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壊された壁が残っているように立ち尽くすしか術のない場所
23
切りすぎた前髪おさえ笑ってる君に吹く春白シャツなびく
26
謝るよ、顔は好みじゃないけれど、君がいないと満たされないんだ
5
静寂が僕を酔わせて夕暮れの雨の雫にロマン感じる
8
見ない間の心配よそに灰猫の何ら変わらぬ日向ぼこかな
22
紅を指す
娘
(
こ
)
の横顔に白妙の綿帽子見る春のまぼろし
39
隣屋根に残った雪と春霖と福寿草だけ光あつめる
27
菩提寺の桜今年も咲き初むる巡る季節と流るる時と
45
しなやかな猫の如くに駆けだせば雪解けの泥青春に散る
20
食い付いた 干物どろぼう 執念で 宙吊りになり しがみつく猫
24
帰り際 角曲がるまで 見送って 手を振る父に 祖母の
俤
(
おもかげ
)
22
本当に美しい日はおそらくは忘れてしまう程穏やかで
48
昔ここ何だったっけ建物が解体された跡地の前で
31
咲ききれば
伐
(
き
)
られる定め
古桜
(
ふるざくら
)
何も言わずにただ咲き誇り
41
薄衣が春風漉してサラサラと音を立てたる朝焼けの辻
8
ほろ酔いで星を見上げてゆく道の頬にやんわり落ちる春雪
28
冴返る春に負けじと 花びらは
萼
(
がく
)
に
留
(
とど
)
まる 散らぬようにと
22
桜木の並木に降るる花吹雪古い団地を淡く抱いて
38
バス停の桜花は誇り高き顔 いつかお前もみなに踏まれる
5
消えた子を見つけられずにはや一年 探してないのは仏壇の中
5
古き良き馴染みの店も 継ぐ者もなく 畳みゆく 惜別の春
21
泣いている 空の涙を 受け容れる如く 散らずに耐える 桜は
23
人間にならない代わりに僕はまだ割れた卵とメソメソしてる
6
恋人と呼ぶには低すぎる湿度 それでも僕ら、繋がれている
9
足を止め空を仰いで掛けているマスクをずらす桜木の下
22
暮れ
泥
(
なず
)
む空を仰いで 流れゆく雲に
三十一文字
(
みそひともじ
)
を浮かべて
14
読み終えた本とスピンを戻す癖 あなたが置いていったものたち
5
幸せは 手に有る時は 気付かずに 手からこぼれて 有り難さ知る
22
いつまでも小学校の夢を見る 僕の心はいまでもそこに
7
ユリ持ちて 月命日に 逢ひに来た 妻の墓石に 花吹雪舞ふ
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