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時過ぎ 魔法は解けて 乗り損ね 中身空っぽ 馬車だったもの
10
秋雨が 世の塵洗うを 聞きながら たまの長風呂 吾の塵洗う
22
俺のことを悪く言うのならあいつのことはもっと悪く言うべき
10
遅まきの誕生祝いと
次男
(
こ
)
の誘い紅葉の下の足湯に浸かる
33
待つ人の 無き家の灯は 消え果てて 今庭に灯す イルミネーション
21
美しき 薔薇のカップを 並べ置き 誰ふるまう事なく カモミールの茶
24
繰り返し感じてしまう苦しみも 今世だけのラストワン賞
7
薄氷
(
うすらい
)
の ごとき夕月
縁
(
ふち
)
欠けて 羽虫の飛びて 闇に溶けゆく
28
だけど、まだ、歩けるんだと言い聞かす がらんどうに埋めた強がり
13
愛犬の匂いの残るこの布団 そおっと下ろす小さな骨壷
50
凩
(
こがらし
)
に震へぬやうに足許を
脚絆
(
きゃはん
)
の如く守るウォーマー
32
ベランダで スマホを空に 向けながら 平安の夜と 同じ月見る
20
雨の日も頑張って風の日も頑張ったけど晴れの日サボってた
20
忘れたい事柄 ホワイトボードのマーカーの如 消し 前を向く
29
十七夜
(
じゅうななや
)
仰ぐベランダ 澄む空気
夜半
(
よわ
)
に
寒気
(
かんき
)
の戻る立冬
35
年末の空気をまとう街を抜け 排水口を掃除する夜
11
秋空に緑まぶしき柚子の葉や たわわなる実の黄も鮮やかに
38
昔日
(
せきじつ
)
の秋の 祖母との思ひ出を繋ぐ
鬼灯
(
ほおずき
)
隣家の庭に
31
悔いばかり蘇りきて寝付けずに夜の静寂に雨音を聞く
31
厳密に選別されるジャガイモの気持ちがわかる人間ドック
18
歩けばこそ見ゆるものあり秋の野に知らぬ花の実紅く熟して
32
一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
39
硝子越し写る景色が現実で 爪を立てても響かぬ身体
7
公園のメリーゴーランド子供らを大人に変えて一人老いゆく
20
串カツを 味噌鍋浸し はふはふと ほおばる友は 無邪気さ溢れ
22
出逢えたと思う 海で街で本棚で 痛みだけが似てる貴方に
9
鈍色の空に真っ赤な柿一つ少し痛んで魂の如
50
誰だってまぶたの裏に隠し持つ今よりもっと高かった空
25
帰宅して扉を閉めて鍵かけて 社会人
A
の魔法が解けて
17
「内緒だよ」教えてくれた公園で不意の初雪芝を覆った
11
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