遠き地の彩を束ねて うたかたの文字が織りなす桜並木よ
2
どっぷりと水平線を焦がしては「また明日ね」と夕暮れなずむ
18
木塀よりのぞく柿ありさながらに昭和の磯野いその邸よと興じ
4
夜歩く知らない街は喧騒に膜がかかりて限りが見えず
5
父と子がカイト飛ばして声を張る冷えた強風つよかぜこれも良きかな
4
ワンタタン ワンタンタタタ タタタタン ワンタタタタン ワンワンワンタ
1
陽の名残なごり集めて重き鈴なりの蜜柑は照らす冬の庭先
10
自分との約束の木は知らぬ間にたくさんの実を結んだのです
4
万が一品質に不都合があり春が来ないとなったら叫べ
7
眩しさで見逃していた目の前の開かれた扉を影で知る
6
健やかな重みありてかひしひしと空にひつぱられて梅咲けり
5
それなのに過ぎた日にある溜息は真面目であるほどに滑稽だ
6
姿勢よくかたく変わらずそこにいる家族とは鉄だ柱だ
6
こっそりと隙間に開く蒲公英よお前いったいどこから来たの
8
知らぬ間に辺り一切桃色に霞み崩れるはずだ愉快だ
4
みしみしと成長痛の音がする若き桜の伸びていく様
5
春雨に負ける桜は見たくない試合は始まったばかりだろ
9
憂鬱を飛ばしたい風強く吹く忘れたい忘れたいと叫ぶ
5
気がかりが耐え難くあるこの世でも光は不足なく流れ込む
5
贅沢な時間を過ごし来たものだ2020を超えての我等
7
厚切りの休日加減よく焦がし少し溶かした甘えを乗せる
7
「いい加減」季節のお湯をゆっくりと身体慣らしに背中に流す
6
ラジオから流れる天気予報「雨」修行出るなら今しかないか
6
秒で寝る昼の休みの隙間には軽量のハンモックが掛かる
5
吹けば飛ぶような綿毛のココロでも次の世代の種守りたい
8
カーテンを閉じてエアコン除湿にし雷雨届かぬ箱作る午後
7
鉾が建ち静か祭りの技を継ぐ人の祈りに曳かれ吹く風
7
今欲しい答えはこれやあれじゃなくその中間にあるものなんだ
13
容赦ない追い駆けっこのルールにはタッチ交代おしまいが無い
12
剥き出しの言葉は無くて果たされた義務深き沈黙の凄みよ
11