あなたには 長生きをしてほしいから ポテチは私が食べてあげます
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私だけ見える七色 麓まで尾を振る君とふたり駆け出す
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私から私に向けての通知表 よく頑張ったねのいちごタルト
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ストロベリー・ナイト・ケイクス 君の頼みでも一緒には死ねない
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風が止むその一瞬の静寂に (I’ll be there) 踵を鳴らす
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ブロッコリー トマトにみかん パン うどん 一歳児にも食の歳時記
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精神病院1983年の手記。より愛を込めて――、アール・ブリュットなどに興ずる昼を。
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断乳に張り裂けるほど泣く吾子を 抱きしめる夜 卯の小晦日こつごもり
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もういいと顔を覆った夜でさえフープピアスはきらきら揺れて
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明日には他人に戻る日の夜の風呂の温度は少し熱くて
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濁っても水面は光り水流は永遠の向こうがわまで続く
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さよならを預け荷物に潜ませて定刻遅れの飛行機を待つ
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花束を貰った人になりたくてもらった薔薇はすぐに枯らした
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売り場さえ 何処にあるのか わからない 天国ゆきの 切符をさがす
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二時間後雨の国へと降り立つ予定キャビンの中は蜜柑の香り
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珈琲が飲めない私にはカフェモカ後のキスも苦すぎ
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新聞の知らぬ誰かの言霊が我を鼓舞させ我を鎮めし
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一歳半 床に突っ伏し駄々こねて 小さな神様 にんげんになる
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いち、にい、さん ワルツのリズムで近付くと猫も君も逃げずに留まる
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毎日が普通に来ると思うほど 愚かではないこの国は今
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スーパーの牛乳十円高くなり、なんだよお前も裏切るのかよ
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揚げたてを「狐色」と評されて黙り込んでる骨なしチキン
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一粒が千円のチョコに絶句する 過ぎる贅沢能登の地見れば
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ようやくに暦が弥生に変わる頃 閉じた本など読める気がする
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家人寝て、一人コトコト小豆炊く 静かな夜の季節を惜しみ
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ロウバイの花が見頃で行きたがるALSの妻に写真を
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コハクチョウ北ヘ帰ると鳥取も二月に春が近づいている
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老犬と孫は同じパンパース歩けない子と歩き出す子と
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DAMチャンネルだけが響く狭い部屋 クリームソーダと気まずさを飲む
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献血を したいと思う 心とは 裏腹にのむ服用制限 眠剤は罪強き眠剤
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