わはははと漫画のように笑ってる座椅子の義父の在りし日想う
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日々痩せる思いは少し遠くなり残る既読にならぬ安心
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テレビつけカボチャの種を煎っている冬の時間は夏より長い
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茶だんすの奥に未封の赤ワイン今夜飲もうか一人飲もうか
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診療所マスク患者が出ては入る開け放たれた玄関のドア
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並ばされ湯気出るバスに入れられた冷凍餃子になる白い朝
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纏ひ附く百合の喩へのいみじからば雁の図形はくづれかへりぬ
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スーパーは隣町まで行ってます会ってもどうせ目をそらすんで
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久々に目覚まし鳴るまで寝た時はなんだかふわふわ調子が悪い
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もうそんな季節かと問う飲み干した600ミリのペットボトルに
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硝煙の臭いが消えぬ指先を持つ娘が語る命の重さ
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脇目もふらず走り来たのに横に咲くのはありふれたヒメジョオン
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新しきはなべて旧りゆくもの敢て町に出で行くひとへ 口語とその後
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ここのとこ「今日は特別って事で」が週に6日はあるのに気付く
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たちまちに壁の向こうは雨になり夜が来ていた寝転んでいた
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気持ちよくみんな一緒に暮らすんだよとウクライナの絵本は言う
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ぼく達の敵基地ってどこ 夏がきて「告ぐ、直ちに投降せよ」虐殺前夜通達
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夏のオルガン 戦争賛美に燃えて以降憎しみはジェラートの融点と同じ?
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液化した市街電車にはことごとく だって正当防衛だったんだから
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戦争は呼吸みたいでひとごろしはどの少年漫画でもかっこいいじゃん。 
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ぼく達がなぜ その問いだってわからないのだから絶滅収容所なんてしらない
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まだ何も出来ていないと思いつつ寝転ぶしかない夏が言い訳
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重力の違う部屋では美しい人24のショパンを弾いて
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すでに無いプールの水で流された日は蒸発し夢となり降る
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枝豆を夏の名残りと固茹でて青い景色を口に広げる
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お誘いを断る理由思いつつ鍋の卵は半熟となり
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入店時 手指消毒をする人もせぬ人もいて秋刀魚は旨し
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賑やかな黄色帽子の一列を朝残る半月が見ている
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山深き斎岩群ゆついはむら丹躑躅につつじ迦具土かぐつちの血のたばしれるかも
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水銀のような雨降るこの街で抱きしめた子が今に飛び立つ
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