川辺村道
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ただ飄々と

「ピエンやな」と嘆く母さん 愛用の商品がまた製造中止
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リスク取る覚悟はあるか問うようなウミネコのの険しいひかり
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飼い主にとても似ているキミだからドッグランでは引っ込み思案
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チケットの抽選結果全敗に胃酸が逆流しそうな気分
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履き慣れた靴で靴擦れするように得意料理でまさかの失敗
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あふれ出る涙ですぐに切る電話 実家のチロの死を知らされて
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姉ちゃんの真似になるって迷うきみ まっすぐ進め看護師の道
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店長の「後でいいよ」は「すぐにやれ」僕の忖度センサーが鳴る
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付き合いの長いきみには見せている成分無調整のわたしを
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脳内の基本ソフトのサポートが終わったような時代の流れ
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睦まじい友とあの子の仲を見て 作り笑いに荒れる夕立
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実家から出るとき犬を抱きしめた キミといちばん離れたくない
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「修理より買い替えだろうこの歌は」推敲中にため息で言う
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隠れ家のバーもあなたも過去となり今は角打ち辛口を酌む
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フッと消え意外な場所に現れる君の前世はカイツブリかも
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シャンプーに慣れて余裕の保護犬よシャボン玉ひとつ鼻先を飛ぶ
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「運転は本性出るね」隣から抜群に利くきみのブレーキ
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たましいの充電中と言うきみは猫のお腹に顔を埋める
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投了を決めてる棋士が形だけ攻める手を指す そんなプレゼン
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はじめての落語に挑む夏祭り 弾けてろうあの子が来てる
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初対面でわたしに吠えた犬はいま甘えるようにへそ天をする
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平和ほど脆きものなし弾痕の残る鳥居をくぐる真夏日
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しかたなく母の失踪宣告に踏み切る友と仰ぐポラリス
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能力のごく一部しか使われぬスマホと君はどこか似ている
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一匹のイワシとなって終電の漁火いさりびめいた明かりに向かう
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愛犬の震えにずっと寄り添った 雷鳴遠く去ってゆくまで
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この想いついに伝えず あの人はミストシャワーの中に消えたり
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一首だけあなたが褒めてくれたのは相聞でなくラーメンの歌
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遠吠えの聞こえて犬は飛び起きたオオカミの血が目覚めたように
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助っ人で来たのに邪魔をした私 アイスクリーム奥歯にしみる
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