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ドアが開き目の前に見えるエレベーター 今日は乗ろうか私はシニア
14
眠る
犬
(
こ
)
の耳元にそっと「さんぽだよ」ささやく夫に優しさを見る
21
君だった何かの残滓 苦しさも夏雲とともに忘れていく
10
ビルケナウにガザの髪触れ合ひ混じり死の後も死者なりき兄妹
13
木香薔薇の花言葉を純潔 死へかけがへのあるものならば
9
萌黄野へ蝶たちぬわづか血をふふみおとうとの吹く Gute Nacht
6
急かされているかのように生きている まずい気がする まずい気がする
8
恥ずかしい思い出ばかりが甦る 恥を知らずに生きてきました
39
気に入りのクッキー缶に本年の七夕飾りしまい納涼
38
夏休み静けさの中出勤す 校庭には
早
(
はや
)
工事の足場
42
音も無く
陽炎
(
かげろう
)
ゆれる濃い桃の
百日紅
(
さるすべり
)
咲く 誰も居ぬ午後
50
マスカラが 溶けて
(
にじ
)
滲みし スクリーン 閉じる
(
まなこ
)
眼に
(
し
)
沁みる『ルックバック』
7
「まだ読むの?」疲れた兄ちゃん逃げたいが 一歳あと追う「もういっかい!」
24
海底を二万
里
(
マイル
)
も行くように静かに静かに寝ます おやすみ
39
祭り済む小さき村に笛の音の聞こえた様な秋の風吹く
30
この街のいたるところに残る靄 嫌いになっても消えない呪い
9
この手だけ、終ぞ会えない、届かない 藍夜が鎖すその菫だけ
10
分厚めの 段ボール箱に毛布敷き 冬じたくして あのミケを待つ
40
ホラー映画見て寝られなくなっている自分 なんだか愛おしいよな
12
冬空に明星一つ煌々と遺す光は地上を照らす /追悼 谷川俊太郎様
49
心から溢れた「またね」が困らせた 俯いた君 嘘だよ ごめん
12
冬風と戯れるよに舞う
鳶
(
とんび
)
空は遥かに広くて青い
41
粗大ゴミ置き場置かれた姿見に映る私に見覚えは無く
54
親という 一番近い歴史見て 繰り返さぬと誓ったんだが
44
なすすべも ないと思える夜にこそ ハチドリ習い 一滴の歌
38
お野菜は三食取りなと言った日から 確かに歳を取った気がする
18
もふもふの
愛犬
(
いぬ
)
の形の空洞を抱えて生きる ささ身を供える
16
ありがとうそのひと言も
貰
(
もら
)
えずに 今日という日が静かに終わる
26
足下に からだくっつけ 横になる 年老いた犬 ふわりあったか
29
切り開く未来の意味を持つと知る 父が娘へ 贈る包丁
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