頬を刺す日差しはすでに春日和 無事に彼岸参りを終える
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息子きみ作る オニオンリング ハフハフと 揚げたて隣で 立ち食いをする
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残月の光冷たき広場からほぼ貸し切りの路線バスに乗る
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病人の肩をさするその温さ気の毒なのに羨ましいのだ
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昴の空 飛行機一機飛び立った 思い出すのは神格化した君
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君のこと特別な人と勘違い 結局周りとおんなじ他人A
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文字なぞり普通の世界に喰らいつく 私はいつまでも利口になれない
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山を行けば幹に苔生す桜ありて少し咲く花に風は冷たし
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いつまでも群れに入れぬままでいる せめて背筋を伸ばすことしか
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離れても桜見る心は穏やかで 終わりじゃないとわかっているから
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辛いなら私があなたを抱きしめたい ご要望あればいつだって
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人生は重き荷を負う旅と言う人にはキャリーバッグを勧める
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振り向いた名前で呼んで餌をやる昨日はヒロシだった野良猫
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出会いはきっと偶然 別れさえ必然だった、そう願いたい
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彩りも鮮やかな嘘も隠したいドレッシングの底に沈めよ
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大丈夫 もう大丈夫 と繰り返す 魔法が呪いに変わらぬように
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指先で心を吐いて傷を縫う 明日が怖い仲間にエールを
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喘息は例年通り三月の四週目ごろ和らぐでしょう
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桜夜風に揺れながら聞く君が知ったばかりの神の数式
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合鍵を百本作り鳩百羽と飛ばすね どこ行ったのあなた
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はじまりの熱が恋しい 色あせた本の頁を片手間に繰る
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夏と冬 苦手な君が息を吸うように呟く 「猫になりたい」
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帰っても入れてはくれぬドアノブがガン、と伝える鍵の頑強
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ページ繰る音を葉擦れの音として聴いてる初夏の図書館は森
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5時ちょうど 音の鳴らない秒針に合わせて閉めた家出するドア
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妻の星 探す間もなく 父も散り 映る新緑 モノクロとなり
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月隠す 真綿の様な 白き雲 漏るる光は 清き羽衣
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花言葉「追想の愛」咲き乱れ 放棄畑に 春紫苑ハルジオン 揺る
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火葬前 孫の嗚咽おえつに 皆涙みななみだ 夏場所観てる そらの枡席 /父葬儀終了
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ゼンマイは 巻き過ぎちゃうと 切れますよ 心も同じ ほどほどが良し
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