追い風になっていたんだ今気づく好物ばかりの母の弁当/題『追』
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一人でも大好きなもので満たされて1Kの部屋が今日もあかるい/題『満』
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空っぽを 慰めるため 積み上げた 三十一文字を 踏み越えてゆく
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なんらかの思いが広がってるのか オルゴールのふたが閉まらない
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川霧のたつみの方に庵して世をうぢ山にしかぞなくなる
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鬱乗り越えフリーランスになった息子きみ 初仕事しごと決まって笑顔まぶしい
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縁側のまどろみにふと ご機嫌な  サリサリサリと 梨を剥く音
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客来店 変換したら 客ラテン お堅い職場に 南風みなみかぜ欲しい
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何もかも認知進んでわからない日頃している変な言いよう
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金木犀の匂いのわからぬ俺だけがギンナンばっかり 神無月
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また逢える 夜空見上げて つぶやいた 月はいつでも 綺麗なんだよ
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パックしてプレゼント包みネイルして 逢えるまえから幸せすぎる
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秋空にイワシじゃないねどう見てもこれはサバだと考えている
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曇天どんてんの空を見上げて深呼吸 暗いトンネル出口はすぐそこ
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とし重ね 将来さきの自分に課してきた あれこれ回収するなら今ぞ
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拙さを恥じつつ我が身のなぐさめに 流れに混じり優しさを受く/うたかたの皆さまへ
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山の端に雲は果てなく打ち寄せて 遥かに広がるそれはもう海
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衆議院選挙を前に思うこと ウグイス嬢より鶯がいい
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元空地 三軒並ぶ『建設中』三色幟に笑い堪えつ
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『ツンデレ』と云われたくない訳じゃないが やはり君には云われたくない
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日常に草木を愛でる瞬間があるから豊かに思える通勤
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アイマスク下に今夜はどんな夜 つぶあんの夜 こしあんの夜
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たっぶりとホットプレート焦がしつつ止まらぬ喋りお好み焼きと
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一人旅 自由気ままな旅情でも 夕飯時には 人恋しくなる
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目が覚める布団出れずに温々ぬくぬくす いわゆるこれも秋の醍醐味だいごみ
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初仕事終わらせお疲れお祝いに ランチをおご息子きみとのデート
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見た感じなんともないけど違和感が、と言うと処方される月光
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思うよう動ける身体と働ける場所のあるのを喜んでみる
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夏日でも暦に合わせ顔出した米粒ほどのシャコバの花芽
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クッキーを焼いた匂いを嗅ぐような幸せに落つ夢のほとりで
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