朝月夜 並々入れた珈琲にうつるまだ眠そうな猫の目
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脳死まで動き続ける心臓と心停止まで思考する脳
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不発弾多き脳内 爆発と成れぬ芸術たちの墓原
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長年の恋が一つの結末を迎えた朝の君の味噌汁
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透明に下がるつららを見つめつつ細くなりゆく自分をおもう
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珈琲に溶けしミルクよ この傷も癒えて私の色を変えるか
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川沿いのあれも桜か尋ねれば ええそうですと蕾が笑う
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バイバイと手を振ったあとドア越しの 発車する前長い一瞬
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言の刃で 刺しかけてやめ 絵はがきとペンを選んで 刃を葉に変える
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桜塗り「もっとピンクに」正されて図画工作をきらいになった
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無印の店員さんと思われるのを防ぐため小脇にバナナ
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毎年のことなのに忘れてしまう早めのアレジオンが吉だと
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「未返却図書があります」身にないな 返した覚えもなくした覚えも
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知り合いに 知られたくないのになぜか 見知らぬ人には見てほしい 歌
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思い出に浸るでもなくただ単にものが多くて包み終わらん
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明日にはもうここじゃないそこにいてごみの出しかた調べたりする
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知らん部屋、知らんスーパー、知らん味噌、4日もすれば慣れると思う
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ドアの隙間から明かりが漏れ入る 他のだれかももう起きている
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会おうねと言えば言うほど遠ざかるような気がして口をつぐんだ
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「おはよう」と 昨日もあった君の声 明日もあると 思える幸せ
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いつまでも 生きて欲しいと 祈りつつ 今日も飲み行く 父を見送る
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障子窓 やぶれた三角からのぞく 野良猫の目のこちら見る丸
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たとえばの話だけどもしわたしが男だったら好きになれそう?
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聞けるはずもなくあえなく別のバス乗っておんなじ街に帰った
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世の中の ビジネスモデル 上手いなあ いざ己では 思い付けない
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紙芝居 ぼんたん飴と 散歩道 あの日から来た 今日のやさしさ
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行き場ない 迷子の気持ちと 手をつなぎ 耳を澄まして 道場の朝
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かならずや生きて帰るとつぶやいて7時5分のバスに乗り込む
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水割りだ、ロックを頼んだはずなのにいやこれロックだめっちゃ味する
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台本を 繰り返し詠み さあ開演 実家劇場 ムスメその1
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