責任と愛は別物ではなくて 死ねない訳も同じであって
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ひなたでは暑いんだけど日陰では寒くて 僕には居場所がなくて
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雨に散る金木犀はまだ濡れて仄かに甘い香りの朝で
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「意外とさ、嫌いじゃないねこの味は」 わたしゴーヤチャンプルでしたか
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テレヴィのなかの日の丸にほほゑめる首脳に光差す優生卵
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女王蟻に肖し式服の白纏ふ偶像たらむ。宰相寫眞も
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鈴のよな声出し鳴くやすゞ虫は秋の夜長を我に教えし
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縦列に ひょこひょこ動く 黄色帽 ひよこの列で幸せな朝
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愛おしい寝顔を見つめて宵っぱり 夢を見るのも惜しいほどの時間とき
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窓開けて 叫ぶ友共に 笑い合う 怒られるまで セットで青春
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砂かぶり動かない ママの卵焼き ぼくひとりレジャーシートをたたむ
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繰り返し感じてしまう苦しみも 今世だけのラストワン賞
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切り花のコスパ日割りで考えるそんな僕にも秋のひだまり
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下の名を呼ばれることが減るにつれ 背広が皮膚に溶け込んでいく
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考察が 苦手なもので 短歌の意 味わいきれぬ 自分が悔しい
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風邪の子に焼くオムレツの甘い香と休む仕事の後ろめたさと
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「娘にはピアノ、バレエに英会話」作り笑いのお酌で聞く夜
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病院でインフルエンザワクチンを打つ直前に風邪うつされた
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いつの間に 図太くなった  自転車で 近づいてなお 動じぬカラス
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風切りの音が路上をさらってく夜の始まり冬の始まり
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思い立ち電話の向こう寝込むに行けぬもどかし心は募る
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一つ石二つ体を寄せ合いて一つ衣の夫婦地蔵よ
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この道がそのまま障害物になる そうじゃない人におんぶされたい
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フライドポテトを揚げて盛るとき 誰かがめちゃくちゃ喜んでくれる
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秋空は 淡く哀れに 泡のな 今亡き夏の 君の半袖 
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さまざまな石鹸の香り交ざりあい籠もる夜更けの公衆浴場
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久々に会えば思っていたよりも少し痩せてる父のかんばせ
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向寒の耳に囁く潤子歌行った事ないスカイレストラン
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あれこれと日帰り旅行の計画を立てる日向でお茶を飲みつつ
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バスツアー波静かなり大洗たまの遠出に幸せ覚ゆ
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