Utakata
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千葉甫
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取り敢えず答礼をして擦れ違う誰だか思い出せないままに
19
LP
(
レコード
)
の最後の曲の音絶えて陽ざし静かなカーテンの外
18
暮れ際の
陽
(
ひ
)
ざしの低く伸びていて光る舗道の
凹凸
(
おうとつ
)
を見る
17
甲高
(
かんだか
)
い急ブレーキの音のあと
事
(
こと
)
なく過ぎてゆく夜の
刻
(
とき
)
13
電線の先の先まで連なった鴉らを見る ふと目を上げて
9
鴉らの道を隔てて交わす声 スタッカートの応えもあって
6
完成の間近な家の
灯
(
とも
)
されて金槌を打つリズミカルな音
11
中空に声を交わして群れている鴉ら徐々に去りつつ暮れる
14
荒庭にカンナの花の咲き残る一輪あって風冷えてくる
11
目が合った
馴染
(
なじ
)
みの猫の
挨拶
(
あいさつ
)
か
尻尾
(
しっぽ
)
を立てる
躊躇
(
ためら
)
うように
15
真夜中の通りを抜けていった音 車だったかそれとも風か
15
朝空の薄墨色に架かる虹 道を
跨
(
また
)
いで屋根から屋根へ
12
事
(
こと
)
もなく行く日の暮れの窓外を音無く過ぎる赤い閃光
7
唐突
(
とうとつ
)
に近くへ下りてきて
弾
(
はず
)
む雀一羽と私との朝
10
散り残る木の葉
幾
(
いく
)
つかカーテンに影を落として揺れるこの夜
11
閉め忘れた窓に気がつく室内に雨の匂いの
籠
(
こも
)
り始めて
18
コンビニのレシート
挿
(
はさ
)
んでいたページ開いて次の展開を読む
9
ひとときは厚みを増していた雲の薄れて夕陽が滲み出てくる
8
草の葉の大きく揺れて突然によぎって行った一陣の風
12
首筋に空気の動く気配来て見回す夜はただ更けてゆく
7
まだ青い葉群の中に紅い葉が点々と出るハナミズキの木
9
暮れてから
暫
(
しばら
)
く
灯
(
あか
)
りの
点
(
とも
)
る
窓カーテン開くことのない窓
9
窓際のブロック塀は猫の道いつもの猫と暫く見合う
12
紅葉の一樹輝く窓からの眺めの遠い木立の中に
10
青空の雲を見ていた眼を閉じて私も漂う雲と一緒に
7
夕茜
(
ゆうあかね
)
薄れていった大樹からいま浮き上がってくる丸い月
12
海からは遠い
此処
(
ここ
)
まで二度三度船の
汽笛
(
きてき
)
が来る今日の風
12
雲割って一気に落ちてきた陽ざし秋とは思えぬ重たさがある
16
蛇口から落ちてくる水てのひらに
温
(
ぬる
)
くて秋はさらに深まる
8
落ちてきた声に見上げてよぎり行く鴉一羽を見る月の夜
9
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