現在は過去と未来に挟まれた 一瞬だけでまさかあるまい
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四本のうちの二本の歯を抜かれさて何母に食わせればいい
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風呂キャンにとって試練の夏が来た
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何も見て いないふりなど 出来なくて だからごめんね もうあわないね
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浮き沈むこの質量が憎くても それを愛してくれた人のため
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夏至が過ぎ闇夜の訪れまだかいな 山の大きな影はのこりぬ
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義姉あねの宅猛暑の中を片付けに姉弟きょうだい集合過ぎた頑張り
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紫陽花に空の青さと白とあり 一つの花に夏が見えた日
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良き事を記す日記は寝る前の ほんの五分の確かな幸せ
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モルックという名の遊びに時とられ 公民館に広がる笑顔
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蛍飛ぶ季節の記憶刻みしは 同級生の母の逝った日
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マカロニのイーストウッド三部作 何回観てもカッコいいよな(口笛)
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お互いを信頼しない男達 それゆえにこそ相手が読める
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寂しさは夕暮れ時の色をして 静かに胸の隙間を探す
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ベランダの掃除の後に風呂掃除 びしょ濡れ上等 水浴び気分で /夏の休日
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本のなか 灯りのような 言葉たち 目線を上げると 宵闇にひとり
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夜の街電車が通りすぎていく灯りがまるで星空の様
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夜の海波打ち際がぼんやりとどこから海で私は何処に
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海鳴りが耳まで届く堤防に微かに混ざるギターの音色
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静けさに まぎれて消えた 声ひとつ わたしの奥が すこし軋んだ
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空撮が追ふ単行列車は海沿いを 待つ人居らぬ駅舎も映り
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花のなか ひとつ揺れずに 残された 香りはどこか まざれぬままで
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厚き日に 草取りをする 職員を 空調服が 涼を繋ぐ
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よその子に手を掴まれてほっこりとにわか黄帽に父をよそいし
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流れゆく 川にとけこむ 小石らと ちがう静けさ 抱えて沈む
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なんじゃこりゃ節々痛いなんじゃこりゃハハンなるほど昨日のバイク
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引き続き 人手不足で 業務過多 多忙な貴女に 笑顔をあげたい
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湿原の花目指し行く道中は清らかなブナの森に包まれ
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触れてみるのっぽのブナの滑らかな木肌優しい温もり感ず
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陽のあたる 場所をさけては 森の奥 わたしの影が 薄れていった
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