君の頬真夜中想い手を伸ばす一瞬月に触れた気がして
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大雨に夫は一日骨休め アニメ見つつも畑を気にし
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雨あがる竿さおしなる程洗ひ物 活きる証が町にはためく
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めしいても 応えが無くても、ろうしても、君は等しく愛しい肉塊からだ
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百均の一本百円ボールペン複数本よりオーラ出しをり
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見えるけど無いかもしれない星を見て君と語った秋が目の前
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苦手だとずっと避けてたゴーヤでも 友とのランチで美味しく感じ
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切実な祈り明日が来ないでと 青色光に慰め求め
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虫の音の静寂の朝に工場の鉄音てつね弾ける今日が始まる
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週の明け戦ふ人の動き出すせめて涼しき風のあらんと
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雨降りの通勤時間の渋滞に赤いためいきともりつらなる
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若者が「推しがメロい」と言うたびに脳裏に浮かぶ「美徳のよろめき」
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名月に虫も魅せられさやけしに同じ月見る人を思へり
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チチチチチ 朝一番の台所 何処にいるのか ここにも秋が
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片道の四時間かけて実家へと 母の海馬にわれ残すため
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今一度名月見たし黎明に雨戸開ければ雲に虫の音
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満面の笑顔でミスドのドーナッツ たまにはいいネ ママひとりじめ
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太陽がどこかの星に恋をして燃えてるのだと解釈したい/残暑
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高速の流れる景色にすすきの穂 秋の日差しの川面のように
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不安げな爺を残して孫二十歳はたちうさぎのバッグ飛び跳ねて行く
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スマホ見せ熱く語っている彼は鉄オタと知る、お仲間だった!(撮り鉄&乗り鉄)
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還暦を前に思案すボーダーは卒業かしら継続かしらと
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秋刀魚焼き大葉におろし届ければ 喜ぶ義母ははによろこびもらい
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休日は海を見に行く たくわえたパワーが枯れてまた海を見に
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安眠を襲う夜中のイカズチに目蓋の重き笑顔がゆがむ
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笹の枝が荷台の後ろ飛び出して ゆれる尻尾の化けそこねかな
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夜になればわれのベッドにへそ天で寝ている猫の野生はどこに?
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新米を食らふ悦び奪はれし古米をあさる瑞穂の国よ
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肩先の髪なびかせる秋風の記憶は消えずショートにしても
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元チャンプ輪島の店の団子食む 親友ともの幸せそうな笑顔よ
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