Utakata
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もういない人の好みの味付けで 私のために作る肉じゃが
43
釣り銭を 正しき額で 差し出せず 我に財布を 開きし老婆
20
葉に残る春の名残りを洗い去り五月の雨は緑を濃くす
18
ぽつとぽつ 草木が「降るぞ」と噂して 私は散歩の
踵
(
きびす
)
をかえす
21
いろいろな憂さを抱えて貼り付けた笑顔の裏の重たい身体
13
気だるさとめまいで自由を奪われて 自由に動ける奇跡に気付く
14
暗幕を閉じてはじまる理科室は星のスライド尾を曳いてゆく
14
雨だから君が頭痛にならないか心配をした 変わる信号
19
公園で曇りのしたで遊んでる義務感じみた家族団らん
11
早朝の植田に映る山影を踏みしめていく
烏
(
からす
)
が一羽
11
父さんの言いたいことが分かるのは私だけよと母さんの声
12
別れ際に彼はどうかと尋ねれば 施設にいると寂しき報せ
10
爽やかな杜の都の新緑を味わい歩けばまもなくライブだ
10
サワガニが横に進んだ道なりを 前に進んで追いかけて行く
18
君の居ぬ間に食べる辛ラーメン ひとり暮らしの風が吹く夜
16
もし藤が雨だとしたらわたくしの一生涯に傘はいらない
9
苗代に雪消の水を流し入れて高嶺に遅き春は
来
(
き
)
ぬらし
12
すくむ足背中を前に押したのは健気につよく咲いた一輪
9
水音の透ける煌めき細やかな窓辺の鳥の歌うさえずり
10
にょきにょきと立派なアスパラ顔を出す 昨秋の施肥のお陰なら嬉し
14
ひたむきに生きた証が散らばった服や文具の配置に宿る
9
祭日は 一人のこぎり 片手持ち 道を塞いだ 竹と格闘
8
似た
形
(
なり
)
のまったく別の雑草として人混みにまじる夕暮れ
10
二人して料理した日朧げに いまはひとりで鍋作り頷く
14
長年の役目をおえて去る
女性
(
ひと
)
の過ぎし苦労は喜びにかわる
21
水張田に鈴振るような音満ちて ああ今さらに、これがカエルだ
20
連休の
何処何処
(
どこどこ
)
行きます報道もスーパ行けば変わらぬ人影
18
二組の万年布団の片方が謝るように畳まれている
28
定年後 特別なき日々 連休も
粛々
(
しゅくしゅく
)
として 丁寧に生く
21
地植えせし盆栽の
木瓜
(
ぼけ
)
に花五輪その紅色の深み増したり
6
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