薄紅うすべにの 夢も想ひも 捨てたれば 身を罰するごと ニガウリを食む
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在りし日に 母の集めし 人形の 我に似つること 今気づきたり
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聞いたこと 言わずに留める 自尊心 ただ今全力育成中
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決勝で待ってるからなと言われたけど二人とも初戦で負けた
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銅像になってる人の業績も顔も名前もまるで知らない
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年末の空気をまとう街を抜け 排水口を掃除する夜
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桃色の 点描の星 コスモスの 瞬く丘は 夢をまとえり
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わがいほは木の葉散り敷き道もなしいづくを分きて冬のきぬらむ
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木枯らしの吹き余しつる草のいほにさらにびよと照る冬の月
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神無月誰に手向たむけむぬさぞとて紅葉吹き払ふ木枯らしの風
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雨粒が落ちる墓石が悲しげでつい差し出した自分の傘を
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己から湧き出す怒り引き受けてうなりをあげて電車が走る
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大空に 大鷹おおたかの舞う 夢を見て 腰は痛いが 心晴れやか
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「感謝しかない」と言う人がいるけれど他にも何かあるはずだよね
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夕飯は小皿並べて燗つけてゆっくり食べる一人で食べる
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泣き顔の 眉にも似たり 紫の 細き三日月 連れて歩く
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使用後に硬貨が戻るロッカーの百円のように無意味な夫婦喧嘩バトル
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風切りの音が路上をさらってく夜の始まり冬の始まり
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朝ぼらけ瀬々の網代木あじろぎ現れて霧よりくだる宇治の柴舟
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誰よりも早くコタツにもぐりこみ寝息をたてる猫をなでたり
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漆黒の 丘の稜線 なぞりつつ 月の輪の凛と 今現れぬ
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深夜の食事 危険だね 取り憑かれたように なんでも食べてしまう
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死ぬなんてそんな怖いこと言わないで、百年後まで徹夜しようよ
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青色に ラッピングした 恋という 砂糖菓子の溶け 雲のてのひら
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音楽の底であなたが手を引いてわたしは二人称に溶けゆく
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秋空は 淡く哀れに 泡のな 今亡き夏の 君の半袖 
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暁の寝覚めに鐘の音冴えて露は霜にや置き替はるらむ
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風の中まだ君がいる気がしてる道の向こうの堤防の下
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呼ばれたと何故か思えるこの町に光る水面に僕は映らず
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スープジュリエンヌ 皿に満たして 軽やかに 銀のスプーンの 泳ぐ午後の【千切り野菜スープの事です】
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