月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。

ストーブの上のヤカンはシュンシュンと 鳴り続けてる外は半月
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明日からは出席停止なくなりぬ 最後のタミフル飲み込むチョコと
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インフルに感染している孫といて うつされるのもいい日向ぼっこ
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実篤の「仲良きことは美しき」息子の家の夕食は鍋
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月からは地球は眩し星に見ゆ  どの国、人も眩さの中
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高速のバスに都会へ帰る人 厚底靴の足の長さよ
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「一、ニ、三」飛び乗り空を悠々と 一年生の鯨の雲は
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幾筋も飛行機雲のある空を 風呂敷にして悲しみ包む
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初めての国勢調査調査員 一瞬だけの国家公務員
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だから好きミセスの歌に誘われて 知らない道を走りたくなる
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鶏頭の赤に迫るるドウダンの 朱は赤より血に近づきて
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記憶にはいつも微笑む亡父なきちちを 愛しく想ふ秋深まりて
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雲走る青深き空の十月は 知らない街をさまよいたくて
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人に会うことの少なくなりぬれど 日ごと多しは人想うこと
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朝五時の音は微かに団栗どんぐりが ポトンと落ちる秋は深しと
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キャンセルを押して終わるは早朝の浅草散歩夕暮れ銀座
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七十の坂を越えたる我なれど 見えてるものの変わりなきかな
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平凡に静かに生きる願いあり ただ山を見て青空仰ぎ
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秋雨の冷えた静寂身に受けて 朱のにじんだドウダンツツジ
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午前二時少し冷めたる湯タンポの 静かなぬくいだ き眼を閉じ
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十年も前に出会った人のこと 昨日のように想ふ真夜中
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珍しく一人を味わう時間でき マックのテーブルコーラとポテト
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鎖めく日々送りたる友の口大空そらを飛びたい夢を語れり
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百八と九十七の二人いて 教えられてるどう生きるかを
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わがままと主張の狭間六歳の 訳のわからぬ少女の怒り
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歌詠むとまた一日を生き直し 暮らしの彩り光を放つ
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母の炊く松茸ご飯秋の香を 一緒に供える仏壇の父へ
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中指の第二関節噛む癖は 歌を詠むときクイズ解くとき
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「だいすき」と手紙にあった孫の字を そっとなぞれば胸熱くなり
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雨に濡れシュウメイギクの濃い白に 秋の伝言書かれておりぬ
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