川辺村道
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ただ飄々と

悩んでる徴候だろうまた君は窓際に来てメガネ拭いてる
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手を洗うときに袖口濡らすぼく「アホやな」と言う君が恋しい
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仕事場を抜けてスタバへ「辛抱」の在庫切れにて補充に向かう
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相聞歌、叙景、時事詠 広角に打てるあなたの自然な構え
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コーヒーの粉がほわほわ膨らんで きみの笑顔を咲かせる香り
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一目惚れしそうに眩しい女子だった一緒にバスの日除け下ろせば
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冒険に燃えてるみたい 通常の散歩コースを外れゆく犬
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あんたより力あるでと行商のおうなの担ぐ荷は五十キロ
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仕事とはバックホームと言う上司 正確無比でも遅いと無意味
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ポン菓子のできる原理を語るときリケジョの君はぼくの先生
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しゃぼん玉 風の列車に乗ってゆく 小川を越えてコスモス越えて
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戦争は過去ではないと言った祖父 砲台跡に船影見つつ
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研修にきみが来ていた3ヶ月 わたしの胸に続いた白夜
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ハ長調みたいな声で話すけどこころは変ロ短調の夜
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スクショとか得意な祖母がどうしても乗り越えられぬ録画の予約
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目いっぱい回った旅から帰宅して郵便受けにチラシぎゅうぎゅう
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いつまでも仔犬じゃないと言いたげに抱っこを少し嫌がる素振り
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つかの間の帰国の友と過ごしてる 番外編のような時間を
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新しい上司と食べるラーメンの脂っこさに ついてゆけない
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競泳で不調のふたり 練習を怠けるぼくとやり過ぎるきみ
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この恋はサンゴ礁なり ひたひたと白化すすんで消滅の危機
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人混みが嫌いな祖父と一度だけいっしょに行った東京ドーム
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面接より緊張してる 初めての美容室へと向かうあなたは
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やめとこうスマホのゲーム 電車にてとなりは本を読む女学生
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自主的にお手をしている犬に言う 家族全員食べ過ぎはダメ
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おおらかに生きたいと言う 執拗に秋刀魚の小骨除けつつ君は
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両親が出会ったころの曲なのとあなたが歌う欧陽菲菲
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老化ですか病気ですかと聞く母に医師は微笑み「中間ですね」
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送信の勇気出ぬまま 下書きのフォルダでカビの生えてるメール
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」という字きみとまったく書き順が違ってたのを思い出す秋
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