Utakata
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もういない人の好みの味付けで 私のために作る肉じゃが
40
ぽつとぽつ 草木が「降るぞ」と噂して 私は散歩の
踵
(
きびす
)
をかえす
19
釣り銭を 正しき額で 差し出せず 我に財布を 開きし老婆
20
雨だから君が頭痛にならないか心配をした 変わる信号
19
君の居ぬ間に食べる辛ラーメン ひとり暮らしの風が吹く夜
15
葉に残る春の名残りを洗い去り五月の雨は緑を濃くす
15
大楠の洞に入りて息ひそめ樹齢に滲む樟脳のかほり
19
いろいろな憂さを抱えて貼り付けた笑顔の裏の重たい身体
11
気だるさとめまいで自由を奪われて 自由に動ける奇跡に気付く
13
万葉集真似て短歌を詠んでみたやはり俺には難しきかも
14
早朝の植田に映る山影を踏みしめていく
烏
(
からす
)
が一羽
10
別れ際に彼はどうかと尋ねれば 施設にいると寂しき報せ
10
サワガニが横に進んだ道なりを 前に進んで追いかけて行く
18
公園で曇りのしたで遊んでる義務感じみた家族団らん
10
二組の万年布団の片方が謝るように畳まれている
28
木々の
音
(
ね
)
の静けさそよぐ曇り日は葉の色合いもどこか安らか
19
実家から帰るわれ送るゆっくりと歩きだす母背中さみしげで
19
銃声と存在意義とひとりごとペトリコールと空と春の日
9
長年の役目をおえて去る
女性
(
ひと
)
の過ぎし苦労は喜びにかわる
20
夜のカフェテラスで君を待つあいだ 私はずっと幸せだった
8
もし藤が雨だとしたらわたくしの一生涯に傘はいらない
8
祭日は 一人のこぎり 片手持ち 道を塞いだ 竹と格闘
8
すくむ足背中を前に押したのは健気につよく咲いた一輪
8
父さんの言いたいことが分かるのは私だけよと母さんの声
10
ひたむきに生きた証が散らばった服や文具の配置に宿る
8
青天が爽やかよりも汗を呼び 春の終わりを夏が追い越す
29
二人して料理した日朧げに いまはひとりで鍋作り頷く
12
にょきにょきと立派なアスパラ顔を出す 昨秋の施肥のお陰なら嬉し
11
万葉の 人の嘆きを詠めばなほ 千の月日も 人は変わらじ
39
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