炎天に夏草を刈る益荒男よ機械と蝉が競う雄叫び
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風景の然程さほど変はらぬバス停も 風の温度で 変はりゆく秋
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縋りつく愛に未来があるのならルーブルのように綺麗に飾って
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言葉など無くても れるだけでいい 猫に伝わる 人の気持ちは
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長月の朝の道にも業火待つ狸の背中焼かれるやふな
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雨催あまもよひの日暮れ 雲を貫ひて 居場所を示す如 光る月
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若き日の 意味なき自負が 今あれば  寄る年波に 勝てる気がする
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呼び捨てに一人勝手に心躍る 脈を感じてもいいやつなのか
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スマイルは営業用と言いつつも君はまわりを明るく照らす
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過ぎたれば 悲しきことも 苦しみも  想い出となる 人のつよさよ
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女流とは言われないよと姪っ子が生き生きしてる将棋道場
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いくつもの花びら風に舞ってゆく夏の化身の百日紅ひゃくじつこう
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織彦の 逢瀬おうせに想い 重ねては  指輪の箱と 天の川見る
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名月に虫も魅せられさやけしに同じ月見る人を思へり
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蒼き蝶フジバカマ咲く山里へひらりと降りて羽を休めむ
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野っ原はススキと野菊に覆われてアキアカネ待つ頃となりけり
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三振で最後の打者になった子の肩を抱いてるチームメイトよ
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考えも 心もすべて 枯れ果てて  それでも見ゆる 朝焼けの月
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ほんとうを十重とえ二十重はたえに押し匿すまあるい嘘の博覧会で
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晴れてても天気急変の可能性 白スニーカー履くに履けない
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夜勤へと向かうあなたに力水つけるつもりで麦茶を渡す
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ひとり風呂子の水鉄砲構えては一心不乱に打ちまくる深夜よる
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繰り返す2歳が鬼のかくれんぼ隠れる所もうありません
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嬉し朝 猛暑に耐えたか ようやくに ツンと顔出し彼岸花咲く
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同じ車両 向かいの席のあの彼に今日は会えない 土曜出勤
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今朝方けさがたの もやが掛かりし 山のは  心のさまに 少し似ている
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母親の眼差しだった小児科医 十五の僕に「背伸びせんとき」
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テレビ前 後ろで手を組む父と息子は おんなじかたち やっぱり親子 \ 世界陸上観戦
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乱筆のわたしが書道七段のきみのとなりに寄せ書きをする
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高きそら 蒼色あおいろが 海原わだつみと  一つになりて 秋は来たりぬ
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