Utakata
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月夜ぼたん
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ただ歌を詠むことが好きなおばあちゃんです。よろしくお願いします。
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妹のくれた苺の大福の 春の柔肌セロファン越しの
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バースデーにメールをくれたあの人の 特別な日をわたしは知らぬ
5
ユーミンの色遣いとは違うけど 自分は自分の色に染めてた
4
三日目の鍋のおでんの大根に 甘えてしまう微熱のわたし
8
特急の車窓に流る風景に 思い巡らすこたつの中で
4
美しき心でありたい明日までは 自分以外の人を祈る日
3
京都には背筋を伸ばす思い出と 受け入れられない温情がある
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風花は冬の名残の置き手紙 二月のつもりで三月に読む
5
メイちゃんとさつきが両方いるような 孫の言葉の面白味かな
7
明日五歳 孫はどれほど幸福を 我に与えて生かしてきたか
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行き先を決めず旅路の人となり 漂う時間に委ねてみたし
7
病にて奪われしもの意欲なり 吾の魂よ割れてくれるな
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炊き立てのご飯にゆかりの朝ごはん 1日分の幸せを食む
9
ストーブの前に座って一秒を 数えるようにミルクティ飲む
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冬の日が残りし二月の夕食に 思いを込めたクリームシチュー
8
千円の制約作った買い物の 1/3のブロッコリーかな
6
コロナ後の料理の味は曖昧で 何度も重ねる味見の小皿
12
イタリアのお土産一つ口に入れ 飲み込むまでは日本茶の仕事
4
特急の残した音は広がりて 蕾の固い桜の下に
7
引き出しの奥から出てきた手紙には夕焼けの染みくっきりとあり
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いつの日も共にいる人いることは 二月の午後の静かな春風
3
「あと二日 私が五歳になるまでに」輝く光誕生日来る
3
人形の静かな笑顔に見守られ 雛の季節の桃のごと孫
9
写経する右手の筆ペン少し揺れ 深く息吸い背筋を伸ばして
8
炊き立てのキノコごはんの香ばしさ 大根おろしにじゃこ添えて
6
七日ぶり珈琲の薫り立ち上り 苦味身体の隅々へ流る
8
寂しさが懐かしくもあり 横になり苦しみ病んだベッドに座る
4
歌を詠む気にもなれずにいた日々よ 何か奪わる私の異常
10
いつの間に春は来たのと問いかける 地中の土筆の声を探して (コロナ七日目)
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自宅にて病んだ日々にはお共あり スマホとポカリと遠い思い出
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