あの道の グラジオラスより 白きシャツ   君の視線の ただ 眩しくて
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霧雨を坊主頭が感知して 冷えた空気の訪れを知る
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生きている姿のままで動かない 蟹のむくろに靴先で触れ
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朝晩の 寒さ厳しく 身に沁みる 装いの秋は さらに深まる
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暮なずむ 茜の街は 人を皆 切なくさせる 家に帰ろう
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病院の ベッドで独りひとり見る空と 今年最後のツクツクボウシ
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点滴の落つるは遅く 雲速し 窓はキャンヴァス 茜雲あかねぐも染め
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ほろ酔いは 心地よきかな 締め付けし 帯の解けたる 思いこそする
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手のひらを天に向けてほうけ顔秋の雨雲確認するひと
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連帯で責任とらされるときにだけ仲間だと言われる俺か
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イヤホンをしていないのに独りボソボソしゃべる人薄気味悪い
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露地ものの今年最後の枝豆の 両端を切り丁寧に茹で
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初雁の遅れ啼く聲かれがれに蓬老いたれみそらもろとも
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忙しき監房 日の丸の旗の門居楯つればいづこ見張る目
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が胸は 遠き潮騒 いだかれて 桜貝となり 眠り漂ふ
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朝目覚め 青空に向け 手を合わす 今日の日がまた 穏やかであれ
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烏瓜からすうりの つる螺旋らせんは 無口なる 「自然」の漏らす 不意の冗談
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柔らかな日没前の陽が照らし 我が街もやや上品になる
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ナミビア沙漠われゆかねども紺靑の美靑年など泛べ塩湖に
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ぬばたまの 夜が朝連れ 去りしあと 龍が駆け抜け 東雲しののめと化す
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秋晴れだ 心と身体 清らかに 全身広げ 深呼吸する
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童謡 森のくまさん 森でわなく 今は街中 すたこらさっさー
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息切れて うずくまり居る 足元に 野菊は揺れり 晩秋の風
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素直なる人持て余したる煩悩を鎮め応援すべく思案してみる
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静寂の 秋の夜長に 君想い 歌奏でるは ああ小夜曲セレナーデ
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十七年たくさんの幸せ有難う! 愛犬キミのお家よ 骨壷を置く
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麦飯を炊く湯気にさえ形なく やがて近づくアラームの音
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一会なる翁は教ゆ酒匂川さかわがわ 初めて見たり黒雁こくがん来る
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高々と咲き誇りたるハナミズキ歌思ひ出づ 翠雨すいう悲しや / あの歌は亡き母の歌
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在りし日に 母の集めし 人形の 我に似つること 今気づきたり
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