あなたには龍の雲ありしたたかに雨落とす影白々と立ち
5
オオカゼガマチガイナシニチカヅクとまじない文様浮かぶ天気図
4
名残なごりとは胸しぼられる重さなく道端の一葉ひとはさやれる音か
4
巨大なるクマバチまん羽音はおとして窓うなるただただ恐ろしく
5
継ぐ人の無き家清く飾られて裾先すそさきくぎ掛かる如く呼ぶ
5
小太鼓のみて閉じる傘越しの空に龍神雨を吸い込む
5
今はまだ背景でゐる稲の穂のすこやかに待つ静かなる午後
6
たとふればとろめく絹の手触りか金木犀のかほりするりと
8
休日が役割終えて穂薄ほすすきも熟れ白綿毛好ききに舞う
3
はれて豊か山吹色の伸び伸びと今年の幸のほがらかなりて
5
木塀よりのぞく柿ありさながらに昭和の磯野いその邸よと興じ
3
道すがらふと列並び待ち並び並び並びて食べるコロッケ
5
知らずとも踏みて気付けば歌うたふ口となりけり団栗どんぐりコロコ
4
ここだけの秘密すこんと消えて行く秋の限定チョコ舌の上
4
自画自賛 おれが作ったジンジャーエールが世界で一番おいしいはずさ
2
逃げ場なき条件なれば主体性などあり得ない 奴隷制なり
3
ウルトラマン・仮面ライダー・ゴレンジャー・・・・・・こどもの夢は黒服を着る。
3
炭酸のだのこるジンジャーエールがしずかに音をたてている
1
目が合ったその一瞬の窒息感 首にかかった手は恋だろう
8
エアコンが喉の奥までかわかして さよならだけが言えなくなった
3
「この街を出るよ」と私「そう」と君 十文字だけの終わり さよなら
5
今日夢をみるときだけは見逃して まだ君は誰のものでもないと
5
星が呼ぶ スピカで笑うあの人の声がきこえた そんな気がした
3
今よりもやさしいひとになりたくて バファリン2錠飲み込んでみる
4
眠る君にキスしないまま冷め切ったギョウザを咀嚼する午前2時
3
いつまでも心に居座る君の影を言い訳にしてひとりで生きる
5
塵紙を破るより尚簡単に忘れたくって君に手をふる
3
空と海のはざまにひとつ深い青 見渡す限り世界は夏だ
5
夏服の裾を絡げて走り去る、もう戻れない季節の君よ
5
昨日から続く明日が今日ならば、私は私をいつやめようか
4