Utakata
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月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。
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神輿引く少女の浴衣 水色の 「わっしょい」の声疲れた笑顔
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歩行器を忘れて歩く母なれば 忘れて嬉し足の痛みを
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「考える」「考えない」を交互させ 吾の哲学の草取り続く
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「老いが寂しい」と言ふ友に 流星群の日時知らせる
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あの日には眩き強き熱波あり 八月六日は祈り願う日
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盆近し人の姿のない街に 等間隔の赤ちょうちん揺れ
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辛口のカレーとサラダの夕食に ノンアルビール寄り添っている
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夕立が涼風運びお昼寝の 時間は少し間延びしている
7
小学生俳句教室和やかに 大人を飛び越す感性の羽根
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かき氷買った機械で試作品 いちごミルクの他人行儀よ
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夕立の三秒前に洗濯を 取り入れており太陽の香の
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血液をさらさらにする薬剤の 偉大さと危機隣り合わせの
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血栓のちりばめられた肺ありき CT画像の夫の一部
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病院へ送った夫の部屋に行く シーツに残る面影懐かし
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真夏日の再入院の個室にて 四角い空を夫は見つめり
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吾に抱かれ手を伸ばしたる幼子は 過ぎる電車をつかまんばかりに
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うす闇が本当の夜になるまでに 今日のダメさを溶かしてしまおう
7
一歳の小さき手には魔法あり 触れたる大人皆なる笑顔に
9
朝食に畑のトマト、ブルーベリー 幸せの味少し酸っぱい
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指切りをし過ぎ短し吾の小指 孫とサイズの合うげんまん
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激痛はテニス肘との診断で ちょっと嬉しいテニス知らぬが
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激痛の肘の痛みの診察に 退院まもない夫の車で
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「大丈夫?」「大丈夫か!」とお互いに 老々介護ここに始まる
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激痛の肘を伸ばして手相見る 生命線を主治医もさわる
9
一日を秒の単位で生きている mustではなく~したいの気持ちで
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夕顔の蕾を探す癖のあり ぐるぐるまわる鉢の周りを
11
ストリートピアノ奏でたビートルズ 異国の人の細き指先
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夕焼けに誘われ庭の水やりを している我にささやかな風
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一鉢が五十円なり安売りの 花の命を信じて花壇へ
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退院し痩せた夫の背中から 安堵の色のため息ひとつ
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