「おはよう」と 昨日もあった君の声 明日もあると 思える幸せ
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いつまでも 生きて欲しいと 祈りつつ 今日も飲み行く 父を見送る
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彼氏より眷属がほしいと嘯いて返事も聞かず空へ連れ出す
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世の中の ビジネスモデル 上手いなあ いざ己では 思い付けない
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iPhoneさえも滑り落とすこの手で夢が掴めるっていうのか
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形見分の義母ははの「でんち」を食卓の椅子の背にかけ小祥忌まで
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振り返り吾を確かめて先をゆく従い続く猫の細道
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目を背けたくなる世界を直視する 君を ヘヨカと呼んで見つめる
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諦めと ニヒリズムへの誘惑に  負けるな踊れ 心のヘヨカ
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山はない谷もない心電図から義父の新たなページめくられ
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「つまらない大人になれておめでとう」自動配信メールが祝う
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認められなくても生きていくように喩えた色で塗った爪先
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やかましい小さな点の集まりのひとつが僕だ、プラネタリウム
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陽よりも煬がふさわし太陽に毎日〳〵炙られている
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洗いたてのタオルまでもが生ぬるしパッと開いて陽の下にやる
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我々はバスに乗りたるアルマジロ座席の上に丸まりて眠る
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車窓より二度と出会わぬ町を見つこのままずっと揺られていたい
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邪魔っけな角生やしてる強き鹿 強き女のハイヒール履く
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熱風と焼け付く風を感じつつ花火眺める 八月六日
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雨の中一つの傘の下にいて外側にカバン持てば良かった
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堤防を越えた汗が目に入る真夏の昼のワンタンスープ
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水の井の上澄みにしか掬はれず兵隊となつてゐる蟻一列
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薬用石鹸手に遊ばせて覗きやる洗面台にふつふつと海辺は 
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ロベールドアノー苛性現像液ひてる市庁舎まへの遠ききのふに 
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匂はしく木槿のかひな腐りきり差す月はいきわかれのふたご 
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棺工十三人のごろつきを指揮す 黙示は飾字の森 
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銀球鏡対称反射左利きなれば右手にかばふ利き腕
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ここにない。あなたが欲す、そう、『希望』みたいな言葉。さわれたら、熱。
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「どちらでもない」世界だと言い聞かす 何にもしたくないからだよね
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希望なら手に入るけど絶望を歌うためには足りぬ文字数
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