麦の穂を 自由自在に 遊ばせて 光をうつす 風のマエストロ
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恥ずかしい思い出ばかりが甦る 恥を知らずに生きてきました
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夏祭り 歩き雨降り 濡れ始め 萎える人々 いい気味音頭
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気に入りのクッキー缶に本年の七夕飾りしまい納涼
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夏休み静けさの中出勤す 校庭にははや工事の足場
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風鈴や蛙の合唱舞う蛍この街に無い夏の憧れ
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温い風、肌灼く日差し、蝉時雨 ぼんやり歩く真夏の街路
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五輪祭 地続きで鳴る銃声よ 79年の広島忌かな
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ノートルダム寺院。青年戴冠式に侯はば受け賜らむか 御旨
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祖国なし 埃及出自浅黒き橄欖樹へ暗紅の實はふふらまず
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洗礼名ヨハン・シュトラウス ドナウは昏く靑きゆゑにうつくし
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朝餐ののちは死化粧 鏡臺へ姉妹の十姉妹が嫌に悲しき
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田園交響樂さびて明るしいもうとは家系図譜へと贖 は る
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気がつけば靴も鞄もTシャツも電車柄だね二歳のわが子
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「兵器には自由があってころしてくれるぼくたちの敵に 自由は?」
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志願せる少年兵はためらはず窃盗、強姦、虐殺す けふのことだよ
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万国旗 ゆめのやうなる朝の空へ人は手をさしのべてをりぬ へ
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われわれは優生学の黄昏に未來過去へのプルトンの鐘を負ふ
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苔の生すへ、軍は果てて死ににけり。夏虫の絶ゑしかそけさ
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夏草へうづもれゐたる兵數多。骨晒れて芥子色の帽垂は
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泥濘の河亙りみな殺められし。ひとつぶの石骨壺へ収め
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アニメーション・アイコンへ公民の意志。民ゆくへ争ふ 国家 の
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偶像 暁の車へはきたらず山鳩のこゑながながし、闇
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鳩殺し ダリアの花蘂のダイアルを回し呼鈴ひびかふ夜警国家へ
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更でも属国 独立運動家はげしきののしりす生卵割れて
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油絵のような大雲黄金色 夏の夕暮れただ息を呑む
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われあやめたるもの数多千万の軍民草の骨編みて建つ塔
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硝子戸一枚へだて漏れきこゆ工兵のこゑ 大伯父よ去ね
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日灼けせる空地の壁へ病みしまま囲はる弟切草のおとうと
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英靈碑肩欠けて零る菊の蘂 かくごとくひと殺むるは雄
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