月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。

また明日が来るを疑うこともせず 当たり前にいる それが幸せ
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母にへと手渡されたる白百合の  優しい香りは部屋満ちるなり
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贈られたスイカを迷わず二つ割り 黄色に黒の点々のあり
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バッテリー上がりし愛車よみがえり 早速明日の約束している
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汗ばんだ首筋拭いて深呼吸 青の紫陽花我と目が合う
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着替えしてやること次々浮かびおり それでも私はまず歌を詠む
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暗闇の向こうで何が起きてるか 見えない恐怖目をこらしても
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がらがらと山は崩れを止めぬなり 何もできずにただ音を聴く (川向こうの山)
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山崩る音で目覚める午前四時 枕元置く母と吾の靴
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国道と山の崩れしあの朝と 同じ時間に雨見に外へ
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避けられぬものであるなら死の日まで 生きて生きてく自分らしさで
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警報の知らせ届きしベッドにも 耳を澄ませて山の音聞く
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教え子のハサミ裁きの優雅さに 幼き頃の素直さ重ね
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頂上は見えないけれど雨の日の 山は静かにただそこにいる
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雨の降る今日のメインは写経なり 一文字ずつに亡き人思ふ
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帰り来し園児の今日の宝物 タイヤの傍に在りし石ころ
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保育園の帰りひそかに道草す 約束のチーズケーキの店に
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小さき手を何度も左右に降りながら 「またね」の声を残し発車す
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冷蔵庫で冷したけれどチョコは溶け身体の奥の孤独を包む
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庭隅に光集めて咲いている都忘れは主張を秘めて
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白緑の雨そのままにアマドコロ 連なり垂れる鐘型の花
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この星にいなくなる日の来るまでに 私は生きる悔なき道を
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幸せは 季節の移ろい 見届けて 黙って座る縁側にある
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朝目覚め「今日も生きてた」ありがとう 庭の紫陽花風に揺れてる
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転んでも泣かなくなった天使には パピコはブドウ紫色の
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ばら肉となすの薄切りくるくると 巻いてる五歳の小さな指先
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忘れてく記憶は全部この箱に 入れて地中に埋めておきたい
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天然の鮎 頭から食べながら 友は呟く「人生いろいろ」
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五十年勤めた会社を去ると言ふ 旨そうに飲むビールの泡も
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初恋の遠くに思ふ歳になり 逢いたくもあり逢いたくもなし
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