さく見える日のありて 相模の湯屋は紅葉のなか
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窓に寄り 鰯雲見れば 君が弾く チェロの低く 空に溶けゆく
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生かされて流れのままに赤い葉は泡沫Utakataに棲み夢を浮かべる
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誰を待つ 訳でもなくティーカップあり 葉洩はもれ日の散る 庭のテーブル
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うららかに咲いて輝く花一輪ピンクの薔薇は影を照らして
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あの人の好きな色だと買ったのに渡せぬままの赤い手袋
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茜色雪を染めゆく夕焼けて苦き珈琲君を思うよ
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悶々と闇に埋もれて眠る夜 地上の日々に星を求めて
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兎に角も 『共時性』てふ幸運に 今日の一日 賭けてみようか
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爪切りに小さな教会描かれて師走なればとしばし眺むる
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安らわむ 硝子の月に 息をかけ 貝の小舟で 眠りの海へ
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ほろ酔えば いつものきつさが 苦しくて 心のベルトを ニ穴ゆるめる
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冬の田に降り来る鳥は姿変え孤高の鷺から白鳥の群れに
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切なさが 思い出を超える 昼下がり ニーノ・ロータの 旋律が舞う
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が慕ふ年長の友らおしなべて老ひの翳りを纏ひて寂し
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年の瀬にふみのあてさきかぞへつつ 薄墨いろの白菊しらぎくを見る
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右脳うのうには 声静かなる 人棲みて 我を動かす 物つく
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必ずや 新大阪で 立ち寄って たこ焼きうどん 勝負めしなり
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のぞみにて 作りし資料 確認す 新幹線は 会議室ナリ
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君ってさ 存在感が 薄いねと 我を一瞥 ふと笑う人
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