気圧だか湿気か何か知らないがやたらめったら気が滅入ってね
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よろよろのつまらない午後運命の赤いドレスの女に出会う!
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ぴかぴかのサテンの空が穏やかに秋の岸辺にたどり着く時
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平凡でありきたりだと捨てた日が懐かしき詩の一節となる
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鹿と樹がただ一類としてあればこの時神のそのは音無く
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次々とあなたの願い叶いますようにと銀杏きんの葉がいて降る
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雪道に張り付く紅葉ぱらぱらと秋のパズルが外れるように
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幸せはたまに動物の形のビスケットになったりするよね
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巻きつくも枯れてゆくのも意のままにきっとならずに生きたアサガオ
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一族の物語第八章は終わり叔母さんはぐずぐずしない
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オンライン帰省でいいと言えるのがありがたい気楽な年の暮れ
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息をして一万八千日生きた誰にも言わぬ寂しさにいる
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わはははと漫画のように笑ってる座椅子の義父の在りし日想う
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日々痩せる思いは少し遠くなり残る既読にならぬ安心
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テレビつけカボチャの種を煎っている冬の時間は夏より長い
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茶だんすの奥に未封の赤ワイン今夜飲もうか一人飲もうか
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診療所マスク患者が出ては入る開け放たれた玄関のドア
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並ばされ湯気出るバスに入れられた冷凍餃子になる白い朝
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纏ひ附く百合の喩へのいみじからば雁の図形はくづれかへりぬ
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スーパーは隣町まで行ってます会ってもどうせ目をそらすんで
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久々に目覚まし鳴るまで寝た時はなんだかふわふわ調子が悪い
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もうそんな季節かと問う飲み干した600ミリのペットボトルに
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硝煙の臭いが消えぬ指先を持つ娘が語る命の重さ
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脇目もふらず走り来たのに横に咲くのはありふれたヒメジョオン
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新しきはなべて旧りゆくもの敢て町に出で行くひとへ 口語とその後
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ここのとこ「今日は特別って事で」が週に6日はあるのに気付く
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たちまちに壁の向こうは雨になり夜が来ていた寝転んでいた
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気持ちよくみんな一緒に暮らすんだよとウクライナの絵本は言う
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ぼく達の敵基地ってどこ 夏がきて「告ぐ、直ちに投降せよ」虐殺前夜通達
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夏のオルガン 戦争賛美に燃えて以降憎しみはジェラートの融点と同じ?
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