吸湿し 発熱するはず この毛布 寒くてどうした あたしの代謝
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遠き地の名を口にする時褪せた君の金歯に触れる舌はよく歪む
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雨曝し 寒空の下 一人行く イヤホンそっと 孤独を消して
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散歩道やしろに聳える大楠に手を添え話す遠地の友を
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境内で 走る子供に 重ね見る もう戻れない あの日々たちよ
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静かにお揃いの空気に溶けていく、君と私の最期の夜
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やっているのに上がらない 模試結果を見て呟く
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雨粒を弾くその背は輝けり 翡翠ひすいと書いてカワセミと読む / 図鑑には翡翠と書いてあります
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秋眠も暁覚えぬこの頃は夜長を楽しむことも夢なり
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この想い 姿を見ぬと 伝えたい  姿を見ると 伝えられない
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覚えてる 声も仕草も やさしさも ずっと忘れず わたしは生きる
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見し蝶のゆふ月の黄に染まりしか 雨のきぬぎぬひとり寝ののき
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いにしえに おこし開墾 した田畑たはた 草木くさきがしげり 森へとかへる
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真似をしてるだけ力失って痩せてきた雨を嘲笑う様な傘を
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麦汁の澱キラキラと琥珀色 岩手の麦酒ばくしゅ喉を沈めり
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願望か 狂いなのかな 糸はまだ 切れていないの 風ささめくから
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愛し合う 二人で一組 じゃなくても 私は私を 愛しているし
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姉の名の ふりかけある事 嫉妬して 拗ねた紫色の思い出    (ゆかり)
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陽の当たる場所であなたが傍にいて 絵に描けなかったしあわせがある
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わたしという小さな天体のせているペロペロキャンディみたいな銀河
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揚げ油にキッチンペーパー被せたら泣き出すみたいに染み広がった
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犬あびる「かわいい~」の声めぐりゆき「幸せ」きっと、そに還らん
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雲垂るるはざまに光るきざはしは天に昇るや烏帽子の岩は
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雪道の 峠のカーブ 右ゆけば トンネルあかく 我を吸うなり
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ナミビア沙漠われゆかねども紺靑の美靑年など泛べ塩湖に
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風船ガムを膨らめないでいた僕はまだオトナになれない
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ハロウィーンの イベントどうでも 良いのです カボチャオレンジ 溢れる幸せ
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干炎の 白き道を 揺れ進む 砕ける潮も 浜の真砂も
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正解を選ぶんじゃなくて選んだことを正解にがやかましい
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この前はごめんなさいねまた今度って言えるかな明日謝る
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