認められなくても生きていくように喩えた色で塗った爪先
4
やかましい小さな点の集まりのひとつが僕だ、プラネタリウム
6
陽よりも煬がふさわし太陽に毎日〳〵炙られている
9
洗いたてのタオルまでもが生ぬるしパッと開いて陽の下にやる
10
我々はバスに乗りたるアルマジロ座席の上に丸まりて眠る
9
車窓より二度と出会わぬ町を見つこのままずっと揺られていたい
18
邪魔っけな角生やしてる強き鹿 強き女のハイヒール履く
8
ダンシングヒーロー踊る子らがいて櫓太鼓やぐらだいこはロックを刻む
10
眠られぬ理由はきっと違うけどエアコン温度.5てんごど下げる
6
我が未来剥ぎ取るように飲むクスリ残り数えつ今朝も九つ
10
君と僕。ホウレン草のおひたしがこれほどうまい幸せにいる
11
機種変の説明耳に心地よしらくらくスマホのドコモでうたた寝
8
たそがれてものみなとおくなりにしをちかくてぬくきつまひとりおり
6
菓子につられ買い物つき合う孫たちよ君らの子ども時代はいつまで
10
推し活デー鏡に向かう我が妻が髪なおしおり何度も何度も
9
プライドの欠片かけらひとつがこぼれ落つ「いいね!」が返らぬ夜更けのスマホ
12
雨の中一つの傘の下にいて外側にカバン持てば良かった
17
疼きつつもつかの間やさしおやしらず知ってか知らずか健やかなる母
5
無花果いちじくの熟れゆく匂い懐かしき母待つ庭に自転車のベル
12
堤防を越えた汗が目に入る真夏の昼のワンタンスープ
5
脳ドック妻のLINEは異常なし「いいね!」スタンプ全部送るよ
11
やわらかなしらべの歌を詠まんとてゴルフの後の身体古希古希コキコキ
8
言の葉の端くればかりの後悔をざっくり集め火にくべてみる
10
生まれ子のかそけく淡きぬくもりをこぼさぬような肘角ひじかくで抱く
11
髪の毛の分け目左に変えてみる女房気づかず五日目の朝
17
ハモニカの音色はきっと寂し色さびしいろ 文学あたりを行ったり来たり
10
頬に涼し露天の風に行方問う大谷翔平特大飛球
6
水の井の上澄みにしか掬はれず兵隊となつてゐる蟻一列
5
薬用石鹸手に遊ばせて覗きやる洗面台にふつふつと海辺は 
5
ロベールドアノー苛性現像液ひてる市庁舎まへの遠ききのふに 
2