月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。

花の巴里オリンピックは開会す  我の生まれし国思ふ日々
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病院へ二時間の道進みつつ 夫と出会った日の鮮やかに
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贅沢はモーニングつきアイスティ レモンは琥珀の中に沈めり
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ベッドにて術後の夫の横顔に 知らないグレーの老いを見つける
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起きなきゃと背伸びして思ふ 二分前に買った本のこと
5
入院の夫を見舞う準備する 笑顔が浮かぶ履き慣れし靴
9
ブラウンの抱き枕には百七歳の 伯母の涙が染み込んでいる
6
転倒の百七の伯母無傷なり 大正生まれの見事ないなせ 
13
電車行く緑の川を泳ぐよに 流れのはてに夫待つ病院
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夕方にこの病院に行くことを 思ってもない朝が懐かし
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手術する夫はすでに病院へ 追いかけティッシュ一箱持って
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突然の救急搬送告げられて ヘリか車かも迫られている
6
気がつけば反対側に人多し こちら側には吾一人の電車
8
次の駅天気はなあに?くるくると 猫の目のよに電車の外は
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電車にて少女の声の「トンネル!」と 三秒後入る黒の世界に
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雷雨にて電車に乗れば青空に 我を連れ行く気ままな天気
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病院で夫の検査の結果聞く いつになく横顔かおおだやかな彼
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灯台のような言葉のひとつあり 我に与えし忘れ得ぬ人
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夏に耐えこぼれるばかりの花々と 虫集う庭を風吹き抜けぬ
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風ありて壊れてしまうシャボン玉 一つくらいは雲まで届け
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宿題を手に手に集まる子供たち 家より出きる寺子屋ならば
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水筒の麦茶ごくりと喉通り 体の熱をすこし待ってく
7
買い求め花瓶に挿した赤ダリア 憎らしいけど酷暑に似合う
8
イマドコだ?石で背中を焼いた夏 川触れ魚になった夏
3
日傘さす小学生の下校時に 照り返しまた強くなりけり
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仏壇の前の時間の静かなり 亡き人思ふただそれだけのこと
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二年前 夫の植えたる花水木  大樹となりて与えん影を
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我が家にもブルーベリーのなりたるを 孫に知らせて食べるを我慢す
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幸せは小さいものと分かる朝 手足も動く今日も生きてる
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いつからか雲に名前をつける癖 その時私は少女になった
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