中秋の 名月という ことなんて すっかり忘れ 寝る前気付く
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赤ちゃん脳’s少しの指導でふて腐れマジで疲れる三十男女
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人々はそこがカラオケじゃなくても歌う行為が許されてるのに
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名月が雲の彼方にあるのかと無駄と知りつつ空を見上げる
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コミュ力を育てた五人家族かなケンカもしたがその甲斐もあり
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朝食は パンとコーヒー 掻き込むが ゲリラ和食に 遅刻悟らん
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母さんのようには行かぬオムライスケチャップはもっと煮詰めるらしい
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風呂上がり 腰に手をあて 飲む牛乳 羽音(はね)の風浴び 衣まとわぬ
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風呂上がり濡髪のままあなたの膝へベリーショートの利点の一つ
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マスクなど宇宙の果てまで飛んでいけ空気の味はテイスティングで
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愛されることとはなあに、引き出しに入ってないしまだ習ってない
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リズム乗る 電車の音に 子守唄 母の名残に 遠い夕焼け
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ブランコが揺れた気がした帰り道ふと振り返る静かな公園
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月と夜と海の歪な均衡を 誰が真っ先に破るだろうか
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ベランダの室外機の上が凹んでる!泥棒さんの足型みたい
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仲のいい 幼馴染みに 目もくれず 俺は走った 高嶺の花に
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黒電話包む革製用品のあった世界のその続きの生
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透明度 マウスで調整 していると なかなかキリの 良い数にならん
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(前編) 重複じゅうふくを 重複ちょうふくと言い 誤薬した 彼女の語彙が 少し嬉しい 
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短歌うたの師の「パソコン不調!」に安堵せり。老いらの集ふ歌会なれば
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いいよなお前悩みなんてないだろ 今日の晩飯 厚切りステーキ
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目をあけてくしゃみをしたい 君の笑顔 最後にみせて 花畑
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(中編)実習時 背を叩き我 励ましを くれた指導者 今でも感謝  
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食卓に ひとつ残った から揚げは 残っているのか 残してあるのか
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寝惚けつつ 雨戸開けたら 目が合った ボスにどうして 謎にすみません
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旅路にて出会う人達影に似て脳裏の奥に浮かんで沈む
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日記にも綴れぬ想いためらって窓濡らす雨そっと眺める
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月は満ち桜も満ちて思い満ち悲しい結末つゆほどもなし
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店頭に 夏盆頃より 並べられ 秋色の服 色褪せて見ゆ
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手渡せば米のぬくもり心に灯り 叱られた日の影やわらぐ
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