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牡牛座の双子

走ろうが飛ぼうが遅刻免れぬベッドでぼくは考える人
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吸い込めば心のうちに音が鳴る海風よりもその音寂し
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らくらくフォン使えないまま旅立ったばあちゃん夢で話しましょうなう
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狭いぼく見たいものしか見ていない瞳にナッツをトッピングして
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連絡帳一番上は君のまま今は誰かの彼女なのにね
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恋心賞味期限があるらしい買い忘れたる君の梅酒を
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チャチャチャっと会話終えたい講義室早送りボタン君には何処に
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靴紐が濡れては解け結ぶとき溢れて光る雪の空気よ
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祖母の呼吸雪花を溶かすほどしずか長い役目を終えて去るのか
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早紀さんを好きと言えずに冬がきた雨が雪へと変わるようだね
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ごめんねと君が残した付箋紙は雪の結晶に乗るほどの文字
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窓枠に取り残さるる羽蟲をもう冬だよと殺せずにいる
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耳に目に降り積もる哀しみたたえ一人で歩き雪になるわれ
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柔らかい雪を払ってくれる母その温もりに「ごめん」と言いたし
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寂しさを積もった雪に放ったら一緒に飲もう甘いミルクティ
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おはようの続きをしよう吐く息の白の密度が高まる朝は
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行き先が未だ分からぬ船を漕ぐ親も友らも乗せたまんまで
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せん妄の祖母は祖母だと思えずに見て見ぬふりの術を覚える
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ショートボブ揺らして話す君の腕気づいていたよ透ける傷あと
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晩秋は雨が降ったりやんだりのように誰かは誰かが好きで
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あの切符机の中にまだあるの誰か教えていつ捨てたらいい
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いつだって希望は俺の手の中に。あるよに見える友がまぶしい
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秋ですね 強風波浪注意報出る街に僕暮らしています
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あなたとのラインを糧に生きてます黒やぎさんと白やぎみたく
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ストーブは微小設定してるのに前に座ると寝癖が揺れる
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秋雨が秋雨でなくなる日いつまばたきの間に季節変わりて
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雨打たれ枯れたアサガオ下を向いてそんな子らにも朝日は優し
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美しく夜明けの街は幕を開け閉演見えぬ朝が始まる
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温かいココアを飲めばとろとろと身体の中に灯火ともる
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爺ちゃんが「これ好きだべや、頑張れよ」と送ってくれる葡萄が好きだ
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