汚れます 私の命 削り落ち それでも遺る 熱情の薔薇
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文月の 次は葉月の 眩しさよ 夏物語 はじまりはじまり
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コーラすら喉越しで流し込むのは 甘えたい僕も飲み込むため
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十八度の 朝風が吹く 八月の 朔日ついたちには 鎮魂の花火
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目覚ましを二段構えでセットする結構これで慎重派だよ
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苛立ちを隠しもせずにふて寝する。朝陽が射して消えますように。
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風凪いで 空気も動かぬ酷暑の午後 涼しげに飛ぶ オニヤンマあり
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「久しぶり!夏バテ平気?」の返事が「カレー食べてる」ああ元気そう
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秋っぽい冷たい夜気に布団引き、んなわけねぇべ、いやそうなのか?
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雑草が喜び育つ。無理するな熱中症が…言うが盆くる
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地よりいで ころもを脱ぎて 成虫に 白き妖精 朝には飛ぶか?
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ずる休み取ってやったぜ金曜日 女房もいない やっほい自由だ!
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一面の丘の傾りのそば畑ま白き花に蝉しぐれ降る
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異動の日 ひとり切なく 覚えてる 去年の今日の 燃える夕焼け
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ふざけずに頑張っているこの頃は夢まで真面目 ちょっと萎えるわ
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つらいなう かなりきゃぱいよ マジ卍 チョベリバ気分の廃語ばかり
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行き違う 二人の心 重なりて 闇夜を包む 夏の星雲
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「胃の中に、緋色の蛙飼ってます」「俺の哀しみ、呑み込んでくれ」
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初恋の当時はレモンの苦さだけ 今、過ぎてく日々が甘く美化する
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容赦なき群青 二の腕まで褐色の ポニーテールのライフセーバー
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「母さん!」と子に背を押され初めての駅ピアノ弾き 子へ「ありがとう」
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半端だなやり切ることが出来なくて一歩進んだいいことにする
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ひどい夏日向に咲いてる向日葵を愛でるきみの手しにがみなんだよ
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タイアップ映画の余韻ブチ壊し流行り物など僕は望まず
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「てへぺろ」の絵文字で終ったラインみてちょっと笑ってえんぴつを折る
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眠剤が効かぬ夜とて たまに有り 頓服飲むか 酒でも飲むか
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辺りには土無き塀に空蝉や 蝉の長旅フィナーレに入る
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洗濯機ゴドゴド震え朝起きる白服濡れて今日は晴れなりあっぱれ
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パリの夜 歯車合わず無念でも 静かな焔 泪で揺らし
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抜け殻の蝉の意識を取り戻す 「センセイ、ありがと」 夏の陽炎
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