懐かしい君が微笑む冬の色 僕の知らない遠い眼差し
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わたくしの口から出でた言の葉に切られて疼く後悔の傷
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訃報欄思い出深き人の名をしみじみ眺む秋深き日に
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打ち合わせ 終えてカフェで メール処理 右手にチャウダー ふぅーと息噴く
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窓辺から 星を見あげて 無になって 画面に向う 課題山積み
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湯たんぽを注ぐ腕にも頼りなく漏斗の的を外れ湯気立つ
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菜園の 大きく育ちし白菜を 両手に抱えて秋空眺む 
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北の町あついコートが安かれど北風しみる枯野ゆくとき
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うらやまし子猫も満足するような隣で着てる防寒ウェアー
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晩秋や ひむがしの空 オリオンは 大凧の如 昇りゆく夜半よわ
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日陰でも錦木赤く晩秋に秘めた小さな想いを織りぬ
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あさのひかり あまりに眩しく 布団干す わがや 今夜は ふかふか・お布団
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なんとまあ二度目の蒲団の心地よさ こういうことをしあわせと言う
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滑らない吸い付くような指先の願い塗り込むハンドクリーム
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人生の 苦楽を共に 支へ合ひ 寄り添ふ夫婦 理想の老後
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ぬか床に七日漬けたる小かぶらを 薄く刻んで焼き飯に添え
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慌てずも じっとひたすら 手薬煉を  引いて待たるる その宝船
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薬箱に一週間分ふりわけた薬はあっと言う間にカラに
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どうせまたAIでしょと思うたびこぼれ落ちてくときめき感動
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ユーラシア 端と端との 言の葉も  電子の波で 今ぞ伝わる
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杖たより丸太階段登りきれば余呉湖に映る紺青の山並み
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限られた 時間の中で 人は皆 命を燃やし 言葉をのこ
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彼岸花 萩、ほととぎす 秋深く いのち名残りを 惜しみつつ咲き
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休耕地揺れる秋桜くすくすとナイショ話をしているみたい
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息子のとこ 行くはずだった しょうがない 今日はおうちで いい子にしてる
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夫と行く散歩を兼ねたお買い物 小春日和に歩を緩めつつ
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人知れず 産声上げし 機螂獅鮫きろうしきょう 独り銀幕の 波に揺られる /Z級映画『メカカマキリライオンシャーク』川柳
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仕事終え 駐車場にて 会釈する 見知らぬ同士 心でお疲れ
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熱々のだいこん仕込み布団には冬のカバーをかけ終える午後
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掃除ってしなきゃこんなに溜まるんだ風邪の間に丸まるホコリ
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