だいだいの小さき花から漂う そのかぐわしさに胸膨らませ
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秋空の 青と白とに 刺さりたる  常磐緑ときわみどりの 松葉鮮まつばあざやか 
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翌朝にお菓子の山を眺め笑む 私コーヒー君には紅茶を
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ことは 変わっていくのが 風情ふぜいなり  流行はやすたりは 専売特許せんばいとっきょ
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空中に ふわりと浮かび 揺れもせで 時とどめたる コスモスの花
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悲しくてやりきれなかったすべてのこと 全部きみには笑ってほしい
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椋鳥の大群賑やか大宴会 味をしめたか柿は食べごろ
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西にし拝み花散り果つるルドベキア 種摘むひとの背のかげの青
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が胸は 遠き潮騒 いだかれて 桜貝となり 眠り漂ふ
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見し蝶のゆふ月の黄に染まりしか 雨のきぬぎぬひとり寝ののき
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愛し合う 二人で一組 じゃなくても 私は私を 愛しているし
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かしぎ 東の空はすみれ色 一夜話も そろそろしまい ⑫
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テレヴィのなかの日の丸にほほゑめる首脳に光差す優生卵
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哀しきは 飛び立つ鳥の の音よ 暗き小部屋の窓に立つ我
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ぬばたまの 夜が朝連れ 去りしあと 龍が駆け抜け 東雲しののめと化す
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若き日に いさかそねみて 去りし人の  今何処にか 初秋はつあきの雲
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秋寒に 酒にこころを 馳せる帰路 あたたかな陽が 足を急がせる
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溜め息を遠慮もなしに吐いてみる どうせ今夜は仮装行列
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青春を共に歩んだ筈なのになぜ年老いぬ竹内まりや
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オリーブの熟れる頃なり散歩道落ちた実拾えばポケットいっぱいに
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ゆく秋の硝子を透かすしづけさと 色づく柿に落つる涙と
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浜省のサビに合わせて雄叫びをあげる海岸我をみる犬
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繰り返し感じてしまう苦しみも 今世だけのラストワン賞
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くもらせて雨を降らすも人ならば 晴らせて照らす故も人なり
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ドライヤー 髪巻き込まれ 焼け焦げた 臭いが我の 火葬の香かも、と
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下の名を呼ばれることが減るにつれ 背広が皮膚に溶け込んでいく
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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誰かという人に優しくされるたび生きてるうちに借りかえしたい
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街角に早くもツリーが登場し 短かい秋が逃げ去ってゆく
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蕎麦ぼうろ 素朴な味に 笑みこぼれ 会話も弾む 晴れた昼時
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