堤防を越えた汗が目に入る真夏の昼のワンタンスープ
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水の井の上澄みにしか掬はれず兵隊となつてゐる蟻一列
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薬用石鹸手に遊ばせて覗きやる洗面台にふつふつと海辺は 
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ロベールドアノー苛性現像液ひてる市庁舎まへの遠ききのふに 
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匂はしく木槿のかひな腐りきり差す月はいきわかれのふたご 
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棺工十三人のごろつきを指揮す 黙示は飾字の森 
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銀球鏡対称反射左利きなれば右手にかばふ利き腕
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ここにない。あなたが欲す、そう、『希望』みたいな言葉。さわれたら、熱。
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「どちらでもない」世界だと言い聞かす 何にもしたくないからだよね
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希望なら手に入るけど絶望を歌うためには足りぬ文字数
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行かなかった解散ライブ再生し部屋に時間の塊が降る
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かっこいい言葉遣いに無理してる?感じたことをそのまま言って
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真ん中を行く人 僕は掘って行く ここでさよなら、地球のみんな
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その猫も死ぬよ 歌壇にてあらかじめ穂村弘が飼いはじめしも
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アルブレヒト・デューラー「復讐ネメシス」像の幾多度刷られ幾多度の戦争 
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ワンタンメンしようかパンケーキを焼くか 究極の二択?でもしんどいの
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母からの「家静かです」ひとことに子も犬も去る実家を思う
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投げた球追って帰ってこぬ犬は六文銭もきっと渡せぬ
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いつまでもいつまでもただ踊ったの今宵で夏も去り行くのだと
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雲を呑むような心地を雲吞ワンタンと書いた詩心 漢字はポエム
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木々の間をざぁっと吹いてセーターの真青の肩にとまる紅葉もみじば
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楽しいとあなたが言ってくれるなら 生きている意味あるかも。やった!
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仕事として米の選別知る夫はいまだ田にある稲穂を憂う
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新しい袋ラーメン試したが マイ・ベスト・ワンはワンタンメンなり
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刈り取りの済みし田んぼにじっと立つ陶器にも見ゆ白鷺一羽
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岩窟の母うらわかくふたり仔の遊びに微笑まふ偽家族
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病床で歌う「ふるさと」ゆるやかに かのやまの忘却わすれゆく人
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いちじくの葉のちりゆきてひとつあり うれぬみのまま何思う秋
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庭のすみやさしい光の浮き上がる黄色く笑むはつわぶきの花
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あきのよにうたよむ吾はモンスター やまのせんべーバリボリ食らう
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