使用後に硬貨が戻るロッカーの百円のように無意味な夫婦喧嘩バトル
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漆黒の 丘の稜線 なぞりつつ 月の輪の凛と 今現れぬ
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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深夜の食事 危険だね 取り憑かれたように なんでも食べてしまう
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『あなたには泣かされたよ』と先生が今の娘に違う涙す
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最近は否定の棒切れ扱いとむずかる「しかし」と並んでねむる
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庭先のレモンは黄色に色づいて僕のほっぺは赤くなってた
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合わせれば逸らす視線の動線で見えない壁を張る能力者
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鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
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青色に ラッピングした 恋という 砂糖菓子の溶け 雲のてのひら
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勘当を失言と言ひ繕ひし父よそれを失言と云ふ
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紅葉を眺めるベストな角度かな座る人なきベンチ微笑む
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染めたまへ きみが訪ひまつ肌の はまゆうの花からくれなゐに
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寝かしつけようと何度も口開き母の歌声呪詛っぽかったな
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スープジュリエンヌ 皿に満たして 軽やかに 銀のスプーンの 泳ぐ午後の【千切り野菜スープの事です】
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バイキング 麻婆豆腐は 禁止にしないか お前がでてくるからおかしくなるのだ
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イエスマン 無駄な会議を ダラダラと 意味ない討論 手を動かせ
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横になり疲れたふりし指図さしずする チョロいよ息子キッチンに立つ
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今少し 眺めたきかな 遠き日の 夕雲に似て 山のに沈む
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車窓から見える山々紅葉す 空気も澄んで水色の空
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ふたり旅 頭の中で 妄想中 隣のおじさま 君に見立てる
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気にかける親のもう居ぬ故郷ふるさとの天気予報をついまた見てる
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通行人Aにも帰る場所がある 皆足速みな あしばやな初冬のビル街
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もてあそえにしもて子をいたづらに苦しむるとも知らで老いけり
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分かり合うこと目標にしなくても励まし合ったり笑ってみたり
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エアコンの作った空気が苦しくて冬の夜風に消えたくなった
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人知れず 産声上げし 機螂獅鮫きろうしきょう 独り銀幕の 波に揺られる /Z級映画『メカカマキリライオンシャーク』
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爪を切る。我の指からはらり落つ 大小十個の細き三日月
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「本当は」言葉を飲み込み微笑んだ グラスに移った私の唇
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穏やかな 君の目と声 いつまでも 心に残り 日々をあたたむ
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