かすれはて横断歩道の縞はなく誰も渡らず誰も渡れず
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嫁ふたり ケラケラ笑う こんな幸 運んでくれし 息子らに感謝
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インビザライン最適化の果て に ぼく は 剥き出しの 歯 で 君 を 肯定する
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静かに雨降るこんな日は 壁時計さえゆっくり時きざむ
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オオカミよ瀕死貪る捕食者よもうウンザリだオレは脱走
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ふらるれば水さす恋のなりゆきを春まつ池の鯉は知りつつ
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担架行くわれ見る慈顔遠ざかり父よはるけき地平に立つ青年ひと
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交わしたる言の葉のみが脈打てば行方知らざる君ぞ思はる
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揚げたてのカツを喰らへばザクザクと奥歯のあつた歯肉にささる
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気晴らしになればと図鑑なども入れ恩師を見舞う雨の茂吉忌
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家計簿を 付けて出し入れ適正化 財務省が 規範を示す
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好きだった同性からの手紙読む タイムマシンがあればいいのに
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らしくあれ人の言へどもむなしけれ思ひのままに生きなばほとけ
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師とのライン手繰りおとせばおととしの我が入院のうたは血みどろ
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きみがぼくにくれるえねるぎー ぼくがきみにあげるえねるぎー きろくした ぴぽぱ
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雨上がり飯盛山に霧立ちぬ決めかねている心揺蕩う
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吾がしゃがみ 名前を呼べば 蒼瞳羊駱きみと目があう 何年も続く 二人の合図
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ジャガイモもトマトもタバコも唐辛子もナス科 親戚多くて良いね
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雨垂れと脈が合ってしまう 鈍色の底でひび割れる光 こめかみを刻みつづける秒針
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三日月を紫のクレヨンで描く 長男だから我慢している
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生き死には 我の事なれ つゆ知らず 明日の命を 願いし噤む
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まな板の 上に早苗が 置かれおり 捌かれしあと 庭土に戻る
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風の音に合わせてダンスをこの町であの怪獣と踊ってしまえ
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それとなく それとなく立つ それとなく 立ちたくなって それとなく立つ
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ゆっくりと握りしめてく薔薇の棘わたしの皮膚とどっちが強い?
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柵から首だし眠る蒼瞳羊駝きみに一目惚れ 初めて出会った始まりの日
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宝剣の 群青切り裂く 雪の鉾 雪かぶる岳 ただ一筋の 雪の跡
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一枝(ひとえだ)の 雪のこぼるる 静けしや  やまね( 山音)泣き濡れ 雪一色の
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山静けし 白銀の舞い 冬木立 足跡絶えて 山の音(ね)寂しき
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風渡リ 水面揺るる 滝つぼの 陽炎立ちて 去ぬ後ろ影
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