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白菜のまるまるひとつ贖いし乳児を抱くごと大事にかかえ
35
夜半過ぎ 香りにつられ 屋台寄る お湯割り握り ラーメンを待つ
32
「伝えたい・・」拙い歌に想い込め風の便りに願いを託し
26
帰省せし吾子の見事な食べっぷり 老いの
夫婦
(
われら
)
に眩しき程の
31
金木犀
(
もくせい
)
の香る陽なたに黄蝶二羽ひらり束の間の秋と
戯
(
たわむ
)
る
38
悪夢しか 出ないおまえの存在を 覚めて叫んで 己を呪う
15
隠された職人のわざ用の美に思考の奥行き今に息づく
35
美味しそー単なる気持ちを発しても褒めてもらえたようで嬉しい
33
半月でコキアの色は赤み増し季節の進み確かむ秋の日
41
昨日観た映画の続き生きる様、絶望じゃなく、希望を持って
18
朽ちし葉は
螺旋
(
らせん
)
を
描
(
えが
)
き舞ひ降りる 露天風呂から眺む晩秋
34
秋風の淡き夕日に密やかに秋明菊は細き手をふる
35
くもらせて雨を降らすも人ならば 晴らせて照らす故も人なり
19
弾む声足取り軽し乙女らよ我にもありし青春の日々
32
木犀の香る坂道一歩づつ杖を頼りに空仰ぎつつ
40
名月を丸く見たくて度の強い眼鏡欲しくなる十三夜かな
25
切り花のコスパ日割りで考えるそんな僕にも秋のひだまり
42
難病で 召されし吾子の 墓参り 心落ち着く 秋の一日
34
満たされる事なき渇いた魂が無表情の下叫んでるんだ
34
凩
(
こがらし
)
や 赤み増しゆく マンリョウを 「
小
(
ち
)
さき
桜桃
(
さくらんぼ
)
の如」 と君
28
薄氷
(
うすらい
)
の ごとき夕月
縁
(
ふち
)
欠けて 羽虫の飛びて 闇に溶けゆく
27
少しでもお金に愛されたいからと財布に付けたローズクォーツ
33
静寂の 秋の夜長に 君想い 歌奏でるは ああ
小夜曲
(
セレナーデ
)
19
秋時雨止みて差し込む陽の光 吾子去りし部屋そっと明るめ
29
雨戸開け施設の
義姉
(
あね
)
の家じまい開くアルバムに手を止め見入る
36
おまえのな 出来ないことと行けぬとこ 我独り往く
共通
(
おもいで
)
はない
13
落葉
(
らくよう
)
の木々はそれぞれ色のなく白樺の幹とカラマツの黄と
27
木枯しの一号雲を掃き清め澄みし御空に十三夜月
40
午後に聞くオルゴールの曲優しけり尖りし吾を撫でるが如し
50
別れ際君にあげたあのブラシ二人の仲も解きほぐせたら
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