夏日来て 湿原染むる山吹の ニッコウキスゲ風に揺れをり 
19
くたくたのTシャツの裾で汗を拭く信号待ちする少年のヘソ
13
下風になごりの露は玉と散る木陰涼しき夕立のあと
13
雷鳴は荒々しくも束の間に去りて残るは蝉の鳴く音
17
利根川の 土手初めての そり遊び 子らの転げて 枯れ芝の舞う
12
水平線切り裂くように風を受けミズナギドリは鳥山となり
10
音だけが夏の夜空にこだまする近くて遠い花火大会
10
明月や団扇うちわ片手に手酌酒あられ豆腐にたこのぶつ切り
20
「飲み過ぎない!」年に一度のバーベキュー 「明日の私もおんなじ私!」/二日酔いは辛い
9
ひたむきに生きるあなたにとおり雨 濡れたまんまでいさせないから
14
効きすぎた冷房に裸足晒しおり大部屋にたった1人と1冊
9
嫌々に出掛けた散歩雨が降りこれ幸いと千歩で帰る
13
パンナコッタ ラム酒はないよ あったのは  期限が切れた バニラエッセンス
7
道端にあの世の入り口開けている蝉の死骸の空っぽの腹
11
澄ます身にそそぐ蒼さとなつのこえ うなじの風をみおくるおとめ
19
ブルーベリー朝の暑さでもたれ合う「甘い実になろう」ささやきあって
28
髪染める妻の手うれし ふた月に一度のスキンシップとなりぬ
16
数カ月ぶり耳元にキミの声すぐに馴染んでやっぱり甘い/電話
13
ラジオ体操 今夏こんかも来たよ 中学生 若さが加わり 活気増しゆく
9
愛国と云はでおのづと慕はるる国を願ふと墓の下より
6
誰からもヒントを得ずにナカムラは冷やし中華を作ってしまった
9
紫陽花あじさいの 咲きし小路こみちでペダル止め あの紫をまた振り返る
12
車からペットボトルを投げ捨てた不逞の輩は見知った顔なり
6
ジャガビーを欲すも値段にとまどいてここも選ぶはジェネリック品
11
刀なき 現代生きる 若き者 心で研ぎし 生の刃を
5
カラスとの闘い今日はネットより案山子かかしを立てて風情愉しむ
5
キンキンに 冷えた部屋に 飛び込んだ 祭囃子に 花火の音
5
冷蔵庫 開ける回数 増えてきた 麦茶入れては また飲み干して
5
うすれゆく記憶のなかで吾の名は忘れず友は逝きぬと知りて
7
眠れぬ夜は詩を考へよと言ひし母 今宵眠れず母を思へり
6