Utakata
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川辺村道
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ただ飄々と
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愛犬の震えにずっと寄り添った 雷鳴遠く去ってゆくまで
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この想いついに伝えず あの人はミストシャワーの中に消えたり
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一首だけあなたが褒めてくれたのは相聞でなくラーメンの歌
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遠吠えの聞こえて犬は飛び起きたオオカミの血が目覚めたように
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助っ人で来たのに邪魔をした私 アイスクリーム奥歯にしみる
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僕らしい巡り合わせだ 直前の人でたびたび閉まる改札
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物語の舞台変わって新キャラとつぎつぎ出会う 転職初日
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学校に居着いた犬よ授業中ぼくといっしょにあくびをしてた
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真夜中の万博会場歩きたい きみは詩人の目をして言った
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片付けに飽きてきた午後 木刀を構えてなりきる隠密剣士
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クラス会の余熱が今も続いてる あの子が近況尋ねてくれた
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ごまだれとポン酢みたいに君は言う「あなたも彼も両方好きよ」
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いたずらを𠮟られそうな柴犬がソファーで狸寝入りをしてる
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熱風は過ぎて戻らず 推し活で買ったタオルの小さなほつれ
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就活に疲れた夕べ ヤドカリがテレビで殻を奪い合ってる
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ちゃっかりと僕の寝床の中央で寝ている犬に「もしもし」と言う
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ふるさとに帰ると決めて初夏の駅 遡上してゆく鮎でありたい
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縫いぐるみ抱いて寝る子よ 怪盗の狙うお宝護るみたいに
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大空の編隊飛行のイメージで心ひとつに踊ったチーム
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虚無感に襲われておりフルセットでデュースの末に負けたみたいな
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詐欺メールに騙されかけた昼下がりまぶたヒクヒク痙攣してる
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お手本にしたいね犬の兄弟は取っ組み合ってとても仲良し
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七十年前の田んぼでじいちゃんは時空を超えたドローンを見た
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沸騰をさせちゃいけない 味噌汁と君への恋が熱くなってる
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七夕のチキンラーメン 紛れ込むタマゴの殻も今日は星屑
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君の部屋に吊り下がってる照明に頭ぶつけて 幸せだった
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アンテナのような寝ぐせはあるけれど感知できないあなたの気持ち
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イレギュラーしたのに僕の失策と言われた夕べ 犬とじゃれ合う
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ちゃん付けで呼ばれた祖母がひなげしのように微笑む母校の前で
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惑星のわたしはきみを周回す 近づけぬまま空転しつつ
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