川辺村道
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ただ飄々と

人混みが嫌いな祖父と一度だけいっしょに行った東京ドーム
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面接より緊張してる 初めての美容室へと向かうあなたは
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やめとこうスマホのゲーム 電車にてとなりは本を読む女学生
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自主的にお手をしている犬に言う 家族全員食べ過ぎはダメ
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おおらかに生きたいと言う 執拗に秋刀魚の小骨除けつつ君は
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両親が出会ったころの曲なのとあなたが歌う欧陽菲菲
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老化ですか病気ですかと聞く母に医師は微笑み「中間ですね」
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送信の勇気出ぬまま 下書きのフォルダでカビの生えてるメール
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」という字きみとまったく書き順が違ってたのを思い出す秋
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あの人とどんな関係ですかって聞けずに帰る霧雨の駅
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乱筆のわたしが書道七段のきみのとなりに寄せ書きをする
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流星が降り注いでる 父さんに跡は継げぬと伝えた夜を
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食材と洗濯物を嗅ぎ終えて満足してるいぬ年のきみ
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チロの墓を撫でる母さん 天国に私が行ったらすぐ駆けて来い
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失敗は俺のせいかよ もやもやと歩く川辺に彼岸花燃ゆ
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休職の君のデスクのペン立てにムーミンが居て ずっと待ってる
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母親の眼差しだった小児科医 十五の僕に「背伸びせんとき」
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引越しがせまって空にしています 冷蔵庫とか恋ごころとか
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吸血をし過ぎた薮蚊 ふらふらと飛んで園児に潰されにけり
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フリスビードッグの大会出ようかと言えばあくびで応えるわんこ
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夜勤へと向かうあなたに力水つけるつもりで麦茶を渡す
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照れながら話す恩師よ 阪神が勝つと今でも甘くなるって
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どんぐりが頭に落ちた子の言えり いま隕石が飛んで来よった
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気の利かぬ子だと言われて育ちけりそれを証明している職場
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犬二匹キスするようなポスターを君と見ている手も繋げずに
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三振で最後の打者になった子の肩を抱いてるチームメイトよ
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君よりも百倍多く散らしてる フランスパンのかけらを卓に
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力なく地面に落ちた雛鳥に駆け寄る犬をダメダメと引く
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女流とは言われないよと姪っ子が生き生きしてる将棋道場
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ふところは平野のように広かった むかし相撲で遊んだ父の
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