追い詰めて追い詰められて優しさを壊したくなる皿を割るよに
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この歳になって気づいた夜の帰路 母の夕飯幸せの味
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土の中 空夢見ては なけずいる ヒトヨノユメに 空知らぬ雨
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縁の下で目立たぬ場所で支えても 誰も気づかぬ我の汗には
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あどけない寝顔を直ぐに起こしたい 聖夜零時にプレゼント置く
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もし蛇が輪廻をすべて呑み込めば不生不滅のむこうできみと
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一身に春野の風をまとわせて駆けゆく夢を抱く冬ごもり
12
たれが歴史をくりかへすのか その文書の一ページ目は からはじまつてゐる 、
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手の平で溶けて消えてく牡丹雪 生まれて直ぐに逝ったごと
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かなしき袖余そであま浮浪雲一はぐれぐもひとつ かれのこしたもいつまでか
8
雪の木戸まだ起きぬ街微睡まどろみの中で燻らす煙草の寂しさ
12
月命日 長き通い路耐えかねん 泣かせてくれるな待宵の君
8
留まらぬおくと面影おもいつつ 君の口癖さえ忘らりょか
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滲みゆくロングコートの主はき 抱けど話せど片道切符
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ふじの色見えぬ澄空結露越し センチメンタルだけの残月
10
茜空彫るは富士のみねの黒 じきに消えようあおに交じりて
10
軒の下明けてくれるな松の内 友の年賀はたった四枚
10
ひび割れのモルタル寂し公団前 人は変われど街も変われど
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モノクロの雑踏掻き分け上野口 デッキの雪さえ心ぬく
8
投げ渡す時計の針の指す向きににヴィエンナ・ワルツのあくどいパロディ
6
なかなかに取れないのです服のシミ 会議の前につくと思わず 
10
澄み切った空気が醸す冬銀河 あまねく星たち 幻想の夜
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ホームランなんて狙えぬ性分で 人生いつも送りバントよ
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五年もの月日があれから経ちました 先生、私まだ下の句下手かな
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人参と枝を残して雪だるま 「さよなら」も言わず空へと還る
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やる事が 終わらぬうちに また別の 優先順位が 割り込んで来る
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歌友うたともの 歌を通じて お互いの顔知らずとも 内面を知り
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春を待ち 葉も花もない 裸木はだかぎの 美しき枝振りに見惚みとれて
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云う人も 云われる人も「ありがとう」人に優しさ包む言の葉
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輪郭が ぼやけたままの 月ひとつ おぼろな夜に 窓埋める雪
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