すずめ
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46

初心者です

海鳴りが耳まで届く堤防に微かに混ざるギターの音色
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夜の海波打ち際がぼんやりとどこから海で私は何処に
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夜の街電車が通りすぎていく灯りがまるで星空の様
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鞄から出てきた古いレシートにひっそり宿る旅の思い出
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光太夫幾度夢に見た事かさざなみ寄せる白子の港
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闇の中かすかに見える煙突の麓に1人湯屋番が立つ
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あの頃の思い出そっとしまい置く一瞬の様で永遠の様
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こんなにも広い我が家は久しぶり引っ越す前の最後の夜に
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青空にたなびく雲が知らぬ間に僕ら二人を追い抜いていく
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雨上がり置いていかれた蝙蝠は今どのあたり走り続ける
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通学路行く手を阻む水溜まりどんな海より広く大きく
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幼子が長靴で蹴る水溜まりはしゃぐ姿が飛沫しぶきで見えず
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もし君がまだあの場所にいるのならどんな言葉をかけてあげよう
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不意に来る不安が心に立ち止まる中々帰らぬお客のように
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持つものは宙ぶらりんな心だけ確かなことなどないのだけれど
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こんなにもあなたと会う日は輝いて月も隠れたこの夜さえも
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老いていきありがたきもの増えていく駅のホームのベンチのように
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ふつふつと湧いた怒りが抜けていくコップの中のサイダーみたい
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草原で星を見上げて手を伸ばす一つ二つとポッケの中へ
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進む度落ちる夕日が遠ざかり確かに僕はここにいるのに
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陽の光差し込む部屋と気だるさと携帯から鳴る朝を呼ぶ声
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風の中ゆらゆら揺れる木の隣誇らしそうに電柱が立つ
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メガホンを楽しく叩く小さい子今は相手の攻撃だけれど
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砂浜に文字書く君は誇らしげ消すな大波もう少しだけ
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波の上僕ら辿りし道筋が白く残りてやがて消えゆく
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記憶より随分高い防波堤変わらぬ物などないのだけれど
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「次もまたどこかの街で会いましょう」祭りのあとの駐車場にて
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岸壁で旅立ちを待ついさり船大漁旗がドレスのように
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この心分厚く覆う雨雲を予報できたらどんなに良いか
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「故障中」紙が貼られたパソコンを労うように画面を撫でる
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