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牡牛座の双子

講義室 外より早く夕焼けにまみれるんだよ蜘蛛の巣揺らし
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ハンガーのダウンは重くずれ落ちてコーヒーよりもアンバサ下さい
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春の雪が僕のまつ毛に乗っかってこのまま一生溶けなくていい
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カーテンの裾から入る陽だまりに顔が照らされ春で目覚める
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公園のベンチで鳩に囲まれて細胞の隅キュッと縮まる
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クッションをすすすと陽射しに移動させ眠った老猫温ませてみる
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頭上の木緑に染まりゆく歩道初春の出来ごと十指にはいる
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諸事情があれこれあって今言えず来世であって謝罪をします
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心毎一つも言えない今日もまたパラボラアンテナに陽が落ちて
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アラームにぴちぴち頬を叩かれてそれでも眠い春が始まる
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人生で嬉しいこと第三位寒い夜猫がベッドに入る
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たたまない毛布みたいな春休みルイボスティーだけ丁寧に煮る
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メディアでは非人道的兵器という人道的な兵器はあるの
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気がつけば父とおんなじ僕がいる優しい言葉奥歯に詰まって
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なにもかも知っている顔こたつ猫あごを撫でろと首をのばして
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透明な箱に入った僕たちの個々の自由は個々の孤独で
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締めパフェのアイスが少し溶けた頃君のまつ毛が好きだと気づく
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のら猫とアイコンタクトした朝は性善説に一票あげる
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冬コート雪の匂いがまだとれず凍ってた星少し溶けつつ
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西日差し生暖かい六畳間泉鏡花が湿度を上げて
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緑から金色になり今は白 春になったら次は何色
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口中に冬を呼び込むグラタンに春も呼び込む菜の花のあお
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標本のような結晶君の頬ふはりとながれ春の雪落つ
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白箱に収まっている祖母見つめおきゃんな笑顔浮き上がる夜
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夜更けにてカップヌードル食いたくて湯気まで食いぬ寒さ避けつつ
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シャッキリと雪の無音を思わせる切れども切れど玉ねぎの語
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グループを無言にさせた一言が死語かもしれぬ「写メを送るね」
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三角の時間の中でカフェオレとクロワッサン食べ〇に修正
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雪となれ雪は怒りも切なさも恐れもなくて水となり召す
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空見つつ結露の窓を拭きながら真冬日の月惜しむ僕あり
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