丑三つはあえかな道の開くときすっと心が抜け落ちるとき
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毎日を壁面ミラーを見て過し飽きることなき病衣の十日
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赤々と眼前に今道はあり茂吉の歌が轟然と射つ
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じんわりと 民生が歌う トリビュート 私は今日まで生きてみました
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世の中はいろんなことがおきてると眺め回してたたむ新聞
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リビングで話す時間が隠し味少し強めの塩味も好き
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朝食にゆで卵2個食べ続け最近ちょっと調子が良いわ
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テーブルにこぼれた蜜を指で拭く かりんとう焼くよな午後が好き
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きみが言う「さみしいじゃん」は青空に画鋲をひとつ刺すような音
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杖をつく爺ちゃん追い越す背中あり子供は風を連れて走るよ
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砕けちゃった僕の心がでもいいんだこぼれて君の星空になる
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「連れてくよ」あの非常口の緑へと僕があなたの光になる日
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覗かれるリンパの流れも心臓も 夫にも亡父母にもヒ・ミ・ツを持ちし
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ひとり寝の 眠れぬ夜の さびしさに 冷たさだけが 纏い付きけり
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寒き夜 眠れぬままに 日をまたぎ 独りを憂ひ 来る朝憂ふ
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耐え難き 寒さの中の 眠れぬ せめての癒し 暖房ピッ
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「ごめんね」と息子が謝るそのあとの空の青さに名前をつけたい
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眼に深し緑の野辺のやはらかき草のしとねに心遊びぬ
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情勢の不穏を他所よそに日常は海を跨いで今日を終わりぬ
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悄然とこうべを垂れて月光にたるるままにときは過ぎゆく
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縁という摩訶不可思議に想い馳せ横目で見やる雲間の明かり
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ばけばけの魔王とマグロ株に沸き民の痛みの影は地を這う
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一睡も 叶わぬままに 朝迎え 今日一日の 生きかたに惑う/眠くはあるけど
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心より体の方が正直だ悲鳴をあげた肋間神経
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本年の仕事始めはお弁当ポテトでできた星3つです
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お弁当箱に詰める係やります、あなたは洗う係をどうぞ
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ン十年巡って過ぎたあれこれを宿して開く今生の花
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雪の花 舞いこぼれゆき 年明けて 垣根に灯る 南天の真っ赤まっか
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こんな夜はもうないはずの傷あとがちりちりちりと痛む気がして
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家族五人 笑いまくった正月を 静かに閉じて 進む日常
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