川辺村道
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ただ飄々と

糖衣錠を舐めてるような生活と分かっていても飲み込めなくて
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「赤だよ」とあの子に腕を掴まれた 村に信号出来た日の朝
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ぬいぐるみの猫がウサギの被り物していてぼくを混乱させる
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卒業の記念壁画の剥落に あの子が描いた虹は無傷だ
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飛べぬままこの部屋を去る オリオン座めいた画鋲の跡を残して
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思い切りボケるあなたに光速でツッコメた日のおでんが旨い
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愛犬の逮捕に走る 転がったワインのコルク咥えて逃げた
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監督の喝よりずっと効果あり タイムアウトで君を見つけた
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うっかりと同じ文庫をまた買って微糖のコーヒーなんだか苦い
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「もう少し考えさせて」断わると決めてるきみの優しい演技
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ババ抜きを一度も負けず終えたけど 運は仕事にとっておきたい
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「健康」はやいばの上で回る独楽こま その危うさに気付けなかった
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今週もきみに会えない 残薬が少ないように心細い夜
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秒針と分針ズレているような違和感のまま終わった会議
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今年から歌を詠むきみ「自分だけ違ってるってむしろ素敵だ」
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再来年のチケットが来たミュージカルどんな私が観に行くのやら
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疲れてるのに眠れない 路地を行く人のくしゃみが聞こえる凍夜
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リア充にこだわるなって言うようにカピバラたちは目を細めてる
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ダンス部のショーの名残りか講堂の隅にひとひら黄の紙吹雪
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良い歌があなたに降りてくるというトリートメントの放置時間に
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熱帯に育ったバナナ冷やすなと異動の君があおるバーボン
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仕事では目視点検してるけど見えてなかったあなたの悩み
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とりどりの薬飲む母「ジェネリックさまさまやな」と元気な声で
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適当に運動会をやり過ごし代休こそがイベントだった
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置き配の荷物のように待つわたし きみの心の扉は閉じて
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叱られた遥かな記憶 耳掃除している祖父のそばで暴れて
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公園にひとりしょんぼり立つぼくは氷雨に濡れる日時計みたい
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首かしげスマホを睨む母さんはやっぱり紙のチケットがいい
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反論を飲み込んだ日のスーパーで長ねぎグッと折り曲げている
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手術後の犬の呼吸を感じつつじっと添い寝をしている夜長
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