クリスマスの空気を読めず 産まれた私 晴れの日だって
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いつかくる終わりの予行練習を 命愛でつつ今日また眠る
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てきとうにスーパーで買ったプレゼント 抱きしめられてやましさが増す
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ましかくでいられないこの凸凹を許し合うときパズルは埋まる
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雪滲む スケッチブックに 水鳥の 尾羽すべらせ 白む里山
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冬の朝恋しい春を待つ私 あなたがいる春じゃないとだめなの
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シャキーン見て家を出ていた小学生 今は夜更かし2355
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自らの体の機嫌とることを覚えし吾の四十九の冬
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にんげんはすこし正しい まるまった人にふとんをかけなおすとき
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生まれ変わったら海になりたいけどさ、きみが蝶なら葉にもなれるよ
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「すいません」を言い換えようチャレンジは「ごめんなさい」が増えて終了
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若い日に思い出のある国訛り連続ドラマの台詞のなかに
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ジィジィの うえたまつのき はんせいき ていれできるも もうさきみえて
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かりのなが まことの名になる うたかた衆 そのうた一首 だれかのささえ \ ありがとうございましたヨイオト!
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あなただけ違う音、色、ひかりをもってわたしの琴の弦をはじいた
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縫い糸のように太細たさいを繰り返し連綿とつづく愛を貴女に
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年の瀬に朝駆けの空 墓参り めざめる街に眠たげな月
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いっこうに 年の瀬の気が しないのに テレビは流す 今年のまとめ
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ごくごくと天下一品の旨沼を飲み干す胃腸よもう一度
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もう居ない犬の毛がまだセーターの袖ぐりに付いていた年の瀬
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君のこと つい考えて 手が止まる 今頃君は なにしているの
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生きててもいいことないな 液晶を通さなければ君に会えない
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辰年の心の迷ひ百八つで足るか足りぬか除夜の鐘待つ
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暁闇ぎょうあんの吹雪の音に父は逝き 四年よとせつ朝 仏壇を拭く
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魚屋の老夫婦妻せき込んで「大丈夫」声かける夫
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なにしようか考えてたらもう夜 ただ気だるさに身を任せて
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潮風の手触り残りあかあかや 山盛りみかん 居間を照らして
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ホームレスいれば救急車もいるよ二十三時の新宿駅や
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ゆき雲のそらに今年を映してはこの木にほとけ彫りて送らむ
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Utakataに 我を鼓舞して せち苦行 除夜の鐘待つ 家族あればこそ / 良いお年を!
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