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隣屋根に残った雪と春霖と福寿草だけ光あつめる
27
窓際に猫が寄り付きだして春ガラス越しに蝶追いかけて春
13
しなやかな猫の如くに駆けだせば雪解けの泥青春に散る
20
食い付いた 干物どろぼう 執念で 宙吊りになり しがみつく猫
24
帰り際 角曲がるまで 見送って 手を振る父に 祖母の
俤
(
おもかげ
)
22
昔ここ何だったっけ建物が解体された跡地の前で
31
薄衣が春風漉してサラサラと音を立てたる朝焼けの辻
8
ほろ酔いで星を見上げてゆく道の頬にやんわり落ちる春雪
28
冴返る春に負けじと 花びらは
萼
(
がく
)
に
留
(
とど
)
まる 散らぬようにと
22
桜木の並木に降るる花吹雪古い団地を淡く抱いて
38
バス停の桜花は誇り高き顔 いつかお前もみなに踏まれる
5
消えた子を見つけられずにはや一年 探してないのは仏壇の中
5
古き良き馴染みの店も 継ぐ者もなく 畳みゆく 惜別の春
21
泣いている 空の涙を 受け容れる如く 散らずに耐える 桜は
23
人間にならない代わりに僕はまだ割れた卵とメソメソしてる
6
恋人と呼ぶには低すぎる湿度 それでも僕ら、繋がれている
9
足を止め空を仰いで掛けているマスクをずらす桜木の下
22
暮れ
泥
(
なず
)
む空を仰いで 流れゆく雲に
三十一文字
(
みそひともじ
)
を浮かべて
14
読み終えた本とスピンを戻す癖 あなたが置いていったものたち
5
幸せは 手に有る時は 気付かずに 手からこぼれて 有り難さ知る
22
いつまでも小学校の夢を見る 僕の心はいまでもそこに
7
ユリ持ちて 月命日に 逢ひに来た 妻の墓石に 花吹雪舞ふ
32
水槽のガラス越しには想いビト 煮ても焼いても食えぬがコイよ
8
ボツにした歌詞が好きだと口ずさむ君がいまだに完成しない
6
時計だけ動き続けるこの机 積もる灰色に書く名前は
11
悲しみも 怒りも全部 ミキサーに
混
(
こ
)
めて一気に 飲み干せるなら
17
あなたから貰った物のいちばんはこの傷ですよ。失くせないから
6
「今あなた安全な場所に居ますか」と呼び掛けるラジオぐっと近づく/昨夜の長野県地震にて
18
満開の
躑躅
(
つつじ
)
にカメラ 構えたら 一緒に写る 舞ってきた蝶
31
古き良き 時代に在りし 両親と 祖父母そろって 囲む食卓
19
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