千葉甫
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コンビニのレシートはさんでいたページ開いて次の展開を読む
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ひとときは厚みを増していた雲の薄れて夕陽が滲み出てくる
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草の葉の大きく揺れて突然によぎって行った一陣の風
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首筋に空気の動く気配来て見回す夜はただ更けてゆく
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まだ青い葉群の中に紅い葉が点々と出るハナミズキの木
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暮れてからしばらあかりのとも窓カーテン開くことのない窓
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窓際のブロック塀は猫の道いつもの猫と暫く見合う
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紅葉の一樹輝く窓からの眺めの遠い木立の中に
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青空の雲を見ていた眼を閉じて私も漂う雲と一緒に
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夕茜ゆうあかね薄れていった大樹からいま浮き上がってくる丸い月
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海からは遠い此処ここまで二度三度船の汽笛きてきが来る今日の風
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雲割って一気に落ちてきた陽ざし秋とは思えぬ重たさがある
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蛇口から落ちてくる水てのひらにぬるくて秋はさらに深まる
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落ちてきた声に見上げてよぎり行く鴉一羽を見る月の夜
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目が覚めて月の明るいカーテンの外をよぎって行く影を見る
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わが帽子打ったひとつのころがって散らばる木の実の中にまぎれる
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めっきりと日向ひなたと日陰の気温差の出てきてとみに秋は深まる <
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一筋ひとすじの飛行機雲のふやけつつ次第しだいびる夕映えの色
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いつからか降り出していて鳥の居た屋根を濡らしている朝の雨
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もずの声ひびいたあとに雨の音ひっそり続いている今日のとき
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束の間の思考空白 目の前をよぎって行った蝶を見つめて
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一枚の魚鱗ぎょりんのような昼の月淡くかかっている今日の空
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会計で予期より低い金額に買い忘れていたもの知らされる
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肩の冷え感じて今朝は目が覚める一夜でめっきり秋深まって
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入れ代わり立ち代わりくる怪メール今日は国勢調査名乗って
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おもむろに蛇口にふくらむ水滴が今日の光をうつして落ちる
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近づいてきた声の群れ いっぱいに頭上おおって鴉らの行く
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眼を刺した稲妻のあと間があってゆるく転がる雷鳴響く
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直進か左折か右折かサイレンが近づいてくる夜の十字路
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眠り待つ今日の記憶はきらめいてよぎって行った金色こんじきの蝶
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