うたごころはや死にしかば現實の實ももたざるはなごろもかな
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親指の深爪しくしく痛む先かすかに感じる冬の後先
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どんぐりを蹴ればカラカラ転がって笑って歩く小道は秋へ
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さばさばさばこきくれなゐのはねごろもたててふるなむしらかみのゆき
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納豆が糸引き合って寄り添って 私もこの地でそうして生きてく
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落葉に紛れた蝉の抜け殻は夏の思い出と共に砕けて
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正気ではやってられない世の中に なじめる狂気 身につけて冬
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禁慾の庭園ならで忌憚の百花白百合の髄蘂ゆこぼるる音せし
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常識こそうたがはるるまへひとは鳥なりし うたがはば飛べざらむ
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異国の字 刻まれし瓶は この浜で 安息を知り航海を終え
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追い詰めて追い詰められて優しさを壊したくなる皿を割るよに
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この歳になって気づいた夜の帰路 母の夕飯幸せの味
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ふつうなら とっくに憎まれてるはずの 前世がたぶん猫だった人
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土の中 空夢見ては なけずいる ヒトヨノユメに 空知らぬ雨
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また恋をしてエレジーにする作詞家になっていた北国で泣く
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年忘れ私の中のザワザワをステンレスの鍋で煮てみる
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縁の下で目立たぬ場所で支えても 誰も気づかぬ我の汗には
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あどけない寝顔を直ぐに起こしたい 聖夜零時にプレゼント置く
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年の瀬に独り呟くありがとう心ある人言の葉優し
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「バイオリンではなくビオラみたいだね」言われてみたい句を歌を詠む
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風邪引きも動き出したる月曜日のど潤せと寒の雨降る
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たれが歴史をくりかへすのか その文書の一ページ目は からはじまつてゐる 、
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ルビの雪 、が 降ります、と、雨、に潰ゆ、 る、 いのち が、ほら 、ほら、と 、
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                               | 、
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ころされたいのちをかへせいまのいまもころされてゆくいのちをかへせ
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湯の宿でスマホ遊びをする寒さまだ秋なのに眠れないだけ
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人の顔? 猫の顔にも 見えてくる 寒さに耐える パンジーの花
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手の平で溶けて消えてく牡丹雪 生まれて直ぐに逝ったごと
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目標を見失いかけてもう泣こうかな思うより句を歌を詠む
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嫌なこと忘れる努力するよりもまた初恋をしまくる若さ
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