満開の 躑躅つつじにカメラ 構えたら 一緒に写る 舞ってきた蝶
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古き良き 時代に在りし 両親と 祖父母そろって 囲む食卓
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雨に濡れ一つ二つと落ちる花 庭はもうすぐピンクの絨毯じゅうたん
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「あのころ」とませてくれるな 学ランのしわおもいたるつきすえ
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春風が誰かの匂いを運ぶからもう全部捨ててしまおうかな
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ここよりも遠いところに行きたくて揺られる波に爪先入れた
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青光の中たゆたう赤海月 血は赤く 耳鳴と潮の音
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初めてのレイトショーは貸切で やっと握ったエンドロールの手
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小綺麗な砂のお城が攫われる バイバイと言う子供らしさも
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不規則に動く ロボット掃除機に乗って くるくる回転す猫
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シャッターを 切る直前に あおられて ブレる雛罌粟ひなげし 風のいたずら
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爪先の冷えるリビング 雨の午後 ホットココアの沁みる温もり
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スカートがたなびく旗に見えたから あなたを目指してやって来ました
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徒桜あださくら 一まい一まい 降りてくる 絶望と 希望にゆれる メトロノーム
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雨雲を押し退けていく 暖かな強い夜風は 月をいざな
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不確かな記憶の中の 懐かしき匂ひを辿たどる 母の香水
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雨上がり 川の両岸一面に 活き活きと咲く 野の花愛らし
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潮の満ちあやつりて いたずらを愉しむ如し 月の引力
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すれ違う回送電車に 脳みそを ひったくられてしまったようだ
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昨日より太陽の匂い濃くなって駆け足で過ぐ春から夏へ
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幸せで散らかった部屋に春の風 ぬるい麦茶と午睡見学
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桜から 躑躅ツツジに薔薇と 順に咲く 春のもたらす 花の輪唱
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ゆく先は決めていなくて夏帽子千木先とまる鳥の如くに
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自由 鋼鐡天井ゆ開放されし青空へかなしみの謳歌ひびけり
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会いたいよ 君の写真に語る夜半よわ この声はもう届かないけど
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見上げると夜空の月が微笑ほほえんで 今頃君も笑っているね
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詠みつづける三十一字みそひともじに秘められた思考と記憶がうたになるまで
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渡された万年筆のあたたかさ君の体温に心ときめく
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嗚呼こんな輝くんだな微笑んだ君の頬には光あつまる
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還暦の君に逢ったら問いたくて 知りたい人生質問60
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