風耐えど 枯れて散りゆく ものならば 若葉のままに 散りてしまわん
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見慣れない 寝癖つけ走りくる吾子の 涙の跡を見ぬふりし抱く
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だいじょうぶ子どもは育つ歩き出す母の手なんか見向きもしない (元不登校児の母)
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最大の 肯定なのだ まなざしは 目合うと笑う 吾子見て思う
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膝で寝て 口チュパチュパしニヤリ笑う  夢でも君の 母ちゃんでいたい 
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月見し夜 漱石を借り 「月きれい」 君は我見て 『百倍綺麗』
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『愛してる』 それだけでいい それなのに あなたの目には 私はいない
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背負うもの 背負わされるもの 深海に 沈められたら 泡となるかな
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靴下を左右揃えて干すうちに 飲み頃すぎてゆく一杯(ひとつ)あり
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明日こそ 七時に起きる そう告げて 翌朝十時 発狂す
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「生きてたら儲けもんだよそれだけで」心配性の母が笑った
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卓上を 彩る真紅の ポインセチア  ひとひら葉落つ 感じる命
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日々追われ中途半端な子育てもははの愛にて子等健やかに
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帰り道 友と古着屋 来てみれば 安値だけが 目につく私
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聳え立つ 頂上出づる 日の出背に 鷹の麓に ナスの煮浸し
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記念日に 親孝行にと 花束を くれたいろいろ 少しは返せた?  
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山深き 気の遠くなる 静けさに ヤッホと呟く 音は吸はれて
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一晩を 身を寄せあって 隙間なく 埋めつくしても 孤独な息吹
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あくび呑む授業じゃ見えるそのへんをうろついている時の神様
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言葉とは土地にて育つものなのか「寒い」以外の言葉知りたい
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寒風に負けるもんかと下向きの椿の花が一輪二輪
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すごく好き、そのままでいて、なんて贅沢言えないから
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ランドセルの 背中で隠す 寄り道は  作戦会議になる午後三時
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温かな布団のなかで丸くなり私のことを少しわかった
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眠れずに記憶の海を漂ってこの人生もわるくはないと
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傘立てに残された傘色褪せて帰る場所なら既に忘れた
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憂きことはあれど仕舞いてデイケアで体動かし心弾ませ
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おさなごに わかってるってば! 言い返し わかってない親 日本代表
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一筋の祈りみたいな名前やね「のぞみ」私は東京へ発つ
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直下型宙舞う記憶脳裏には夜具しがみつき成すすべもなく/阪神・淡路大震災
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