アパートの正面に立つ老木も震えるように開花してゆく
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満開の 躑躅つつじにカメラ 構えたら 一緒に写る 舞ってきた蝶
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古き良き 時代に在りし 両親と 祖父母そろって 囲む食卓
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「あのころ」とませてくれるな 学ランのしわおもいたるつきすえ
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春風が誰かの匂いを運ぶからもう全部捨ててしまおうかな
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ここよりも遠いところに行きたくて揺られる波に爪先入れた
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青光の中たゆたう赤海月 血は赤く 耳鳴と潮の音
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初めてのレイトショーは貸切で やっと握ったエンドロールの手
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小綺麗な砂のお城が攫われる バイバイと言う子供らしさも
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人間を辞めてみたいと思います他になりたいものも無いけど
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近ごろは見かけなくなるネジバナの螺旋はちっちゃい蘭が咲いてる
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不規則に動く ロボット掃除機に乗って くるくる回転す猫
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道ばたのまったり姿の昼寝猫いつまで見れる猫飼わぬ身も/外猫減
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シャッターを 切る直前に あおられて ブレる雛罌粟ひなげし 風のいたずら
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耳かきの梵天付きを買う事も忘れるくらいどうかしていた。
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合法なうば捨て山と例えられ老人ホームで笑ううばたち
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爪先の冷えるリビング 雨の午後 ホットココアの沁みる温もり
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スカートがたなびく旗に見えたから あなたを目指してやって来ました
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贅沢を禁じられてる保護世帯眠る時間は誰よりもある
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これからは捨てて行こうよ胸の底重たい石を持たず生きよう
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リュック負いカート引きつつ帰る身を初とんぼゆらり前を横切る
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雨雲を押し退けていく 暖かな強い夜風は 月をいざな
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不確かな記憶の中の 懐かしき匂ひを辿たどる 母の香水
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初夏ならばこのくらいだとまたひとつ毛布の厚さを薄くしてみる
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ぶれの無いまぁるい姿が嬉しくてしばしながめる薄雲うすぐもの月
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潮の満ちあやつりて いたずらを愉しむ如し 月の引力
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昨日より太陽の匂い濃くなって駆け足で過ぐ春から夏へ
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晴れの日のあめんぼ達が作り出す雨だれ浮かぶ池に見惚みとれる
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風通るグリーンベルトにさわさわとちがやの作る波を見ながら/すすきの小さいの
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床扉ゆかとびら湿気をびるこの頃に近いとはかる梅雨入りの時
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