ガラス越し淡く舞い散ることもなく 変わらぬ私 置いてゆく秋
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オフィスには ポインセチアの 鉢植えが 光を浴びて 赤く輝き
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ふかし芋もはや多くは口にせずなお父へ湯気届けたくあり
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勘当を失言と言ひ繕ひし父よそれを失言と云ふ
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ダンディーで 寡黙な喜寿の わが部下は ポテト大好き 笑顔でほおばる
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結婚の知らせを聞いた 今日もただ自分一人の肌寒い部屋
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けば モミの木、イルミ、 ジングルベル… まだ霜月よ? 気が早いって
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さまざまな石鹸の香り交ざりあい籠もる夜更けの公衆浴場
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夕焼けに重なる父娘の長い影今日という日忘れたくない
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「来る」「来ない」気まぐれなリス待ち望みいつも桜木目の端にあり
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南国は 都会まちで疲れし 吾癒やす 果てなく続く とうきび畑 
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湯たんぽを買った 一人は寒いから 湯たんぽを抱き 命と思う
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眉の位置ちょっと違えば別の人福笑い術使って直す
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無人駅のようにさびれたわたくしのプラットホームに冬降り立ちぬ
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私には無いもの全部もってるね 若さと愛嬌、彼の隣も
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私には、臓器に薔薇が咲いてるの 隠した好きが咲き続けるの
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晴れ渡る 寒空に見る 星月夜 ゴッホも同じ 空を見たのか
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たまにはと メガネをとって ぼやけてる 街の灯りに ニコリと微笑む
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間違いか正解かとかいうよりも別の答えが出てくる人生
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たくましき ガジュマルの木に 宿る気に 活力もらひ 冬を迎える
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色と色重なる街のクリスマス硝子ガラスに映る二人の影が
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朝の度植物たちに霧を吹くこれも一つの祈りの形
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冬になり バッタも茶色に 色を替え 自然の中で 生きる強さよ
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イヤホンの片耳外し嫌そうな顔して遠く見つめる君は
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限られた 時間の中で 人は皆 命を燃やし 言葉をのこ
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七竈ななかまど、野薔薇、南天、山帰来さんきらい  秋深まりてそれぞれの赤
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熱々のだいこん仕込み布団には冬のカバーをかけ終える午後
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足の怪我しらせてよこす友へ出す小さな荷物あれこれ詰めて
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恋人らのないしょ話を聞き終えて砂浜はまた海と語らう
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味噌おでん かやくご飯に お新香 紅葉見納め お不動尊で
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