凪のごと自警たちはやつてきて 教練通りひとをあやむる
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しづやかに基地となりゆく嶋ならむ神功皇后にはたづみつつ
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戦争になるらし錨しづめるかのごと異人しづめて日本国民
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国境を越ゆる医師団主のごとく死ぬなたかだかコロナごときに
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たくさん話したね たくさん笑ったね さよなら二度と 会えない人よ
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生きてれば ほめてもらえたあの頃を  夢見て眠り 目覚めて泣いた
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光りへと 導く糸は 素粒子の 石をも透す 人は宇宙
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あぁ貘よ そこには母が いるはずだ 更地となりし 実家の夢を
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ひんがしの 星が賑わう 夜があけて きらきら光る 霜月の庭
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橙のダチュラ砂地に吊り下がり砂に呑まるるまでを幾尺 
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ボーダーを 越えてとうとう 雪景色 それならそれで また生きるだけ
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病床で歌う「ふるさと」ゆるやかに かのやまの忘却わすれゆく人
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市長は蜥蜴に生け捕りの餌を与へ夫人歿後の伴侶
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われひとり 根深き雪の さがを負い まっとうすべし アマテラス粒子 / 雪女
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唯神論たてまつる右翼の友にコカ・コーラの瓶の中の蛇見せむ
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ここに今 わたしがいると知っている わたしのために篝火かがりびを焚く
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引きこもる なのに心は 汚れてく 雪が吸いこむ さんざめく夢
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反目の家族飛び交ふ鳩の巣の在処喪ひ昨日父の日
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幼子が小声で歌う鼻歌を 聞いてまたたく冬の星々
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父母ちちははとむかし泳いだ海街で 獲れた蜜柑を我が子に与う
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一歳の我が子は全ての食べ物を ば・な・な、ば・な・な と呼んで笑うよ
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晩熟を滴る麦と稲が穂のふたつわかれになりにけるかな
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君がいる 多分最後の 冬だよね 雪じゃ涙は ごまかせないよ
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もう二度と こっち見ないで 諦めた恋 過ちは 繰り返さない
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警報ランプ鳴りつぱなし 短歌研究一月号「空気について」の研究の室内へ閉ぢられて 誰も止めにゆかざる
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プロレタリア投獄されて長々しある島国の平和なる日々
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能登の地の優しき土に問うてみる神と仏が隠れし場所を
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こんな日は誰にも会わぬ散歩道歌うが一番泣くが一番
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ため息は深呼吸になるんだよ細く長くね負けたらあかん
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生き様を立派に語らう人もおりポツリポツリの亡父母が愛しき
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