ヘッドフォン外せば澄んだ真夜中で今日の予言は信じない派です
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路地脇の緑葉の中青柿が顔のぞかせて夏の陽を浴び
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なんでこうケンカするんだ姉ちゃんと おやすみなさいのその前に/反省
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八十路なり亡姑はは 患いし認知症 脳トレに我短歌うた楽しみて
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穏やかに92歳くじゅうにで逝く姑の通夜遠く花火の音を聞きつつ/十年前花火大会の夜
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とびきりの笑顔が届く夏の朝離れ住む曽孫ひこスマホの中に
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独りでも生きて行かねばならぬゆえ あちらこちらに折り合いをつけ
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言の葉が実を結びゆく歌となる不揃いだけど私の果実
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が呉れし夏色の青 真新しスニーカー履くデイケア初日
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うすあさぎ澄みたる囀り飛び立たせ 青き空へとゆづり去りぬ
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ベンチャーズ追いかけエレキ楽しんだビデオに残る君がサウンド
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夕立に追われて帰る労働の熱も疑問も対流してる
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シンジケヱトより國粋主義者を作らうよ「撃たれた総理は二度撃たる」
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國政――、鼠講商に穢れゆく時を緑黄色社會が謳ふ「萬歳」
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天皇制督父は鐡杖をもて支配せ り、なまぬるき革命の血褐の旗
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戰世近づきある 旋風風とは鉤十字紋章にほかならず は
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ナチス、叛ナチス絶滅戰争の弥果に冬曝の曠野 骨
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早朝に散歩に出ればキジバトの声聞こえくる葉ずれの中に
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夏陽射す草むらの中昼顔の淡紅優し風にゆれつつ
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石鹸のあわ黒くなりし小さきて井戸より出づるスイカの赤さよ
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スベリヒユ スーパーフードの記載あり 庭から摘んで食んでみるなり
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「介護する人はいつでも優しいね」チクッと針がハートを刺した
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木々揺らす風吹く午後に聞こえ来るか細き蝉の声漸くに
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ゲーセンで仲良くなった小学生 彼の指南でクレーン動かす/思い出
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台風が過ぎて夕方五時半の空は水色真昼の様に
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台風の後を飛んでく黄揚羽の後に続けと自転車を漕ぐ
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腐ってはダメだと君の歌声に心が少し軽くなったよ
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明日あすという言葉はきっと訳すると「明らかにいいこと起こる日」と
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雨後の宵窓辺に立ちて見おろせば遠くの街の灯りさざめく
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おとうさんきをつけてねと初耳の言葉染み入る文月の朝
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