寝静まる 世界の端に 満つ欺瞞 僕だけの夜 僕だけの街
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街並みのサルスベリのあか 見守りを終へ残暑と共に散る 秋へ
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ヘルメット下から麦わら帽のつば 交通整理の暑さ対策
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後悔も知らないように君はゆく身軽になって苦痛も知らず
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去る君の残る余白に愛込めて待ってるからねいつでもおいで
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まな板の上に採れたてカボチャ待つ夫の出番半切り作業
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水色の風の涼しや朝顔の有終の美の花びらゆれる
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腑と止みぬ虫の声 夜風に紛れ あらそふ雄猫の叫び声
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降らさうか 迷ひあぐねし雨雲のため息なのか 秋の涼風
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突然に赤と白とが並び咲く彼岸の時をしばし遅れて
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カップルが 闊歩する街で ただひとり トートバッグと 腕組むわたし
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長月の末 見送りぬ弓張月 風に揺らるる あかき彼岸花
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晴れた朝クリアに見える稜線のほんのり赤み頬紅みたい
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運動会 練習隠れて見しママの気持ち分かりて親子にエール
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逸品のカツ定食に異変あり 古古古古米にため息の秋
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初期歌集あやうさに魅かれ読み進め後書きで知る月日にクラクラ
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寝室に秋の夜風を呼び込みて 鈴虫の子守唄ララバイに目を綴づ
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玉肌のしろのうろこのさむざむと触れ得ざる身に雨の降るなり
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寝覚めさす 朝ぼらけの雨の悲鳴 出したままのサンダル 雨晒あまざら
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眠れない起きてしまおか粘ろうかどっちが良いのか未だわからん
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神無月朔日つひたちを 迎へる筈の秋虫の唄 雨天で中止
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さればとて あすは明日の かぜ吹かん 思う心に 今を楽しむ
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肌寒し秋風残し 雨雲は去り 寝静まる夜 瞬く星
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テーブルの下に射し込む朝の陽が 炬燵の様に足元温ぬくめて
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雨後の通勤路の肌寒し朝を 柔く暖め直す秋晴れ
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いたずらに吾子が鞄に忍ばせた丸い積み木が今日のお守り
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優しさは時に凶器になり得るの 「大丈夫?」の声 無理矢理うなずく
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素敵だね 電車で座らぬ 老人に 席譲りたい 小学生
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浴室のシールには誤字『研剤』弘法にも筆の誤りかな/正しくは研磨剤
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わたしたち大人になってもまたここでカゲプロ縛りのカラオケしようね
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