リュック負いカート引きつつ帰る身を初とんぼゆらり前を横切る
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花びらは アスファルトにさえ 解けてゆく 桜という名の かたちを借りて
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初夏ならばこのくらいだとまたひとつ毛布の厚さを薄くしてみる
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ぶれの無いまぁるい姿が嬉しくてしばしながめる薄雲うすぐもの月
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鍬をふる 夏の野菜を 食むために 時をさまよう あなたのために
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名も知らぬ草をひきつつふと見れば黄色や白の花の咲きおり
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雑草と呼ばれし草もとりどりに可憐な花を咲かせておりぬ
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朽ち果てた パチンコ店の 駐車場 かつての栄華 そのままに藤
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晴れの日のあめんぼ達が作り出す雨だれ浮かぶ池に見惚みとれる
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若葉風 左脇腹 肉離れ ハムの四番を 護り給え / 推し活
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書き損じ気に食わぬ紙飛行機よ 十七機目もあえなく落ちる
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ときめいて君住む町の駅に立つ迎え待ちつつ見る茜空
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風通るグリーンベルトにさわさわとちがやの作る波を見ながら/すすきの小さいの
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はちみつが娘より届く 母の日の贈り物らし風薫る午後
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いつかまたあの子に恋する時が来るそれまでずっと綺麗でいてね
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床扉ゆかとびら湿気をびるこの頃に近いとはかる梅雨入りの時
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昨晩の大風なるか軒下に鳥の巣落ちて雛一羽おり
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夕飯に向けて横になる容量の少ない我が身の充電にあて
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土手に咲く知らない草の写真とり調べて楽し皐月の空に
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幸せで散らかった部屋に春の風 ぬるい麦茶と午睡見学
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すれすれに水田に姿映すごと飛ぶ子ツバメに来る夏思ふ
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思い出は春の小雨にうながされぽろりぽろりとつたいこぼれる
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待ち侘びて運ぶ編み針ゆるやかに カーテン越しに雨の音聞く
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足元にまとわりついて来る猫を部屋に残してリハビリ散歩
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適当で済まぬ地獄を抜けた今、何故テキトーに過ごせぬのだろう
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変わらないけやきの木陰一に好き枝の広がりも透ける感じも
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薔薇の棘とりて一輪挿し気づく萎れの早し棘もいのちと
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やみくもに剪定をせし紫陽花は今年も小さき花芽膨らます
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すれちがう バスの運転手さんたちの 挨拶 見たくて いつもこの席
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顔の価値決める権利はきみにない己の価値は己で決める
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