Utakata
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追い風になっていたんだ今気づく好物ばかりの母の弁当/題『追』
12
一人でも大好きなもので満たされて1Kの部屋が今日もあかるい/題『満』
10
空っぽを 慰めるため 積み上げた 三十一文字を 踏み越えてゆく
10
なんらかの思いが広がってるのか オルゴールのふたが閉まらない
10
川霧のたつみの方に庵して世をうぢ山にしかぞなくなる
11
鬱乗り越えフリーランスになった
息子
(
きみ
)
初仕事
(
しごと
)
決まって笑顔
眩
(
まぶ
)
しい
19
縁側のまどろみにふと ご機嫌な サリサリサリと 梨を剥く音
16
客来店 変換したら 客ラテン お堅い職場に
南風
(
みなみかぜ
)
欲しい
12
何もかも認知進んでわからない日頃している変な言いよう
9
金木犀の匂いのわからぬ俺だけがギンナンばっかり 神無月
7
また逢える 夜空見上げて
呟
(
つぶや
)
いた 月はいつでも 綺麗なんだよ
18
パックしてプレゼント包みネイルして 逢えるまえから幸せすぎる
14
秋空にイワシじゃないねどう見てもこれはサバだと考えている
16
曇天
(
どんてん
)
の空を見上げて深呼吸 暗いトンネル出口はすぐそこ
23
齢
(
とし
)
重ね
将来
(
さき
)
の自分に課してきた あれこれ回収するなら今ぞ
15
拙さを恥じつつ我が身のなぐさめに 流れに混じり優しさを受く/うたかたの皆さまへ
17
山の端に雲は果てなく打ち寄せて 遥かに広がるそれはもう海
19
衆議院選挙を前に思うこと ウグイス嬢より鶯がいい
11
元空地 三軒並ぶ『建設中』三色幟に笑い堪えつ
10
『ツンデレ』と云われたくない訳じゃないが やはり君には云われたくない
14
日常に草木を愛でる瞬間があるから豊かに思える通勤
13
アイマスク下に今夜はどんな夜 つぶあんの夜 こしあんの夜
9
たっぶりとホットプレート焦がしつつ止まらぬ喋りお好み焼きと
21
一人旅 自由気ままな旅情でも 夕飯時には 人恋しくなる
25
目が覚める布団出れずに
温々
(
ぬくぬく
)
す いわゆるこれも秋の
醍醐味
(
だいごみ
)
26
初仕事終わらせお疲れお祝いに ランチを
奢
(
おご
)
る
息子
(
きみ
)
とのデート
19
見た感じなんともないけど違和感が、と言うと処方される月光
10
思うよう動ける身体と働ける場所のあるのを喜んでみる
22
夏日でも暦に合わせ顔出した米粒ほどのシャコバの花芽
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クッキーを焼いた匂いを嗅ぐような幸せに落つ夢のほとりで
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