壊された壁が残っているように立ち尽くすしか術のない場所
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切りすぎた前髪おさえ笑ってる君に吹く春白シャツなびく
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謝るよ、顔は好みじゃないけれど、君がいないと満たされないんだ
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静寂が僕を酔わせて夕暮れの雨の雫にロマン感じる
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見ない間の心配よそに灰猫の何ら変わらぬ日向ぼこかな
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紅を指すの横顔に白妙の綿帽子見る春のまぼろし
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隣屋根に残った雪と春霖と福寿草だけ光あつめる
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菩提寺の桜今年も咲き初むる巡る季節と流るる時と
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しなやかな猫の如くに駆けだせば雪解けの泥青春に散る
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食い付いた 干物どろぼう 執念で 宙吊りになり しがみつく猫
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帰り際 角曲がるまで 見送って 手を振る父に 祖母のおもかげ
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本当に美しい日はおそらくは忘れてしまう程穏やかで
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昔ここ何だったっけ建物が解体された跡地の前で
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咲ききればられる定め古桜ふるざくら何も言わずにただ咲き誇り
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薄衣が春風漉してサラサラと音を立てたる朝焼けの辻
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ほろ酔いで星を見上げてゆく道の頬にやんわり落ちる春雪
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冴返る春に負けじと 花びらは がくとどまる 散らぬようにと
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桜木の並木に降るる花吹雪古い団地を淡く抱いて
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バス停の桜花は誇り高き顔 いつかお前もみなに踏まれる
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消えた子を見つけられずにはや一年 探してないのは仏壇の中
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古き良き馴染みの店も 継ぐ者もなく 畳みゆく 惜別の春
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泣いている 空の涙を 受け容れる如く 散らずに耐える 桜は
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人間にならない代わりに僕はまだ割れた卵とメソメソしてる
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恋人と呼ぶには低すぎる湿度 それでも僕ら、繋がれている
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足を止め空を仰いで掛けているマスクをずらす桜木の下
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暮れなずむ空を仰いで 流れゆく雲に 三十一文字みそひともじを浮かべて
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読み終えた本とスピンを戻す癖 あなたが置いていったものたち
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幸せは 手に有る時は 気付かずに 手からこぼれて 有り難さ知る
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いつまでも小学校の夢を見る 僕の心はいまでもそこに
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ユリ持ちて 月命日に 逢ひに来た 妻の墓石に 花吹雪舞ふ
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