水槽のガラス越しには想いビト 煮ても焼いても食えぬがコイよ
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ボツにした歌詞が好きだと口ずさむ君がいまだに完成しない
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時計だけ動き続けるこの机 積もる灰色に書く名前は
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生きるうちほんのわずかな幸せをちびちび舐めてまた生き延びて
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悲しみも 怒りも全部 ミキサーに めて一気に 飲み干せるなら
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あなたから貰った物のいちばんはこの傷ですよ。失くせないから
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「今あなた安全な場所に居ますか」と呼び掛けるラジオぐっと近づく/昨夜の長野県地震にて
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アパートの正面に立つ老木も震えるように開花してゆく
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満開の 躑躅つつじにカメラ 構えたら 一緒に写る 舞ってきた蝶
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古き良き 時代に在りし 両親と 祖父母そろって 囲む食卓
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雨に濡れ一つ二つと落ちる花 庭はもうすぐピンクの絨毯じゅうたん
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「あのころ」とませてくれるな 学ランのしわおもいたるつきすえ
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春風が誰かの匂いを運ぶからもう全部捨ててしまおうかな
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ここよりも遠いところに行きたくて揺られる波に爪先入れた
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青光の中たゆたう赤海月 血は赤く 耳鳴と潮の音
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初めてのレイトショーは貸切で やっと握ったエンドロールの手
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小綺麗な砂のお城が攫われる バイバイと言う子供らしさも
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人間を辞めてみたいと思います他になりたいものも無いけど
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近ごろは見かけなくなるネジバナの螺旋はちっちゃい蘭が咲いてる
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不規則に動く ロボット掃除機に乗って くるくる回転す猫
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道ばたのまったり姿の昼寝猫いつまで見れる猫飼わぬ身も/外猫減
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シャッターを 切る直前に あおられて ブレる雛罌粟ひなげし 風のいたずら
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爪先の冷えるリビング 雨の午後 ホットココアの沁みる温もり
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スカートがたなびく旗に見えたから あなたを目指してやって来ました
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リュック負いカート引きつつ帰る身を初とんぼゆらり前を横切る
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雨雲を押し退けていく 暖かな強い夜風は 月をいざな
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不確かな記憶の中の 懐かしき匂ひを辿たどる 母の香水
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初夏ならばこのくらいだとまたひとつ毛布の厚さを薄くしてみる
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雨上がり 川の両岸一面に 活き活きと咲く 野の花愛らし
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ぶれの無いまぁるい姿が嬉しくてしばしながめる薄雲うすぐもの月
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