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風鈴を吊るせぬ事情今さらに知って驚く田舎育ちは
37
夏休の一日分を乗せて行く単線列車よゆっくり進め
43
あなたの一番星じゃなくても あなたを撫でる夜風でありたいよ
12
しょんぼりと 階段のぼる 踊り場の ぼやけた空に 輝く
金星
(
venus
)
55
暑い夏あの日も今も去って行く 私は今も待っているのに
14
恋しくて気持ちあふれて柵越えてノウゼンカヅラ届くといいね
31
あぜ道のエノコロ草はみのりゆれ かの日の
猫
(
ココ
)
に手招きをする
25
あと三日待てば採れそな茄子ありて特売の茄子じっと見てをり
50
君が居ぬ 夏祭りなど 意味もなく 花火の音が 心底を突く
20
一枚の水彩画なり濃淡の緑のにじむ曇りガラスは
29
アゲハかと見紛うような黒トンボ束の間庭に翅を休める
37
夏なのに指のささくれひどいのはああ親不孝にじむ血を見る
28
受付のかたわらに置くほおずきは折り紙揉んで作りし灯り
25
夏の日の長いトンネル出た時の白いまぶしさ、生まれた瞬間
27
ねむの花 ねむの葉の上 ふんわりと ねむの葉の下 光ふんわり
12
栞を挟んで開かれるのを待つ それは他の誰かでもいいしあなたでもいい
8
自転車に2人乗りして怖いもの知らずだったねあの日の僕ら
50
蝉たちはすぐに鳴き出す雨上がる
谺
(
こだま
)
していく
生命
(
いのち
)
の音色
44
図書館でむぎゅむぎゅむぎゅと鳴らし行くクロックスへの視線の矢たち
22
四十路にて学びは続く霧晴れて見える世界が拡がっていく
30
キッチンに鎮座している
鳳梨
(
ほうり
)
一つ今日の私の心の気球
52
多忙でも話す口調のやわらかき介護士を見て我が振り直す
35
せと市のお店の数だけ個性ありあれこれ迷い
夫
(
つま
)
を待たせる
29
遠い日の記憶を手繰り寄せながら挨拶をするふるさとの夏
31
立秋が残暑見舞いの起点とか 時候を破壊沸騰地球
9
思い出喰い 夢と思い出 再生産 全てを美化して 苦しいままで
11
きょうだいで実家断捨離よみがえる思い出に阻まれはかどらぬ
22
サヨナラの 思わぬ幕切れ ベンチ前 涙こらえて キャッチボール
18
雨靄の盆入り前夜帰路を行く冬さながらのホワイトアウト
21
職員がバケツに入れて飼っているメダカは今や皆のアイドル
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