猛と暑が掛け合う日々を生きており大袈裟な息、我にさせたり
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花までも星に匂えり我に降る震えて眺む天の川かな
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ぎゅうぎゅうの引き出し開けて哀しみを捨てよ無言の声が聴こえる
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咲く花火横から見るか下からか夏は気にせず過ぎ去りますよ
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目の前を日焼けした子が駆けてゆく慌てなくても夏はあるわよ
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おみやげを見ると死ねない わたしの死後の親しき人をおもいみるから
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真夜中に舐められるためのドロドロだったの苺ジャムの正体
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人力車 発明したの日本ですと知った時の納得感よ
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金髪が風にたゆたう今ぼくは秋のはじめの一つと数ふ
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冴えた月見つつ風ごと吸い取りて心に浮かぶ月を眺むる
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床に落つ白髪一本つまみ上げ抱きしめましょう我の人生
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惜しむよに水色の雨落ちてきて僕らの肩にピリオドをうつ
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サヨナラの代わりに一筋光るのち、海の向こうへ夕陽が還る
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遠き日は船で行き来の島なれど橋のかかりてスイスイと行く
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小鳥のさえずり目覚めて今日も1日元気に頑張ろう!
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行くことは叶わぬけれど山車だしが出る長月二日今夜宵宮
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葛の葉が石垣おおう坂道にけたたまし声ツクツクボウシ
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ゆく夏のゆうべに浮かぶ茜雲 夏ってなんだか幻みたい
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何となく太くなりしかコガネグモ庭に居続けひと月が過ぐ
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大合唱 玄関開ければコオロギが 秋も近しか猛暑日の夜
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春先に 実桜募みざくらつのる かかるかせ 友の首輪で お手のおかわり
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君の頬真夜中想い手を伸ばす一瞬月に触れた気がして
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孫たちの祭りの土産ういろうを みたまに供えお下がりを食む
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見えるけど無いかもしれない星を見て君と語った秋が目の前
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切実な祈り明日が来ないでと 青色光に慰め求め
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義父植へし老木なりたるイチジクの小さき実集めジャムにする朝
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チチチチチ 朝一番の台所 何処にいるのか ここにも秋が
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朝イチの美しき声はキミだった! ひょいと現る小さなコオロギ
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人間は考えるあしの意味知らず 調べつ歩く葦の水辺を
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今一度名月見たし黎明に雨戸開ければ雲に虫の音
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