同世代訃報の多き昨今を馬耳東風に、生きてみている
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深い夜 すべての時間が 押し寄せる たたかう力が 僕にはまだない
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妻と母 語らい尽きぬ 昼下がり ひかりの束の 天窓の下
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おさなごに わかってるってば! 言い返し わかってない親 日本代表
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一筋の祈りみたいな名前やね「のぞみ」私は東京へ発つ
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直下型宙舞う記憶脳裏には夜具しがみつき成すすべもなく/阪神・淡路大震災
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ひたすらに亡き人読み上げTVはこの中この世去る友泣き崩す母/阪神・淡路大震災
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蛍光灯消す事出来ずに寝る幼時心をえぐる地震の爪痕
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捨てられぬ 古き手紙の 薔薇色に 変色すまで また仕舞い置く
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空缶と温めたけど冷えきったコンビニ弁当炬燵の上に
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炬燵出し 籠に蜜柑 皮を剝く 当たりと願う 冬、山茶花
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「今や癌は二人に一人」その一人自分だなんて思いもせずに
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報われぬ思いを抱え帰る日は鯛焼き買っていちごも買って
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いつ誰がお空の色を青色と決めたのですか 決めたのですか
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逆光 冷えのぼせのせいにしてポニーテールを揺らした瞳
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槍握り 澄ました顔で言ってやる 「どういう訳か 皆がチーズに!」
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何時からか サスペンションが壊れてて 君の絃音で ありのまま死ぬ
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冬日差す畑の隅に枇杷の花甘き香りを風が運びぬ
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折れちゃった今日は母さん休みます何もしないよなんにもしない
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甘酒の作り置き切れちと寂し風邪予防にと朝から仕込む
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真冬日の道の駅には人けなく我ら二人のコーヒーも冷め
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窓に差す陽を握る手の小さきを 光は溢れて我に開けり
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探しても あなたの中には もう居ない 半年前の 綺麗な私
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たまらんなぁ喉元通る黄金の泡の刺激で疲労回復
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娘等が 巣立った後にタイマーの ありがたさ知る夜更けの帰宅
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婆ちゃんが娘の背中を叩いてる「孫の手さだボールが効ぐがら」
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晦日の夜 踵の減った父の靴 磨きあげたし 除夜の鐘聞く
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ありふれた元素四つの構造美テトロドトキシン解毒を阻み (炭素、水素、酸素、窒素だけ・短歌の美にも通じて)
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ボロ負けや 卓に投げ込む 千点棒 追っかけリーチが 倍満で飛び
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早朝の三時にやっと眠くなるホットワインの催眠術師
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