Utakata
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月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。
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激痛の肘を伸ばして手相見る 生命線を主治医もさわる
9
一日を秒の単位で生きている mustではなく~したいの気持ちで
6
夕顔の蕾を探す癖のあり ぐるぐるまわる鉢の周りを
11
ストリートピアノ奏でたビートルズ 異国の人の細き指先
11
夕焼けに誘われ庭の水やりを している我にささやかな風
15
一鉢が五十円なり安売りの 花の命を信じて花壇へ
9
退院し痩せた夫の背中から 安堵の色のため息ひとつ
28
水やりで小さな虹に会えました 切り取り入れるガラスの瓶に
10
深呼吸 飛行機雲のリボン付け 今日のごほうび大空もらう
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海を見に行きたいけれど叶わずに 歌集を買った「海のうた」と言ふ
11
草取りに蚊取り線香携えて 静かな煙 草間を進む
20
何もない朝だからこそ長袖と 長靴で行く畑の草取り
11
電話から聞こえる声は生真面目で 夫は伝える退院の日を
15
「帰りたい」電話の母は幼子の 泣く直前のような声にて
12
退院の決定届くLINEにて 夫の文字に見つけた高揚
14
一日を全部自分のためだけに 使える自由の我に吹く風
12
海に行き貝殻ひとつ拾いたい 海の重さを秘めた貝殻
10
午前六時 山あい響く「夏はきぬ」 市の広報の「今日もがんばれ」
9
存在の重さ教えた入院の 夫のLINEの丁寧な語尾
11
この星に 今流れてる涙あり 集めてみれば 川出きるほど
8
早朝の涼やかな風 贈りたし 本物の涼 箱詰めにして
7
花の巴里オリンピックは開会す 我の生まれし国思ふ日々
6
病院へ二時間の道進みつつ 夫と出会った日の鮮やかに
8
贅沢はモーニングつきアイスティ レモンは琥珀の中に沈めり
11
ベッドにて術後の夫の横顔に 知らないグレーの老いを見つける
21
起きなきゃと背伸びして思ふ 二分前に買った本のこと
5
入院の夫を見舞う準備する 笑顔が浮かぶ履き慣れし靴
9
ブラウンの抱き枕には百七歳の 伯母の涙が染み込んでいる
6
転倒の百七の伯母無傷なり 大正生まれの見事ないなせ
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電車行く緑の川を泳ぐよに 流れのはてに夫待つ病院
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