迷い猫 網戸越あみどごしから のぞいてる  愛嬌あいきょうに負け 煮干にぼしを渡す
13
街灯の 一つも照らぬ 田圃道たんぼみち  あおいだ先に 天象儀てんしょうぎ
9
けてゆく 口に含んだ チョコレート  愛にちかしい 味がする
9
肝臓に しこりのあると 医師の言う 悪夢か現か あぁ藍染めの空
14
病院の ベッドで独りひとり見る空と 今年最後のツクツクボウシ
19
患いて 焔の玉を腑の中に 抱えし痛み 君取り除け
13
点滴の落つるは遅く 雲速し 窓はキャンヴァス 茜雲あかねぐも染め
26
幼少に 給食残し 叱られて 今は完食せし 病院食
16
自転車で 車道走ると 嫌がられ 歩道走ると 違法になる は?
27
挨拶を交わしつつ行く朝散歩豆朝顔の揺れる道の辺
26
ほろ酔いは 心地よきかな 締め付けし 帯の解けたる 思いこそする
12
暗がりで踊るクィアなる羽ばたき 見ていて/見ていろ 灰になるまで
6
気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
52
ゆく風の流れは絶えず鴨の旅 きのうとちがう地図をつかみて
17
湿っぽいお通夜ムードは嫌だから呟きひとつ残してどろん
8
秋の夜に震える僕の鳥肌をさすってくれた君の手のひら
16
赤い丸 輪切りでづる 五稜星ごりょうせい  スターカットは 楽でいいかも
7
目覚ましは木魚のビート壁隔てオマケでテストなんとかなるか
10
山のにいさよふ雲もないままに 私の終わりを見届ける君
4
夕空に伸びた木の影 がしゃどくろ ゆらりゆらりと手招いている
8
制服の四人泣いてる道の端 あそこがきっと世界の真ん中
10
人生はゲームと違ってリセットもセーブも出来ずに詰んでばかり
19
雨模様重い空気に沈みゆく金木犀の香は濃くありて
13
同じよに初シチューなうち多かろと十二月並みと冷え込んだ日に
25
趨勢の末枯れ死にき世の浅茅刈る積車に安らかなれど
16
忙しき監房 日の丸の旗の門居楯つればいづこ見張る目
17
だいだいの小さき花から漂う そのかぐわしさに胸膨らませ
18
秋空の 青と白とに 刺さりたる  常磐緑ときわみどりの 松葉鮮まつばあざやか 
21
翌朝にお菓子の山を眺め笑む 私コーヒー君には紅茶を
9
ことは 変わっていくのが 風情ふぜいなり  流行はやすたりは 専売特許せんばいとっきょ
10