雪道に張り付く紅葉ぱらぱらと秋のパズルが外れるように
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巻きつくも枯れてゆくのも意のままにきっとならずに生きたアサガオ
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息をして一万八千日生きた誰にも言わぬ寂しさにいる
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わはははと漫画のように笑ってる座椅子の義父の在りし日想う
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テレビつけカボチャの種を煎っている冬の時間は夏より長い
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茶だんすの奥に未封の赤ワイン今夜飲もうか一人飲もうか
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スーパーは隣町まで行ってます会ってもどうせ目をそらすんで
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久々に目覚まし鳴るまで寝た時はなんだかふわふわ調子が悪い
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枝豆を夏の名残りと固茹でて青い景色を口に広げる
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お誘いを断る理由思いつつ鍋の卵は半熟となり
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入店時 手指消毒をする人もせぬ人もいて秋刀魚は旨し
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山深き斎岩群ゆついはむら丹躑躅につつじ迦具土かぐつちの血のたばしれるかも
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水銀のような雨降るこの街で抱きしめた子が今に飛び立つ
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知り合いを友達と呼ぶ同僚を嫌いと思う 窓の外雪
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純朴も過ぎると心配してた子の眉はいつしか整えられて
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私よりコロナの都合重んじて会いたき人に会えぬ秋雨
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透明に下がるつららを見つめつつ細くなりゆく自分をおもう
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バイバイと手を振ったあとドア越しの 発車する前長い一瞬
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言の刃で 刺しかけてやめ 絵はがきとペンを選んで 刃を葉に変える
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桜塗り「もっとピンクに」正されて図画工作をきらいになった
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無印の店員さんと思われるのを防ぐため小脇にバナナ
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毎年のことなのに忘れてしまう早めのアレジオンが吉だと
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「未返却図書があります」身にないな 返した覚えもなくした覚えも
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知り合いに 知られたくないのになぜか 見知らぬ人には見てほしい 歌
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思い出に浸るでもなくただ単にものが多くて包み終わらん
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明日にはもうここじゃないそこにいてごみの出しかた調べたりする
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知らん部屋、知らんスーパー、知らん味噌、4日もすれば慣れると思う
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ドアの隙間から明かりが漏れ入る 他のだれかももう起きている
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会おうねと言えば言うほど遠ざかるような気がして口をつぐんだ
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「おはよう」と 昨日もあった君の声 明日もあると 思える幸せ
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