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牡牛座の双子

ステップをゆるり一段戻る日々 僕があなたの手を引く番だ
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ばあちゃんが遺した愛を受け取って じいちゃんは今日もかわいく生きる
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リラ冷えや弁膜症は母譲り 胸のノックを聴くごとき日々
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ダイソーの絆創膏はすぐ剥がれ 赤く滲んだ傷が治らず
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正解をなぞるだけなら機械でいい 迷った傷から春を咲かせる
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「大人」とは息を整え次の場へ 戦う背中に風を飼うこと
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面接の熱が冷めない指先でレポートの文字を熱く刻んで
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台所のまな板の音。 言えなくて「美味しい」ばかり繰り返してる
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「あら」なんて鏡に向かって言ってみる 心細いなこの若造は
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ネクタイを締めれば僕は主人公 就活という物語を撃て
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おまかせを頼める僕になってやる WEBを閉じる指のちからで
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荷造りを終えてしまえば母さんの「おかわりは?」すら胸に刺さるな
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半袖を出すには早くて 来年の今頃ぼくを呼ぶ地名、何処?
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夢よりもなれるもの日々探してて それでも僕は僕を選ぶよ
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エントリーシートに書けない毎日が いつか僕らを大人にさせる
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夜明けまでスマホの海を漂って 僕の孤独を僕が許した
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不安とは未来を思う証拠だと 夜の余白に一字書き足す
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幸せに季語はないよねストーブと桜とアイス、君の「おいしい」
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隣では別れ話をする男女。泣くなよ男、がんばれ男
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「いかないで」玉置浩二が叫んでる。吾がパフェを食む純喫茶にて
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ついてきた嘘の数だけ林檎の木 僕の庭にはしずかに育つ
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悪いのは僕でいいからこの春を「ごめんね」という鍵で閉めきる
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満開になれば終わってしまうから六分のままで僕を待ってて
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くしゃみごと春を棄てれば隙間から 逃げられぬほど夏が差し込む
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「贅沢な無駄だったね」と笑うとき 僕のポッケの青春が鳴る
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洗剤の量を間違え部屋中がフローラルな僕になってゆく午後
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愛のない単なるオスの事件には同時代者はついてゆけない
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この街は同時に咲きだす梅桜 助六寿司も花見待ちたる
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風の音で目覚めた朝は手を伸ばし毛布のなかに春を連れ込む
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玄関を出るたびひらく花がある「がんばれよ!」 と隣のじいちゃん
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