好きじゃないお菓子でお腹いっぱいで好きなとんかつお持ち帰りに
13
もう夏も終わりかななんて天気雨聴きつつ 声にす花びらのみかん
10
我が家に 来たモンステラ 鉢植えに 言葉をかけて 家族となりし
26
湯に浮かぶ小さき船は温度計てあし伸ばしし子らの今はと
22
溜め息を遠慮もなしに吐いてみる どうせ今夜は仮装行列
17
甘すぎて 喉を焦がした チョコレート 夢の欠片を 吐き出す夜か
14
今宵だけ ジャックオランタン携えて 僕も甘味を乞うてみようか
18
また落ちる 資格の試験に 我嘆き 傾向まるで 成長せずと
8
葬儀屋のネオンサインは煌々と大河の様な国道の脇
39
「ほら今日はハロウィンだから食べなさい」鉢に盛りたるカボチャの煮つけ
15
桜葉さくらば 一葉ひとはのこらず 落ち果てて 届かぬ手紙 どどと着くよに
40
卵嚢を残し親蜘蛛姿消す 枯れ狗尾草エノコロを朝日が照らす
35
手に取れば「小さい気がする」サイズなど家で測って承知なくせに/ザル·鍋等購入時に
19
金魚妻 わたしの鉢はちいさくて 今は自由に游いでいるか
18
移植されし樹齢二千のオリーブの挿し木ひと枝我が家の庭に「ナガシマフアーム」
21
クマさんがお待ちなさいと言うけれど喋る個体は危険らしくて
22
砂かぶり動かない ママの卵焼き ぼくひとりレジャーシートをたたむ
13
肉体は一度死んだら戻らない 心も同じメンタルヘルス /鬱短歌
17
何度でも返り咲くのは黴ばかり 深夜だけ出る潔癖のさが
21
手付かずで残す気不味さ耐へかねて 一気にあほる商談のお茶
34
外壁に張り付いているカマキリに小春日和の温き陽が差す
35
より甘く控えめなの銀木犀金の後追い香り途絶える
24
あおむしが のたりのたりと 歩き行く 色鮮やかに 衣をまとひ
36
蟻地獄ごとく今でも抜け出せぬ 君を想って「たら・れば」地獄
33
うっすらと雪化粧した遠嶺に「今年も来たね」と『今は』思える(まだ憎くはない)
18
聴き惚れる「愛のメモリー」 この歌詞の様な二人になりたかったよ
29
白菜のまるまるひとつ贖いし乳児を抱くごと大事にかかえ
35
夜半過ぎ 香りにつられ 屋台寄る お湯割り握り ラーメンを待つ
32
「伝えたい・・」拙い歌に想い込め風の便りに願いを託し
26
帰省せし吾子の見事な食べっぷり 老いの夫婦われらに眩しき程の
31