リハビリに通うあぜ道水仙を見知らぬ同士が杖つき眺む
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独り食う 参鶏湯は ラヴェルの 『ボレロ』の如く 飽き初めにけり
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盛りには白くかがやく木蓮が燃えさしのよに何で散るかな
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春光を浴びつ バス通りをぎり 落葉樹には めぐみぬ新芽
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君想う  春の陽光ひかりに  桜散り  地を埋め尽くす  わが恋の果て
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ぬくぬくと  背に受くこたつ  画面には  アフリカゾウガメ  われが映れり
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母は「デイ」 吾は洗濯 布団干し いい一日だ これまた癒し ※「デイ」=「デイサービス」
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これ以上傷を広げないように泣くだけ泣いてと考えている
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こんなにも 電波時計を 狂わせて お互い知らない 月曜の朝
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靴底が 擦り減るほどに 働いて また四月から 気持ち新たに
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生まれ落つ憂しと云ひつつ泡沫の浮世に生まれ返る愚かさ
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指さしてずどんと引き金引いたらば大雪山に夕焼けおちる
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「危ない!」を三分ごとに叫ぶ母 僕が初心者マークといえども
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咲きむる桜に見惚みとる傍らに はかなくも地に落つ紅椿
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面会の十五分ほどちぐはぐな義姉の話題は帰宅に尽きる
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桜の木山手通りに立っていて入学生を歓迎してる
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ひそやかに降る春の雨 花開き浮き立つこころ鎮めるように
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灯台のオレンジ色が雨にゆれ寂しさつのる夕暮れの浜
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月夜野つきよのは今はなき町 ただ歌を詠むためにあれ文字も響きも
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春だから 桜桜桜はなはなはなと 人は云う 気候たがえて 何を花とす
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昨日まで蕾も今日は咲いていて眺める吾は歩みを止めて
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我が想い 三十一文字みそひともじに詰め込みて 余る想いを何処に捨てよか
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春の日にキャベツ畑のモンシロチョウひらひら舞いて卵産みつけ
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朝六時澄んだ空気とコーヒーで始まる今日は心穏やか
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夕焼雲 絵の具を溶かす如 茜色にむ 西空の芸術
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ポロポロと 悲しい雨音 聞いた夜 カップボードに ココアを探す
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夜明け前 右の腰の上 ねこがのる 生命のぬくもり 生命の重さ
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闇の中  ランタンひとつ  ともしおり  音の波間に  夜は深まり
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のんびりと 過ごすとしょうか 春日和 往来ぶらり 寄るライブラリとしょかん
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コンビニの駐車場わき 青年と並びて 煙草を吹かすおうな
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