永眠を致しましたと通知する者すらおらず風と化してる
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われの政治に沈みゆく午後の選挙車へ冷たき瞥を送る
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面並べる演説臺のたれかは嫉み読みて辿りぬわが闘争を
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一億の國民たる日を逃れ得ず國家のひとつの家に喀く血も
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「天使」だの「春」だの言ってる口すべて雪で塞いでしまいたい夜
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ぬか床を久かたぶりに掘り返し 胡瓜と蕪を埋めて春待つ
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背は伸びて 各々の向きに 咲くひまわり 天までとどけ、 一、二、三。
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立ち待ちの月に引かれし通院の峠に待てり白雪の富士
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質の悪い初期のうたほど膾炙かいしゃして晶子は「常に悲しむ」と云ふ
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恋なんて 映画で満たす 通り雨 エンドロールに 優しい嘘を
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雪壁に 小さき氷柱つらら群れ集い 崩されては清明に響く
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笑ってるだけで幸せ感じてる きみに会えた日心はぬくい
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電線に雀もふもふ並ぶのをぬくぬく観てる朝のよろこび
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何時も死ぬる覚悟は此処に有り二十九年の絶海孤島
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面影を 見知らぬ人に 重ねては 記憶の彼女 上書きしてみる
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会合を 終えて事務所に 戻る夜 貴女のチョコは 残業食に 
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ただいまと 帰ればきみが お出迎え 一緒にうたた寝 優しい時間
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かぎろいの春野を行かば海の見ゆ 父母眠るふるさとの地の
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今はもう土間もかまどもなけれども我を仕込みし祖母眼裏に
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糸電話 今この宇宙そらに 伝えても 届かぬ声は 夜に放たれ
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喧嘩して、仲直りして、ご飯食べ。家族という名の終わらない恋
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幼かった私に贈る指定席「大丈夫」という切符握らせ
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「おばさん」は 終わりの合図サインじゃないのよね未来を走る コースの呼び名
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こんな時季とき「しやっこい水ではかわいそう」日向で温め鉢に移す妣
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子供等は雪を望んで大人等は雨を願って明日を待つかな
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錆びたネジ 巻いて時計の 動くはず 褪せた写真に 色をさしゆく
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私はね草でいいんだそう思う落ちた所で生えてればいい
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曇天に 梅のつぼみが ちらほらと  冬の名残を 今は楽しむ
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征く冬は つぼみを添えて 跡梅の 次へ渡さん 淡きくれない 
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雑に歌 詠みてまちたる 我が目には 着くも気付かず 声掛ける君 
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