月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。

蛍には忘れられない人のいて 照らしておくれ淡い光よ
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夕闇に始まる蛍のあちこちと ふわりふわりと優しき飛翔
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早朝の畑に我を待つキュウリ ト音記号に似て曲がりおり
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寂しさも悲しみもまた愛しくて 人より我を思ふ午前四時
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古稀ゆえに再び会えぬかもしれず「今までありがと」心で伝える(友といて)
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こうしてる間も地球回るなり 戦地の子の夢安らかであれ
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父の日に寡黙な背中思い出す 父七回忌のカレンダーの字
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公園の雀を追ってどこまでも 走る五歳の影の愛しさ
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紫陽花の恥じらうよに咲き始め また今年もか梅雨の始まり
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断捨離を熱く語った友のいて 吾に残されし時思うカフェ
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古稀にして初めてのこと挑戦す やれば良かった言いたくなくて
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脳トレを生業とする母の日々 訃報に慣れた齢九十六
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染み付いた消せない時間はオレンジの夕焼け空に捨ててしまおう
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うつむいて見ている孫の目の先に 蟻は上手に行列しており
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綿菓子の甘さの先の冷たさに 吾の中の童時折会いたし
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朝風に溶けし草の香 川の音 ここがふるさと生きて死ぬ場所
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夏の暮れ 夜は静かに舞い降りぬ 蛙の鳴き声遠くに聞こゆ
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勇気だし 同窓会の告白に 彼女の言葉は「あんた だれ?」なり(古稀の同窓会)
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熊が出た❗猿の軍団 カモシカも サファリパークの中の我が家よ
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幼き日部屋に舞い込む蛍火は 露草にすっと置き灯る夜
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マイク越し読経の流れ母送る 背の丸まった友の悲しみ
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筆に墨つけし後から迷いなく 和紙に世界を作る百七(篠田桃紅展にて)
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家族とは共に行かない鰻屋の ゆっくりはずすどんぶりの蓋
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夜に夜朝には朝の記憶あり 吾の一部なりどの思い出も
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黒糖の寄り添う味の梅ソーダ 汗ばむ喉を通りすぎてく
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鶯の声に振り向き探すとき 小さき悲しみ春の名残の
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ゴミ出しのボランティア先お一人の 女性にもらうあめ玉一つ
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カーテンを揺らして風の入る音 朝の始まり今日も生きてた
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黒蜜ときな粉をまぶすわらび餅 我を忘るな我は忘れぬ
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草刈機 音の遠くへ行きにけり 草の香携えつまは帰還す
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