きみだから一秒すらも愛おしい 春夏秋冬の恋 ああもう七時
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繋ぐ手を 失い探す闇のなか 立ち尽くしては 無可思に逝きる 
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青黛の空に煌めく冬星座二人歩きし夜道忘れじ
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ひとりだと 墓も建てれぬと 聞かされ 母の遺骨をいだき 戸惑とまど
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真冬日に降る粉雪の冷たさは誰もが知りて人影もなく
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職求め茅野の駅頭降り立ちて 歩荷ぼっか薪わり 赤岳を仰ぐ
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目の前の うずくまる人に 我慢 説く 立派な理屈が 私を冷やす
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仕事場の 窓から聴こえる 清志郎 あわせて鼻歌 うたう休憩
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カチコチのこころの可動域狭し 広げにゆこう短歌の森へ
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雪中花(水仙) ほころぶ睦月 流れゆく 春まだ遠き 季節と心
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諦めと度胸が身につく四十前しじゅうまえビビり散らかす明日も見えるが
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冬ざれの野道を行かば一斉に鳥飛び立ちて梢に集く
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かつて来し 森の温室 夜は冷えて 君の名付けし 星灯草せいびそう 咲く
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戦争のできる国にはしたくない婆の繰り言願うは平和
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競走馬スパート掛ける可動域グイッとひと伸び勝利を掴み
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青い春 頬杖ついた 君を見て  シャツのぼたんに なりたいと思う 
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金色の銀河が爛爛子猫の目 はじめましての小雪がほろろ
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地吹雪の車内でかける音楽は敢えての夏曲脳をバグらせ
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「死」より先、貴方の名前先に出る「死にたい」なんて打てなくなった
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ラブソングみたいな空だ冬風に星瞬いて輝く空は
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数人で 会話するとき 全員に 等しく目合わす そんな人、好き
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氷点下6度の夜を越えた朝 カップを取った指から解けそう
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悪かった、悪かったって終電でくまを抱えたひとが寝言を
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プラマイがゼロになるよう神様が 与えてくれた私の余生
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冬越せぬ 花のむくろを 土に埋め 来春にまた 逢はむと願う
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心地良く 寒い空気と 温かい 吐く息眺め けふは良きかな
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前に海 背に山控え 串本の 昼はとんびに 夜は鹿の音
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食べ切れぬ ぽんかん貰い 有り難く  次に何をか じいさまの為
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老梅の萎えし枝にも雪積もり 冴え冴えと立ち大寒迎ふ
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雪にさす 朝陽あさひの色は 生成り色 忘却の彼方かなた 竹を編む人
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