バス停の桜花は誇り高き顔 いつかお前もみなに踏まれる
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消えた子を見つけられずにはや一年 探してないのは仏壇の中
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古き良き馴染みの店も 継ぐ者もなく 畳みゆく 惜別の春
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泣いている 空の涙を 受け容れる如く 散らずに耐える 桜は
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人間にならない代わりに僕はまだ割れた卵とメソメソしてる
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恋人と呼ぶには低すぎる湿度 それでも僕ら、繋がれている
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足を止め空を仰いで掛けているマスクをずらす桜木の下
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暮れなずむ空を仰いで 流れゆく雲に 三十一文字みそひともじを浮かべて
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読み終えた本とスピンを戻す癖 あなたが置いていったものたち
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幸せは 手に有る時は 気付かずに 手からこぼれて 有り難さ知る
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いつまでも小学校の夢を見る 僕の心はいまでもそこに
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ユリ持ちて 月命日に 逢ひに来た 妻の墓石に 花吹雪舞ふ
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水槽のガラス越しには想いビト 煮ても焼いても食えぬがコイよ
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夢洲には無縁でいたいかりそめの過度な未来は信じていない
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ボツにした歌詞が好きだと口ずさむ君がいまだに完成しない
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時計だけ動き続けるこの机 積もる灰色に書く名前は
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悲しみも 怒りも全部 ミキサーに めて一気に 飲み干せるなら
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あなたから貰った物のいちばんはこの傷ですよ。失くせないから
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「今あなた安全な場所に居ますか」と呼び掛けるラジオぐっと近づく/昨夜の長野県地震にて
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よく見るとツツジの蕾並んでる 順番待ちを楽しむように
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満開の 躑躅つつじにカメラ 構えたら 一緒に写る 舞ってきた蝶
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古き良き 時代に在りし 両親と 祖父母そろって 囲む食卓
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雨に濡れ一つ二つと落ちる花 庭はもうすぐピンクの絨毯じゅうたん
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「あのころ」とませてくれるな 学ランのしわおもいたるつきすえ
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春風が誰かの匂いを運ぶからもう全部捨ててしまおうかな
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ここよりも遠いところに行きたくて揺られる波に爪先入れた
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青光の中たゆたう赤海月 血は赤く 耳鳴と潮の音
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初めてのレイトショーは貸切で やっと握ったエンドロールの手
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小綺麗な砂のお城が攫われる バイバイと言う子供らしさも
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不規則に動く ロボット掃除機に乗って くるくる回転す猫
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