万葉の 人の嘆きを詠めばなほ 千の月日も 人は変わらじ
23
指切りをする手が蝶に見えるから交わしたあとは春野に逃がす
32
左手と右手の違い ペンを持つ方と子猫の背を撫でる方
16
知ってるかい悪魔が編んだ歳時記じゃ夏の季語だよ腐乱屍体が
17
青天が爽やかよりも汗を呼び 春の終わりを夏が追い越す
17
花菖蒲ご無沙汰の友思い出す政治談義に花咲かせし日
15
おしゃべりをやめないひとの右上に『✕』がないかと探してしまう
35
1日に二回までのバファリンを信じて眠る 雨の火曜日
23
世の中は川の流るることながら水にくだくるいわも在りけり
14
日にそよぎ薫りしずかに咲く薔薇の花びらにく淡い蜂蜜
15
せわしなく検温をしてまわるひと家で待つ子の言えない微熱
21
幸せを頬張る口にそそられて膨らむ頬を指先でつく
13
春は好き暑くもなくて寒くなくガス電気代かからないから
13
愛犬に余命宣告 あくまでも推測 長生き固く信じる
15
腐れ縁憎まれ口と減らず口破れ鍋一つ綴じ蓋一つ
13
味つけはせめて日毎に変えたいの今日は酢味噌で明日はごま和え
13
ISO 認証取って人殺す機械を作れと母は言ったか。
12
やは肌の君の血潮も映らない写真にいいねを付けない指紋
12
春なのに 寒く冬服 春服を 交互に着ては 衣変えれず
12
木金を休んで八日の連休を自慢するなよ無職の吾に
24
産休で職場を離れる同僚に ろくな言葉もかけてやれずに
21
うたかたに 登録してみたよ たのしいね 短歌の文字数何文字だっけ
11
蜘蛛の糸掴んで堕ちる夢を見た地にめり込んで朽ちるのもいい
11
外来をすませ医局で一服し「一日一首」に生き甲斐おぼゆ
11
にょきにょきと 立派なアスパラ顔を出す 心と身体に 元気チャージ
11
エンドロール 語りたい君 隣には もういないこと わかってるのに
14
予備一つ常に置きたい玉ねぎに日持ちのしない新玉到来
31
胡麻和えを作りし後のすり鉢に冷や飯擦り付けひとり頬張る/調理者特権✌
17
君と飲む土曜日の夜今ここで言ってしまうか一人で暮らすと
10
二組の万年布団の片方が謝るように畳まれている
16