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風切りの音が路上を
浚
(
さら
)
ってく夜の始まり冬の始まり
42
朝ぼらけ瀬々の
網代木
(
あじろぎ
)
現れて霧より
下
(
くだ
)
る宇治の柴舟
16
誰よりも早くコタツにもぐりこみ寝息をたてる猫をなでたり
21
漆黒の 丘の稜線 なぞりつつ 月の輪の凛と 今現れぬ
27
深夜の食事 危険だね 取り憑かれたように なんでも食べてしまう
5
死ぬなんてそんな怖いこと言わないで、百年後まで徹夜しようよ
10
青色に ラッピングした 恋という 砂糖菓子の溶け 雲の
掌
(
てのひら
)
25
音楽の底であなたが手を引いてわたしは二人称に溶けゆく
9
秋空は 淡く哀れに 泡の
様
(
よ
)
な 今亡き夏の 君の半袖
10
暁の寝覚めに鐘の音冴えて露は霜にや置き替はるらむ
15
風の中まだ君がいる気がしてる道の向こうの堤防の下
18
呼ばれたと何故か思えるこの町に光る水面に僕は映らず
14
スープジュリエンヌ 皿に満たして 軽やかに 銀のスプーンの 泳ぐ午後の
陽
(
ひ
)
【千切り野菜スープの事です】
20
ねえ僕も野球のルール知らなくて この世は少し息苦しくて
12
久々に会えば思っていたよりも少し痩せてる父のかんばせ
43
山並みが白く霞んで消えてゆく黒い砂漠を車は走る
11
イエスマン 無駄な会議を ダラダラと 意味ない討論 手を動かせ
10
エアコンの音が聞こえる 心臓に包丁を突きつけられた夜
7
あれこれと日帰り旅行の計画を立てる日向でお茶を飲みつつ
7
冬眠をわたしの胸にあく穴でさせたい迷子の野兎を抱く
11
街路樹はいくつもあかりを吊り下げてひそかに星を養殖してる
18
親も子も 毒も薬も 喰らいつつ お腹くだして うたかた処方
43
朝の度植物たちに霧を吹くこれも一つの祈りの形
55
通行人Aにも帰る場所がある
皆足速
(
みな あしばや
)
な初冬のビル街
30
風に舞う 白き六花の 粒滲む 手弱女のごとき 君が睫毛に
22
祭
(
まつり
)
果てて人影絶えた広場から梯子でピエロ星へと帰る
16
塒から発つ白鳥を追う旅立ちぬ祖母送る日もみた景色かな/三回忌
27
息子のとこ 行くはずだった しょうがない 今日はおうちで いい子にしてる
19
彼
(
か
)
の
岸
(
きし
)
のふたおやの声おもはする こはるひよりのやはらかな朝
24
オリーブの
深緑色
(
ふかみどりいろ
)
空き瓶に薔薇生けてみて勤労感謝
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