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牡牛座の双子

服を着て首輪を付けた散歩犬足をふりふり丸く転がり
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齧りつきドーナツの穴無くしたら冬眠明けの合図としたい
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運河沿いひとひらの雪ろうそくの灯りで照らし幻想夜曲
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遥かなる故郷産の冬苺口に入れたし財布に痛し
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夕陽差し軒のつららは光得て垂れた雫の下には土筆
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昨日今日マステで仮につなぎ止め剥がれぬうちに迎えるあした
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寝転がり床に射し入る陽だまりに手を伸ばしたら春つかまえて
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窓閉めて雪の様子を眺めたら風もないのに寝ぐせが揺れる
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透明なこの像だけが知っているはらわたの無い冬の寒さを
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水色の雨が混じった雪の中雪灯りみて君を想える
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ありふれた地図は見飽きた僕のゆく道は未だに工事中なり
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寝静まりカップ焼きそば一人食う卓に秘密の飛行物体
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大股でゆきゆき雪の坂道を登ればいっきになまら夕焼け
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よく聞けよ良すぎるお前の要領は神から下った恥だ楽しめ
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「ウルトラソウ!」の稲葉さんに脊髄反射で応える「ハイ!」
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すり林檎母の差しだす匙舐めた回数分だけ大人になって
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今どきの名前のように母が言う「おかわりあるよセリナズナ粥」
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新しい手帳で一月覗くたびぼくの二十歳が近づいてくる
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遠山に冬鳥きたる朝明けの窓より望む頂の白
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酒なくてなんで己が人かいなもう逢えないね雪華散るらむ
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ドラゴンになったようだね僕たちは冬を装う街で笑うと
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思い出し笑いをこらえ帰り道リュックに雪の匂いを詰めて
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ありがとうゲイだと告白してくれてぼくは上手に聞けていたかい
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約束が守られなかったその日から手帳の中で降りやまぬ雪
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病院の待ち合い札を栞にしミステリー読む 結末恐し
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靴型の雪が車内に落ちていて誰が乗ったの始発のバスで
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寄せ返す波のごと日々言語化す うたかたはぼくの心の港
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年明けは復帰を兼ねて休まねば故にあしたの講義は寝よう
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白々と染み入るようなカーテンを開けるたびほら、指先に冬
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幾千の瞳が微笑みあっている今宵は一緒に光の中へ
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