傘の中滲む視界に出た本音雨は優しくかき消してゆく
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ひらひらと花の香りに蝶々たち蜜を携え光の中へ
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はかなきに 露の命に 消えてばや 人の思ひに 恋しきことよ
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あをによし かすがに向かひて 春の日に 桜も散るころ 湊となるかな
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石の上いそのかみ 神をもしるに 七支刀しちしとう 古き都に 伝えしものを
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神風に 銀杏降らす にしき織 人にもこいにも 水面をてらす
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気にするな って言わない人のやさしさに  育ててもらった 歌詠む 気持ち
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いつもならチーズ牛丼つゆだくが 寒さのせいで 納豆そぼろ丼
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雨曝し 寒空の下 一人行く イヤホンそっと 孤独を消して
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境内で 走る子供に 重ね見る もう戻れない あの日々たちよ
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愛し合う 二人で一組 じゃなくても 私は私を 愛しているし
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責任と愛は別物ではなくて 死ねない訳も同じであって
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ひなたでは暑いんだけど日陰では寒くて 僕には居場所がなくて
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雨に散る金木犀はまだ濡れて仄かに甘い香りの朝で
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テレヴィのなかの日の丸にほほゑめる首脳に光差す優生卵
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女王蟻に肖し式服の白纏ふ偶像たらむ。宰相寫眞も
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鈴のよな声出し鳴くやすゞ虫は秋の夜長を我に教えし
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茜雲あすも良き日になりそうな迫り来るなり燃ゆる黄昏
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「光あれ。すると光があった。」マジ? お金あれ。「いや、そういうのじゃない。」
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愛おしい寝顔を見つめて宵っぱり 夢を見るのも惜しいほどの時間とき
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大病をせし弟よや健やかに暮らしておるか案じて祈る
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窓開けて 叫ぶ友共に 笑い合う 怒られるまで セットで青春
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砂かぶり動かない ママの卵焼き ぼくひとりレジャーシートをたたむ
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繰り返し感じてしまう苦しみも 今世だけのラストワン賞
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下の名を呼ばれることが減るにつれ 背広が皮膚に溶け込んでいく
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愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
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十七年たくさんの幸せ有難う! 愛犬キミのお家よ 骨壷を置く
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「娘にはピアノ、バレエに英会話」作り笑いのお酌で聞く夜
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病院でインフルエンザワクチンを打つ直前に風邪うつされた
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じゃが芋を黙々と剥くピーラーは二十余年の現役選手
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