雪にこそ映えて冬柿しっとりと禍々まがまがしくも見える今年は/熊
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持参したお茶もう軽し冬晴れて乾く乾くさらにひとくち
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寒空に 鳥が川面で 凛と立つ 横目で見つつ 気合いを入れる
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地球ほし照らす 今宵の月は 格別で この満月は 二度と観れずや
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この手から零れ落ちゆく砂時計一体何を空っぽにした
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昭和感漂うゲーセン閉店の貼り紙もっと寄ればよかった
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小春日に 黄色の花と 丸い檸檬 浮世離れの 時間切り取る
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一枚の落葉も歩道に見えなくて裸木はだかぎで立つハナミズキの木
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川を掘り緑芽吹かす信の星 砂漠照らせり銀河の光り / 故中村哲氏七回忌
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不揃いの里芋なれど届けたし母看る友へ干し柿添へて
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まだ尻尾踏んだことすら気がついていないみたいだ逃げなきゃはやく
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寒き夜はふところホッコリ猫が欲しココニャンに負けぬ賢いニャン子
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静寂が 仕事の疲れ 癒やす時 空には星が 光り始める
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死なないで 生きてよなんて 言えるその きみの鈍さに 殺されてるよ
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右耳に 溜まった涙に 浮かぶのは 怒った顔の 幼い私
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#いいねで微笑み@きみ ポイントネモでデートでもしよ
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電話とかかかってくんなと通知欄睨み続けて2コールで出る
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あの百合の花を抱えて相次いだ馬鹿になったクッキークリーム
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十二月 あたしがあなた想う時 温かい風吹けばいいのに
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孤独こそ己を守る避難場所 長老の説く平易な言の葉
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明けやらぬくりやに白き湯気の立つカップ二杯の珈琲を淹れる
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着ぶくれて厚み増す分低くなる冬の枕にタオル一枚
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高校時 乙女の会なる 発足し 50代今 続く幸せ
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丙午ひのえうま 年が明ければ 年女 避けられた年 それでも生まれ
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紙やすりで 研がれるような 寂しさに みぞれざらざら 降り注ぐ音
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木枯しに吹かれ まばらな 紅葉こうようのトンネルの真上は 冬のはれ
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陽光の満ちた明るい通りまで冷たい日陰のこの道がある
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僕がただ飾っているパロディーの元ネタを殺したのも僕
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ニイタカヤマノボレといふ暗号が真珠湾へと血潮たぎらす
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津波への注意解除とラジオ朝警報聴きつつ眠りに落ちて
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