川辺村道
0
34
投稿数
170

ただ飄々と

ベタベタと嫌な思い出 手に付いたガムシロならば拭えるものを
23
なぜダメか教えてほしい 自販機に拒絶されてる硬貨はわたし
31
しかたなくビル街を行く祖父の足 踏みたいだろう畑の土を
29
失言の恐怖症って言いながらいっぱいしゃべるあなたに安堵
23
文化祭の舞台でぼくの決めゼリフ飛ばしたあいつ 今は警官
26
短歌部の馴染みの茶房 カレーには超特大のらっきょうが付く
28
会員はわたしひとりのファンクラブきみの幸せ願い続けて
29
ややこしい期待を背負う 併殺になるなら三振してくれよって
24
同郷で同い年じゃん 敬語からタメ口になるスイッチがON
28
悩んでる徴候だろうまた君は窓際に来てメガネ拭いてる
28
手を洗うときに袖口濡らすぼく「アホやな」と言う君が恋しい
34
仕事場を抜けてスタバへ「辛抱」の在庫切れにて補充に向かう
29
相聞歌、叙景、時事詠 広角に打てるあなたの自然な構え
19
コーヒーの粉がほわほわ膨らんで きみの笑顔を咲かせる香り
27
一目惚れしそうに眩しい女子だった一緒にバスの日除け下ろせば
22
冒険に燃えてるみたい 通常の散歩コースを外れゆく犬
29
あんたより力あるでと行商のおうなの担ぐ荷は五十キロ
32
仕事とはバックホームと言う上司 正確無比でも遅いと無意味
18
ポン菓子のできる原理を語るときリケジョの君はぼくの先生
26
しゃぼん玉 風の列車に乗ってゆく 小川を越えてコスモス越えて
27
戦争は過去ではないと言った祖父 砲台跡に船影見つつ
31
研修にきみが来ていた3ヶ月 わたしの胸に続いた白夜
23
ハ長調みたいな声で話すけどこころは変ロ短調の夜
20
スクショとか得意な祖母がどうしても乗り越えられぬ録画の予約
27
目いっぱい回った旅から帰宅して郵便受けにチラシぎゅうぎゅう
25
いつまでも仔犬じゃないと言いたげに抱っこを少し嫌がる素振り
29
つかの間の帰国の友と過ごしてる 番外編のような時間を
21
新しい上司と食べるラーメンの脂っこさに ついてゆけない
31
競泳で不調のふたり 練習を怠けるぼくとやり過ぎるきみ
25
この恋はサンゴ礁なり ひたひたと白化すすんで消滅の危機
18